危うく不遇の作品!夜明け告げるルーのうたの復活!
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「夜明け告げるルーのうた」は音楽映画でもあります。 作・ネジムラ89
「こんなことあるんだ。」
と驚かされる事態が映画『夜明け告げるルーのうた』で起こっています。
2017年5月19日より公開がスタートした映画『夜明け告げるルーのうた』は、アニメーションの楽しさを歌や動きで魅せる映画でお気に入りの作品であった一方、興行通信社が発表する週末動員数ランキングではTOP10に一度も顔を出さず、多数の映画館が6月初旬には公開を打ち切ってしまうという事態になってしまいました。そんな、ガクンと上映館がわずかに減ってしまった『夜明け告げるルーのうた』でしたが、なんと6月末より、TOHOシネマズ他全国の多数の映画館で上映予定が追加されたのです。映画館によってはすでに一度上映を切り上げたはずの映画館も、再びスクリーンを割いて上映してくれるところまで出てくるほどです。このような起死回生と言わんばかりの急な上映館の追加は、なかなか珍しいです。
(C)2017ルー製作委員会
なぜ、このような事態となったかといえば、6月13日(月)から18日(土)にかけてフランスで行われたアヌシー国際アニメーション映画祭にて、長編コンペティションの最高賞であるクリスタル賞を『夜明け告げるルーのうた』が受賞したから、なのは間違いないでしょう。
このアヌシー国際アニメーション映画祭は、世界4大アニメーション映画祭の1つに数えられるほどの映画祭で、このクリスタル賞はアニメーション界でも非常に箔のある賞と言えます。しかも日本作品でのクリスタル賞受賞が1995年の『平成狸合戦ぽんぽこ』以来の22年ぶりの快挙だというのだから、なお嬉しい話です。
近年のアヌシー国際アニメーション映画祭で、クリスタル賞を受賞した作品は、『ズッキーニと呼ばれて』『エイプリルと奇妙な世界』『父を探して』など、いずれも各国のアニメーション映画賞で多数の支持を受けている作品ばかりです。『夜明け告げるルーのうた』は今後も他の映画賞での活躍も期待できるかもしれません。
(C)2017ルー製作委員会
一方で上記のようなアニメーション映画賞で支持を得ている作品が、興行的にディズニーアニメーションや、名探偵コナンやドラえもんといったTVアニメ映画のような、何十億円というような興行収入が得られる市場形成ができているかといえば話は別です。もし、今回のクリスタル賞受賞がなければ、『夜明け告げるルーのうた』は上映館数が縮小したままだったであろうことを思うと、一アニメ―ション映画好きとしては少し寂しくも思う次第です。ディズニーアニメーションやTVアニメ映画と違って、アニメーション映画祭で支持されるような映画は、癖が強くて気難しいイメージがあるのか、はたまた単純に引っ掛かりが少ないだけなのか、いろんな可能性はあると思うのですが、それらの作品と同じラインで映画オリジナル作品やメジャー会社以外の海外アニメ映画などを楽しんでいる身としては、もっとそれらの作品にスポットが当たって欲しいな、とささやかに願っております。
そんなわけで、東宝さんが送り出しているということもあってTOHOシネマズさんの様な大型のシネコンで、大ヒットとは言い難い結果の作品をここにきて改めて上映回をガッツリ増やすという決断には是非、それなりの結果が生まれて欲しいところ。
ディズニーでもなければ人気キャラクターの映画化でもない・・・だけど“しっかり面白い”アニメーション映画なので、『夜明け告げるルーのうた』をまだ見ていないという方には、是非このせっかくの機会に足を運んでみて欲しいです。そういった作品をあまり見に行かないという人こそ、「こんな作品があったんだ。」と、今までにない発見や感動が見つかるかもしれません。
アニメーション映画『夜明け告げるルーのうた』
(107分/ビスタサイズ/ドルビーサラウンド5.1ch)
ルー:谷花音
カイ:下田翔大
ルーのパパ:篠原信一
じいさん:柄本明
国夫:斉藤壮馬
遊歩:寿美菜子
江曽島:大悟(千鳥)
髭の漁師:ノブ(千鳥)
監督:湯浅政明
脚本:吉田玲子 湯浅政明
音楽:村松崇継
主題歌:「歌うたいのバラッド」斉藤和義(SPEEDSTAR RECORDS)
キャラクターデザイン/作画監督:伊東伸高
美術監督:大野広司
フラッシュアニメーション:アベル・ゴンゴラ ホアンマヌエル・ラグナ
撮影監督:バテイスト・ペロン
劇中曲・編曲:櫻井真一
音響監督:木村絵理子
制作プロデューサー:チェ・ウニョン
アニメーション制作:サイエンスSARU
チーフプロデューサー:山本幸治
プロデューサー:岡安由夏 伊藤隼之介
企画協力:ツインエンジン
制作:フジテレビジョン 東宝 サイエンスSARU BSフジ
配給:東宝映像事業部
公式サイト:http://lunouta.com/
(C)2017ルー製作委員会