音楽がすっと心に響く、居心地のいいバーを紹介 『よい音楽で、よい時を』#3 Soul Bar George’s
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Soul Bar George’s
1964年から続く日本最古のソウル・バー
好きな音楽を雰囲気のよい空間で聴くことができたら、その時間は、より贅沢なものになるだろう。音楽をよりよい環境で聴くために、こだわって作られたミュージックバーやジャズ喫茶などを紹介する特集。第3回目は、西麻布の裏路地にある日本最古のソウル・バーでありジューク・ボックスで音楽が楽しめるSoul Bar George’sをご紹介する。
Soul Bar George’s
東京オリンピックが開催された1964年、現在の六本木にある東京ミッドタウンの場所(当時は防衛庁の隣)に、もともとレストラン・バーとしてオープンしたSoul Bar George’s。ベトナム戦争が激化していたこともあり、アメリカ軍の兵隊が多く来店し、食事よりお酒が求められ、徐々にバー主体の店舗へと移行していった。
Soul Bar George’sの魅力のひとつに挙げられるのが、半世紀にもおよぶ歴史を目の当たりにできる雰囲気だろう。壁にびっしり貼られたアーティストの写真やポスター。カウンターには、来店したアーティストのサインも多く飾られている。今までにジェームス・ブラウン、プリンス、ダリル・ホール、ジョン・オーツなどが来店しているという。現在の場所には2005年8月24日に移転(その前には2年ほど別の場所で経営)。防衛庁の隣だった頃のお店を再現するため、ポスターや写真、サインなど移設できるものはすべて移しており、イスやカウンターなど移動ができなかったものは、当時使用していたもののサイズを測り、同じ素材で作っている。
Soul Bar George’s
そしてもうひとつの魅力が、今となっては珍しくなった7インチ・レコードのジューク・ボックスで音楽を楽しめることだろう。100円で2曲セレクトできるこのジューク・ボックス。「他のバーと何が違うかといったらやっぱりジュークなんですよね。決していいスピーカーを使っているわけではないですし、レコードも繰り返し使っているからチリチリしますが、そのノイズも温かみのある音として聴こえているように思います」と二代目オーナーの高橋ともえ氏も他の店にはない魅力を語ってくれた。
ジューク・ボックスの中身は、シーズンごとに変えられている。すでにセットされている曲以外にも7インチ・レコードであれば持ち込みも可能(針圧が強いので盤を傷める可能性があることを了承してもらえる方のみ)。
ゲームメーカーで有名なセガが、昔、ジューク・ボックスのリースを行っていた当時のスピーカーを使用。ジューク・ボックス本体も音は出るが、このセガの旧式のスピーカーは主に中域から高域の音を補っている。
カリスマを誇っていた亡き初代オーナーの下で働き、その後を継いでいる二代目オーナーの高橋ともえ氏。わざわざ飲みに行く場所ではなく「ただいま」と帰ってくる場所だと、常連客によく表現されるという。
オススメは1階のカウンターで過ごすことだが、2階にはラウンジも用意され、2階に限り予約も可能となっている。DJブースも設置できるので、貸し切りの場合のみ音楽イベントも開催可能。1階、2階合わせて30名ほどの規模であれば、心地よい空間が作れそうだ。
常連客の一人が作った防衛庁横に店があった頃を表現したジオラマ。壁には、今と同じようにびっしりと写真が貼られている。当時の雰囲気を伝える貴重な資料のひとつだ。
壁に貼られた写真やサインも年月経過で茶色く変色しているのを見ると、半世紀という時間の長さが感じられる。そして、その間に多くの人がSoul Bar George’sを訪れたことだろう。最初の移転は2004年、現在のようにネットは普及していなかったのに加え、客の年齢層が高かったことを考えると、西麻布でSoul Bar George’sが続いていることを知らない人も少なくないはず。そんなお客や、少し足が遠のいていたお客が、この記事を見てまた足を運ぶきっかけになればと思う。
取材=山本将志 写真=JAMANDFIX(REALROCKDESIGN)
住所 東京都港区西麻布1-10-7 ウェストフローラAZABU 2階
営業時間 20:00-03:00(月曜日~土曜日)
定休日 日曜日、祝日
電話番号 03-3401-8335
オフィシャルサイト: http://www.georgesbar.co.jp/