【動画あり】『RENT』2017日本版、製作発表レポート~この夏見逃せない不朽のロック・ミュージカル
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日本版ブロードウェイ・ミュージカル『RENT』の出演者たち
1996年の初演以来世界15か国で各国版が上演され、2006年には映画化もされたミュージカル『RENT』。東宝シアタークリエでの日本版は2008年〜2015年にかけて過去4回上演されてきたが、この夏、およそ2年ぶりに新キャスト5人を迎えて上演されることになった。4月5日に東京都内で行われた製作発表記者会見の様子を紹介する。
製作発表記者会見で歌唱披露する出演者たち
製作発表記者会見で歌唱披露する出演者たち
「No day but today」という歌詞に象徴されるように、『RENT』は20世紀末のニューヨークを舞台に貧困やエイズ、ドラッグといった問題に直面しながらも懸命に生きてゆく若者たちの姿を描き、多くの共感と感動を呼んだ。オリジナル作詞・作曲・脚本を担当したジョナサン・ラーソンが1996年のプレビュー公演の前日に35歳という若さで亡くなり、彼の遺志を継いで今でも世界で愛され続けている作品だ。
製作発表記者会見で歌唱披露する堂珍嘉邦(左)と村井良大
製作発表記者会見で歌唱披露する平間壮一(左)とジェニファー
5日の記者会見では、報道陣のほか一般の観客約100人も参加した。まず披露されたのは、多くの人が一度は聞いたことがあるであろう、2幕の冒頭で歌われる「Seasons of Love」。通常15人のキャストが一列になって歌うが、Wキャストも含めて18人で歌うスペシャルバージョンだった。ゴスペル調の美しいサウンドと、MARU・奈良木浚赫による力強いソロパートの対比がすでにもう完成されていて、胸に刺さる。
製作発表記者会見で歌唱披露するユナク
製作発表記者会見で歌唱披露する堂珍嘉邦
製作発表記者会見で歌唱披露する青野紗穂
続いては「Another Day」。今回初めてミミ役を演じる青野紗穂、前回から引き続きロジャー役を演じる堂珍嘉邦とユナク(超新星)の3人が歌った。Wキャストの堂珍とユナクが同じ舞台で歌っているなんて! 贅沢! もっと聴きたい! と思っているうちに、最後は「I'll Cover You Reprise」。今回初めてコリンズ役を演じる光永泰一朗が切なくも優しい歌声で魅せていた。
製作発表記者会見で歌唱披露する光永泰一朗
歌唱披露の後は、各キャストが一言ずつ挨拶。主要キャストのコメントを写真とともに紹介する。
マーク役の村井良大
マーク役を演じる村井良大は「前回2年前にマーク役をやらせて頂きまして、今回まさかの2回目ということで、このRENTの世界に戻れることを本当に嬉しく思います。これから素敵なキャストの皆様とスタッフの皆様と素晴らしい濃厚な時間を過ごせると思うと、ワクワクが止まりません。本番にエネルギーを凝縮して舞台に立ちたいと思います」と話す。
そして、続投の意気込みを問われると、「いろんなキャストの言葉を聞いて、あぁ自分しっかりしなきゃなと思ったんですけど、本当にひとりひとりの情熱、個性が素晴らしいです。前回は座長としてやらせてもらっていましたが、(出演者たちを)まとめなきゃという気持ちはなかったんです。このみんなの個性・色をすべて受け入れて毎日を楽しんでいたんで、この作品に関しては楽しむことが大事なんだって思っています」
「公演数も長いですし、稽古も大変なんですけど、辛いなって思ったことは一度もないです。『RENT』という作品が持つパワーが僕らの背中を押してくれていました。マーク役を続投すること、僕でいいのかなって。本当に幸運なことですし、自分の人生を変えてくれた作品にまた向き合えるなんて! 濃厚な日々を過ごし、1日1日をしっかり生きるのが楽しみです」
ロジャー役の堂珍嘉邦
ロジャー役を演じる堂珍は「僕も2回目のロジャーということで光栄なことですが、責任も感じています。このカンパニーを一つにするために、裏ではふざけていようかなと思ってはいるんですけど(笑)、とにかく素晴らしいカンパニーと皆さんたちと一つになることがお客様に対しても恩返しだと思いますので、しっかりやっていきたいと思います」と語った。
ロジャー役のユナク
同じくロジャー役を演じるユナクは「2年前に『RENT』をやった時に緊張していて何が何だかわからなかったんですけれども、今回は新メンバーもいるし、もう1回みんなで作りたいです。また、今回は地方公演もあることが、すごく嬉しいです。2年前とは違う、もっと良いロジャーを演じることを約束します」と堂々の挨拶をした。
ミミ役の青野紗穂
ミミ役に挑戦する青野は「今日からミミになります!(笑) この中では一番年下で経験値もゼロに等しくて、ひよっこなんですけど、先輩方の背中を見て一生懸命食らいついて、頑張りたいなと思います。私なりのミミや『RENT』が表現できたらいいなと思っています。ぜひ見に来てください」
『RENT』という作品については、「もともと『RENT』はすごく昔から大好きで、ブロードウェイのも日本版のも好きでして、今キャストの皆さんと一緒に座っていること自体がすごく私としてはびっくりしていて。ずっと雲の上の作品で、キャストたちが演じていたから......すごく不思議な感じです」と感想を述べた。
ミミ役のジェニファー
2008年に本版初演からミミ役のジェニファーは「『RENT』は私が小学生の頃からずっと愛してきた大切な作品です。このストーリーは世界中の人に愛の本当の意味を教えてくれます。長い時間が経っても、何回でも観ても歌っても、曲聞くとやっぱり鳥肌立ちますね。この作品を初めて観に来る人も何回も来る人も、そして新しいキャストも前回のキャストも、愛がすべて勝つということをみんなが感じることができるのはRENTしかないと思っています。5回目となるミミ役ですが、今回もより深くミミの心を掴んでいきたいと思います。本当に楽しみにしています」と貫禄の挨拶をした。
コリンズ役の光永泰一朗
コリンズ役に初挑戦の光永は「青野さんが最年少と仰ったんですけど、僕は最年長です(笑)。ミュージカル初挑戦になるので、いくら年取っていようが新人の気持ちで頑張ろうと思っています。ジェニファーさんが愛の話をしていましたが、前回からのキャストの方が多いので、新キャストは入りづらいかなと思っていたんですが、全然そんなことなくて、いろんなことを教えていただきました。精一杯コリンズ役を演じていきたいと思います」と謙虚な姿勢を見せる。
大学生の時にオリジナルキャスト版の『RENT』をニューヨークで観たという光永は「そこから大ファンになってしまいました。かなりマニアックなところまで知りすぎてしまっているが故にうざい、みたいな(笑)。本当に僕の人生を変えてくれたし、いつか作品に関わりたいなと思ってきて、やっと40歳になってこの場に立てるっていう喜びをですね、まぁ浮かれているレントヘッズ(※RENTの熱狂的なファンのこと)にはなりませんが、その愛を持ちながら自分の役、そして偉大なる作品を語り部の一人として伝えるようにしていきたいと思っています」。
エンジェル役の平間壮一
前回から引き続きエンジェル役を務める平間壮一は「1回目出させてもらった時は初ミュージカルでやらせて頂きました。ミュージカル界にはこんな素晴らしい人たちがいっぱいいるんだと思って足がずっと震えていました。そこから後に、いろんなミュージカルに出させて頂いて、勉強になることもいっぱいあったんですが、今日こうやって再会して、あぁ『RENT』っていう場所は他とは違うんだなって思います。人柄なのか思いなのか、歌に対して表現することに対しての自分の強さをひとりひとりが持っています。あ、だから『RENT』っていう作品は日本でも愛されて、心に届いているのだなと。ここに居られてよかったなって思います」。
エンジェル役の丘山晴己
エンジェル役の丘山晴己は「最高です。I love you,guys,alreay!!本当に大好きです。大好きな作品、大好きな役を演じられること、そしてこの素晴らしいキャストとともに一夏を盛り上げていけることを本当に楽しく、僕は本当にhappy、そして感謝したいと思います。今年、僕、渡米をして17年目になりました。ニューヨークで感じたことだったり見たことのエッセンスをいっぱいエンジェルに取り入れて、一生懸命演じていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」
モーリーン役の上木彩矢
モーリーン役を演じる上木彩矢は「2012年、2015年、そして今回参加させていただくことになったんですけど、私の人生初舞台が2012年の『RENT』という作品で、それまでミュージカルというものを知らずにいたんです。この作品と出会って、考え方とか価値観とか生きるモチベーションとか何もかもがすべて生まれ変わりました。そんな影響力のある作品だと思っています。3回目になるんですけど、RENTという作品、モーリーンという役に改めてゼロから向き合って、2017年RENTに挑みたいと思っています。新しいメンバーも加わり、さらにRENTは勢いを増していくと思うので楽しみにしていてください」
モーリーン役の紗羅マリー
同じくモーリーン役の紗羅マリーは「とても緊張していて、どっか飛んでいきそうなんですけど(笑)、私は初めてミュージカルに挑みます。まだまだ分からないことばっかりで、稽古もまだ始まっていないので、夢の中にいるような感じなんですけど、精一杯猛勉強して楽しみにながら自由に演じていきたいと思います。私、若い頃から仕事をしていて、あまり青春時代を経験していないので、ここで青春を取り戻して、夏ですし、みんなでスイカ食べたり(笑)、クラスメイトのように楽しくやっていけたらなと思います」と場を和ませる挨拶。
そして『RENT』については「(出演が)決まる前に初めて観させて頂きました。それまで(『RENT』を)知らなくて、そんな自分を恥ずかしいと思うような作品でした。ちゃんと知っていなきゃいけないんだっていうのと、『RENT』を見てから……まだ見ただけですけど、考え方が変わりました。もっともっと人と仲良くなろうとか、もっともっと素直でいようと思いました」
ジョアンヌ役の宮本美季
ジョアンヌ役の宮本美季は「みなさんのお話を聞いていると、この作品がミュージカル初めてという方もすごく多い。私も前回がそうで、この作品が初っていうのはとても幸せなことでした。その2年後に「Seasons of Love」を聞いて、あぁ本当にいい作品だなぁって改めて思いました。前回の自分を超えていく演技だったり役作りだったり、新たな挑戦となります。もっともっとさらなる上を目指していきたいと思います」と気合十分。
ベニー役のNALAW
新キャストでベニー役を演じるNALAWは「僕は日本での舞台初挑戦となるんですけれども、すごく嬉しいですし、いろんなことを学んでいきたいなと思っています。ユナクさんがいらっしゃるので、本当に心強いです。唯一の悪役として嫌われる役なので(笑)、頑張りたいと思います。外国人としても頑張ります(笑)」と話し、「『RENT』という名前は聞いたことあった程度なんですけど、今回のお話をいただいてから映画もミュージカルも見る機会があって、いろんなことを感じました。こんなに素晴らしい作品に自分が参加できることは光栄です」と結んだ。
日本版ブロードウェイ・ミュージカル『RENT』の製作発表会見に臨む出演者たち
会見中、カンパニーの和気藹々とした様子が印象的だった。ブロードウェイ版とはまた違う、進化した日本版『RENT』に期待がかかる。2017夏も熱い夏になりそうだ。
初参加組も含めて、『RENT』の醍醐味をたっぷりと味わいたい。
■日程:2017年7月2日(日)~8月6日(日)
■会場:シアタークリエ
■脚本・歌詞・音楽:ジョナサン・ラーソン
■演出:マイケル・グライフ
■日本版リステージ:アンディ・セニョールJr.
■出演:
マーク:村井良大
ロジャー:堂珍嘉邦/ユナク(超新星)
ミミ:青野紗穂/ジェニファー
コリンズ:光永泰一朗
エンジェル:平間壮一/丘山晴己
モーリーン:上木彩矢/紗羅マリー
ジョアンヌ:宮本美季
ベニー:NALAW(CODE-V)
新井俊一、千葉直生、小林由佳、MARU、奈良木浚赫、岡本悠紀
■公式サイト:http://www.tohostage.com/rent2017/
■一般発売:2017年4月15日(土)