鈴井貴之が現代社会の闇から希望を見出す「Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.4『天国への階段』」公開ゲネプロ

2017.7.20
レポート
舞台

Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.4『天国への階段』


今や交通事故死数や自殺者数をも超える死因=「孤独死」。その孤独死の現場を清掃し遺品を探すことを生業とする「特殊清掃員」にスポットを当てた舞台、「Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.4『天国への階段』」の上演が、7月19日(水)サンシャイン劇場にて始まった。

Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.4『天国への階段』

あるドキュメンタリー番組の取材として「孤独死」の現場で働く彼らを一台のカメラが追いかける。当初は、過酷な現場で働く彼らを半ばやっつけ仕事で追っていた取材クルーだったが、徐々に、このような仕事に携わるからには、彼らの過去に何かがあったに違いない、と考え始める。特殊清掃員となる前の彼らは、いずれも悲惨な体験をしており、その時の心の傷を和らげるため、自分よりも悲惨な末路を迎えた孤独死者の現場に携わっていた。ところが今回の現場は違っていた…。

Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.4『天国への階段』

OOPARTSの見どころの一つである、個性的なステージセットは今回も健在。あえて白とベージュで構成し、ところどころに穴を作ったことで、人が落ちたりその中でガサゴソと動きまわる様が、孤独死が発見されるまでの数年間で朽ちた床や、人が立ち入るのがやっとな部屋の中の様子をイメージさせ、何も色がついてないからこそ、逆に無残な現場状況を観客に想像させていた。

出演は鈴井のほか、人気劇団 「ヨーロッパ企画」の永野宗典、「演劇集団キャラメルボックス」の畑中智行、そして菊地美香・根岸拓哉・平田薫・吉田悟郎・戸澤亮(NEXTAGE)。また「水曜どうでしょう」(北海道テレビ)のディレクターでありOOPARTS作品には常連として参加している鈴井の盟友・藤村忠寿も脇を固める。更に、北海道出身で2017年3月にSKE48を卒業したばかりの東李苑が卒業後初の舞台出演を果たしている。

以下、出演者から初日を終えた感想を紹介しよう。

Takayuki Suzui Project OOPARTS Vol.4『天国への階段』

●永野宗典(ヨーロッパ企画)

稽古中に台本内容が変わったり、稽古場が殺伐とした雰囲気で…正直、今だから言えますが(笑)この作品、どうなるんだろうと思ったこともありました。けど、むちゃくちゃ楽しい初日を迎えることができました!テーマが「孤独死」ですが、不謹慎な意味でなく「楽しい舞台」になったのが、すごく報われたような気持ちになりました。本当にいい作品が出来上がったのを初日に実感できたので良かったです。堂々とツアーを周れます!!

菊地美香、長野宗典

●畑中智行(演劇集団キャラメルボックス)

やれることはやってきましたが、正直不安のほうが大きかったです。でも、お客様にすごく救われました。本番は演者のみんなも芝居が全然違いましたし、すごくいい初日だったなぁ…と思います。舞台セットには最初は衝撃を受けましたね!藤村さんが「OOPARTSは怪我してナンボ」っていうわけわかんないこと言ってたんですが(笑)みんな少しづつ慣れてきました。逆に、巧みに動けるようになってしまったので、足枷を自分でやるぐらいの感じになればいいなと思います(笑)。とにかく今までにない刺激的な現場なので、勉強させてもらうつもりで、これからも頑張っていきたいと思います!

畑中智行

●菊地美香

とにかく無我夢中でした。なかなか他の作品では味わえない達成感を感じられる舞台です。ひたすら「片付ける」役ですが、残り19ステージひたすら片付けていきたいと思います(笑)。今日はOOPARTSが大好きなみなさまが駆けつけてくださって、改めて鈴井さんの人気を肌で感じました。本当に温かかったです。これに甘えず、最後まで真摯に向き合って頑張って参ります。

菊地美香

●根岸拓哉

鈴井さんが求めているのは、リアルでライブ感があるお芝居。稽古からすでに本番みたいな緊張感がありました。初日ではそれ以上のものが出せると良いなと思っていたのですが、お客様が本当に温かくて、予想外の場面でも笑いや反応が沢山あって感動です。毎回やることが違ったり、役者が困るような仕掛けというようなOOPARTS流の課題を僕自身が乗り越えていきたいと思いますし、ライブ感を大事にしながら1公演1公演を頑張っていきたいなと思います。

根岸拓哉

●平田薫

まずは初日を迎えられた安心感がありました。稽古の中で設定やセリフの変更も盛りだくさんで、緊張感もあったんですが、ああ、初日って開けるんだなぁって(笑)。まだまだ初日の幕が開いたばかりなので、あと19ステージいろいろ考えながらレベルアップさせていければいいなと思います。ステージの使い方は稽古で練習していたので怖さはなかったんですが、千秋楽の頃にはいい穴の落ち方ができると思います(笑)。

平田薫、吉田悟郎

●吉田悟郎

お客様の反応が素晴らしくて、本当にびっくりしています。そして、鈴井さんは凄いなと思いました。何度も稽古をしていると、「本当にこれ笑ってもらえるのかな…」って不安に思うこともあったのですが、こうなることを鈴井さんは分かっていた上で、このような台本を書いたのだなって思うと、やっぱり凄いと思います。本当に(お客様が)こんなに笑うのかってぐらい笑っていて、びっくりしました。でも、初日のお客様は特別な気持ちで来ていただいている方が多いと思うので、慢心せず、明日以降もしっかりやっていきます! 

●東李苑

幕が開いた瞬間に、これは現実じゃないんじゃないか?と。「あれ?今日って7月19日だっけ?」と思ってしまうような感覚だったんですが、最初のシーンからお客様の反応にすごく助けていただいて、そのあとは勇気を持ってステージに立つことができました。稽古が始まった時は本当に焦ってばかりだったんですが、キャストの皆さんにもスタッフの皆さんにもたくさん助けていただいて余裕も少し出てきたし、千秋楽までの間でもっといろんなことを吸収して成長したいです!

東李苑

●戸澤亮(NEXTAGE)

直前まで「お前を出すかはまだわからない」と鈴井さんに言われていたので(笑)、無事に出られて良かったです。本番は温かいお客様ばかりで、それに助けられました。残りのステージもまだ出られるかわかりませんので(笑)毎日がオーディションだと思って頑張ります。

戸澤亮(NEXTAGE)

●藤村忠寿(北海道テレビ)

正直、今回はお客さんがどういう反応をするかが予想できなかった。セットについても本番で初めて見える部分があって、内容も含めてどう受け止められるのかな?と思っていましたが、これだけ理解してもらえて、面白かったと言ってもらえた。これはいけるな!と思います(笑)。前回を超えていくだろうね。あとは役者の力でどんどん精度を上げていきたいと思います。

藤村忠寿

●鈴井貴之

毎回、幕が開くまでは不安もあるんですが、今回は特に、お客様が本当に待ち焦がれていてくださって、参加するぞという能動的な意識で見ていただいていると感じました。公演中もこちらが戸惑うくらいの拍手もいただけて、やはり舞台はお客様と一緒に作り上げるものなんだなと。今回は「孤独死」という非常に重い題材を選んだ上で、かつ笑いもあるポップな内容にするという目標でしたが、それもお客様に助けられて達成できているのかなと思います。本当に心から感謝です。今回も特殊な舞台セットを考えて、役者の皆さんには大変な思いをさせておりますが、それがこの「OOPARTS」の醍醐味。怪我なく千秋楽まで、全員で頑張ります!

鈴井貴之、畑中智行

以前、本作について作・演出・出演の鈴井貴之にインタビューをした際、鈴井の頭の中にある構想の一部を覗き見ることができた。その際、語っていた様々なキーワードや想いが、いたるところにちりばめられている芝居。なかでも鈴井が力を込めて語っていた「芝居を観終わった後に感じてもらいたい強い気持ち」は、おそらく、想像以上に観る者にまっすぐ伝わってくるにちがいない。

鈴井貴之

取材・文=こむらさき

公演情報
Takayuki Suzui Project OOPARTS 第4弾 『天国への階段』

 

【東京】
2017年7月19日(水)~25日(火)
サンシャイン劇場

【大阪】
2017年8月4日(金)~6日(日)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
 
【北海道】
2017年8月11日(金)~13日(日)
道新ホール
 
【宮城】
2017年8月16日(水)
仙台電力ホール
 
【長野】
2017年8月19日(土)・20日(日)
まつもと市民芸術館
 
■作・演出:鈴井貴之
■出演:永野宗典、畑中智行、根岸拓哉、吉田悟郎、戸澤亮、菊地美香、平田薫、東李苑、藤村忠寿、鈴井貴之
■公式サイト:http://ooparts-hokkaido.net/​

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