山下健二郎インタビュー　EXILE TRIBE以外の俳優のためにウェルカムな体勢を作る『HiGH＆LOW』山王連合会・ダンを演じる心構え

俳優が歌を歌うこと、アーティストが演技をすることは、もはや珍しい時代ではない。ひとつの概念に捉われず、多くの才能に花を咲かすことも、また表に立つ人間に求められていることかもしれない。そんなふうに、山下健二郎はいくつもの顔を持っているのだろうと、ふと思った。山下は、三代目 J Soul Brothersのパフォーマー、舞台や映像作品に出演する役者、ラジオのパーソナリティーと、いまの時代にマッチするかのように幅広い活動を行っている。それでいて、「器用にこなす」というよりも、「ひとつひとつ心を込めて」向き合う姿が印象的だ。

特に、ラジオにて京都弁で楽しそうにしゃべる山下の明るい様子は、『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』（以下、『THE MOVIE 2』）で自身が演じているダンというキャラクターにそのままつながるよう。チームのムードメーカーで、常に仲間のことを考えるような男の役は、山下にとって「愛着が湧いている」存在だという。彼の軸のひとつである役者業の中で、ドラマ版から始まりシリーズを通して熟成させてきた特別な役について、物語について、捧げた気持ちを聞いた。

EXIRE TRIBE以外の俳優のためにウェルカムな体勢を作る

――山王連合会の中でもダンはムードメーカー的な役割ですよね。同じ役をずっと演じることについて、いかがですか？

愛着が湧きます。ダンに関しては、あまり自分と変わらない部分があるので、そのままの自分のポテンシャルで演じました。だから、役作りとかは全然苦労しなかったんです。やるにつれて、やっぱりなじんでくるし。山王連合会の絆や仲間意識もどんどん生まれてくるので、ダンはやればやるほど面白いですね。

――ドラマシリーズから入られていますけれど、当初の頃と『THE MOVIE 2』の撮影を比較して、変化はありますか？

山王連合会自体の仲のよさや、和気あいあいとした感じは常に変わらないです。作品ごとに監督は変わったりするので撮り方は違いますけど、基本的にスタンスは一緒です。あとは、それぞれ仲間が増えたり、グループに抜けたり、入ったりするっていうくらいですね（笑）。

――より絆が強くなった感じはありますか？

あります。絆というか、普通に元々仲がよかったメンバーなので、ずっと一緒にいるんですよ。空き時間も、撮影のときも、ずっとしゃべっているという感じで仲よくやっているんです。

――そのときも、やはり山下さんがムードメーカーで？

僕が引っ張っていくというよりも、本当に和気あいあいで、皆面白いんですよ。

――『THE MOVIE 2』では、山王連合会内でのかなりシリアスな場面もありますが、そのあたりは話し合いなどをされたんですか？

打ち合わせとかはほとんどしないんですけど、「どうやってやる？」と軽く話すことはあります。皆役者だし、作ってきているので「とりあえず、やってみよう」と、1回テストします。1回自分が作ってきたものを演じて、その空気感でいいときはそのままやりますし、監督に「こうしたほうがいい」とアドバイスをもらうこともあります。カメラワークですごく時間がかかるんですけど、僕らが演じている部分は割と一発OKが多いから、『HiGH&LOW』の撮影は意外にスムーズなんですよ。

――今回はメンバーのNAOTOさんも参戦していますよね。事前にお話はされました？

NAOTOさんのシーン、僕1回もかぶらなかったんです。現場でも1回も会わなかったし。なので、申し訳ないですけど、1回も話していないです（笑）。どういう感じだったかは聞きましたけど、特に絡みもなく……。すみません、話が終わっちゃいました（笑）。

――いえいえ（笑）。EXILE TRIBE以外にも、本作ではさらに豪華な俳優さんたちが登場されますよね。

本当に！『HiGH＆LOW』は年々人が増えているし、今すごいことになっています。でも、僕は基本的に全く人見知りをしないんです。

――全然しないんですか？

はい。なので、普通に誰とでも話します。EXILE TRIBE以外の方は、最初「入りにくい感じかな」と思われるかもしれないので、ウェルカムな体勢を作ったほうがいい作品になるのかなと思っていて。だから、なるべくいろいろな方と話すようにしています。

――本当にダンのようですね。つねに現場の雰囲気作りの意識をされているんですね。

いえいえ、ただ自分がほかの役者さんに興味があるんです。役者だけでやられている方の意見や、ほかの現場の話もいろいろ聞きたくて。けど、作品に限らずにいろいろな話をします。ここまで話をしておいてなんですけど、『THE MOVIE 2』に関しては僕は外部の方との絡みがないんです（笑）。山王連合会のほかのメンバーが『HiGH&LOW』以外の作品に出たときは「どうだった？」とか、気になるところは聞くようにしています。

――逆に山下さんの立場だと、アドバイスを求められたりしませんか？

アドバイス……どうなんすかねえ？　あまり偉そうなことを言えないので。皆、勝手に成長していると思うんですよね。今回の撮影に入る前に、僕と（町田）啓太と、（八木）将康でドラマ『Love or Not』をやったんですけど、全然違う現場にあのふたりがいてくれて、すごく頼もしかったです。ふたりがいてくれたからこそ、できたのかなと思います。

――『HiGH&LOW』シリーズは、男性ファンも多いですよね。同性として、どこに魅力があると分析しますか？

『HiGH&LOW』は男の世界なのかなと思うんです。その中で真っすぐな人たちの闘いもあるのでスカッとするし、単純にそれぞれ好きなグループができるのかなと思っていて。

――愚問でしょうけれど、山下さんはどのグループが一番お好きですか？

僕はやっぱり山王がすごく好き。アメカジを着て、ハーレーに乗っているだけで、すごくいいんですよね。バイクのシーンは特に好きです。グループとしてもすごく格好よくて、イケていると思います。男の子には、そういうところも観てほしいですよね。最近、そういう（車に乗らない）子とかも多いじゃないですか？がんがんマシンとかにも乗ってほしいなあ。バイクは格好いいし、男のステイタスとまでは言わないけど僕は好きなんですよね。映画ではノーヘルですけど、ちゃんとヘルメットをつけて走ってくださいね（笑）。

――『THE MOVIE 2』でも、すごく格好いいシーンがありますよね？

山王連合会が全員でバイクに乗っているシーンは、絶対に観てほしいです。山口県の橋を借りて撮影したんですけど、もうめっちゃ格好いいです。全員が大型のハーレーに乗って、フォーメーションを作って走ったんですけど、結構スピードが出ているし、実際に自分たちで運転しているので、圧倒されると思います。この作品に入る前に、全員が免許を取ったんですよ。

――すごく難しそうですよね。技術がいりそうです。

そうなんですよ、難しいんです。それをやらせてもらうのも、すごいなと思いますし。みんな、相当根性がないとできないと思うので、あの場面は絶対に観てください。

『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』は公開中。『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』は11月11日（土）より全国ロードショー。

インタビュー・文＝赤山恭子　撮影＝岩間辰徳