THE SKIPPERSが宣誓! 結成15周年の軌跡と新たな挑戦を語る
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JAGGER(Vo/Gt) TAKAO(Ba)
大阪発のパンクロックにこだわり続け、これまで2000本以上のライブを行ってきたTHE SKIPPERSが、今年で15周年を迎える。そんな彼らからSPICEに突如、謎の宣誓書が届いた――。これは一体!? その真相を確かめるべく、急きょJAGGER(Vo/Gt)とTAKAO(Ba)にインタビューを敢行した。これまでの15年を振り返りながら、アニバーサリーイヤーに相応しい企画、8月6日(日)に大阪池田市の猪名川河川敷公園で開催するバンド初の野外フェス『PUNK THIS TOWN』について話を聞いた。
私たちTHE SKIPPERSは宣誓します!
2017年、活動15周年を迎えた私たちTHE SKIPPERSは記録にも記憶にも残るような
アニバーサリーイヤーにすべく、これまでのTHE SKIPPERSを跳び越えることを宣誓します。
そこでSPICE様にてTHE SKIPPERSによるTHE SKIPPERSへの挑戦を
どうか見守って頂けないでしょうか?宜しくお願いします。
THE SKIPPERS
――ということで、野外フェス『PUNK THIS TOWN』が初開催となりますね。それまでの15年を振り返っていきたいのですが……やはり長かったですか?
JAGGER:結成してから15年になるんですけど、正直あんまり実感はないですね。15年って、生まれてから中学3年生になるまでと同じような時間ですし、長かったといえば長いんですけど……。
TAKAO:僕が加入してからは12年になるんですけど、毎年100本ぐらいライブをしてきたので、本当に一瞬でしたね。ライブのない日が2週間続いたことがないんちゃうかな?
JAGGER:2週間も空いたら、 “どうやってライブをしてたっけ?”と不安になるぐらい立て続けにライブをしていましたね(笑)。
THE SKIPPERS JAGGER(Vo/Gt) 撮影=K兄
――結成から2年でJAGGERさん以外のメンバーが脱退。幾度かメンバーチェンジを経て、今のTHE SKIPPERSがあるわけですが、その度に心境の変化はありましたか?
JAGGER:なんも変わらなかったですね。“なんとかやるしかない”という想いだけ。別にバンドを続けたいからやってきたわけではなくって。なかなか時間がかかってますけど、やっぱりビッグになっていきたいからバンドをやってるんです。だからそんなことでいちいち止まるのが嫌だなと。とはいっても、1stミニアルバム『SKIP BY SKIP』を出してからメンバーが抜けた時は絶望的でした。“どうなっていくんやろうな”とか、“生きてる意味がないな”と思ったぐらいやって、それでも辞めようとは思わなかった。その時に、友達がTAKAOを紹介してくれて、“いける!”って希望が沸いてきたんです。メンバーがおったらなんとでもなるなって。
TAKAO:そっからやでな、ひたすらツアー回りだしたのも。
JAGGER:へったクソで人気もないし、とりあえずツアーで回りまくることしか考えられなかったですね。気づいたら1年に130本とかライブをしていました。で、来年も、またやろかとまたライブをバンバン組んでて。予定では次第にどんどんお客さんが増えていくはずだったんですけど……、そこまで分かりやすくは増えなかったですね(笑)。
TAKAO:ははは(笑)。
JAGGER:何とかしたいなと考えたのが、自主企画の『PUNK DRUG NIGHT』です。当時からSABOTENとPANがやってる『MASTER COLISEUM』というライブイベントがあって。それに出たいと毎年よく言ってました。そしたら、PANのベースのダイスケから「お前らでやったらええやん」と言われたんですよね。その言葉にハッとして、俺らもやらんとかっこつかんかなぁと。SABOTENもPANも売れてるから開催出来てるわけじゃなくて、売れてないところからコツコツ仲間と積みあげてきたわけやし。売れてなくてもひとつひとつ成功させていけば、カッコ良いなと思って自主企画を2010年に初めて開催しました。先ずは、アメリカ村のキングコブラがソールドアウトするところから始めようと話して。
TAKAO:それで、8月9日がパンクの日なのでこの日にやりたいと。だけど、2010年の8月9日が月曜日で、来年は火曜日。再来年は水曜やし……、これ続けていけるんかなって思いましたよね(笑)。そのスタート時が一番難しかった。平日にイベントをやるという考えは、あんまりその当時はなかったですから。
JAGGER:だからこそ、お客さんが他とかぶらないから、早い時間からでもたくさん来てくれてたよな。
TAKAO:意外と平日にライブをやっても集まるんやなと分かったイベントでもありますね。それが2013年ぐらいから、野外フェスがすごく多くなり初めて、8月は毎週どこかで野外フェスが開催されてるような状況になって。だから、むしろ平日の方が良かったんでしょうね。それで毎年続けて、大きくしていかないといけない。5年目に、やっと土日の開催がくるので、それまでにどうなっていたいかをイメージし始めて。規模を大きくしようと3年目にBIG CATで開催しました。で、翌年の2014年もBIG CATで開催して、その日のライブ後に、来年は8月9日が日曜日ということで、なんばHacthを仮で押さえることに。
JAGGER:俺が骨折していてい松葉杖でライブをやった日ですね。しょうもない理由で骨折して、無理やり退院して座りながらライブをして(笑)。毎年、1年後を押さえないとBIG CATとか、大きい会場は取れないので。ライブが終わってすぐ「やろう!」ってな。
TAKAO:それで、5年目になんばHacthで開催して無事に終わったんですけど、また来年の8月9日は平日に戻るんですよね。それやったら何か新しいことを考えないといけないなという話になって。それまでは1会場に2ステージを組んでやっていたんですけど、2016年はひとつのステージにして。そして今年は15周年やし、色々とやっていこうと決めていたので、初めて野外でイベントをやってみることに。
THE SKIPPERS JAGGER(Vo/Gt) TAKAO(Ba)撮影=K兄
――15周年というタイミングだからこそ、初のベストアルバム『GREATEST SKIP』もリリースして。
JAGGER:ベストアルバムってバンドを始める前から憧れやったんですよ。B'zのベストとか最高にカッコよくて、あんなん出せるアーティストになりたかった。個人的には10周年で出すのかなと、なんとなく思ってたんです。だけど、その時点でまだアルバムも出していなかったんですよね。それなら20周年で出せたらカッコ良いなと。正直、15周年って別にそこまで重んじていませんでした。だけど、ドラムのAKIRAが2014年に入って、バンドがすごく良い状態になってきたんです。それなら、15周年に何か出来ること全部やろうという気持ちになって。いろいろとやりたいことを話し合った結果、今の一番良い状況で、今のメンバーで再録したベストアルバムを出せたらすごくカッコ良いものが出来るんじゃないかなと。別にめっちゃ人気があるわけじゃないから、常にお客さんでパンパンというわけでもないですけど、どんな時でも絶対に盛り上げて伝えられる自信が今はあるんです。必死すぎて空回りしてることが、今までは多すぎたから余計に……(笑)。今の体制になって、状態が整うまでずっと空回ってたと思うし、ツアーを回りまくっても“なんで伝われへんねん”ってイライラしてました。
TAKAO:よくありましたね、そういうこと。
JAGGER:もしかしたらTAKAOも愛想つかせて辞めるんじゃないかと何度も思いましたよ。よく続けてるなと、不思議なぐらい。俺の世話をよくしてくれてる。
TAKAO:僕も辞める理由がないだけで(笑)。バンドを好きでやっているから、辞める理由がないんですよね。
JAGGER:15年もやってると周りは辞めるヤツか、めちゃくちゃ売れるヤツばっかり。その焦りはずっとあるし、悔しいという気持ちもずっとある。だからこそ、なんとかしたいという想いを具現化したことが、今年はたくさん仕掛けられてるのかなと思います。
――アルバムの反響はいかがですか?
JAGGER:めっちゃ良いです。10年以上前に僕らの音楽を聴いたことがある人たちやったり、その時から知ってくれてるお客さんがベストアルバムを買ってくれて、10年ぶりぐらいにライブに来てくれたりしています。ずっと観れてなかったけど、「こんなに成長しているんや」って言ってくれるんです。
TAKAO:ライブで人気の曲を詰め込んでて、これを聴けばライブが楽しめるので、この作品をきっかけに知ってライブに来てもらえたりするのも嬉しいですね。
THE SKIPPERS TAKAO(Ba) 撮影=K兄
――そして、8月6日(日)には『PUNK DRUG NIGHT』に代わる新たなイベント『PUNK THIS TOWN』を池田市猪名川河川敷公園にて初開催することに。野外で開催するという決心は、何かキッカケがあったのですか?
TAKAO:堺市出身のGOOD4NOTHINGとTHE CHINA WIFE MOTORSが共催したフェス『SAKAI MEETING』の存在はすごく大きいきっかけですね。バンド主催のイベントであれだけ大きいことが出来るというのは刺激になりました。夏フェスもそうですけど、今まではあんまりなかったバンド主催で野外のイベントをやるシーンが増えてきたのを見ていると、自分たちも挑戦してみたいなと。
JAGGER:僕らってアンダーグラウンドなイメージを持たれているところもあると思うんです。だけどそんなバンドが、でっかいフェスを主催して成功したら、すごくカッコ良いんじゃないかなと思うんですよ。『SAKAI MEETING』に並ぶ、バンド主催のフェスにしたい。ずっとやり続けられるように、どんどん大きくしていきたいですね。
――会場が池田市というのは?
JAGGER:僕が生まれ育った町なんです。僕が音楽を好きになった頃にGELUGUGUというバンドが池田市にいて。僕がバンドを始めた頃にはなくなってしまったんですけど、2000年頃に同じ猪名川河川敷で『Hot Spin Splash』というフェスがあったんです。その当時は、小さいライブハウスだったりスタジオや楽器屋の上に貸しホールがあったりと、音楽に触れられる場所がいくつかあって。でも、僕がバンドを始める頃にはなくなっちゃったんです。池田は、人が集まって、盛り上がるような町ではなくなってきてるんですよね……。人も集まらないし、若い人も少ないから、ライブハウスもなくなってきて、楽器も売れないからなくなる。CDショップも売れないから潰れるとか音楽を楽しめるところがもうほとんどない。だけど元GELUGUGUのジョニーさんが居酒屋とか、バーを経営しながら盛り上げているのもあって、池田にちょっとずつ音楽のシーンが戻りつつあるんです。で、池田をもう一度音楽のある街にしようということで、ジョニーさんにも協力してもらって開催することになりました。野音で開催しているバンドも多いし、野外フェスの定番の場所で開催しても、新しい見え方はしないと思うので。それなら僕が生まれ育って夢を見てきた場所でやるのが良いなと。毎年、ジャズフェスティバルが同じ場所で開催されていたので、そこなら無理ではないなと思っていたんです。さらにGELUGUGUにも声をかけて出演してもらうことになって。GELUGUGUにとっても、自分たちに憧れてバンドを始めた子が、もう1度同じ場所でフェスを開催するということを喜んでくれていて、乗り気になってくれていますね。
――これを機に、また池田市で音楽が盛り上がってほしいですね。
JAGGER:さっきも言ったとおり、今はライブハウスがなければ、貸しホールもない。このフェスを主催して、毎年続けていくことが出来れば、池田に住んでる若い子たちに“バンドをやりたい!”と思ってもらうキッカケにもなると思うんです。実際、駅でギターを持ってる子を見かけることも多いんですよ。やりたいと思ってる人は、居るはずなんです。そういう子たちに憧れてもらうようなキッカケになれば良いなと思います。バンドに夢を持つ若い子が増えたら、スタジオが出来たり、ライブハウスが出来ることに繋がるのかもしれないじゃないですか。
THE SKIPPERS JAGGER(Vo/Gt) TAKAO(Ba)撮影=K兄
――野外ならではの出来ることもあれば、大変なこともありますよね。
TAKAO:そうですね。だけど、ライブハウスじゃない場所をどうやってライブハウスにするのかと考えるのは、やっぱりすごく楽しいです。こんな音を出したいというのを1から作って、どんなステージにしたいかを1から作って。何もないところにライブハウスを作るのはすごく楽しい。今年は別イベントの場所をお借りする形になるんですけど、今年成功できれば来年からはもっと出来ることも増えるんじゃないかなと思っています。
JAGGER:そもそも、自分たちが野外フェスに出たくて仕方がないんですよね(笑)。それに出られるだけでも興奮するのに、しかも主役やなんて最高ですよね(笑)。今までの人生で一番大きい出来事やと思います。
――やはり感慨深いですよね。
JAGGER:そうですね……。俺が高校生の時の話なんですけど、池田の貸しホールで『JAGGER NIGHT』ってイベントを自分で企画したことがあって、そこそこ集客があったんですよ。その後、GELUGUGUの後輩のタイムボカンってバンドに、アメリカ村のオールナイトイベントに呼んでもらった時に、常にパンパンの会場が俺のバンドの時だけガラガラに……。下手クソやのに変な自信だけはあったのが、そこで現実を突きつけられたんです。で、高校卒業の時にメンバーが辞めてしまい、新しくバンドを組もうと思ってTHE SKIPPERSを組んで。それから地道にやるしかないなって、アメリカ村の新神楽というライブハウスに出始めたんです。池田には、もっと力をつけてから帰ってこようと。とはいえ、一度『IKEDA CITY ROCK FESTIVAL』というのを2004年に現実的な範囲内で開催したんですけどね。それもうまくいかず……、また、いつか力をつけてからやりたいなと思っていました。あと、もうひとつ理由があるんです。昔は、いじめられてたりクラスの中でもランクの低い人間やったから、いつか見返せるようにしたいという想いをずっと持っていて。それが、やっと今回のフェスでその頃の気持ちを払拭できるのかもしれないなというのもあるんです。なので、すごく感慨深いですね。THE SKIPPERSの曲でPVになってる曲も、だいたいは猪名川の河川敷で作ってたりしますし。感慨深いです。
TAKAO:それこそ、『Hot Spin Splash』に来てた人たちに来てほしいなと思うので、GELUGUGUはもちろんニューロティカとかの世代のバンドも呼んでいたりします。僕らなりにこれまで『PUNK DRUG NIGHT』でやってきたことを繋げられるようなバンドを集めているので、ふたつが合わさって良いものを集められたらと思っています。お祭り感覚で地元の人にも立ち寄ってもらって、音楽を聴いて、うまいもん食べて楽しんでもらいたいですね。GELUGUGUのGEN(Vo)さんとかにも当時の話を改めて聞けたら良いなぁ……。というわけで、GENさんに突撃取材とかどうですか? SPICEさん!?
取材を終え、ふと気がつけばズルズルとTHE SKIPPERSのペースに巻き込まれるSPICE編集部。これがTHE SKIPPERSというバンドの魅力なのか、取材を通してライブやイベントに対しての熱量がひしひしと伝わってくる。こうなれば旅は道連れ世は情け、SPICEでは宣誓書にあるようにTHE SKIPPERSの今後をしっかり見守っていく所存だ。果たしてGELUGUGU・GENとTHE SKIPPERSの対談が実現するのか? 乞うご期待。
取材・文=大西健斗 写真=K兄
2017年8月6日(日)開場10:30 開演11:30 池田市猪名川河川敷公園 (大阪府)特設ステージ
前売り券(自由)¥4,500
前売り券(中学生・自由)¥3,000
出演者:THE SKIPPERS / GELUGUGU / ニューロティカ / ガガガSP / BUZZ THE BEARS / My Hair is Bad /and more...