ゾンビだけじゃない!ノンストップで疾走する男気に感染せよ 映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』キャストの魅力

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2017.8.31
 (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

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9月1日(金)に日本で公開される『新感染 ファイナル・エクスプレス』(以下『新感染』)は、疾走する高速列車の中で爆発的に増殖する“感染者”たちの群れの中、父と娘、妊娠中の妻と夫、高校生たちが懸命に生き延びようとする姿を描くサバイバル・パニック・アクション映画だ。全世界で約100億円(BOX Office Mojo調べ)のヒットを記録している本作は、ゾンビの恐ろしさもさることながら、その脅威に立ち向かう男たちの演技バトルも熱い。ということで、本作で父と子のヒューマンドラマを牽引したコン・ユ、マ・ドンソクらの軌跡と俳優としての魅力に注目してみよう。
 

癒し系青春スターからアクションもこなす骨太俳優へ進化 コン・ユ

コン・ユ (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

コン・ユ (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

1979年7月10日、プサン生まれのコン・ユはTVドラマ『コーヒープリンス1号店』(07年)のイケメンカフェ社長役で大ブレイクした。 「ロマンチックガイ」という愛称をつけられもしたが、本人はアイドル路線をバッサリ斬り捨て、翌年、人気絶頂のさなかに兵役へ。この時期の入隊について「軍隊は活きた経験であり、2年間が空白だったとは全く思わない。多くの人に出会い、自然と演技の勉強になった」と振り返り、実際その兵役中に転機となる運命の作品と出会う。指揮官から昇級祝いに贈られた1冊の本『トガニ 幼き瞳の告発』である。ろう学校の生徒たちが校長や教員から性的虐待や暴行を日常的に受けていたという実話事件を読み終えたコン・ユは映画化を熱望。2011年の映画公開をキッカケに韓国民は怒りのトガニ(=るつぼ)と化し、権力者たちにワイロを贈って無罪放免になっていた加害者にはやり直し裁判で懲役12年の実刑判決が下され、さらに性暴力犯罪を厳罰化する通称「トガニ法」の制定まで実現させた。ひとりの俳優の熱意から生まれた映画が国家の法律を動かしてしまうとは、なんとも凄いことではないか!

『トガニ 幼き瞳の告発』予告

 

そして次に選んだ主演映画『サスペクト 哀しき容疑者』(13年)では、体脂肪率5%前後の肉体を作り上げ、“アクションスター コン・ユ”へと見事にトランスフォームするのである。妻子を殺された北朝鮮の元工作員が、復讐を遂げようとする“追跡者”であり、殺人事件の“容疑者”として孤立無援の戰いを強いられる。彼を消そうとする刺客に対し、護身ではなく殺傷を目的とした近接格闘術を繰り出し、血肉を削る本能のリアルバトルを見せる。なかでも、首を吊られたまま後ろ手に縛られた肩を無理やり脱臼させて脱出を試みるなんて、尋常ならざる激痛がゴリゴリと伝わってきて、私の呼吸と鼓動は一気に乱れまくってしまった。

コン・ユ (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

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『新感染』でコン・ユが演じたのは家庭を顧みず仕事一筋の父親ソグ。仕事を理由に家庭を顧みず結婚生活は破綻させ、娘の誕生日には以前贈ったゲーム機と同じ物を買ってきてしまうダメな父親だ。逃げ場のない列車内で生死をかけたパニックサバイバルに直面した彼は、これまで娘に寂しい思いをさせてきたことを償うかのように、包容力に満ちた力強い父性愛を全身に目覚めさせていく。

『密偵』予告

 

本作でついに “観客動員数1,000万人突破スター”となったコン・ユは、2016年だけでも、カンヌ映画祭女優チョン・ドヨンと紡いだ禁断のラブストーリー『男と女』、国民的俳優ソン・ガンホとの念願の初共演作『密偵』、百想芸術大賞TV部門 男性最優秀演技賞に輝いたTVドラマ『鬼<トッケビ>』に立て続けに出演し、メディアから「コン・ユの時代だ」と賞賛された。その勢いは今後も続いていくことだろう。

 

主役を食う“シーンスティラー” コワかわ俳優「マブリー」マ・ドンソク 

マ・ドンソク (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

マ・ドンソク (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

1971年韓国に生まれ、18歳から家族と共にアメリカに移住。大学で体育学を専攻し、格闘家の専属トレーナーやボディビルダーとしての道を極めつつ30代で俳優へ転身という異色の経歴を持つ。鍛え抜かれたモムチャン(筋肉)体型、相手を威圧する鋭い三白眼、ドスの効いた野太い声。三拍子揃った“ザ・悪役キャラ”ゆえに、ウエスタン活劇『グッド・バッド・ウィアード』(08年)ではイ・ビョンホン演じる“悪い奴(バッド)”の三番頭(さんばんがしら)みたいな武闘派ポジションが良く似合っていた。その一方で、韓国版ゴッドファーザーと例えられる男クサい骨太映画『悪いやつら』(12年)では、“武道家なのに大して役に立たない憎めないヤツ”といった役どころでも大いにインパクトを与えた。

『群盗』予告

 

『悪いやつら』のユン・ジョンビン監督は、マ・ドンソクへの“みそぎ”としたのかは定かではないが、ヒーローポジションとは無縁だった彼に、アクション史劇『群盗』(14年)でとっておきのポジションを与える。同作でマ・ドンソクは義賊の怪力ケンカ番長を演じ、「困った時のマ・ドンソク頼み」と思わせるカッコいい存在を体現。惚れた女に振り向いてもらおうと懸命にアプローチし、口臭にも気を配り、劣勢の戦いのなかでは迷うことなく彼女を守りぬく。「殴ったり破壊したりするのは精神的にキツい。本当は恋愛演技もできるガラスのハートなのにね」とは本人の弁だが、そういえば『群盗』の共演仲間は優しい性格の彼を「ヌナ(お姉さん)」と呼んでいたっけ。豪傑に見えて、芯は優しい。それがマ・ドンソクの真骨頂といえよう。

マ・ドンソク (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

マ・ドンソク (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

『新感染』では、赤ん坊の誕生を心待ちにする愛妻家・サンファを演じたマ・ドンソク素手でゾンビ軍団を次々なぎ倒したかと思えば、大好きすぎる愛妻に駆け寄ってデレデレした笑顔を向ける。三白眼をハート目にした天使の眼差しは、『群盗』(14年)でも披露した“愛する女性のためなら何が何でも全身で守り抜く”という究極の愛情表現と同じく、観客の涙腺を震わせていく。ムキムキの腕でお姫様抱っこを楽々とこなすワイルドっぷりと、純真な人柄の両面にギャップ萌えした感染女子が韓国で増殖した際、ファンが名付けたニックネームはマ・ドンソク+ラブリーで「マブリー」!本作を鑑賞して以来、私が電車に乗る際は少しでもマブリー似のタフガイの近くに立つよう心がけていることは言うまでもない。
 

映画『怪しい彼女』シム・ウンギョンの“憑依演技”に注目

シム・ウンギョン (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

シム・ウンギョン (C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights Reserved

肩の関節を自在に動かす「ボーンブレイクダンス」と呼ばれる独特の動きをモチーフに、映画の序盤でゾンビを体現化したのは、20歳の姿になったおばあちゃんの青春コメディ『怪しい彼女』(14年)で大旋風を巻き起こした若手No.1女優シム・ウンギョン。

『怪しい彼女』予告

 

恐怖と高揚を一気に上昇させる憑依演技を目の当たりにした観客のなかには、あまりの変貌ぶりに彼女だと気づかぬ人も多かったという。列車を大パニックに陥れる第一感染者のこの女性は、どのような運命をたどり、発車直前のこの列車に走り込んできたのだろう。その真相は『新感染』の前日譚となる長編アニメーション『ソウル・ステーション パンデミック』(ヨン・サンホ監督/17年9月30日 日本公開)で明らかになるのだが、アニメーションで声優を務めたシム・ウンギョンが、同じ役柄のまま本作に実写で登場するというキャスティングが凝っている。

「パニック」「サバイバル」「アクション」そして「人間ドラマ」── あらゆる醍醐味が濃厚に詰まった本作を通し、俳優たちの魅力にも感染する人が増殖していくことだろう。

 

映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』は9月1日(金)全国公開。

作品情報

映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』

(2016年/韓国/118分)
英題:Train to Busan
監督:ヨン・サンホ「The King of Pigs」(2012年カンヌ国際映画祭監督週間正式出品) 
出演:コン・ユ(『トガニ 幼き瞳の告発』『サスペクト 哀しき容疑者』)、チョン・ユミ(『ソニはご機嫌ななめ』『三人のアンヌ』)、マ・ドンソク(『殺されたミンジュ』『群盗』) 
(2016年/韓国/118分)
配給:ツイン 
公式サイト http://shin-kansen.com/ 
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