PassCodeは“頂点”と名付けたメジャー1stアルバムで何を描き、どこを目指すのか
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PassCode 撮影=大橋祐希
PassCode待望のメジャー1stアルバム『ZENITH』。“頂点”という意味が込められた同作には、攻めの姿勢を「これでもか」と詰め込んだヘヴィでアッパーな楽曲たちが並ぶ。ということは、当然ライブでも力を発揮するタイプのキラーチューン揃いな作品ということにもなるわけで、今回はアルバムとライブの話を中心に、前進を続けるPassCodeの今に迫った。
――最近は大阪と東京の往復が激しいですね。
高嶋 楓:今日もさっき大阪から来ました(この日の取材は12時から)。
大上 陽奈子:気付いたら東京におって、気付いたら大阪におる。
南 菜生:違う違う! マネージャーさんが頑張って運転してくれてる間に着いてるだけやから!(笑)
大上:そう、寝てる間に着いてるんです(笑)。
――体力的なキツさはない?
一同:……。
――ははは!
南:もうおばあちゃんやから腰が痛い……(笑)。
高嶋:着いてすぐライブだと腰とか背中が固まってるから、「痛いー!」って言いながら体をほぐしてます。
大上:あと、車の中でずっと同じ体勢でいるからお尻がずっと痛い……(笑)。
――いっそのこと、拠点を東京に移しちゃえばいいじゃないですか。
(高嶋、南、大上が今田 夢菜を見つめる)
――ちゆな(今田)さんは嫌なんですか?
今田:うーん、別に……嫌じゃ、ないです……。PassCodeのためなら。
南:ようゆったー!
――だけど?
今田:おうちに帰りたい……。けど、さすがに最近は東京に来る機会が多すぎるから……ってちょっと気持ちが傾いてる部分はあります。
――家にいる時間なんてほとんどないんじゃないですか?
今田:けど、家のベッドが好き……。
南:でも、東京に移ったらもうひとつベッドが増えることになんねんで?
今田:わかった……。
――ちゆなさんが最後の壁なんですね(笑)。
南:他のメンバーはわりと「東京の方がいいならそうしよっか」って感じなんですけど、夢菜(今田)がどうしてもおうちが好きなんで「しゃあないかなぁ」って。
――逆に、週一ぐらいのペースで大阪に帰るとか。
今田:ああ、それなら全然いい。
PassCode 撮影=大橋祐希
――現状はそういう感じなんですね。わかりました。では、最近の活動に関してはどうですか?
南:ライブが楽しいですね。日によってムラはあるんですけど、そのムラが自分たちにとっていい課題になっているし、爆発していい感じにライブができる日もあったりするんで、やってて楽しいです。
――前回話を聞いたとき、ライブに関して「音源でもバンドセットでもどっちでもPassCodeだ」っていう話をしてましたけど、それってイバラの道だなと思って。どちらかに集中したほうが、単純にパフォーマンスの質は上がるんじゃないですか?
南:うーん、でもバンドセットで出たいイベントと音源で出たいイベントは違うんですよ。私たちはジャンル問わずいろんなイベントに出てるし、バンドさんがたくさん出るイベントのときはバンドセットのほうが絶対いいし、アイドルイベントにバンドで出るのがおかしいときもあるんで、場所に合わせて形を変えていけるほうが強みになると思ってます。
――じゃあ、2つの道を極めなければならない苦労があるというより、それが武器になると捉えている。
今田:バンドセットでライブをやり始めた頃は、バンドセットが続いた後に音源でライブするのがやりづらかったり、その逆もあったりしたんですけど、最近はそれにも慣れてどっちも楽しめるようになったからいい感じです。
――自然と切り替えができるようになった?
今田:いや、特に何も考えずにやってます。
南:バンドセットも音源も同じことやってる感じやんなぁ。
大上:でも、たまに難しいのが、イヤモニと普通のモニターの差で。
高嶋:バンドセットのときはイヤモニを使うから、一人ひとりに返ってくる音が違って自分のやりやすいようにできるけど、音源の時はコロガシのモニターでみんな一緒の音やから、そこは頑張らないとって感じです。
――バンドセットだと、たとえ4人のパフォーマンスが良くても、バンドの状態がよくないといいライブにはならないというジレンマを抱えることになると思うんですけど、その辺りはどう考えてますか?
南:バンドさんに対して自信があるし、自分たちがいいパフォーマンスをすれば必然的にバンドさんもアガってくれて、相乗効果でいいライブになるはずなので、そこら辺は安心して任せてます。だからそんなに気にしてはいないです。
――なんでこんな質問をしたかというと、最近観たバンドセットのライブ2本で、演奏の爆発力が違うと感じることがあったんです。
南:多分、その時はメンバーがやりきれてなかったんだと思います。バンドさんにはこれ以上ないぐらい上手い人たちが揃ってるし、みんなPassCodeのことをすごく好きでいてくれて、どうやったらいいライブにできるか真剣に考えてくれるし、メンバー以上にライブを楽しみにしてるんじゃないかってぐらいの人たちなんです。だから、実際に調子が悪いときもあるとは思うんですけど、そこを引っ張り上げるのはこの4人の役割やし、それが出来ていないならそれはPassCodeの責任でしかないと思ってます。
――ライブを重ねていくうちにそういう意識が芽生えた?
南:去年、初めてバンドセットでライブしたときは、バンドさんとは何も話さなくて、スタッフさんとバンドさんで決めてもらったことをメンバーが聞いて、メンバーが言ったことをスタッフさんからバンドさんに話してもらうっていう感じだったんですよ。でも今はよりチーム感が出てきて、やりたいことをバンドさんに直接相談することも増えてます。
PassCode 撮影=大橋祐希
――音源に関してはどうでしょう。サウンドプロデューサーの平地さんに「こういう曲をやりたい」とかメンバーから提案することはあるんですか?
南:ボーカルに関しては、「こういうふうに歌ってみたい」とか、「こういうふうにシャウトしたい」って個人個人で話をしてますけど、曲に関しては平地さんがいいと思うものがPassCodeにとって一番いいものだと思っているので、安心して任せています。
――『ZENITH』は記念すべきメジャー1stアルバムになります。曲をもらったときの感想は?
南:「全部A面みたいな曲やな」って。いつもアルバムにはカラフルな曲が詰め込まれてるんですけど、今回はPassCodeらしさで一貫されてて、『ZENITH』(頂点)というタイトルを付けて出すメジャー1stアルバムとしては正解なんじゃないかなと思いました。
今田:1曲1曲の段階では「全部攻めてるな」って感じで、『ZENITH』として完成されたものを改めて聴いてしっくりきました。これがメジャー1stアルバムになってよかったです。「ああ、これが『ZENITH』や~」って。
高嶋:「あー、今回はバラードとかなくて、PassCodeらしい曲がいっぱい詰まってるんやな」って思ってた後にこのタイトルが決まって、そこで今回のアルバムの意味が分かりました。
大上:平地さんから「今回のアルバムは攻めていこうと思ってるんやけど、カワイイ系の曲とかバラードも入れる?」って聞かれたんですよ。でも、さっき南が言ったように、平地さんのいいようにしてもらえたらいいなと思ってたのでそう答えたら、全部攻めの曲が送られてきて。平地さん的もきっと「これで頂点取ったるぞ」っていう気持ちで作ってくれたと思うし、自分も「これでてっぺん取らな」って。『ZENITH』はこれからのPassCodeの強みになるアルバムだと思います。
――たしかに今回、サウンド面は思いっきり振り切りましたよね。
南:アルバムってストーリー性が大事やと思ってるので、今回は攻めた曲ばかりで「アルバムとして成立するのかな?」って思ったんですけど、完成したものを曲順通りに聴いたら、全曲激しいけどちょっとした音色、歌、声の違いでしっかりとストーリー性が生まれてるんですよ。
大上:あくまでも“今回は”こういう感じなんです。
南:そう。シングルも含めてここまでのメジャー3作は攻めの姿勢なんですけど、ここでPassCodeというものを全部見せられたら、次に出すものはもっと遊べていけると思う。だから、最初にあった「どうなるんやろ? 受け入れてもらえるのかな?」っていう気持ちがなくなって、自信を持って「これがPassCodeですよ」って提示できる作品になりました。
――「どうなるんやろ?」っていうのは?
南:今回はカワイイ曲もバラードもないし、元々PassCodeが好きな人が想像してるものとは違うんやろうなとはメンバー全員感じてたんですよ。だけど、完成してみたらこれが正解やったんやなって。
――てっきり、今後はこの路線だけで突き進んでいくのかと思ってました。
南:もちろん、これがメインの路線にはなると思うんですけど、「次は遊んでいきたい」っていうことは平地さんも言ってるし、メンバーとしても今回はこれが一番いいと思ってます。
PassCode 撮影=大橋祐希
――そして、今回は生声がほぼゼロです。
南:今回、全部オートチューンがかかってますね。
高嶋:でも、それが曲の世界観にあってると思いました。
大上:曲によってはユニゾンのパートでオートチューンを薄くかけているところがあって、4人それぞれの声が聞き分けやすいようにエンジニアさんが工夫してくれてます。
南:「ONE STEP BEYOND」はそれがすごくわかりやすくて、4人で2回あるサビを前半後半に分けて歌ってるんですけど、メンバーの声がダイレクトに伝わるので面白いと思います。
高嶋:「カタルシス」のレコーディングが終わったときに、オートチューンをかけるかかけへんかを平地さんがめっちゃ悩んでて、私たちは「平地さんがいいように」って言ってたんですけど、結果的にはかかってましたね。
南:この曲に関して思うのは、オートチューンをかけることで歌が奥まって聞こえて、それが歌の世界観をうまく表しているなと。
高嶋:曲の終わり方も寂しいしな。
――ちゆなさんはシャウトパートに英詞が増えて大変だったと前回話してましたけど、たしかに歌詞によって歌いづらいところがありそうですね。
今田:最初は「なんでこんなに英語ばっかりのシャウトにするんやろ?」って思ってたんですけど、今はそれが格好良いと思ってるので頑張ってます。でも、発音とかで上手くシャウトできない部分もあるから、そこは平地さんと相談して歌詞を変えてもらったりしてます。
――「Insanity」なんて特に大変そうですね。
今田:でも、「TRACE」(メジャーデビューシングル「MISS UNLIMITED」にも収録)でシャウトが多いことに慣れてしまったので、今回はあまり大変っていうことはないです。「Insanity」はシャウトパートに<地獄に落ちろ>みたいな歌詞があるんですけど、“ワルイ感じ”があって好きです。カワイイ歌詞も好きなんですけど、シャウトの歌詞に<地獄>とか入れるあたりのセンスがいい(笑)。
――極悪なシャウトには極悪な歌詞が合いますよね。インディーズ1stアルバムからあった様々な流れがこういう攻撃的な作品に集約されていくというのは面白いですね。
南:おもろいですよね。メンバーからしたらやってることはあまり変わってないし、アルバムに対するモチベーションや意識も変わってないんですけど。
大上:『ZENITH』は自分たちが思っているPassCodeのさらに上を行くもので、上手くライブで表現できるように頑張らないとって思わせてくれたので、また成長できるんじゃないかと思います。
南:音が格好良いんですよ。
高嶋:全部ライブ映えしそうな曲やから早くやりたい。
――そう。どの曲もライブの画が浮かぶんですよね。平地さんが4人のライブから受けた刺激がそのまま曲作りに反映されているんでしょうね。
南:「ライブに必要な曲を作るだけ」っていうのが平地さんのスタンスで、『ZENITH』に入ってる全ての曲が自分たちの色になっていくんだろうなって思います。特に、「Scarlet night」なんかはわかりやすくPassCodeだし、さらにライブに火をつけるような曲だと思います。聴いてるだけでワクワクしちゃいます。
大上:「VIRTUAL」のときは最後の2曲がバラードで、ライブでやったことがないんですよ。だけど、今回は全部セットリストに入れたいし、どの曲から披露していくか迷っちゃいます。
PassCode 撮影=大橋祐希
――個人的に好きなのは「rise in revolt」と「Same to you」です。
高嶋:「Same to you」はこのあいだ振りを入れてもらったんですけど、今までにない感じになってます。
大上:アウトロの振りがPassCodeには珍しくジャズっぽい感じなんですよ。初めての挑戦なので、ライブではそこにも注目してほしいですね。
――振り付けは徐々に変化していますか?
南:「MISS UNLIMITED」からELEVENPLAYのKOHMEN先生に振り付けをお願いしているんですけど、指先とか角度まで意識した、独特でキレイな振りをつける方で、「Same to you」に関してはジャズっぽいっていうこともあるし、振りの数が少ないからこそ難しくてすごく苦労しました。前までは細かいことまで気にせずに踊ってたんですけど、今はダンスとの向き合い方が変わってると思います。
――ダンスの難易度が上がるというよりも、より細かいところまで意識しなければいけなくなった。
大上:これまでは練習の途中で止めることはなかったんですけど、最近は曲の途中でも「ここはもうちょっとこうした方がよくない?」とか「あんまり揃ってなくない?」って注意し合うことが多くなりましたね。
――さて、ワンマンツアーが始まります。今回のツアーの目標はありますか?
大上:これまでは新木場STUDIO COASTとかZepp DiverCityとか大きい会場でのライブが多かったんですけど、今回はわりと小さい会場が多いんで、小さいライブハウスで熱量いっぱいのPassCodeのライブを楽しみにしてほしいです。いっぱいソールドアウトできるように頑張りたいと思います。
高嶋:今回は熊本とか金沢とかこれまでに行ったことないところに行くし、『ZENITH』で初めてPassCodeのことを知ってくれる人もけっこういると思うから、お客さんと近い距離で熱量を全部伝えていきたいです。
――これからPassCodeのライブを初体験する人に向けて何かアドバイスはありますか? 激しく盛り上がるフロアを怖がっている人もいると思うので。
今田:ただ楽しめばいい(笑)。
大上:人の上を転がったり、モッシュしたりっていうイメージが強いかもしれないですけど、前のほうでじっと観てたり、振り付けを一緒にやって楽しんでくれたり、後ろのほうで全体をじっくり見渡している人もけっこういるんで、「何してもらってもいいよ」って感じです。
南:何も気にせんと来てもらえたら、あとはこっちが楽しませるだけなので。
――最後に、この先のPassCodeについて考えていることを教えてもらえますか?
南:個人的な話になるんですけど、私はライブをたくさん観に行っていて、先月も11本ぐらい行ってるんですけど、私は毎回違うライブをしてくれるバンドが好きなんですよ。同じものを観てても飽きちゃうし、自分たちも毎回違うステージを作っていけるようなグループになれたら、みんなもっとライブに来たくなるんじゃないかなと思っていて。待たれるグループになりたい……っていうのもおかしな言い方なんですけど、いつでも
取材・文=阿刀“DA”大志 撮影=大橋祐希
PassCode 撮影=大橋祐希
2017.8.2 RELEASE
『ZENITH』初回盤
¥3,500 / UICZ-9097
1.Maze of mind
2.bite the bullet
3.all or nothing
4.ONE STEP BEYOND
5.Scarlet night
6.TRACE
7.Same to you
8.カタルシス
9.rise in revolt
10.Insanity
11.MISS UNLIMITED
12.Voice
[DVD]
MISS UNLIMITED -Music Video-
bite the bullet -Music Video-
ONE STEP BEYOND -Music Video-
ONE STEP BEYOND -Behind The Scene- *
ONE STEP BEYOND -Music Video-(Dance Shot Only ver.)
Same to you -Music Video-
Same to you -Behind The Scene- *
PassCode Asia Tour Docummentary in TAIWAN *
* with English subtitles
『ZENITH』通常盤
¥2,500 / UICZ-4401
1.Maze of mind
2.bite the bullet
3.all or nothing
4.ONE STEP BEYOND
5.Scarlet night
6.TRACE
7.Same to you
8.カタルシス
9.rise in revolt
10.Insanity
11.MISS UNLIMITED
12.Voice
2017年11月10日(金)東京都 TSUTAYA O-WEST
2017年11月11日(土)大阪府 OSAKA MUSE
2017年11月12日(日)大阪府 OSAKA MUSE
2017年11月16日(木)愛知県 ell.FITS ALL
2017年11月18日(土)石川県 vanvanV4
2017年11月19日(日)宮城県 darwin
2017年11月23日(木・祝)広島県 CAVE-BE
2017年11月25日(土)香川県 DIME
2017年11月26日(日)兵庫県 Harbor Studio
2017年12月2日(土)熊本県 熊本B.9 V2
2017年12月3日(日)福岡県 DRUM Be-1
2017年12月10日(日)京都府 KYOTO MUSE
2017年12月16日(土)北海道 DUCE SAPPORO