エレファントカシマシの47都道府県ツアー・前半戦、白熱の茨城公演を観た
-
ポスト -
シェア - 送る
エレファントカシマシ
エレファントカシマシ 30th ANNIVERSARY TOUR 2017 THE FIGHTING MAN
2017.4.22 茨城県立県民文化センター
47都道府県をまわるツアーの3本目となる茨城県立県民文化センター。このツアーを観るのはこれが初めてだが、今年に入って、日本武道館、東京グローブ座でのイベントライブ、大阪城ホールと観たので、エレファントカシマシのステージは今年通算4本目ということになる。観るたびに感じるのはバンドの充実ぶりだ。彼らは実力、気力、体力、すべてにおいて最高の状態で、演奏を日々更新し続けている。だが円熟の境地とはちょっと違う。確かに1曲1曲を実に丁寧に演奏していて、完成度も高いのだが、どの曲の演奏からももっと先へ進んでいこうとするクリエイティブな意欲を感じるからだ。丁寧とは決まったとおりに演奏することではない。毎回、その曲としっかり向き合い、その日の気分、感情、テンションに沿って、その日にしか出来ない演奏を展開していくということ。だからこそ、今の彼らを観ることは至福の体験になっていく。
「行くぜ~! 行くぜ~! 行くぜ~! 素敵な場所へ!」と宮本がシャウトしている。会場内が一体となって、最高に気持ちいい場所へと向かっていく。宮本浩次(Vo&G)、石森敏行(G)、高緑成治(B)、冨永義之(Dr)という4人のメンバーに加えて、サポートでヒラマミキオ(G)と村山☆潤(Key)が参加する6人編成でのステージ。これはエレファントカシマシのバンドサウンドを極めていく上での現時点での最強の布陣と言っていいだろう。ドラムの冨永が後方に位置しているが、残りの5人はほぼ横一列だ。バンドのたたずまいも絵になっている。これはバンドのかっこよさ、素晴らしさ、そして美しさを堪能できるツアーでもあるだろう。
どの曲が来るのか。そんなワクワクもライブの醍醐味のひとつなので、セットリストの詳細については、あえてここでは触れないが、極端な言い方をすると、全曲が新曲のように響く瞬間があった。『All Time Best Album THE FIGHTING MAN』収録曲が軸となっているので、様々な年代の代表曲が散りばめられた構成なのだが、おなじみの曲でも新たな表情を見せていく。50代の今の彼らが歌い、演奏するからこそ、より深く染みてくる曲もある。「えっ、この曲って、こんなだったっけ」と再発見したり、見直したりする瞬間が多々あった。それはおそらく観る側だけではないだろう。演奏する側も新たな発見があるようだ。「今聴くと、いいこと言ってるんですよ」と宮本がかなり前の曲について自画自賛する場面もあった。
突然、「月の夜」をアコギの弾き語りで歌い出して、「水戸~!」という言葉をはさんで、MCも歌の中へと注ぎ込んで、ある曲へ入っていったり。曲が終わったかと思ったら、突然宮本がギターをかきむしって、バンドも一緒についていったり。毎回、始まり方も終わり方もブレイクの入り方もテンポも変化していく。歌の中にその土地の地名などがガンガン越境していく。ある曲では「県民文化センターがど真ん中」と歌い、またある激しいロックナンバーでは「水戸! 水戸! 茨城! 茨城! 筑波山! 筑波山!」とシャウトしまくっていた。エレファントカシマシが茨城という土地そのものと白熱のコラボレーションを展開しているかのようだ。
「水戸ライトハウスというライブハウスへは何度か来ているんですが、今日は大きなホール、茨城県民文化センター。いつもいつも温かく歓迎してくれてありがとう、茨城、水戸。ツアーが始まって、さらにパワーアップして、いい曲をどんどん届けるので、聴いてください」と宮本が語っていた。その言葉どおり、日々パワーアップしているところが素晴らしい。この日のステージをひと言で表すならば、“群雄割拠”といったところだろうか。それぞれの曲がしのぎを削っている。もちろん個人的に好きな曲、聴きたい曲がたくさんあるので、それらの曲を聴く喜びもあるのだが、そこまで思い入れの強くない曲でも、ステージで大化けしていく曲がたくさんあるのだ。季節とシンクロして、特別な輝きを放っている曲もあった。野球などのスポーツに例えるならば、日替わりヒーローみたいな感じで、大活躍する曲が出てくる。これはお気に入りの曲がさらに増えていくツアー。
この茨城で特に大活躍したのはロック色の強い曲たちだった。宮本がエレキギターを手にして、石森、ヒラマとのトリプルギターで疾走していく曲に鳥肌が立った。もっともっと先へ向かっていくぞといわんばかりに、曲がギラギラしたりメラメラしたりして燃え上がっていく。またある曲では熱くたぎるエネルギーの塊が会場内に渦巻いて、充満していった。宮本がタンバリンを叩きながら始まったハードかつヘヴィなロックナンバーではただならない極地へと達して、曲が終わった瞬間から拍手がしばらく鳴り止まなかった。このとてつもないエネルギーを作り出しているのはバンドだけではない。メンバーと観客との熱気の相乗効果で、ともに高みを目指しているという印象を受けたからだ。
照明で特徴的だったのはステージ後方から客席方向を照らすライトが多用されていたこと。観客の表情がかなりハッキリ見えやすい演出と言えそうだ。バンドはその光景すらもエネルギーへと変換して演奏していたのではないだろうか。客席の感動が演奏のさらなる活力になっていく。アンコールでは「友達がいるのさ」が演奏されたのだが、“東京中の電気を消して”という歌詞の2コーラス目は“茨城中の電気を消して”と置き換えられて歌われていた。必ずしもこの曲がすべての会場で歌われるというわけではないだろうが、47都道府県を回りながら、彼らは歌の中で日本各地の電気を消していくことになるのだろう。電気を消しても消えないものがある。胸の中で光輝き続けていくものがある。このツアーは会場内に、そしてひとりひとりの胸の中に、素晴らしい景色をたくさん出現させていくだろう。『30th ANNIVERSARY TOUR 2017 THE FIGHTING MAN』とは、バンドと土地と観客とによって作り上げられていくものであるに違いない。
取材・文=長谷川誠
2017.7.26 ON SALE
初回限定盤(2CD+DVD) UMCK-9915 ¥2,200(税抜)
通常盤(CD only) UMCK-5631 ¥1,100(税抜)
<CD>
1. 風と共に(NHK「みんなのうた」6月~7月新曲)
2. タイトル未定
3. 風と共に(Instrumental)
4. タイトル未定(Instrumental)
~新春ライブ2017セレクション日本武道館~
2017年1月6日に行われた新春ライブ日本武道館公演よりセレクトされたライブアルバム(10曲程度収録予定)
※収録楽曲詳細は、後日発表致します。
「風と共に」Music Video
※終了分は割愛
■6月10日(土) 佐賀・鳥栖市民文化会館 大ホール 17:30/18:00 ※SOLDOUT
■6月11日(日) 宮崎・メディキット県民文化センター 演劇ホール 17:00/17:30 ※SOLDOUT
■6月18日(日) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホール 17:00/17:30 ※SOLDOUT
■6月24日(土) 徳島・鳴門市文化会館 17:30/18:00
■7月1日(土) 愛媛・松山市民会館 大ホール 17:30/18:00
■7月2日(日) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール 17:00/17:30 ※SOLDOUT
■7月8日(土) 長野・まつもと市民芸術館 17:30/18:00
■7月9日(日) 東京・オリンパスホール八王子 17:00/17:30 ※SOLDOUT
■7月15日(土) 秋田・秋田県民会館 17:30/18:00
■7月16日(日) 岩手・盛岡市民文化ホール 17:00/17:30
■7月22日(土) 沖縄・ミュージックタウン音市場 17:15/18:00
■9月23日(土・祝) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール 17:15/18:00
■9月24日(日) 石川・本多の森ホール 17:00/17:30
■9月30日(土) 長崎・島原文化会館 大ホール 17:30/18:00
■10月6日(金) 青森・弘前市民会館 18:30/19:00
■10月8日(日) 宮城・仙台サンプラザホール 17:00/17:30
■10月9日(月・祝) 栃木・宇都宮市文化会館 大ホール 17:00/17:30
■10月14日(土) 大分・宇佐文化会館 大ホール 17:30/18:00
■10月15日(日) 香川・サンポートホール高松 大ホール 17:00/17:30
■10月22日(日) 新潟・新潟県民会館 17:00/17:30
■10月28日(土) 和歌山・和歌山市民会館 大ホール 17:30/18:00
■10月29日(日) 滋賀・守山市民ホール 大ホール 17:00/17:30
■11月3日(金・祝) 福岡・福岡サンパレス 17:30/18:00
■11月5日(日) 鳥取・米子市公会堂 17:00/17:30
■11月18日(土) 群馬・ベイシア文化ホール 大ホール 17:30/18:00
■11月19日(日) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール 17:00/17:30
■11月23日(木・祝) 山口・山口市民会館 大ホール 17:00/17:30
■11月25日(土) 京都・ロームシアター京都 メインホール 17:30/18:00
■11月26日(日) 静岡・三島市民文化会館 大ホール 17:00/17:30
■12月2日(土) 奈良・なら100年会館 大ホール 17:30/18:00
■12月9日(土) 富山・富山オーバード・ホール 17:30/18:00
※9月23日以降の公演は、9月2日(土)一般発売開始
<
指定席 6,900円(税込)
※7月22日(土) 沖縄・ミュージックタウン音市場公演のみ、
スタンディング 6,900円(税込) ドリンク代別となります。
※3歳以上
6月8日(木)12:00~6月22日(木)23:59まで
ツアー後半戦(9/23~12/9)のオフィシャルサイト先行受付を実施!
詳細はオフィシャルサイトLIVEページにて http://www.elephantkashimashi.com/live/