10代目ピーターパンがお披露目! ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』製作発表

2017.6.29
レポート
舞台

ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』の製作発表会見の様子

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1981年以来毎年上演され、世代を超えて愛されてきたブロードウェイミュージカル『ピーターパン』。今年は、10代目ピーターパンとして吉柳咲良(きりゅう・さくら)が初舞台を踏み、7月から8月にかけて上演される。6月29日、都内で開かれた製作発表の様子をレポートする。

製作発表会見でパフォーマンスを披露する吉柳咲良

吉柳咲良(きりゅう・さくら)は第41回ホリプロタレントスカウトキャラバンのグランプリを受賞し、見事10代目ピーターパンに選ばれた逸材。ホリプロスカウトキャラバンのグランプリを受賞し、ピーターパンを演じるのは初代ピーターパンの榊原郁恵以来だという。吉柳は弱冠13歳で、史上最年少タイのピーターパンの誕生となる。会見の冒頭、吉柳が「I'm Flying(アイム・フライング)」を披露した。多くの報道陣と一般観客を前に少し緊張している様子だったが、フレッシュで伸びやかな歌声で、等身大のピーターパンを演じてみせた。

製作発表会見でパフォーマンスを披露する吉柳咲良

パフォーマンスの感想を問われた吉柳は「本当に緊張していたが、裏で共演者の皆さんが『大丈夫だよ、頑張れ』と励ましてくれた。心から楽しんで歌えたと思います」と答えた。どんなピーターパンを演じたいかという質問に対しては「実年齢がピーターとすごく近い。13歳にしかできないピーターパンをやろうと思っています。14歳になったら今のピーターはできないし、15になっても今のピーターはできない。『本当にピーターパンがいる』と小さい子どもに思ってもらえて夢を与えられるような、格好良いピーターを目指して頑張っていきたいと思います」と堂々の挨拶をした。

製作発表会見で話す吉柳咲良

「『ピーターパン』が舞台であるということをこのお話をいただくまで知らなかった」と語る吉柳。「ピーターパンは絵本の中の世界だと思っていたので、舞台版があるとは知らなかったです。そのあとに資料用DVDを見て、すごく感動しました。見ててワクワクしたので、劇場だともっとワクワクするんだと思います。これが初舞台になるんですが、すごく有り難いです」と率直な感想を話し、「今も脚本を読んでいて素晴らしい作品だなと感じます。キャストの皆さんに助けていただきながら、本番までに素敵な作品にできたらなと思います」と語った。

製作発表会見で話す演出の藤田俊太郎

演出を担当するのは、第22回読売演劇大賞を受賞した藤田俊太郎。藤田は「僕が生まれて初めてのミュージカル体験が5歳の時に見た『ピーターパン』でした。その時に見たピーターパンの光と影が忘れられずに、ずっと憧れを持っていました。実は、演出家としてこの『ピーターパン』を演出することは僕の夢でした。本当に嬉しく幸せに思います」と笑顔で語る。

リニューアルの内容については多くを語らなかったが、メアリー・マーティンがピーターパンを演じた1954年のブロードウェイ版脚本をベースに、88年に青井陽治が翻訳した脚本と訳詞を使うという。「原点に帰りたい。今2017年に何が起きていて、『ピーターパン』という作品は今の現代をどう映していくかを突き詰めて、ファンタジーでありながら、現代性がある作品を作りたいと思っています。様々な仕掛けを用意しました。皆さんに楽しんでいただきたいと思います」。

藤田にとってはファミリーミュージカルの演出は初挑戦だが、絵本ロックバンド「虹艶(にじいろ)Bunny」としてライヴ活動を展開していることもあり、「子どもに届けるミュージカルをつくることは夢だったので、震えるほど喜んでいます」と話していた。

製作発表会見で話す鶴見辰吾

芸能生活40周年を迎えるフック船長/ダーリング氏役の鶴見辰吾。「9年ぶりにネバーランドに復帰いたしました。復帰船長じゃなくてフック船長です。また違うフック船長を演じられればと。52歳にしかできないフック船長を演じたいと思います」と、吉柳の挨拶を真似るなどして会場を笑わせた。

2008年以来9年ぶりのフック船長についての思いを尋ねられると、「フック船長はアクションもありますし、歌もダンスもあるので、体力的に衰えているか心配でしたが、前よりも全然元気でした。アクティブな船長を演じていきたいと思います」と答えた。また、吉柳と同じ13歳の中学1年生でデビューしたことに触れ、「こんなにしっかりしていませんでした。咲良は少なくとも私を超えていくだろうなと思います。採れたて野菜のようなフレッシュさが彼女の一番の魅力だと思います。そしてどんどん熟していって素敵な女優さんになってほしいと思います。この彼女をサポートできる喜びがあります。彼女が軸になって、きっと今までにない『ピーターパン』に生まれ変わってお見せできると思います」と吉柳を大絶賛した。

製作発表会見で話す神田沙也加

2011年以来6年ぶりのウェンディ役を務める神田沙也加は「カムバックは予想をしていなかったのでびっくりしました。自分にとってウェンディは毎年夏に会えるパートナーのような役で、思い入れの作品ですし、思い入れのある役でもあります。新たな装いでやらせて頂けるのがすごく嬉しいですし、とても楽しいですね」と話す。相手役となるピーターパンについては「年下ですが、稽古に入る前に芝居を観にきてくれたりしていた。ものすごくしっかりしています。お会いした時にまっすぐの瞳と出で立ちから『あぁピーターパンだな』という説得力がありました」と印象を語った。そして、「咲良ちゃんはスポンジのようにぐんぐんとお芝居やダンスなどを吸収していきます。吸収力の速さがすごいなぁと思うので、一緒に成長していきたいなと思います。また、初舞台というのは役者にとってとても大切なもの。舞台人生を分けていくといっても過言ではないので、この先もずっとやりたいと思ってほしいので、最高の初舞台だったと千秋楽に言えるようなお手伝いをしたいと思います」と先輩らしい一面も覗かせた。


(※関連記事「6年ぶりにウェンディを演じる神田沙也加にインタビュー!〜ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』」)

製作発表会見で話す石井正則

スミー役の石井正則は『ピーターパン』に初参加となる。石井は「今までの『ピーターパン』をご覧になった方は分かるかもしれませんが、これまでのスミーとだいぶ装いが違うんです。かなりチャーミングなスミーになるかなと思います。鶴見さんとの身長差がありすぎて、子供達はスミーが遠くにいるんじゃないかと思うぐらいです(笑)。初参加でわからないことも多いですけど、思い切ってネバーランドに飛び込んで、44歳にしかできないスミーを演じたいなと思っています」と話し、笑いを誘った。

また、吉柳が身長が伸び盛りの13歳であることについても触れ、「この公演中に身長を抜かれる可能性があるんです。咲良ちゃんは今151センチちょっと、僕は156センチぐらいなので……。初日と千秋楽に来ていただけたら、どんどん大きくなる咲良ちゃんと、どんどん小さくなるスミーをご覧いただけます(笑)」と話した。

製作発表会見で話す宮澤佐江

タイガー・リリー役の宮澤佐江は、衣装について「まだちょっとドキドキしますね。アイドル時代でも履いたことないぐらい、こんなにスカートが短いんです」と話す。稽古や演じるタイガー・リリー像については「アクションシーンをやらせていただくのですが、ほぼ初めてなので、筋肉痛になっていたりして。もっともっと頑張らないといけないなと思っています。『ピーターパン』を見た人はみんなピーターパンに憧れると思うんですが、子供たちや親御さんにタイガー・リリーの凛々しさや強さが伝わるようにしたいです。藤田さんの演出を身に染み込ませて、役になりきって頑張りたいなと思います」と語った。

製作発表会見で話す入絵加奈子

13年ぶりの『ピーターパン』に参加する入絵加奈子は「2004年にウエンディ役をやりました。13年ぶりにこの素晴らしいミュージカルに出演できることを大変嬉しく思っています」と語る。2004年時は鶴見辰吾がダーリング氏だったこともあり、「2004年時は鶴見さんがお父さん、今回は旦那様、そして、3幕3場ではウェンディの娘、ジェーンという娘を演じるので、鶴見さんの孫役を演じるわけです。鶴見さんの3代にわたる愛する家族を演じるのは光栄です」と話した。「ダーリング夫人はもちろんですが、ジェーンは10歳の女の子。アラフィフで10歳の子を演じて、フライングまでやらせて頂ける。やりきります」と意気込んだ。

製作発表会見で話す久保田磨希

ライザ役を演じるのは久保田磨希。ライザはダーリング家のメイドで、1992年以来の登場となる。ライザについて久保田は「現実世界にいる大人の中で、唯一ネバーランドに行ける大人」だといい、「諸事情で飛びません(笑)。...その頃のライザと今のライザは多分違うと思うんです。このメンバーでネバーランドを作り上げていく中で、どういう風にライザを入れるかをみんなで考えているので、2017年のライザだと思います。こんなに稽古場に行くのが楽しい稽古は初めてです」と語る。演出の藤田は「ブロードウェイ版の脚本にライザが書いてあるんですね。細かいカットはしていますが、ト書きは変えてないです。ライザはこの世界にいる人なんです。どういう風に読み解いたらいいんだろう。現実とダーリング家とネバーランドとの繋ぐ何かになるんじゃないかと思っていて、演出の観点の一歩でした」とも話した。

製作発表会見で話す吉柳咲良

会見の最後、吉柳は「私にとっては初舞台です。稽古がすごく楽しくて、早く本番をやりたいと思うぐらいです。劇場に来たら1秒たりとも目が離せない作品だと本気で思いました。ぜひ劇場に来ていただいて、夏休みの思い出の1ページにしていただけたらなと思います」と結んだ。

ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』の製作発表会見の様子

製作発表会見に臨む神田沙也加(右)と吉柳咲良

製作発表会見に臨む鶴見辰吾(右)と石井正則

製作発表会見でパフォーマンスを披露する吉柳咲良

 

※関連記事「6年ぶりにウェンディを演じる神田沙也加にインタビュー!〜ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』」

公演情報
青山メインランドファンタジースペシャル
ブロードウェイミュージカル『ピーターパン』
 
■原作:ジェームズ・M・バリ
■作詞:キャロリン・リー
■作曲:ムース・チャーラップ
■演出:藤田俊太郎
■出演:
吉柳咲良・・・ピーターパン
神田沙也加・・・ウェンディ
宮澤佐江・・・タイガー・リリー
入絵加奈子・・・ダーリング夫人
久保田磨希・・・ライザ
石井正則・・・スミー

鶴見辰吾・・・フック船長/ダーリング氏

 
萬谷法英 笠原竜司 章平 大音智海
高田亜矢子 天羽尚吾 鈴木亜里紗 滝川華子 鈴木麻祐理
大竹尚 小山圭太 笹岡征矢 白石健太
三浦莉奈 
福田徠冴 桑原愛佳(Wキャスト)山田樺音(Wキャスト)
 
【東京公演】
■日時:2017年7月24日(月)~8月3日(木)
■会場:東京国際フォーラムホールC
 
【静岡公演】
■日時:2017年8月5日(土/貸切)~8月6日(日)
■会場:静岡市清水文化会館マリナート大ホール
 
【大阪公演】
■日時:2017年8月12日(土)~8月13日(日)
■会場:梅田芸術劇場メインホール

 
■公式サイト:http://hpot.jp/stage/peterpan