愛はズボーン×プププランド×THE BOSSS主催『SUMMERズボップくん2017』フラッシュバックレポート
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『SUMMERズボップくん2017』
『SUMMERズボップくん2017』7月23日(日)STUDIO PARTITA (名村造船所跡地)
関西の3バンド、愛はズボーン、プププランド、THE BOSSSが主宰する夏のイベント『SUMMERズボップくん2017』が、7月23日に大阪・名村造船所跡地PARTITAで開催された。2014年の初開催から今年で4回目となる同イベントには、関西のみならず関東からも若手バンドが集結。屋内のステージ「PARTITA」と野外の「ZBP stage」に分かれて、全10組がライブを繰り広げた。
『SUMMERズボップくん2017』開場中の様子
元々は上記3バンドがライブハウスで行なっていた企画イベント。いい意味でユルいDIY感がベースにあり、なんとも心地いい。すぐそばには海があり、工場が立ち並ぶ町にある造船所の跡地を改装した特異な会場。ライブハウスとも野外フェスともまた違った、ノスタルジックで開放的なロケーションが広がり非日常な時間がゆったりと流れていた。
『SUMMERズボップくん2017』賑わう会場
ひとたびライブが始まると、そんな開放的なムードにマッチしたメロウな楽曲から衝動むきだしのロックまで、生き生きとしたバンドサウンドが鳴り響き心躍らせてくれる。会場全体でみるとユルくて心地いいのだけれど、ライブ中は真逆。同世代のバンドが揃っているからこそ、負けじとバチバチに凌ぎを削りあうヒリヒリとした緊張感と熱気で包み込まれていた。その緩急がまた、刺激的で気持ちいい。
キイチビール&ザ・ホーリー ティッツ
神頼みレコード
トップバッターで登場したのは、初登場のキイチビール&ザ・ホーリー ティッツ。抜けのあるダウンビートにのせて“このまま朝まで好きに踊れよ”とご機嫌に歌い、高揚感のタガを外してくれる最高のスタートに。一方、野外のトップバッターは、神頼みレコード。地元関西のバンドであり、主催3バンドとも交流が深く、『ズボップくん』常連バンドでもあるから意地とプライドもきっとあったはずで、だからこそすごい気迫を放っていたのだと思う。魂を焦がすように青春パンクをぶつけ、「出来るやってみたいと思うのがロックンロールでしょ」だなんて歌われたら、いてもたっていられず胸がざわざわしてしまう。キイチのように、関西ではなかなか観られない勢いある東京のバンドが観られること。そして、仲間でありライバルだからこそ、下手なライブはできないという異様な熱を帯びたライブが観られる、という二つの醍醐味をのっけから痛快。両バンドとも、『ズボップくん』を象徴するようなステージで、イベントの幕を開けた。
Tempaley
ローファイ・サウンドでグッと引き込んだTempaley。そして、ストイックに音をならし場のグルーヴを練り上げていったドミコ。両組は、『ズボップくん』に刺激を受けて、千葉県・白浜の海辺でロックフェス「BEACH TOMATO NOODLE」を共催。Tempaleyの小原綾斗(Gt&Vo)はMCで、「いつか西のズボップ、東のビートマといわれるようになったら……」と志も露わに。
TENDOUJI
ナードマグネット
ツインボーカルをスイッチさせながら、野外に似合う常夏のグッドメロディを浴びせたTENDOUJI。ゴリゴリのパワーポップで会場の一体感をグンと高めたのはナードマグネット。須田亮太(Vo&Gt)が主催バンドたちが語る『ズボップくん』の事前インタビュー(https://spice.eplus.jp/articles/133380)を読んで、「今年で最後の開催になるかもしれない」と語られていたことに対して「純粋に続けてほしい」と、やりきれない表情をみせていたのも印象的だった。
DENIMS
野外のトリを務めたDENIMSは、一気に夜を深めてワクワクさせてくれるような新曲もちらっとお披露目したり、おかゆ(Gt)が鉄塔に登り、ギターをかき鳴らすハイライトも。踊ったり歌ったり手を挙げたり、それぞれ自由に、好きなように楽しむ観客たちの表情がなんとも清々しい。
スイカ割り
大縄跳び大会
ライブだけでなく、途中で観客参加型のスイカ割りや大縄跳び大会も開催された。『ロックイベントで大縄跳び大会?』と、観客も最初は戸惑うのかと思いきや、地元のお祭りに自ずと集まってきた仲間のごとくすぐさま一致団結して競技に参加。スイカを割っては歓喜。上手く大縄を飛べずに落胆……と、数百人が一喜一憂する光景はなんとも不思議で、とても温かかった。
愛はズボーン
例年まで、オオトリを務めてきた愛はズボーン。事前イベントで、プププとBOSSSと出順をかけたガチンコゲーム対決に負けて主催3バンドの中では一番先に登場。だからといって、他バンドに花を添えるなんてぬるい気持ちは毛頭なく。のっけからフルスロットルでバッキバキのライブをぶちかましていく。
追い打ちをかけるように、ライブを中断して事前にツイートしていた重大発表「フルアルバムの発売(11月15日)と主催フェス『アメ村天国』の開催(11月25日)」を観客に携帯でチェック&拡散させるユニークなサプライズ発表も。
プププランド
ストレートでセンチメンタルな歌詞を淡いサウンドで、しっかりと届けたプププランド。あくまでもマイペースに、だけど前のめりな気持ちが伝わってくるエモーショナルなステージングがジーンとくる。西村竜哉(Vo&Gt)と吉川淳人(Gt)がキスをする意味不明な展開に沸き立つフロア。
プププランド
はちゃめちゃだけど、聴かせるところはガツンと聴かせて引き込む。飲み込まれそうなほど解き放って、エモーショナルに歌いあげる様は圧巻だった。また10月20日(金)にオルタナの先輩、髭との対バンライブの開催も発表。
THE BOSSS
大トリはTHE BOSSS。初年度はまだ結成から間もなかったこともあり、オープニングアクトとして参加。それが今年は見事にこの大役を勝ち取った。愛はズやプププと神戸で出会い、共にシーンを盛り上げながら5年以上の月日をかけてようやくこのイベントを開催に至ったことを、感慨深さを噛みしめるように語っていたチヒロ(Vo&Gt)。そして、ついに大トリのステージにたどり着いた喜びと周りへの感謝など、込み上げてくる溢れんばかりの気持ちを歌に乗せ、興奮の沸点を突き上げていった。アンコールで再登場すると、12月10日(日)にキャリア初のワンマンを開催することを発表。バンドの勢いをそのままにこれから立ち止まらないように、この日の興奮を忘れないよう、多幸感がまぶしいドラマチックなステージでイベントを締め括った。
『SUMMERズボップくん2017』
どのバンドもシーンに流されることなく、自分たちの信じる最新型のロックで勝負する姿が痛快だった。来年の開催はまだ分からないにしても、全国各地のライブハウスを駆け回り、シーンにアクションを仕掛け続けることだけは間違いないはず。今後の闘いっぷりからも目が離せない。
取材・文=大西健斗 写真=日吉"JP"純平
日時:2017年11月25日(土) 11:00/12:00
会場:大阪府 大阪心斎橋アメリカ村周辺ライブハウス6会場
Pangea / DROP / FANJ twice / CLAPPER / BRONZE / digmeout ART&DINER
出演者:愛はズボーン / プププランド / THE BOSSS / DENIMS / ナードマグネット / 神頼みレ
コード / ドミコ / TENDOUJI / キイチビール&ザ・ホーリーティッツ / ...and more