祝30周年!宮本亜門の記念パーティーに市村正親、大竹しのぶ「これからが」

2017.6.16
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舞台

左から大竹しのぶ、宮本亜門、市村正親。

宮本亜門の演出家生活30周年を記念するパーティーが、本日6月15日に東京・銀座のレストランにて開催され、宮本のほか、参加者の市村正親大竹しのぶが取材に応じた。

宮本は1958年東京都銀座生まれ。1987年にミュージカル「アイ・ガット・マーマン」で演出家デビューし、同作で文化庁芸術祭賞を受賞。2004年にオンブロードウェイにて、東洋人初の演出家としてミュージカル「太平洋序曲」を上演し、トニー賞4部門でノミネートされた。またミュージカルのみならずストレートプレイ、オペラ、歌舞伎とジャンルを超える演出家として国内外で活躍。その総演出数は118本にのぼる。昨年2016年10月には、2020年東京五輪などに向けたキックオフイベント「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」の文化イベント公式プログラムを演出。今年2017年は7月にKAATキッズ・プログラム2017「ピノキオ~または白雪姫の悲劇」、イギリス・大英博物館でのリーディング公演「画狂人 北斎」が控えている。

パーティーを前にした宮本は、「劇団も持ってないし、『やっていけるのかな』と思いながら続けてきたので、30周年なんて信じられないですね」と感慨深げな様子を見せる。また、背面に立てられた、自身が手がけた作品一覧のパネルを見て、「全然足りないな(笑)。まだまだやりたいことが多いので」と言い放ち、「演出家って世界的に長生きするんですよ。これから30年がスタートだと思ってるので。市村さんを見習って、いくつになってもエネルギッシュにやっていきます」と意気込んだ。

続けて、隣りに立つ市村と大竹に目をやり「お2人に来ていただいて演出家冥利に尽きるというか……」と恐縮すると「いいんですよ、私たちの話はしなくて」と優しく声をかける大竹。市村も「そうだよ、いいんだよ。俺達は今日、稽古を休んでお祝いに来たんで!」と続き、大竹と笑い合う。これを受け、「市村さん、本当は今日は、世界を周る蜷川(幸雄)さんの作品の、稽古最終日なんですよ! 蜷川さーん」と泣き顔で手を合わせる宮本。さらに「大竹さんだって今日レコーディングだったのに……」と切り出すと、大竹から「スタジオをすごいずらして、すっごい大変な思いして、ねじ伏せてずらしました(笑)」と返される。そのいたずらっぽい2人の表情からは、何を置いてもお祝いに駆けつけたかった、宮本への思いが感じられた。

さらに市村が「僕はね、これっきゃやってないんですよ。これっきゃ。118本手がけたうちの、これっきゃ!」と後のパネルの、大竹と共演したミュージカル「スウィーニー・トッド ~フリート街の悪魔の理髪師~」の位置をトントン叩き、「俺もだいぶ才能あるって言われるけど、宮本さんはそれ以上に開花しちゃってるからね。残り30年で、これ以外のものも、お仕事お待ちしてます」と宮本に絡む。また、宮本がまだ“違いがわかる演出家”や“ジャニーズ顔の演出家”と言われていた頃に、大竹主演で「キャリー」をやりたかったと明かされると、この場で初めて具体的な作品名を知った大竹は、作品の内容と当時の自身のイメージの齟齬に顔をしかめつつ、「それから20年以上経って、やっと一緒にお仕事できたんですね」とニコリ。そして、「宮本さんと市村さんの間にいると、私は笑ってばっかり。『スウィーニー・トッド』までミュージカル自体をやったことがなかったので、1つひとつを教えてくれた2人にはすごく感謝しています」と改めて感謝を述べた。

また宮本はかつて市村が所属していた劇団のオーディションに参加し、「コーラスライン」日本初演の初日稽古で、市村と稽古をともにしたことを告白。市村が「5.4.3.2.1」とカウントをすると、反射的に揃ってダンスを披露し、報道陣を驚かせた。宮本が「情けないほど身体が覚えてるくらい特訓したんですけどね」と、演出家の道に専念するために離脱したエピソードを語ると、「良かったんですよ。それで今日があるんですから」と市村が先輩らしく声をかけた。

今後の目標についてはトニー賞を掲げ「ノミネートだけじゃ全然満足できません! 授賞式ではくやしくてくやしくてムッとしてました」と「太平洋序曲」を振り返り、「僕は今まで中二病だったので、正直、演出家としては本当に浅いんです。でも日々面白さと深さがわかってきたので、これからは大人になってがんばります」と宣言。これを聞いた大竹は「何病? 中二? 中学二年生? じゃあ2人とも中二病じゃない(笑)」と宮本と市村にツッコみ、会場は笑いに包まれた。

最後に宮本が「こんな未熟な僕に、演出家としてここまでやらせてくださって、本当にありがとうございます。人間の魅力をどんどん伝えていきたいと思います。戦争と反対のこと、自分で出来る限りやっていきたいと思います」と挨拶し、取材は締めくくられた。なおその後行われたパーティーには、市村、大竹に加え森公美子、中尾ミエ、ラサール石井、南原清隆、デーモン閣下、陣内孝則、渡辺えり、ダイアモンド☆ユカイ(「☆」は六芒星が正式表記)、高橋和也、大東駿介、ヒャダイン、市川右團次、片岡愛之助、藤原紀香ら、関係者200人超が参加。宮本の演出家生活30週年を祝った。