白石加代子×高畑充希が対峙「エレクトラ」開幕、ぶつかり合う母と娘の狂気

2017.4.15
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舞台

「エレクトラ」ゲネプロより、左から白石加代子演じるクリュタイメストラ、高畑充希演じるエレクトラ。

「エレクトラ」が、昨日4月14日に東京・世田谷パブリックシアターで開幕。これに先がけ、同日にゲネプロが行われた。

鵜山仁が演出を手がける本作は、父を暗殺した母とその情夫に対する、姉弟の復讐を描いたギリシャ悲劇。娘・エレクトラ役を高畑充希、母・クリュタイメストラ役を白石加代子が務め、父・アガメムノン役を麿赤兒、弟・オレステス役を村上虹郎が演じる。またエレクトラの姉・イピゲネイアに中嶋朋子、継父のアイギストスに横田栄司、妹・クリュソテミスには仁村紗和がキャスティングされた。

1幕で描かれるのは、アガメムノンの死をはじめとするアトレウス家の悲劇について。父を殺害されたエレクトラは母・クリュタイメストラへの憎悪を募らせ、一方のクリュタイメストラは、アガメムノンの死や弟・オレステスに対するエレクトラの異常な執着に嫌悪をあらわにする。ここでは、狂気を孕んだ母と娘のぶつかり合いを白石と高畑が熱演。今回が4度目のクリュタイメストラ役となる白石に、ギリシャ悲劇初挑戦の高畑は、息もつかせぬ長ゼリフと鋭い眼差しで果敢に挑む。また母殺しに手を染めてしまったオレステスの葛藤を、岩松了作・演出「シブヤから遠く離れて」での好演が記憶に新しい村上が、丁寧に表現。そして高畑と村上の2人が紡ぎ出す、複雑な縁で結ばれたエレクトラとオレステスの関係性にも注目したい。

2幕には、トロイア戦争を終結させるために、オリュンポスの神・アルテミスの生贄となったイピゲネイアが登場。アガメムノン役の麿は、このシーンで登場するトアス王のほか、オリュンポスの神・アポロン、オレステスの従者の老人の4役を見事に演じ分け、中嶋は過酷な運命を背負ったイピゲネイアを力強く演じ切った。また舞台上に漂う不穏な空気を巧みに表現する、生バンドの演奏も本作の見どころとなっている。

上演にあたって高畑は「不安だらけのスタートでしたが、いつもあたたかく受け止めてくださる大好きな白石さんをはじめとする先輩方。そして一緒に闘ってくれる若手チーム。それを、気づけばまとめあげちゃっている鵜山さん。心強い味方の中でこのチャレンジに挑めることを、とても幸せに思います。がんばります」と意気込み、白石は「今回は相手役が充希ちゃんで、これまで共演したどのエレクトラよりも若い分、私も母親の柔らかい部分を出せたらと考えています」とコメント。「そしてしっかりと充希ちゃんと向き合って、いいものをたくさん盗みたい! とも思っています」と共演者の高畑への思いを語った。

「エレクトラ」の東京公演は4月23日まで。その後、新潟、兵庫、神奈川、茨城へと巡演する。

高畑充希コメント

わたしにとっては初の古典! 最初に台本をいただいた時は、あまりの台詞量に目がチカチカ、頭がクラクラしました。
不安だらけのスタートでしたが、いつもあたたかく受け止めてくださる大好きな白石さんをはじめとする先輩方。そして一緒に闘ってくれる若手チーム。それを、気づけばまとめあげちゃっている鵜山さん。心強い味方の中でこのチャレンジに挑めることを、とても幸せに思います。がんばります。

白石加代子コメント

クリュタイメストラを演じるのは、これで4度目。私にとっては本当に大切な役のひとつです。今回は相手役が充希ちゃんで、これまで共演したどのエレクトラよりも若い分、私も母親の柔らかい部分を出せたらと考えています。そしてしっかりと充希ちゃんと向き合って、いいものをたくさん盗みたい! とも思っています。

りゅーとぴあプロデュース「エレクトラ」

2017年4月14日(金)~23日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター

2017年4月25日(火)・26日(水)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

2017年4月29日(土・祝)・30日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2017年5月2日(火)
神奈川県 相模女子大学グリーンホール 大ホール

2017年5月6日(土)・7日(日)
茨城県 水戸芸術館 ACM劇場

原作:アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデス「ギリシア悲劇」より
上演台本:笹部博司
演出:鵜山仁
出演:高畑充希、村上虹郎、中嶋朋子、横田栄司、仁村紗和 / 麿赤兒、白石加代子