新たな境地のその先へ【DATS×向井太一 東阪ビルボードライブで対バンライブ】向井太一編

2017.8.3
インタビュー
音楽

向井太一

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ブラックミュージックをベースとしつつもカテゴライズできない多彩な音楽性を持ち、柔らかなビジュアルとは異なるソウルフルな歌声を響かせるシンガー・向井太一。モデルやファッションコラム執筆もこなし今各方面から注目を集める彼が、7/14に配信シングル「FLY」を発表した。「これまで朝や昼を感じる曲がなくて……」と話す彼が挑んだ太陽を感じさせる今作には、一体何か隠されているのか。

向井太一

――新曲「FLY」は、これまでの向井さんの曲とガラリとイメージが違いますね。

ですね(笑)。ボーカルは一番アナログっぽいというか……。曲の世界観をそのまま反映しています。特に何かをガッツリ変えよう! とは思ってなかったんですけど、今回サウンド面をLUCKY TAPESの高橋海君にお願いしていて。彼がデジタルとアナログのミックスが好きなアーティストなので、僕が今までやってきたデジタル色が強い楽曲というより、ちょっと生音に寄った新しいアプローチができればいいなと思って作りました。

――詞もいつもよりストレートな言葉が並びます。

今までは自分のことを歌ったり、受身の感情……、そのままでも受け入れていくよとか、そういう優しさみたいなものを感じさせる曲が多かったりしたんですけど、今回は応援歌で、ちょっと殴り掛かるくらいの熱さのある、鼓舞する曲にしたかったんです。だから話しているような伝わりやすい言葉にしています。

――ストレートで熱いというのは、向井さんのパブリックイメージと対極な感じも……。

そうですね。でも実は自分の中では全然自然な感じです。隠してるわけではないんですけど、今回がいつもよりそういう世界観や温度感が色濃く出ただけで、自分のコアな部分は変わってないですね。ただ見えた部分がいつもと違う面ってだけですね。

――なるほど。そんな熱い面を打ち出してみてどうでした?

気持ちよかったです! レコーディングとか実際にバンドと一緒に歌っているんですけど、今までと違った感じがしましたね。強くなった感じ(笑)。パフォーマンスも違った感じになってるんじゃないかな。今回、夏に合うっていう方向性でサウンドを作っていたので、そういう意味でも歌っていて元気になりますね。誰かに対して歌っている曲ではあるんですけど、自分自身も鼓舞するような楽曲になったと思います。言葉の力みたいなものも色濃いし……。今回はメッセージ性や歌詞の力も出せたんじゃないかなと思います。

向井太一

――確かに力強い。特に「Why don’t you think?」の部分が、ソウルフルな歌声で印象的です。一緒に叫びたくなる。

この曲はメロディ先行で作っていて、最初は適当な英語をはめて歌っていたんです。で、2バース目の頭で自然と(「Why~」が)出たんです。今までのデジタル色の強い曲を歌う前は、普通にバンドでブラックミュージック寄りの音楽をずっとやっていたので、どちらかと言うとそのソウルやファンクをやっていた時期のボーカルに戻った感じ。最近はどちらかというと、音楽的に感度の高い人に引っかかるようなアプローチをしていたんです。でも今回はもっと多くの人に広がるようにできればいいなって思って。

――もっと間口を広げたいという感じですか?

昨年、EPを発表して、次は何をする? って考えた時に自然にこういう方向になった感じですね。それは音楽をやっていたら絶対に考えることだし、同じことだけをやっていても自分が飽きちゃうので。

――そうですね。ミュージシャンの大きなテーマですよね。

僕がやってきた音楽、特にブラックミュージックはどちらかと言うとマイノリティで、全然音楽を聴かない人からしたら敷居が高くて理解するのが難しいと思うんです。あふれてはいるけどロックやポップにくらべると入口が狭い。ちょっと言い方は悪いかもしれないけど、偏見なくそういう音楽をどうしたら聴かせられるかっていうのを、昨年の活動を通して考えてました。で、自分のビジュアルと(音楽)のギャップだったり、音楽以外の活動だったりで、どういう方向からでも最終的に音楽にたどり着けば良いなと思ったんです。実際に、こういうジャンルは聴いたことなかったけど聴いたら好きになったと言う人も多くて。やっぱりそれは自分にしかできないことだし、今後もやっていきたいと思います。ただ今回はサウンド面で、どれだけ間口を広げられるかっていうことを意識して作りました。

――そんな姿勢で作った曲に、新たな反応はありました?

これは僕が勝手に思っていることなんですけど……。実はツイッターとかで、僕のことを呼び捨てで書いている人が多くて、それがすごく嬉しかったなと(笑)。今までは“向井太一さんの曲を聴いています”だったんですけど“向井太一のこの曲良いじゃん”みたいな(笑)。全然知らない人たちが発見して聴いてるっていうのが感じられるという。わかります? 例えば僕らが日本の先輩ミュージシャンを呼ぶ時、〇〇さんって言うけど海外のミュージシャンだと呼び捨てで呼ぶ、あの感じ。僕の知らない所で届いて広がった感じがしたんですよね。

向井太一 

――音楽が一人歩きしている証拠ですよね。ちなみにSNSの反応を気にして落ち込むことはありますか?

落ち込むとかよりは、次に何ができるかな? っていうのに意識をシフトチェンジするんです。そういう感情も『FLY』に入っています。なぜこうなっちゃたんだろう? 自分はなんでこんな感じなんだろう? なんであの人はああなのに自分はこうなんだろう? とか考えるより、君がその状況で今何ができるかを考えろよ! っていうメッセージ。これ実は、最初ある人に対してのものだったんですよね。実際その人に対しては僕はめちゃくちゃぶつかっていきます。それは相手のことを大切に思っているから何ですよね。

――そういう熱い部分が曲に出ているんですね。その熱に対してトラックは浮遊感があって程よくクールダウン。

いわゆるサマーチューンにしたくなくて。今作の新しいアプローチで、今まで自分の音楽を好んでくれた人たちをそのまま新しい所に持って行きたい。そういうのをミュージシャンとしては大事にしたいなと思ったんです。だから、たださわやかでハッピーな曲にはしたくなかったんですよね。

――ファンを置いて行かない。優しいですね。

たぶんひねくれてるんだと思います、僕が。天邪鬼なんです(笑)。真っ直ぐなことを真っ直ぐっていうより、ちょっといい意味でえぐみがあったりとか。例えば前作ならデジタルの無機質なサウンドに対して、生々しい人間の感情表現をのせるとか。そこを今回は、サマーチューン……さわやかな朝や昼を感じさせるサウンドに、どれだけ熱いメッセージを加えられるのか? っていうのを、自分自身が楽しみながらやっているんだと思います。歌詞なりサウンドなり、そういうどこか引っ掛かりがあるものをずっと作り続けていきたいですね。

向井太一

――引っ掛かりと言えば、先程少し話に出ましたがビジュアルと音楽のギャップです。

そうですね。僕、さっき言ったみたいに、ちょっと敷居が高いと思われている音楽を広げるために、もっとビジュアルイメージに“この人たち何をやってる人たちなんだろう?”っていうような神秘性を持たせたいんですよ。そういう意味でアートワークは(音楽のイメージと)全然違う風にしたんです。僕は自分で自分のことをJ-POPって言ってるんですよ。プロフィールにはR&Bがベースって書かれることが多いし、自分でもブラックミュージックがベースにあると思っているんですけど、ビジュアル面でR&Bを歌ってそうな人にはなりたくない(笑)。それが嫌いなわけじゃないし、僕が好きなミュージシャンたちはそういうビジュアルなんですけど、でも自分はもっとおもしろいことがしたいなって。ただそれは背伸びしてるとかではなく、自然なままなんですよね。

――無理はしないけど……。

セルフプロデュースはしてます。それはデビュー前から意識していたことですね。今、ネットやSNSがあってプロモーションのやり方はいくらでもあるし、誰でも有名人になれる。誰だって音楽ができるし、見つけられる。その中で何か引っ掛かるための棘みたいなものを、どう作っていくかを考えるのは不可欠ですよね。

向井太一

――そうですね。でもせっかく音楽とビジュアルのギャップを作って神秘性を持たせても、逆にネットやSNSでそれが薄れることも。

それはそれでいいんですよ。僕、ライブの時でもこんな(気さくな)感じなんで。最初にワンマンした時におもしろかったのが“実際に存在してたんですね”とか“本当にこの曲歌ってたんですね”とか言う人がいて、すごくおもしろくて(笑)。音楽を聴いてそのイメージを期待して実際に僕を見て驚かれても別にいいし、そこはどれも自分だからガチガチにしなくていい。例えば「FLY」の写真もサマーチューン感はないですよね。ちなみにこれ結構前に撮影したんです。曲に過去の自分を乗り越えろ! というメッセージがあるので、敢えて古い写真を使ったんです。

――そんな意味があったとは。

そういう仕掛けは、隠れてなり表だってなりいろいろやっていきたい。新しいこと、おもしろいことをしたいという気持ちが強いです。何をしていても僕は一番になるというより、唯一になりたいって思うんですよ。どんなシーンでもハマりそうだけど、実際そのシーンに行った時は異質でいたいというか。

――それ、大成功していますね。最後に間もなく行われるDATSさんとのライブについてですが、DATSさんとは交流があるということですが、向井さんから見た彼らの魅力は?

彼らはロックとクラブミュージックのミックスをしているバンドで、最新アルバムの『Application』もデジタルの配分が多いと思うんですけど、ライブでは熱くて男らしくて、デジタルだけどアナログ感も強いライブをするんです。おもしろいしすごくかっこいい。だから今回のライブは決まってすごくうれしかったですね。あと、今回会場はビルボードライブ。僕らのなかでは若手よりは、上の世代の人たちとか、ジャンルもどちらかと言うとアナログな音楽が多いイメージなんですけど、あの場所で僕らがどう見せることができるんだろう?っていう、誰もどうなるかわからない(笑)。

――作戦は(笑)?

ま、でも僕はもともとファンクとかジャズとか、どアナログな音楽をやっていたので、どこでもやれると言えばやれるというか……(笑)。だから今までの世界観を作りつつ、どれだけそれを大きく広げていけるか? というところですね。楽しみにしていてください。

取材・文=服田昌子 撮影=森 好弘

 
【DATS×向井太一@ビルボードライブ】
イープラスではビルボードライブでの8/6(日)東京、8/11(金・祝)大阪公演で

各公演5組10名様をライブモニターとしてご招待!

■8/6(日)ビルボードライブ東京
【1stステージ】開演17:00 【2ndステージ】開演20:30
https://creativesurvey.com/ng/reply/4d6558380f5b57069738dbf23784a3/?

■8/11(金・祝)ビルボードライブ大阪
【1stステージ】開演17:00 【2ndステージ】開演20:30
https://creativesurvey.com/ng/reply/542e80d739bac776560bfd5a228576/
 
 
 
イベント情報
DATS×向井太一
2017年8月6日(日)ビルボードライブ東京
1stステージ開場16:00 開演17:00
2ndステージ開場19:30 開演20:30
⇒詳細はこちら

 

2017年8月11日(金・祝)ビルボードライブ大阪
1stステージ開場16:00 開演17:00
2ndステージ開場19:30 開演20:30
⇒詳細はこちら

 

 

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