役所広司のマル暴刑事と松坂桃李の新米刑事がバディに　映画『孤狼の血』製作発表会で熱い思いを語る

4月3日、映画『孤狼の血』の製作発表会がグランドハイアット東京にて行われ、キャストの役所広司、松坂桃李、真木よう子、石橋蓮司、江口洋介、メガホンをとった白石和彌監督、そして原作者の柚月裕子氏が登壇した。

『孤狼の血』は、第69回日本推理作家協会賞を受賞し、第154回直木賞候補作ともなった柚月氏の同名小説の映画化作品。『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』の大ファンである柚月氏が昭和の広島を舞台にし、捜査のためなら違法行為も厭わない孤高のマル暴刑事・大上章吾と、その相棒の新米刑事・日岡秀一がある失踪事件を機に、暴力団同士の抗争に挑む姿を描く。映画『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石監督がメガホンをとり、2018年春に公開を予定している。

白石監督と原作者・柚月氏は発表会の対談で『日本で一番悪い奴ら』での出会いから、両者が抱く本作への熱い思いと大きな期待について語った。原作執筆のきっかけについて尋ねられた柚月氏は、「何度もくりかえし観た不朽の名作『仁義なき戦い』があったからこそ生まれた作品です。あんな熱い物語を、いつか自分も小説で書きたいと、ずっと思っていました」と誕生秘話を語る。一方の白石監督は、原作について「男たちの情念がぶつかる熱い物語。これは、現代の日本ではなかなか見ることのできない衝撃です」と絶賛。自身がメガホンをとることについては、「かつて東映が率い、栄えた“男の物語”を今映画として蘇らせることを嬉しく思うと同時に、身が引き締まる思い」と決意を新たにしている。

 

 

また、この日の会見では、同作の主要キャストも解禁。役所が主演として大上を、松坂が新米刑事・日岡を演じることが発表されている。二人は、『日本のいちばん長い日』など何度か共演経験があるものの、本格的にバディ（相棒）として組むのはじめて。

 

登壇した役所は、司会に作品についての意気込みを尋ねられると、「このテイストの映画を撮らせるなら、今の日本では白石監督だけ。舞台となる広島の世界観も、しっかり伝えていきたい」とコメント。松坂は『彼女がその名を知らない鳥たち』に続いて白石監督の作品を演じるのは2度目。白石監督との出会いを「衝撃だった」と振り返り、本作については「胸が熱くなるこの作品、監督がどんな世界をイメージしているか、そして役所さんに必死に食らいついていきます」と語る。

 

 

本作でキーとなるクラブのママ・高木里佳子を演じる真木は、「これはまさに男性の映画。自分が男だったら、ヤクザ役で出たいくらい。けれど、それに負けないくらい魅力的で強い女性キャラクターが登場します。自分も、格好良い女性キャラクターを演じ切りたい」と気合十分。また、役所演じる大上と対立する暴力団・五十子会組長の五十子正平を演じる石橋は「初めて台本を読んだ時、自分の役名を読めませんでした。警察の方の心を忖度（そんたく：推し量ること）して、争いのない社会、市民の安全を守りたいと思います」と笑いを誘っていた。また、五十子会と対立する尾谷組の若頭・一ノ瀬守孝を演じる江口は「組長が監獄にいる中、50名近くの組員をまとめ奔走する若頭役です。そんな立ち位置も含め、今から楽しみ。刺激的な作品にするべく、役作りのために、街を歩く“その世界の人”を観察している」と作品への期待をあかした。

俳優陣のコメントを受けた柚月氏は、「脚本を読んで、今、みなさんとお会いして、どんな映画になるのだろうと、言葉になりません。原作は自分だけれど、本当に楽しみです！」と胸を躍らせていた。本作の撮影が行われるのは、原作と同じ広島県・呉市。作中での広島弁について、役所は「ただ真似するだけでは関西弁ともとれてしまう。それでは広島県の方にも、作品にも申し訳ない。板についた広島弁になるよう勉強している」とこだわりを語っていた。

 

映画『孤狼の血』は2017年4月中旬に広島でクランクイン、2018年春に全国ロードショー。