NIGHTMAREのYOMIこと淳(Vo)率いるTAKE NO BREAK、東京初ライブで見せた覚醒と決意
TAKE NO BREAK 2017.7.14 下北沢GARDEN 撮影=sentaro
淳 BIRTHDAY LIVE「Demonstration~壱~」
2017.7.14 下北沢GARDEN
シームレスに曲とSEをつないでいった本編。そうして、やってきたアンコール。そこでこの言葉を聞けたとき、フロアは大きな感動に包まれた。
「のちのちNIGHTMAREが復活するときに持って帰りたい。それで、NIGHTMAREってカッコいいんだよっていうのを見せたい。そのために、これから一歩一歩やっていくので、温かく見守って下さい。よろしくお願いします」(淳)
NIGHTMAREでハードなサウンドとダークネスを極めてきたあのYOMIとは、まったく違うフロントマンがそこにはいた。カジュアルなファッション。デジタルなダンスビートに気持ちよさそうに体を揺らしながら、なによりも本人が楽しそうに歌っている。2016年11月23日、東京体育館においてNIGHTMAREとして活動休止ラストライブを行なったあの日から約8ヵ月。NIGHTMAREのボーカル・YOMIが盟友であるU.K.(Gt)、塩谷朋之(Ba/ex.12012)、デスヲ(Dr/P.I.MONSTER他)に声をかけ、自らの本名である淳(Vo)という名前を表に出して結成したソロプロジェクト、TAKE NO BREAKがついにステージに姿を現した。
7月11日、淳の地元でもある宮城県・仙台MACANAでバンドとしての初ライブを行なってきた彼らは7月14日、淳の誕生日でもあるこの日、東京・下北沢GARDENに乗り込み、バンド始動2本目となるライブ『淳 BIRTHDAY LIVE「Demonstration~壱~」』公演を開催。当日は、TAKE NO BREAKのメンバーが絶大なるリスペクトを寄せ、ライブ当日に会場限定で発売していた彼らの初音源『BREAK THE LIMIT』でもマニピュレーター&マスタリングを手がけていたYOW-ROW率いるGARIをゲストに招いてのツーマンライブとなった。
トップバッターとして登場したのはGARI。彼らは下北沢GARDENにレーザーまで持ち込むという気合の入れようで、繰り出すレーザービームと一体となった破壊力あるエレクトロなデジタルノイズサウンドで、オープニングからフロアをこれでもかと圧倒。フロントマンのYOW-ROW(Vo,Prog)が「初めて観る人が多いと思いますが、みなさんも精一杯盛り上がって次のTAKE NO BREAKに繋ぎましょう」と挨拶した後は、アッパーな轟音ダンスビートが炸裂するパワーチューンを連発。多幸感を与えていく美しいレーザーの演出、ハイパーなのにダイナミックなバンドアンサンブル。視覚とフィジカルを徹底的に刺激していく圧巻のパフォーマンスで、フロアをアゲアゲにして次のTAKE NO BREAKに繋いだ。
TAKE NO BREAK 2017.7.14 下北沢GARDEN 撮影=sentaro
シンセが響き渡るEDMのボリュームが上がると、彼らの登場を待ち構えていたファンで最後尾まで埋め尽くされたフロアからは、待ってましたといわんばかりのハンドクラップが沸き起こる。パープルの照明に包まれたステージに、デスヲ、朋、U.K.がバンドタオルを頭上に掲げながら次々と登場。そして、最後にボヘミアンスタイルのファッションに身を包んだ淳がマウンテンハットを目深に被ってステージに現れると、ファンから歓声が上がる。“淳”と叫びたいのにまだ慣れていなくて恥ずかしくて叫べない。そんなもどかしさが手に取るように伝わってくるフロアに向かって、右手を上げた淳が舞台中央に構える。
オープニングは「ALBA」での幕開け。朋がイントロで手拍子を求め、その後「飛べー!」と叫ぶ淳の声が場内に響くと、オーディエンスは一斉にジャンプ。このバンドではヘドバンをすることもなく、淳は終始左右にステップを踏んだり回転しながらダンスビートに合わせて気持ちよさそうに体を揺らしている。次に始まったのは「Brave New World」。四つ打ちのエレクトロの中にテンポチェンジ、転調などヴィジュアル系っぽい要素が出てくるこの曲はファンにもすぐに馴染んで、場内一丸となったノリをどんどん作っていくと、淳が嬉しそうに「OK!」とフロアに声を投げかけた。
NIGHTMAREの頃に使っていたビブラートなどは控え目。声も張らず、歌い方をストレートに変えてきた淳。その分、曲中に声をダブルで重ねたり、エフェクトをかけたりというギミックを使って、NIGHTMARE時代にはあまり見られなかった形で彼の歌声が次々と加工されていくのは、聴いていても新鮮だった。
TAKE NO BREAK 2017.7.14 下北沢GARDEN 撮影=sentaro
曲が終わるとステージは暗転。“淳が最初にどんなことをしゃべるのか”とボーカルのMCにみんなの注目が集まるなか、スピーカーから爆音で流れてくる重低音バキバキのエレクトロなダブステップのSEは、まったく止む気配をみせない。そのSEに重なるように「Take my hand.」が始まると、「下北沢、飛べー」と淳が叫び、オーデェンスの頭上に鮮やかなレーザービームが走る。サビでU.K.と朋が力強いシャウトを入れていくと、それに合わせてオーディエンスも腕を振り上げて叫ぶ。そのあとはまだタイトルもついていない新曲を2曲続けて披露。最初に演奏した新曲はストレートな三連のバラード。ファンは“どうしようもない、何もできない”と歌う淳のせつない歌声に聞き入っていた。次に披露されたのはギターリフで引っ張る疾走感たっぷりのアッパーチューン。キメが多く、この曲もヴィジュアル系ファンにはすぐに馴染んでいた。
TAKE NO BREAK 2017.7.14 下北沢GARDEN 撮影=sentaro
こうして、エレクトロやダンスの要素がないシンプルなバンドサウンドでプレイする曲もあることを新曲2曲のパフォーマンスでファンにアピールしたあとは、さっきとは違うゆったり目のSEがスピーカーから流れ出す。それがどんどんBPMを上げていくと、朋がタオルを広げ“ここからいくぞ!”といわんばかりにフロアを鼓舞。そうして始まったのは、淳の歌から始まる「FiVE」。ここでは“みんなの願い”“5つの想い”という歌詞に賛同するかのように、ファンは腕を激しく振り上げた。そして「ラストいくぞー!」と淳が叫び、本編ラストの「BREAK THE LIMIT」が始まると、“今闇を解き放て”という淳の歌どおり、眩いレーザービームと照明に場内が包まれ、ステージとオーディエンスのテンションが見事一体となって、爽快で高揚感たっぷりのサウンドのなかへ解放されていった。
TAKE NO BREAK 2017.7.14 下北沢GARDEN 撮影=sentaro
観客から「淳!」と叫ぶ声も上がるようになって、迎えたアンコール。「今日、僕、誕生日を迎えまして。36歳になりましたー!」。アンコールで初めて口を開いた淳は、このバンドを結成するきっかけとなった“チーム神楽坂”からクロムハーツのキャップをプレゼントされ上機嫌。改めて朋からは「これからも楽しくずっと歌っていって下さい」、U.K.は「出会って8年。毎年お祝いできてて嬉しいよ」と話し、デスヲからは「おめでとうございます」という温かいメッセージが淳に贈られた。そのあと、淳が10月26日から始まる全国ツアーのスケジュールを発表すると、観客は狂喜乱舞。「次はワンマン! アルバムリリースして回るよ」と笑顔で伝えると、フロアから拍手が上がった。
TAKE NO BREAK 2017.7.14 下北沢GARDEN 撮影=sentaro
そして、冒頭に書いた言葉を伝えたあとは、本日のゲストであるGARIのYOW-ROWを淳が呼び込み、ダブルボーカルで「BREAK THE LIMIT」をパフォーマンス。ここでは、本編とは表情がまったく違う、気合が入りまくった歌でYOW-ROWが放つ強靭なボーカルへ果敢に挑んでいった淳。そのパッションに魅せられ、彼らが舞台を去った後もフロアはアンコールが鳴り止まない。それに応え、一人でステージに戻ってきた淳は「期待して待ってて下さい」と挨拶し、TAKE NO BREAKのライブは終わりを告げた。
この後、TAKE NO BREAKはアルバムを制作。それを掲げて、10月から初のワンマンツアー『2017 Autumn Oneman Tour「Demonstration」』を開催する。
取材・文=東條祥恵 撮影=sentaro
TAKE NO BREAK 2017.7.14 下北沢GARDEN 撮影=sentaro
2017.7.14 下北沢GARDEN
01. ALBA
02. Brave New World
03. Take my hand.
04. 新曲
05. 新曲
06. FiVE
07. Break the Limit
<ENCORE>
08. Break the Limit
Demonstration ~弐~
2017/10/26(木)仙台MACANA
11/03(金・祝)名古屋JAMMIN'
11/05(日)阿倍野ロックタウン(大阪)
11/11(土)下北沢251
発売中
FTTB-0000 ¥1,500(tax in)
<収録曲>
01. BREAK THE LIMIT
02. Brave New World
03. FiVE