『ガールズ&パンツァー』の聖地大洗『八朔祭』にいってきた
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大洗町『八朔祭』 2017.8.19-20 同町内各所
8月19・20日両日、アニメ『ガールズ&パンツァー』の舞台としてアニメファンに広く知られている茨城県大洗町で、大洗の夏の風物詩『八朔祭』が開催された。
同町で開催されるお祭りは数多くあるが、『ガールズ&パンツァー』との連携もあり、認知度が高いものには晩秋に開催される『あんこう祭り』と、春先に開催される『海楽フェスタ』があるが、『八朔祭』には作品との連携がなく、地元密着のお祭りだ。
今回は夏開催の『八朔祭』にスコープを当ててみた。理由は「ガルパンファンが集いとてつもなく盛り上がる"アニソンDJイベント"が開催される」という話を聞きつけたからだ。『八朔祭』の様子と含め、レポートをお届けする。
−いざ、大洗へ!
東京都心から高速道路を使って車で2時間と少しで大洗町に到着する。インターを下りて大洗方面へと向かうと、眼前にひらけた海が現れる。海沿いの大通りから市街地へ向かうと商店街が軒を連ね、店頭には『ガールズ&パンツァー』に登場するキャラクターの立て看板が目立つ。そして、作品のファン同士が店頭で交流している姿をそこかしこで見ることができる。さすが「ガルパンの街」だ。
今回、コスプレイヤーで『ガールズ&パンツァー』と「大洗の街」をこよなく愛する「かのよ」さん(https://twitter.com/kano4r)に案内のご協力をいただいた。
「西住みほ」の立て看板のある「坂本文具店」さん前で。店先にはこのようなキャラクターの看板が立っている
−まずは腹ごしらえ
昼食は海沿いにある『カキ小屋』さんでおいしくいただいた。自分たちで好きな素材を取り、それらの会計後、セルフサービスで備え付けのコンロで焼いて食べるスタイルだ。夜の食事のことも考えず、たらふく海の幸をいただいた。
セルフで備え付けのコンロを使って焼く浜焼きのスタイルだ
「あんきも」はとても大きいサイズだ。おいしくいただいた
−本日のお宿へ
今回お世話になる宿は『大洗磯前神社』の近くにある「いそや」さんだ。ここには『ガールズ&パンツァー』のファン交流のために任意の人たちにより作られた「ガルパン・ミュージアム in いそや」通称「うさぎ小屋(*1)」がある。無料で休憩することができ、ファン同士の交流の場となっている。
大洗磯前神社のすぐ近く「いそや」さん
「うさぎ小屋」内部
ファンの手によるイラストやグッズで埋め尽くされていて、作品愛を感じる
宿の方たちにも、とても親切にしていただきご協力いただいた。なによりも作品に対する愛情と、ファンに対するあたたかい気持ちを持っている方たちで、快適に過ごすことができた。
「いそや」の女将さんと「澤梓」ちゃんと。大変お世話になりました!
(*1)作中のキャラクター「澤梓」が所属するチームが「うさぎさんチーム」のため。
−前夜祭は荒天。翌日に賭ける。祈るように飲む。
夕方から突然の豪雨、そして停電と大変な荒天となったため、19日の予定はいったんキャンセルとし、翌20日の本祭に向けて早めに切り上げた。夕飯は「古民家居酒屋しゅんさい」さんでいただいた。ここは、作品のファンが集う場所としてもよく知られており、店頭には「島田愛里寿」の立て看板がある。お料理もお酒もとてもおいしく、つい食べ過ぎ、飲み過ぎてしまう。明日の晴天をみんなで祈り、しっぽりと一献傾けた。
古民家を改装した「居酒屋しゅんさい」さん
−本祭当日は快晴
明けて翌日は快晴からのスタートだ。午前5時くらいに目が覚め、大洗磯前神社の階段ダッシュを2往復行い「筆者が大事に思い愛する人たちが幸せでありますように」という思いを込めてお参りをした。
大洗磯前神社
たくさんのイラスト付き絵馬
どの絵馬も愛情がこもっている
−いざ、本祭へ!
商店街の歩行者天国が始まるのは午後3時からだ。ブランチを済ませ、本祭へと向かった。
地元密着のお祭りと聞いていたが、町外から来た人も多くいるように見受けられた。そこかしこで「おひさしぶり!」の声をお互いにかける姿を見ることができた。
海の幸もたくさんあり、屋台の定番もあり、本当にバラエティ豊かで各商店が趣向を凝らしたものを準備して、来てくれた人を楽しませようという雰囲気を作っていると感じた。その気持ちに全力で応じねばなるまい。五感で堪能し尽くそう。
・定番の「みつだんご」を食す
まずは、みたらしだんごとは少しだけ違う、大洗名物の「みつだんご」をいただいた。しょうゆ味ではあるものの、甘いとしょっぱいの区切りでいうと「甘い」側に軍配があがる。
かのよ:もう一本食べていい?
と言うくらいおいしいので、大洗を訪れた際にはぜひご賞味いただけたらと思う。
「味の店たかはし」さんの「みつだんご」
お店の前でいただきました、ごちそうさまでした
・エスニックな料理
大洗には外国人の方も多く居住しているため、香辛料のいい匂いがあふれる料理の屋台も設置されていた。中身がなにかよくわかってはいないものの、注文してみることに。
かのよ:なんだか外は弾力があるけど、中はとてもおいしい。
商店街にはエスニックでスパイシーな料理店も軒を連ねているので、今度訪れた際には店舗で食してみたい。
「小麦粉と野菜と肉」という説明を受けたもの
少し辛いソースとあいまって美味だった
・電動戦車道
電池で動く戦車どうしで戦いが繰り広げられていた。とにかくみなさんが戦車を愛していることをひしひしと感じる。
みなさんとても楽しそう
・痛車も盛りだくさん
キャラクターや作品のモチーフを自動車にラッピングし、作品やキャラクターへの愛情やリスペクトを表現する「痛車」も、たくさん訪れていた。
あんこうさんチーム
・流しソーメン会場は地域内外の交流の場
午後4時から「流しソーメン」を行うという張り紙を見たため、早速会場に向かった。ちょうど設営中で、お神輿が通過した後「流しソーメン台」を道路の中央にその場にいた人たちで移動し、いよいよスタート。
総出でいざ出陣
ご年配の方たちから「流しソーメンをじょうずにすくう方法」を伝授していただいたところ、大量に確保できるようになった。地元の人も、町外からの訪問者も相互にコミュニケーションを取ることができるいい催し物だと感じた。
エンターテインメント性抜群で大盛り上がり
流しソーメンご馳走様でした
ーいよいよ「アニソンDJイベント」へ向かう
お祭りを堪能していたら、すぐに夕暮れ時になった。小雨がぱらついていたものの大きな天候の崩れもなく、午後7時から開催される「アニソンDJイベント」に足を向けることに。
会場に到着し、午後7時を少し回ったところで、イベントがスタートした。『ガールズ&パンツァー』の劇伴曲だけでなく、さまざまな種類のアニソン、年代も新旧織り交ぜた構成で、約400人のオーディエンスで埋め尽くされた特設ステージを熱狂の渦に巻き込んでいた。
出演者は主催の「R-yu@more」、レギュラーの「添田大臣」と「上海静岡」、そしてゲスト招聘された「DJブルーマンデー」の4名。それぞれに大洗に関するバックグラウンドがある人物で、DJ活動を継続している。主催のR-yu@moreは地元生まれ地元育ち。大洗に対する愛情と強いリスペクトを持った熱い男だった。この思いが、オーディエンスにも強く刺さっただろう。
DJのプレイに対して熱狂するオーディエンス
緩急織り交ぜたプレイだった
ここは大洗、東京ではない
がっちりとフロアをロックしていた
堂々たる大団円を迎える
東京では味わえない雰囲気だった
東京では屋外のアニソンDJイベントは大型のものはあるが、地域の祭事に合わせた催しは希少ではないだろうか。『八朔祭』のアニソンDJイベントは、地域の人が「アニメ」や「ゲーム」などのサブカルチャーに理解を示し、さらに「DJイベント」というものにも理解を示し、お互いにいい関係を築いてきたからこそ実現できるものだ。繰り返しとなるが、これらのような理解があるからこそ「『ガールズ&パンツァー』を愛する人たち」そして「大洗の街自体に魅了された人たち」が集まり、熱量を放出し、一体感が生まれている。
この場に集まった人たちもさまざまなクラスターの集合体で、普段アニソンのかかるクラブイベントに遊びに行かない層や、音楽軸ではなくアニメ中心のファンも混ざっていたことだろう。その人たち全員が、同じ場所で楽しめるイベントというのは、本当に稀なのではないだろうか。
「ガルパンファンが集いとてつもなく盛り上がる"アニソンDJイベント"が開催される」という話は、間違いなく本当だった。東京や大阪などの大都市圏ではなく、大洗でこの熱量を放出できていることに驚きを隠せなかった。いま、地方が激アツなのかもしれない。そういう時代になっていくのか、今後も動向を見据えていきたい。
取材・文・撮影=Kiyotaka Ise(まつり)
日時:2017年8月19-20日(土・日)(終了)
会場:茨城県大洗町 町内各地
出演者:R-yu@more, 添田大臣, 上海静岡, DJブルーマンデー 他