大塚 愛 少女から情念を抱えた大人の女まで、新作『LOVE HONEY』に描いた愛すべき女たち

2017.4.12
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大塚 愛

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大塚 愛が2年ぶりとなるオリジナルアルバム『LOVE HONEY』をリリース。前作『LOVE TRiCKY』で自身の殻を破った彼女は、今作でより自由に力強く羽ばたき、さらなる進化を遂げている。挑戦や遊び心が随所にあふれ、女性にとっては大いに共感できる、男性にとっては時に背筋が凍る(!?)楽曲も。少女から情念を抱えた大人の女まで、表情豊かに歌い分ける歌唱も素晴らしい。“女性を楽しむ”をテーマに、大塚愛の今やりたい音楽が活き活きと鳴っている会心作だ。本作について、大塚にたっぷりと語ってもらった。

自分の好きなもの、こうしたいっていうところも見えています。
生きていくって大変だなと思いながら(笑)。

――まずは今作の感想から聞かせてもらえますか?

前作『LOVE TRiCKY』では人と一緒にトラックから作って、そういう作り方をしたことで、自分の中の新しい引き出しを開かせてもらったんですけど。今作はその『〜TRiCKY』で見えた自分の新しい姿とか可能性を、自分で実感できるぐらい掴みにいった、そんな作品だなと思っています。いろいろ遊んだ部分もあって、自分の好きなものがハッキリ出たっていうところでは満足感もありますね。

――アルバムタイトルになっている“HONEY”は、どういうところから?

最初、“HONEY”という言葉がポンと浮かんで。アルバムタイトルの流れがこのところ『LOVE FANTASTIC』『LOVE TRiCKY』と来てたので、そのまま“TRiCKY”に乗っかったというか、リレーみたいな。何か自分的にすごくしっくりくるものがあったんですよ。で、そういう流れ的なものも考えつつ、あとは“HONEY”という言葉を掘り下げていったという感じです。

――1曲目に「HONEY」というタイトルチューンが入っていますけど、それが先にあったわけではなく?

なく。このアルバム『LOVE HONEY』には“女性を楽しむ”というテーマがあって。女性の中には少女から母親から、時に格好いい男の部分もあって、本当に面白い生き物だなぁと思うんです。だから、もっと女性を楽しもうよっていう。で、楽曲はそのテーマを軸に、それに合った曲を集めていった、みたいな。その中で「HONEY」という曲は、『LOVE HONEY』というアルバムを作るうえで“HONEY”的な曲を作ろうと思って“生々しいエロス”をテーマに書いたんです。欧米の、いわゆるナイスバディなエロスの方じゃなくて、体の艶やかさとか、そういう生々しいエロス。イメージで言うなら、バリ島みたいな。私の好きな場所なんですけど。

――確かに湿気があって柔らかくて、意味深でもあり、エロティックな曲ですよね。ちなみに……ちょっと楽曲から離れてしまうんですけど、“HONEY”には男性が愛しい女性を呼ぶときの呼称、というのもあります。大塚さんは誰かに“ハニー”と呼ばれたことはありますか?

はははは! なかなかそんな外国的な人に出会ったことはないですねぇ(笑)。でもヘンな話、私が女性に対してハニーだなって思うことは結構あるんですよ。周りには素敵な女性がたくさんいるので。なんだったら私の娘も愛しいハニーなんですよね。身内を褒めるのはあんまり好きじゃないんですけど、娘はすごく女性らしいし、負けん気も強いし、フォローもうまい。しかも嬉しいとか悲しいとか感情をすごく素直に表現するから、そういうのを見てるとやっぱり可愛いハニーだなって。娘はモテると思います(笑)。

――(笑)。ところで今作は、さっき大塚さんも言っていたように、いろいろ遊んでいたり、新しい挑戦も入っていて。例えば「QueeN」だったらサイケデリックだったり。

「QueeN」はディスコのような光が一定しない空間で、一緒に踊ってる人さえ次から次へと変わっていくみたいな、不安定な夢の世界を遊んでるっていう曲にしたかったんですよね。元々「不思議の国のアリス」を題材にしているので。

――あ、それで“クィーン”なんですね? 「不思議の国のアリス」はお好きなんですか?

大好きです。小さい頃からディズニー映画のビデオを何回も観ていて。他のディズニー映画って、わかりやすく冒険があって女の子も可愛くて、みたいな感じなんですけど、「不思議の国のアリス」はファンタジーなのにホラーがいちいち付きまとってる感じがすごく好きなんですよ。みんないい人なんだけど、いい人じゃないというか。人間の残酷さがいろんな箇所に散りばめられていて、それが面白いなぁって。

――この「QueeN」も、何がってわけじゃないのに何となく“黒い”感じが漂っていて、それが曲の深みにもなっていますよね。かと思えば、「TOKYO散歩」はカラリと明るいオリエンタルなテクノ風で、オシャレ可愛い。

この曲は前々から思っていた、人が歌いたくなるような曲、カラオケでみんなで盛り上がれるような曲になったらいいなと思って作ったんです。で、歌詞は自分が好きで歩いてた街を題材にしたんですけど。とはいえ、私も東京に住んでまだそんなに経ってなくて、東京のいろんな場所を知ってから書いてるわけじゃないので、“なんでこの街が入ってないんだ!”みたいな、すごいブーイングがくるんじゃないかと(笑)。でも、よそ者だからこそ東京の良さを書ける部分もあるのかなと思って書きました。

――歌詞には“ヴィンテージショップのぞいて/シノ店長会って”という箇所がありますけど、シノ店長というのは実在する方なんですか?

ほんとにいるんですよ、シノさんっていう店長が。で、そのシノ店長に「すみません、曲の中に名前乗っけてもいいですか?」って聞いたら、「ほんと!? やった~! 嬉しい~!」って言ってくれて(笑)。

――女性の店長さん?

そうなんです。初めてお店に入ったときは、なんて恐ろしい人なんだろうと(笑)。恐ろしいっていうのは、見た目が魔女みたいな、絵本に出てきそうな神秘的な感じなんです。それで最初、話しかけられたらどうしよう……とか思ってたんですけど(笑)、服の話とかいろいろするうちにだんだん仲良くなって、すごく面白い人だなぁっていうのがあったので。店長のことはどうしても(歌詞に)入れたいなって。

――シノ店長にこの「TOKYO散歩」は聴かせたんですか?

いや、まだです。そうだ! 早く持って行かなくちゃ!(笑)

――遊びや挑戦が入っている曲はまだまだあって。「make up」もその一つですね?

そう、これは自分的にもすごい挑戦でした。映像で言うなら、黒い革にスタッズって感じの曲で。“激しく歌うだけが攻撃的じゃない”っていうのをやってみたかったんです。なんか、優しそうな笑顔なのに、その笑顔が怖い人っていません? “あの笑顔、怖いな~”っていう。そういう曲をやってみたいなと。なので、優しく歌って、優しぶってる女の怖さみたいなのを突いてみました。

――歌詞は化粧がモチーフになっています。

うん。女性は毎日外に出るとき嘘をついている、ということから、女性は嘘が上手いっていう。ほんと、メイクが変わるだけで顔も人相もジャンルも変わりますからね。だから逆に、今“自分はどうしてこんなにイケてないんだろう”って悩んでる人がいたとしても、全然大丈夫。いくらでも変われるから。

――大塚さん自身は最近メイクで心がけていることは何かあるんですか?

ここ最近ヘアメイクさんと練っているのが、歳を重ねてきたら引き算していかないと大変なことになるっていう(笑)。なので、メイクメイクしてないのにちゃんと嘘がつけるメイク、引き算してると思わせて実は引き算してない、それがどこまでバレないか、みたいなのをずっと研究してます(笑)。それでたどり着いたのが、まずファンデーションをやめること。やっぱりファンデーション自体がどうしてもメイクメイクしてる風になっちゃうから。しかも、ファンデーションって時間が経つと浮いてきたりするじゃないですか? だったらファンデーションをやめて、基礎のところに力を入れよう、と。

――基礎のお手入れは何を?

これは私の肌がそうなんですけど、手を掛けすぎるとダメなんですよね。なので、洗いすぎない、触りすぎない、手を掛けすぎない。そのときそのときで肌の状態を肌に聞く。あとは、目だったら、自分の目の特徴を捉えて、たれ目にしたいのか、つり目にしたいのか、自分がいきたいところだけを足す。もしくは、そこを諦めて自分の目の良さを膨張させてあげる。

大塚 愛

女のワガママには必ず愛情があるんですよ。好きだからワガママを言うっていうのが前提。その点、男のワガママは単に自己中なんですよね(笑)。

――なるほど。メモメモって感じです(笑)。そして。個性派揃いの今作の中でも特にインパクト大なのが「FrogFlag」で。

ちょいちょいフックが入ってますよね、この曲。

――ちょいちょいどころかフックだらけです(笑)。ムーディーなイントロから、歌が始まるとライザ・ミネリの「キャバレー」を彷彿させるような迫力ある歌唱で、歌詞は恐ろしいし(笑)、コーラスも不気味で面白い。もう、てんこ盛り!(笑)

はははは! ちょっとミュージカル的な映像が浮かぶというかね。

――この曲はどんなふうに生まれたんですか?

私、ドラマが大好きなんですけど、昔『不信のとき~ウーマン・ウォー~』っていうドラマがあって。男性には妻も愛人もいて、途中までは男性が“俺はモテてる”みたいな感じだったのが、最終的には2人の女性に突き放されて、“私が欲しかったのは子どもなの”みたいなドラマで。それを見たときにすごい衝撃を受けたんですよ。最後の“おまえじゃねーよ! うぬぼれてるんじゃねーよ!”っていう女性の返しがカッコ良くて。“あ、それだ!”みたいな。で、女性は男性が思ってるほど弱々しい生き物じゃないし、“うぬぼれないで”っていう曲を書こうと思って。そこと「キャバレー」が繋がって、こうなりました(笑)。

――ここでの歌い方がまた凄味があって、惹き込まれました。

元々、私はこういう歌い方をしてたんですよ、中学高校のときとか。ボイトレで発声を習っていたので“正しく歌う”みたいな。でも当時、友達に「それじゃ売れない」とか言われて、歌い方を変えたんです。(デビュー)初期の頃とか若い感じの曲を出していたので、敢えて単調に歌ってみたりとか。でも5枚目のアルバムぐらいから、こういう歌い方がちょっとずつ出るようになって。

――今この歌い方をすると、年齢を重ねたぶん、説得力も増してる気がします。

そうですね。昔はこういう歌い方をすると大人ぶってるように見られがちで、「見た目のわりに大人っぽい歌い方をするね?」って言われてたんですけど、今はやっと等身大になってきて。むしろここから年齢を重ねれば重ねるほど、このジャンルに磨きがかかってくるなっていう気はしてます。

――いつかこのジャンルの曲だけを集めたライブをやっても面白いかもしれないですね? キラキラしたドレスを着て、オンステージ! みたいな。

熟女コーラスみたいな? なんか未来が明るいなぁ(笑)。

――あと、この曲はコーラスも大きなフックになっていて。<ゲロゲロ、グワッグワッ>というのは、男が“帰る”ってところから蛙のコーラスに?

うん。それと、文字にするとちょっと下世話になっちゃうんですけど、彼が落としたおたまじゃくしクン達が孵化して蛙になって大合唱してるっていう。

――うわ、それも超コワイ(笑)。この曲って、女性はニヤリと共感して、男性は引き込まれつつちょっと背筋が凍るかも(笑)。さらに。「HEY!BEAR」では少女の可愛いワガママが炸裂してます(笑)。

これは「森のくまさん」を題材にしているんですけど、「森のくまさん」ってお嬢さんが森の中でくまさんに出会ってビックリして逃げていくじゃないですか? それって純粋そうだなって思うんですけど、これはその後、お嬢さんが純粋に育たなかったバージョンをやってみた(笑)。

――はははは!

女の子って幼稚園時代はまっすぐで可愛いんですけど、年長から小学校にかけてすごい意地悪になるんですよね。その時期、だいたいみんなひどい女になって(笑)、それに飽きて中学ぐらいになるとまた普通に戻る。なので、幼少期はあんなに可愛かった森のくまさんの女の子が意地悪で最悪に育ったっていう(笑)。

――その時期にスポットを当てた歌(笑)。

そうそう。今そこ!? みたいな(笑)。

――でもこの主人公は小さい女の子だけど、普通の大人の女性の中にもこういうワガママな部分はありますよね?

うん。女のワガママには必ず愛情があるんですよ。好きだからワガママを言うっていうのが前提なんです。その点、男のワガママは単に自己中なんですよね(笑)。だから女性は、ワガママを言えば言うほどその人のことが好きなんだっていうのが、「HEY!BEAR」の言いたかったところなんです。

――なるほど。深い。それにしても今回、全12曲を聴いて感じたのは、大塚さんがすごく音楽を楽しんでいるなと。前回、シングル「私」のインタビューのときに大塚さんは、音楽を続けていくことの葛藤を話してくれましたけど、今作を聴いたら、そんな迷いはもうないんじゃないかと思ったんです。そのへんはいかがですか?

自分の好きなものは明確に見えていて、自分はこうしたいっていうところも見えています。ただ、好きなものでゴハンを食べていけるかって言ったら、そこはまた別の話で。生きていくって大変だなと思いながら(笑)。

――でも、このアルバムの方向性で突き進んでいけば間違いないんじゃないかと、私は勝手に思ったんですが(笑)。

あはははは! どうでしょう?(笑) 何か運の巡り合わせで、“これ、いいじゃない!”みたいになったらラッキーだなと思いますけど。今はひたすらそれ待ちみたいになってます(笑)。

――あともう1つ全体から感じたのは、大塚愛というアーティストは本当に音楽が好きなんだな、愛してるんだなって。

今作は私が主人公じゃなくて、自分の中で思いついた物語をそのまま曲にしたものが多いので、どこか客観的というか、私も曲に教えられたり、曲に力をもらった部分が結構あるんです。なので、私が音楽を愛しているという以上に、音楽に愛されてるなって。自分の感覚としてはそっちの方がありますね。

――そういう感覚は初めてですか?

なんだろう……年々、音楽に対する気持ちがピュアになっていってる感じはします。

――こうすると売れるとか、そういうのがどんどん削ぎ落とされている?

そうですね。邪気がなくなってきているので、年々、本当に人の心に響くものっていうのだけを考えて、向き合ってる感じがします。

――うん、本当に心に響きました。すごくいいアルバムだと思います。

ありがとうございます!

――そんな『LOVE HONEY』を携えて、6月~7月には東名阪ツアーもありますね。

ツアーは夢の世界の中の現実を体験するライブにしたいなと思ってます。

――夢の世界の中の現実……?

今、ワケ分かんないこと言いましたけど(笑)。私、夢を見るときって、フィクションじゃなくて現実の世界にある夢を見ることが多いんですよ。なんかそういう……ライブに来てるときも、途中で“あれ? これ現実だっけ? 夢だっけ? 現実? あれ?”みたいな感じになったらいいなって。

――「FrogFlag」はどんな感じで歌われるんだろう!? とか、そういうのを考えただけでもワクワクします。

ねぇ? そこ難しいですよね?(笑) あの曲はお客さんが歌ってくれないと成り立たないので、強制的に歌うことも込みでを買ってもらっていいですか?(笑)

――(笑)。「スターターピストル」とかも絶対盛り上がりそうだし。

そうなんですよね、今作はライブを意識して作ってる曲も結構あって。なので、お客さんのテンションが低いと困っちゃうので、お客さんもステージの上の人なんだっていう意識で来てもらえないだろうか?

――“来てもらえないだろうか?”(笑)。

そう。どうか、それで来てもらえないだろうか?(笑)


取材・文=赤木まみ

 

 

 
リリース情報
アルバム『LOVE HONEY』

大塚 愛『LOVE HONEY』

2017年4月12日発売
【CD+グッズ(ファブリック・スプレー)】 AVCD-93665 ¥4,300(tax out)
【CD+DVD】AVCD-93666/B ¥3,900 (tax out)
【CD+Blu-ray】AVCD-93667/B ¥4,200 (tax out)
【CD only】AVCD-93668 ¥2,750 (tax out)
<収録内容>※4形態共通
1.HONEY
2.私
3.QueeN
4.TOKYO散歩
5.サクラハラハラ
6.HEART BREAK
7.モノクロ
8.make up
9.FrogFlag
10.HEY!BEAR
11.スターターピストル
12.日々、生きていれば
<DVD/Blu-ray 収録内容>
私 -Music Clip-
サクラハラハラ -Music Clip-
-特典映像-
01.とある夫婦のなれそめ
02.RounD
03.恋愛写真
04.私
from AIO PIANO vol.4 2017.2.14 ビルボードライブ東京
商品詳細はこちら:http://avex.jp/ai/discography/

 

ライブ情報
LOVE HONEY LIVE TOUR 2017
2017年6月2日(金)東京 赤坂BLITZ 18:15 / 19:00
2017年6月24日(土)名古屋 Bottom Line 16:15 / 17:00
2017年7月9日(日)大阪 BIG CAT 16:15 / 17:00
スタンディング ¥6,000- (税込)
※3歳以上有料、3歳未満入場不可。
※整理番号順の入場
※入場時に別途ドリンク代(東京/名古屋¥500-、大阪¥600-)が必要
 
  • イープラス
  • 大塚 愛
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