Kan Sano、jizue、向井太一ら全5組が出演 初開催の『MAGICAL ECHO 2017』をレポート

2017.4.1
レポート
音楽

『MAGICAL ECHO 2017』 撮影=森好弘

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MAGICAL ECHO 2017
2017.3.11(Sat)心斎橋SUN HALL

jazzやカントリー、クラブミュージックといったジャンルにおいて抜群の演奏力とトラックメイクセンスを持った様々なアーティストを集め、さらにはこのイベントのゲストプレイヤーとして門田“JAW”晃介が登場するという、豪華ラインナップで開催された『MAGICAL ECHO 2017』。今回は『MAGICAL ECHO 2017』に出演した全5組のアーティストをレポートする。

『MAGICAL ECHO 2017』


■Yasei Collective

場内が暗転し幕が開くと、『MAGICAL ECHO 2017』のトップバッターであるYasei Collectiveのメンバーがゆっくりと登場。メンバーそれぞれが、ステージ上にセッティングされた楽器の前でスタンバイすると、キーボードの温かい音色が会場を包んだ。徐々にベースやドラムなどの楽器も混ざり、会場内は神秘的なムードへと変わっていく。
1曲目に演奏されたのは、ボコーダーボイスが印象的な楽曲の「Tabaco」だ。メンバーたちは、演奏を心から楽しむ様子を見せ、セッションを楽しんでいる。そして、観客の身体も音につられてゆっくりと揺れている。次に演奏されたのは、ドラムとキーボートのコンビネーションのリズムが絶妙な「radiotooth」。中でも、4曲目に演奏された「Goto」では、途中ドラムソロがあり繊細かつ確かな演奏力を魅せつけ、フロアからは大きな歓声と拍手が送られた。

「ここで、スペシャルゲストを用意しています」というMCがありステージへ呼び込まれたのは、『MAGICAL ECHO 2017』のスペシャルゲストである、SAXプレイヤーの門田“JAW”晃介だ。特別なジャムセッションということもあり、どんな演奏を聴かせてくれるのか期待が膨らむ中、心地よいビートが流れ始め「MML」の演奏がスタート。綺麗で澄んだ伸びのあるサウンドを響かせて身体全体で音を表現する門田“JAW”晃介。なかなか体感できないであろう、このコラボレーションに観客も身体を揺らし楽しんでいる。
そして楽曲も終盤にさしかかり、メンバー同士がアイコンタクトを取り合いバシッと決まった演奏で楽曲を締めると、客席からは大きな拍手が起こった。そして最後は、Yasei Collectiveらしさが前面に出たテクニカルかつポップな新曲「HELLO」が演奏され、あっという間のライブを終えた。1バンド目から抜群の楽曲センスを持ちつつクオリティの高い演奏力を見せつけ、『MAGICAL ECHO 2017』というイベントのトップバッターを華やかに飾ってくれた。

Yasei Collective 撮影=kazuya tanaka


■向井太一

SEが流れると、マイクスタンドだけのシンプルなステージ上に逆光の照明の中、向井太一が登場した。ズッシリと低音が響くリズムが流れると、1曲目の「STAY GOLD」を力強くマイクスタンドを握り、堂々と歌いあげ観客の心を魅了する。続く2曲目「SPEECHLESS」では、ハンドマイクに持ち替えステージを大きく使ったライブパフォーマンスと確かな歌唱力で、フロアの空気をさらに盛り上げていく。しっかりと観客の心に想いが伝わるような歌声と、独特の世界観が癖になる楽曲たちを次々と披露していき、フロアの空気は、さっきまでとは違う向井太一が作り出したムーディーかつ独特の世界観のある空間に変わっていた。

そして、MCを挟み「せっかくなので、今日のイベントでは特別にKanさんと一緒にやります」と本日のイベントに出演するKan Sanoがステージに招かれる。そして、向井太一が18歳の時に作った特別な想いがあるという楽曲の「君にキスして」が、Kan Sanoと共に演奏される。サビでは、Kan Sanoのキーボードの優しい音色と、2人の綺麗なボーカルハーモニーを聴かせ会場を温かい空気に変える。演奏を終えるとKan Sanoに大きな拍手が送られ、照れくさそうにお辞儀をしステージを後にした。そして、「今日は本当にありがとうございました。ファンの方の為に向けた曲です」と伝え、最後の楽曲「SLOW DOWN」を披露した。バンドが多い中シンガーソングライターとして、1人でステージに立ち唯一無二の存在感と印象を残した、全8曲のショーであった。

向井太一 撮影=kazuya tanaka


■BimBomBam楽団

今回のイベントはライブハウスでの開催ということもあり、“爆音で激しい演奏をしようと思う”ということを宣言していたBimBomBam楽団幕開けと同時に、間髪入れずスパニッシュな雰囲気が漂う1曲目「Muchacha de Samois」が演奏される。宣言通りの音圧とその迫力に観客からも大きな歓声があがる。Ohyama“B.M.W”Wataru(Tp)のドキドキするようなフレーズ回しや、Tajimi“M.J”Tomotaka(vln)がバイオリンをかき鳴らし熱い演奏を披露すると、会場はさらにヒートアップし、フロアの体感温度も先ほどよりも確実に上がっていることが実感できた。「幕情」では、アップライトベースの心地よい豊かな低音と、突き抜けるような抜けの良いバイオリンの音色。そして、しっかりと確実に刻むグルーヴィーなリズムという上質な演奏に観客は息を飲んで聴き入っている。

MCでは2017年5月20日(土)に、初のフルアルバム『B』を発売するというアナウンスがあり、少しだけそのアルバムの中の楽曲を演奏するという、ファンには嬉しいサプライズが起きた。その披露された楽曲のクオリティの高さに次回のアルバムの内容も必ず間違いない作品になるということを確信させてくれた。
さらに、ゲストプレイヤーの門田“JAW”晃介がステージに招かれ、この共演だからこそできるPE’Zの楽曲である「フタツノ雲貝」が演奏される。イントロが流れると観客からは驚きの声と共に大きな歓声が巻き起こった。楽曲の中では、それぞれのメンバーのソロがあり白熱した演奏で会場を大いに盛り上げる。スペシャルゲストプレイヤーを迎えての演奏を2曲披露し、門田“JAW”晃介がステージを後にすると、最後の楽曲である「ユキミチヲユケバ」を披露。陽気なリズムのこの楽曲では、メンバー全員が笑顔で演奏する姿と、途中Tajimi“M.J”Tomotakaが、ホイッスルを吹きながら客席右手に設置されたDJブースまで降り立ち、派手なソロを披露しエンターテイメント性の高いパフォーマンスで会場を盛り上げた。もっと多くの人たちにgypsyJazzを広めたいという想いが十分に伝わるライブ演奏を見せてくれたBimBomBam楽団。今夜だけの特別なセッションもあり、見ごたえたっぷりのステージでしっかりと観客の脳裏にインパクトを与えていった。

BimBomBan楽団 撮影=kazuya tanaka


■jizue

メンバーそれぞれが違う音楽のルーツを持っているjizue。果たしてこの『MAGICAL ECHO 2017』では、どんなライブを見せてくれるのだろうかと期待していると、場内が暗転しピアノの音が鳴り響く。ステージに集まったメンバーが照らし出されると、ドラムがビートを刻み始め演奏が始まった。ライブ感のあるパフォーマンスとメンバーの息ぴったりでバシっと決まった演奏に観客も思い思いに音を楽しんでいる。続く「atom」では、曲が盛り上がっていくにつれメンバーが身体を大きく揺らし全身でリズムを感じながら演奏し、さらに会場を盛り上げている。日本のみならず海外でのプレーも経験したのが納得できる素晴らしい演奏力とパフォーマンスである。

少しのMCを挟み、お待ちかねのゲストプレイヤーの門田“JAW”晃介とBimBomBam楽団のOhyama“B.M.W”Wataruがステージに呼び込まれた。そして、2人を迎えて演奏される楽曲「rosso」を披露。先ほどよりも音数が増え、格段と音圧が上がった圧倒的なプレーで、会場の雰囲気を一気に変えていく。途中、メンバー同士の息のあったキメがピッタリ合った演奏をすると大きな歓声で観客も答える。そして、完成度の高い素晴らしいセッションを終えると次に演奏された「clock or holiday」では、しっとりと綺麗な歌声と落ち着いた演奏で観客の心を惹きつけた。
最後まで、全力で音楽を全身で感じて楽しむ姿を見せてくれたjizue。是非またもう一度見たいと思わせる感動的なライブパフォーマンスで『MAGICAL ECHO 2017』をしっかりと盛り上げた全5曲のステージだった。

jizue 撮影=kazuya tanaka


■Kan Sano

Kan Sano 撮影=kazuya tanaka

本日のイベント『MAGICAL ECHO 2017』のトリを飾る、高い演奏力と作曲センスを持ち、高い評価を得ているKan Sano。今回はドラマーに今村慎太郎を迎えてのライブということで、フロアは多くの人たちがライブ開始を待ち構えていた。場内が暗転し、幕が開くとステージの青い光の中から煌びやかなピアノの音色とドラムのシンバルの音が聞こえてきた。エレクトロなリズムパターンとムーディーなコード感が心地よい楽曲の「とびら」が演奏される。サビのリフレインがとても気持ちがよく、心と体と耳で感じるグルーヴに自然と身体が揺れる。立て続けに「LAMP」や、ドラムとキーボードの掛け合いが楽しい楽曲「What’s Going On」が披露される。

そして、MCでは「次の曲では手拍子をするところがあるので、是非みんなで一緒にしましょう」と、次の曲「Wartime Love」へ。サビにさしかかると、MCで言った通りに客席からは大きな手拍子が起こる。そして、次の曲「Magic!」ではコールアンドレスポンスもあり、徐々に会場の一体感を高めていく。Kan Sanoの歌声と今村慎太郎コーラスワークが非常に気持ち良いのが印象的だ。飽きることない素晴らしい演奏で次々と曲が演奏され、最後の曲の「C’est la vie」では、しっかりとした歌声で最後まで歌い上げた。Kan Sanoと今村慎太郎がステージを去り程なくすると、なんと松下マサナオ(Dr)と片木希依(Piano)、Ohyama“B.M.W.”Wataru(Tp)、そして門田“JAW”晃介(Sax)というメンバーを引き連れてKan Sanoが再び登場した。

Kan Sano 撮影=kazuya tanaka

そしてこの豪華なメンバーで「Let It Flow」が演奏される。この特別で豪華なセッションでは、フロアは最高な盛り上がりを見せた。曲が終わり、ステージのメンバー全員には観客から大きな拍手と歓声が送られステージを後にした。素晴らしいセンスのあるトラックの上に生のドラム演奏があり、エレクトロニカな雰囲気は残しつつも人間味のある演奏が非常に印象的だったKan Sanoらしいライブパフォーマンスで、今回の『MAGICAL ECHO 2017』を感動的に締めくくってくれた。

素晴らしい個性とセンスを持ったアーティストが作り出す音楽と演奏する素晴らしさに感動させられた今回のイベント『MAGICAL ECHO 2017』。普段こういった雰囲気のイベントに出向かない人たちにとっても、純粋に音楽を楽しむことが出来るイベントなので、そういった人たちにも是非とも観ていただきたい。2回目の『MAGICAL ECHO』も開催される予定とのことなので、今回行くことができなかった人も次回の『MAGICAL ECHO』はお見逃しなく!


レポート・文=けんじろ~ 撮影=kazuya tanaka/森好弘

リリース情報
BimBomBan楽団
フルアルバム『B』
2017年5月20日(土)リリース
BimBomBam楽団初の13曲入り
3,200円(税込)

 

ライブ情報
BimBomBan楽団
2017年3月20日(月)~5月19日(金)の期間中
CAMPFIREにて6月に行われる全国8箇所を回るツアー
『BimBomBam楽団Tour2017 BeFree〜日本列島縦断!全会場入場無料ツアー〜を開催したい!!』を行うに伴いクラウドファンディングのプロジェクト開始しています。
リターンには2017年5月20日(土)に発売されるBimBomBam楽団のニューアルバム『B』やプロジェクト限定の企画が盛りだくさんとなっている。
プロジェクトページ
https://camp-fire.jp/projects/view/22956
詳細はBimBomBam楽団のホームページまで。
http://bbbgakudan.tokyo/befreetour/
お問い合わせはこちらまで
befree@ishoku10-on.com
jizue presents Library vol.2
日時:2017年6月23日(金)
会場:KYOTO MUSE(京都府)
出演者:jizue/MOROHA
開演:18:00
オールスタンディング 3,300円

Yasei Collective
日時:2017年7月2日(日)
会場:アメリカ村CLAPPER(大阪府)
OPEN 18:00/START 19:00
ADV 3,000円/DOOR 3,500円
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