SuG 10年で培ってきた底力を発揮、ライブハウスツアーで見せたたくましい姿
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SuG 『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』2017.7.21 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU
2017.7.21 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
あがいたり、もがいたり。時に、それらは第三者からすれば単なる悪あがきのように見えるのかもしれないが、必死になって模索や試行錯誤を重ねていくことは、強い上昇志向を持っている人間に対して、芳しい影響を及ぼす可能性が極めて高い。
昨年5月、バンドの始動からいよいよ10周年を迎えるそのタイミングで、2017年9月2日に自身初の日本武道館公演を敢行すると発表したSuGが、このたび行なったのは『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』と題したツアーだ。
その5本目にあたるライブが行なわれたHEAVEN'S ROCKさいたま新都心での公演において、SuGが我々の目前で繰り広げてくれたもの……それは自らが生み出した気流に乗りながら、どこまでも上昇していこうとするたくましい姿だったと言っていいだろう。
SuG 『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』2017.7.21 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
このツアータイトルに組み込まれている、最新シングル曲「AGAKU」で威勢よく始まったライブは、SuGお得意のダンスロックを体現した「HELL YEAH」、ヒップホップの概念を彼ら流の独自解釈でバンドサウンドと融合させた「Black Party MonstAr」で、冒頭からいきなりのブチ上がりモードへと突入。しかし、それでいて……。
「今日で5本目になる今回のツアー『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』は、そのタイトル通りに最新シングル「AGAKU」に入っている曲たちと、今まであまりライブでやって来なかった昔の曲たちを織りまぜながら、皆に届けていこうと思っています。10周年のSuGだからこそ表現出来る、そして踊れるライブにしていきたいな。それでは、過去から今にかけて進化したこの曲で一緒に漂っていきましょう」
フロントマン・武瑠による挨拶代わりのこんなMCを受け演奏されだしたのは、2014年に発表されたアルバム『gr8 story』に収録されていた、彼らの持つスウィートなポップセンスが光る「milk tune.」。さらに、ソウルやファンクの要素が絶妙に織り込まれた「ZIG ZAG」でも、彼らはSuGならではの音楽に対する貪欲で飽き足らないそのスタンスを見せつけてくる。
SuG 『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』2017.7.21 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
「次にやる2曲は、昔だったら立て続けに並べたりするのは不安があった曲たちです。前だったら、きっと間にシングルの曲とか代表曲をはさんだりしていたと思います。でも、今日は2曲ともカップリングだったものではありますけど、今の自分たちが自信を持って届けられるものなので聴いてください」
かくして、この本編中盤ブロックではドラマー・shinpeiの刻むリズムと、ベーシスト・chiyuの生み出すベースフレーズが心地よいグルーヴを生み出していた「夏音-kanon-」。また、R&Bテイストの漂うバンドサウンドの中で小粋なフレーズをキメたmasatoと、エモーショナルなソロで魅了したyujiが、それぞれにエモーショナルなギターワークを披露した「契約彼女、生贄彼氏」を連打してみせたのだった。
SuG 『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』2017.7.21 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
ところで。これは本編後半でのMCにて判明したことなのだが、武瑠はこの日のライブを前に、埼玉県内にある実家に久方ぶりで帰っていたらしい。
「なんかね。実家の近くの本屋さんに行ったらさ、“SuG・武瑠はこの街の出身です!”って書いてある、ちょっと昔のポスターが貼ってあった(笑)」
このなんとも微笑ましいエピソードから、ご当地限定の話題ということで、ローカルTV局であるテレビさいたまの視聴者にしか分からない、“十万石まんじゅう”のネタでメンバーたちがひとしきり盛り上がる一幕も(笑)。だが、それと同時にここでは武瑠が秘かに抱えてきたのであろう葛藤までもが浮き彫りになった、というのがこの夜の大きなポイントであった気がする。
SuG 『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』2017.7.21 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
「実は、埼玉って個人的にはちょっと苦手だったんですよ。15歳までしか暮らしていなかったし、そもそも自分にとって地元なのか・地元じゃないのかみたいな感覚もあったというか。それに、これまではツアーの時も基本的に関東だと東京しかやらないで来たしね。しかも、ようやくやったと思ったら以前のここでのライブはSuGの10年の歴史の中でも、一番体調とか心のバランスの状態が良くなった時で、ここが自分の地元って言うのもはばかれるくらいのライブしか出来なかったんです……。そういう意味で、自分にとってはトラウマみたいなものがあったんですけど、今日はこの素晴らしい景色で皆にそれを塗り替えてもらうことが出来ました! ほんと、ありがとう!!」
こうして正直な胸の内を吐露した武瑠が、このあと本編佳境にてよりハジけたパフォーマンスを提示してくれたことは言うまでもない。実際、アンコールでのMCでも彼はこんなことを口にしていた。
「苦手意識があったこの場所で、こんなに凄まじい熱量を一緒に体感出来るような景色を作ることが出来て、皆のことをより愛おしく感じます。ほんとにありがとう。今日が終わると、武道館の前の最後のツアーも残り3本ですが、これは何も武道館のオマケっていうわけじゃなくて、ここで全力を出し切ってこそのこの後のSuGフェス、そして武道館だと思っているので、明日に向けて最高のバトンを渡しながら、最後にこの1曲を一緒に歌ってください」
ここで演奏された、凛とした力強さを持った「Smells Like Virgin Sprit」の響きは、ある意味で彼らの近しい未来を予感させるものだったはず。彼らなら、大丈夫。彼らなら、やってくれる。きっと、ここに居合わせた人々は誰もがそう感じたに違いない。
SuG 『39 LIVE ADDICT chapter2 AGAKU』2017.7.21 HEAVEN'S ROCKさいたま新都心
8月に入ると東名阪にて『39 LIVE ADDICT chapter3 SuGフェス2017』、ならびに9月2日に控えた『HEAVY POSITIVE ROCK』と題した日本武道舘公演。そのいずれの場においても、彼らならばこの10年で培ってきた底力を発揮していける! との確信を得られた一夜だった。
取材・文=杉江由紀
詳細 https://sug-web.jp/pages/sug_10thanniversary/#live3
・8月1日(火) 東京 SHIBUYA TSUTAYA O-EAST
[出演アーティスト]ミオヤマザキ/SILENT SIREN/Gacharic Spin/SuG
・8月5日(土) 大阪 梅田Banana Hall
[出演アーティスト]LSN/SMOKING ON BITTER MOON/SuG
・8月6日(日) 愛知 名古屋E.L.L(Electric Lady Land)
[出演アーティスト]LSN/SMOKING ON BITTER MOON/SuG
・8月8日(火) 東京 渋谷CLUB QUATTRO
[出演アーティスト]SHIN/GREMLINS/SuG
※未就学児童入場不可
※一般発売日:2017/7/22(土)〜
9月2日(土) 東京 日本武道館 16:00/17:00
詳細 https://sug-web.jp/pages/sug_10thanniversary/#budokann
[お問い合わせ]
ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00~19:00)
2017年7月5日発売
【LIMITED EDITION】CD+DVD / PCCA-04547 / ¥1,574+tax
DVD収録内容:「AGAKU」Music Video、「AGAKU」Music Video Making
【STANDARD EDITION】CD only / PCCA-04548 / ¥1,111+tax
<収録曲>
M1. mark
M2. AGAKU
M3. 赤春
M4. CUT