G-FREAK FACTORY × HAWAIIAN6が対談&こんにゃく作りに挑戦!「こんにゃくも、バンドもフェスも一緒」
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HAWAIIAN6・HATANO / G-FREAK FACTORY・茂木洋晃 撮影=風間大洋
昨年、『山人音楽祭』の初開催前に行った対談内でG-FREAK FACTORY・茂木洋晃と四星球の北島康雄が対談した際、ケータリングについて群馬の名産であるネギとこんにゃくが話題に上り、最終的に“ネギとコンニャク魂でフェスをやる”という発言が飛び出したのだった。
筆者はあれから1年経った今もこのワードがなんだか忘れられず、茂木が地元・群馬に抱く愛憎織り交ざった感情とそれでも背負って立つんだという気概がジワッとこもった、とても良い言葉だよなぁ、なんて思っている。なので、今年の第2回『山人音楽祭』を盛り上げる事前企画で何をするか?という話題になったとき、茂木に「こんにゃく作りなんてどうでしょう?」とダメ元で提案してみた。そうしたらなんとOKであった。しかも、長年の盟友HAWAIIAN6・HATANOまで参加してくれることになった。レベルミュージックの旗手でありフェスの主催者でもあるバリバリのロッカー2人が、こんにゃく作りに心血を注ぐ。混ぜ、こね、茹でる。マジか。
ということで、8月某日、群馬県の下仁田町に集まった一同による“夏休み”。我々の想像をはるかに超える奥深さと面白さ、美味しさ、そして音楽活動にも通じる発見があったこんにゃく作りの様子と、その後行った熱き対談を、動画とテキストにてお伝えしたい。
――こんにゃく作りを終えて、まずは率直にどうでしたか。
茂木:いやぁ、一言で言えばすごく良い企画だった。(『山人音楽祭』も)こんにゃく推しでいいんじゃないかって思えるくらい、今はこんにゃくにヤラれまくっている状態(笑)。本当に素晴らしい。
HATANO:大人になるとさ、こういう冒険心があることって減るじゃん。そういう意味でもよかったよ。土地の名物と触れるっていう冒険をこの歳になってさせてもらえるなんて、すげえ良い企画だった。
――読んでいる方に一応説明しておくと、何故こんにゃく作りなのかといえば群馬の名産だからであって、何故群馬なのかといえば『山人音楽祭』に向けての事前企画だからなんですけども。HAWAIIAN6は前身の『GUNMA ROCK FESTIVAL』時代からの盟友ですよね。
茂木:皆勤賞だからね。もっと言えば『GUNMA ROCK FESTIVAL』に行き着く前の時代から、ずーっと一緒。
HATANO:FLEEZ(高崎のライブハウス)の頃からね。
茂木:一緒に結構無茶な、ライブハウスで360°お客さんがいるフロアライブとかやり始めて。
――それはいつ頃だったんですか?
茂木:いつだろう? もう、10年――
HATANO:俺たちが出禁になった頃だからね(笑)。
茂木:そうそう。俺らが出禁になって、ハワイアンは出禁じゃないんだけど行かなくなってさ。数年あそこには出てなかったんだけど、戻る時には絶対にハワイアンと一緒に帰りたくて。まぁハワイアンには相当迷惑かけたんだけど、それがきっかけで『GUNMA ROCK FESTIVAL』みたいな無茶をやり始めたんだよな、考えてみれば。……だから良かったなって。何回かやり続けていくうちに出禁も解けたし。
HATANO:いやぁ、そのあたりの話はしだしたら止まらないくらい色々あるから(笑)。
茂木:それだけで前編/後編いけるよな。
――それもすごく気になりますけど(笑)、その時代からお付き合いしてきて、昨年には第1回の『山人音楽祭』がありました。昨年を振り返るとどんな感想を持ちました?
HATANO:自分がバンドを始めた頃に比べたら10倍とか100倍の数のフェスがあると思うんだけど、その中で根本が変わらないフェス――自分たちが思い浮かべてたような、俺たちが憧れていたフェスが今の世の中にたくさんあるわけではなくて、そんな中で「これなんだ」って言える数少ない存在が『山人』で。毎回、何時にどこのステージでやるかなんて気にしたこともないし、あのイベントに出れるっていうことがずっと楽しみなだけ。
だからやり続けてくれてることがすごく嬉しいし、毎年改善しながら痒いところに手を届かせて、もっとこうしたい、もっと広めたいっていう繰り返しでどんどん大きくなっているのを露骨に感じるから、それがまた嬉しい。やっぱり1年目が終わった後のG-FREAKのメンバーの「ちっくしょう」みたいな悔しい顔は忘れられなかったから。
茂木:あったねぇ。
――そのHATANOさんが憧れていたフェスって具体的にどのようなものなんでしょう。
HATANO:すごく夢のない話かもしれないんだけどさ、キャパを1万人に設定したイベントが1万人を呼ぶためのイベントになっていくことが俺は一番嫌いで。その1万人に対して自分たちのやってきたことをプライド持ってやって、結果は全部受け止めるっていう腹のくくり方をしているのが『山人』で。プライドありきで始まって、そこにあるキャパに対してどう戦っていくのか?みたいなことをやっているのが、俺は一番かっこいいと思う。
バンドって、「これってうまくいくのかな」「うまくいかねえかもしれないな」って思うギリギリが一番面白いし、それが一番やりがいがあって俺は好きだから。ただ、主催者の気持ちになったときには、すっげえ胃が痛いのもわかるし、赤字になったら……とかあるけど(笑)。でも昔言ってたもんな、「赤が出たらみんなでいっぱいライブハウスでライブやりゃいいじゃん」みたいなことを。それでも止めちゃいけないよっていう話はずっとしてるかな。
茂木:そうだね。
HATANO:これだけイベントがある中で、それぞれの色を出してそれが円滑に回るってすっごい難しいことなのはわかるんだけど。
茂木:まぁ、参加する側は選ぶからね。その特色だったりを。いわゆる……依存している人たちもめちゃくちゃ多くて、特にバンドや音楽に対してのライトユーザーの人たちって、雰囲気とかイメージで動く人がめちゃめちゃ多いと思うんですよ。でもその人たちのイメージを全部ぶっ壊せたり、逆に作り上げることができるのがフェスだと思っていて。
こんにゃくを作って思ったのは、こんにゃくって製品でしか見たことがなくて、こんな風にできていて、こんな風に手間がかかっていて、こんな形をしていていうことは、触ってみないと分からない。当たり前のことなんだけど、それをかなり端折った状態の上で生きているから、俺たちは。
『山人』をやったことで「こんなところに美味しいお店があったんだ」って初めて知ることもあるし、皮肉なことに、群馬に暮らしてる自分がいかに群馬を知らないのかっていうことをフェスを通して分かるっていうかさ。
こんにゃくにしても、こんなに美味いんだったらみんなに食ってもらいたいって、要は惚れたわけじゃないですか。そういうことが、見えないだけで本当は身の回りにもたくさんあるっていうことを知るのも、フェスのあり方なんだと思う。だからできる限りインスタントなものじゃなくて、しっかり手垢のついた熱量のあるものが増えていくことを望んでいるっていうね。
HATANO:こんにゃくもさ、考えてみればバンドと変わらない部分があったじゃん。俺、作ってみて思ったんだけど。
茂木:あぁー。
HATANO:バンドだってYouTubeとかネットだけで観れちゃうけど、それだと伝わらないんだよね。温度とか空気は行った奴にしかわからない。こんにゃくも、自分で手を突っ込んでみて初めて、こんなに美味くてこんなにやり甲斐のあるものなんだってことがわかった。バンドのライブもフェスも一緒で、噂で聞いたとか結果だけ見たとかじゃなくて、行って感じてみて、知らねえバンドとか観て、初めて「こんなすげえやつがいたんだ!」っていう驚きと感動があるっていうか。そう考えたら、こんにゃくとバンドはすげえリンクしてた。
G-FREAK FACTORY・茂木洋晃 / HAWAIIAN6・HATANO 撮影=風間大洋
――まさにそうですね。……僕はそこまでの効果は想定せずに企画しましたけど(笑)。
茂木:そうでしょ? だからハードルはめちゃ低いんだって。こんにゃくをナメてたっていうか、「どうせこんな感じだろう」って思っていた、その「どうせ」を圧倒的に超えるわけ。一瞬で「おおー、すげえ!」って、憶測を超えていくっていう、そこもバンドに似ている。
――よくわかります。
茂木:情報は人に届きやすい時代になったけれども、今度はその情報を現場が超えていかなければいけなくて。そこの勝負だと思うんだよな、ライブは。結局はライブハウスでやっているガチンコみたいなものがどんどん大きくなればいいなと思うし、そういう場所でありたいな。『山人音楽祭』は。
――そういう点で言えば『ECHOES』も。
茂木:『ECHOES』なんてもう、その最たるものだよ。
HATANO:思っていることは一緒なんだよ、根っこは。表現の部分では違うところもあるけど、そうじゃなかったら2つ存在する意味がない。だから、二極化っていうわけでもなくて、同じ色だけどちゃんと別れているものを提示できてるかなって。俺は『山人』に限らず、世の中にあるものに対して、他に無いもの、自分たちにしかできないことを一個残せればいいと思っていて。『ECHOES』は俺たちにしかできないものであればそれでいい、そういうイベントかな。よくイベントの主催者に「『ECHOES』は良いですね、他のイベントと全然色が被らないじゃないですか」とか言われるんだけど、被れるもんなら被ってみろ! あのメンツを仕切るの、どれだけ大変か分かってんのか!(笑)と。
茂木:もう楽屋に入れないもんなぁ(笑)。
HATANO:そうそう。俺たちはあれでいいと思うし、『山人』は『山人』の姿でいいと思っていて。自分たちがライブを観に行ってワクワクしていたガキの頃には、選択肢が多ければ多いほど嬉しかったし、そういう風にあり続けていけたらいいんじゃないかな。
茂木:だけどさ、今は「観たことないから観ない」っていう人の方が大多数だと思うんだよ。俺は逆に観たことないから観たいっていう考えで。ガキの頃からね。名前も知らないバンドが群馬に来るってなったら絶対観に行ってやろう、どんなライブしてるんだ?って思ってたんだけど。そこが逆になってるんだよ。
HATANO:もったいないよなぁ。
茂木:もったいないね。おそらく楽しみ方的に、曲を知ってないと楽しめないって錯覚してるんだと思う。初期衝動なんて予習も復習もない、今日のこんにゃくみたいなもので。ドカッて喰らってしまうのは予習も復習も何もない時だから。
HATANO:わざわざお金を払ってライブを観に来てもらう以上、主催してる側としては自分の惚れ込んだバンドやルーツになったバンド達を一個でも多く楽しんでもらって一個でも新しい出会いを、と思って毎年組んでるわけ。で、一番観ていて嫌なのは、ライブハウスとかホールの通路で寝てる人とかいるでしょ?
――見かけますね。
HATANO:疲れちゃうのもわかるんだけど、「いや、この寝てる時間にやってるこの音が、あんたの人生を変えるかもしんねえバンドだぜ」っていっつも思う。同じ2000円とか3000円払ってて、そんなチャンスが目の前に転がってるのに、曲がわかんないから観ないとかさ……俺、MCで言うんだけど「だったら生まれた時からビートルズを歌えた奴っていんのかよ」って。
茂木:うんうん。
HATANO:世界のみんなが知ってるバンドでさえ、初めましての日はあったはずだし、それってCDのセールスが何億枚だから知るべきだとかじゃなくて、その初めましての音楽がアニソンなのかメタルなのかレゲエなのかわからないけど、自分で感じてみなきゃ何が自分にとっての一番なのか分からないんだよ。そこを欲張らなかったら、人生もったいなくない?って思っちゃう。そういう意味では何十バンドも出てるイベントなんて、まさにチャンスだと思うわけ。
――さっきのライトユーザーの話にもつながりますね。
茂木:本来はそのライトユーザーに支えられてるはずなんだけどね。ただ、そのライトユーザーに合わせたものをやったら、多分ブレるんだよ。なんでかっていったら、合わせはじめたときにはもう遅いから。そうするとずっとそれを追いかけたままで終わってしまうし、みっともない姿を見せることにもなってしまう。だから、いろいろ分かった上でパイオニアでいたいというこだわりはあるよ。……超おっかないし、ずっとジレンマと葛藤はあるけど、信じたものをやっていればいいんだと思う。
HATANO:今、何万人を震わせる音楽をやってる人っているけど、その人たちだってスッカスカのライブハウスでやっていた時代もあって。だから、ハナから評価された音楽なんてひとつもない、俺たちが出会ったのだってまさにそんな時代で、それでもお互いにかっこいいと思った。だから、大きなものを抱えてる人が必ずしも一番ではなくて、観客ゼロのバンドの中にも感動的な音楽はいくらでもあるんだよね。それを貪欲に探すともっと面白かったりするから、そういう場は作りたいよね。
茂木:うん。だからフェスがそういうチャンスのある現場であってほしいと思うよ。それこそ10分や20分で人生が変わることだって本当にあるかもしれない。いい意味でも悪い意味でもね(笑)。
HAWAIIAN6・HATANO / G-FREAK FACTORY・茂木洋晃 撮影=風間大洋
――発見っていう点でいうと、『山人』にはMCバトルがありますよね。普段ロックばかり触れている目と耳には未体験の驚きでしたけど、あれはどういう背景で始まったんでしょう?
茂木:MCバトルに関しては、俺はNAIKA MCがきっかけで見るようになったんだけど、本当にすげえなと思って。過去にこんなの見たことないっていう初期衝動を感じて、そのことをNAIKAに話したら「やらせてください」って切り盛りしてくれるようになった。そこにバンド代表としてロットンのN∀OKIに出てもらおうと……あいつ普段からずっとしゃべってるし、俺らの周りでは一番しゃべりに長けてるあいつがそういうところにピンで出て行くことなんて他に無いだろうと思って頼んだら、二つ返事で「それはやってみたい」って言ってくれて。……「今年はもうちょっとしっかりやってくわ」って言ってたけどね。去年は会話になってなかったからなぁ、相手が言ってきたことと全然見当違いのことを言い始めちゃったりとか。明らかに酔っぱらってる奴が、近鉄バファローズの帽子かぶって(笑)。
――まぁ、特殊スキルですしねぇ。
茂木:あれはすごいよ。それに……ロックって何歳までやれるのか?っていうことを、昔は全然考えなかったけど、最近はライブの一本一本をやるときに若干、頭の片隅に終わりみたいなものを描くようになってきたんだよ、俺は。仮に意識していなくてもそれは絶対に背中合わせであって。
40歳のロッカーなんて、俺が20歳のときは全然興味なかったし、受け入れなかった。ということは自分が実際に40歳になってやっている様っていうのは、どういう風に映っているんだろう?とか。でも上を見れば60歳でかっこいい人もいる、じゃあロックの寿命っていつなんだろう、いつまでかっこよくいれるんだろう?とか色々考えるけど、ラップに関していえば、何歳までやれるのかっていう限界が、日本のラップの歴史の中でまだ見えてないというか。
下手したらこのMCバトルも、剣道とかゴルフみたいに、70歳や80歳が20歳そこそこの奴をポーンと弾く可能性だってある。わかんないじゃん? まだ限界が見えてないっていうことは。それってすげえ夢があるなと思ったから、NAIKAに「それまでやれよ」って。何歳が限界か分からないけど、それをやってほしいって言ったんだよ。
――ロックもHIP-HOPも大きく語れば同じカウンターカルチャーとも言えると思いますし、今、フリースタイルを中心に尖った人材も集まっているじゃないですか。そういう視点でみてもHIP-HOPとの融合は必然だったんでしょうか。
茂木:分け隔てがあるわけじゃなくて、どちらも何かしらのアンチテーゼを持っているんだけど、そこに魅力を感じた人がHIP-HOPに流れやすい時代になっているのかな。俺からすればラップも大好きだし、ロックも大好きだし、パンクもレゲエも大好きなんだけど、そこに縮まってしまうんじゃなくて、ロックリスナーが初めてMCバトルを観て(衝撃を)喰らったらいいし、MCバトルしか観なかった奴がロックのショウケースを観て「とんでもねえな」って思ってくれたらそれでいい。いがみ合って切磋琢磨することも大事なんだけど、そうじゃなく力を合わせていくことで、もしかしたらそこにものすごい力が発生するかもしれない。もっとデッカいものを狙いに行くっていうかさ、そういう風にありたいって、最近思うんだよ。チャレンジできるものは一個でも多いほうがいい。……いつかMCバトルもやってみたいしね。ペッタンコに負けると思うけど。
――あ、茂木さんがですか!?
茂木:そうそう。NAIKAのDVDとか観ながらさ、「すっげえな」「でもいつか俺もこれをできるようになりたい」って。
――でも、いまでも茂木さん、ライブで語りを入れるじゃないですか。
茂木:しゃべるけど、全然。韻も踏めないし。相手の言うことを聞いて頭に入れて、入れながら口に出すって……要するに息を吸いながら吐いてるみたいなもんでしょ? すげえよ、本当に。
――HATANOさんは興味あります?
茂木:はっちゃんとか、やったら圧勝すると思うよ?
HATANO:うーん、自分でやりたいとはまったく思わないんだけど……ただ、あれって打ち上げに近いんじゃねえかと思うんだよね(笑)。そういう目で観てる。自分たちの5個上とか10個上の、伝説と呼ばれるような人と酒飲むと、ほんっとトンチの効いた答えを返してくれるんだよね。あれを聞くと手練れはすげえって思うもんなぁ。でも、(MCバトルは)言葉知ってて、さらに頭の回転が速くないと絶対できないよな。
茂木:しかも、凹むと思うんだよ。負けて凹むんじゃなくて、その……
HATANO:ディスられように?
茂木:そう(笑)。
HATANO:いや、言われてることを瞬間で解釈できなくて、凹みもしないと思うよ。
茂木:あ、なるほどな(笑)。他に何かやりたいことってある? 俺は弾き語りをできるようになりたいんだけど。
HATANO:ああ、俺はしたことない楽器をやってみたり、やったことない形のバンドセッションをしてみたりとか、やってみたいかな。
先輩と話してるときに、「音楽性なんかも含めて新しい出会いを喜べなかったら、ただの同窓会やって思い出作りしてるだけだろ? それだったら続けてる意味ないじゃん」って言われて、その通りだなって。だったら、いま聴いて良いと思えることを貪欲に楽しめるのがいいんじゃないか?っていうのが自分なりの答えだったんだよね。それはアコースティックセットで楽しむことかもしれないし、出たことのないイベントに出ることかもしれないし、分からないけど……全部素直に楽しめるようになったかなぁ。年食って。昔だったら、ちょっとでも納得いかないものが来たら「なんだお前?」みたいにバチンと言っちゃう自分がいたけど、いまは全然そんなことなくって。すげえ新鮮に楽しめる。……どんどんピュアになり始めている。
茂木:そうなんだよ(笑)。
HATANO:さっきの話じゃないけど、心のどっかでいつまでもやれないっていうことを本当に感じてるから……昔はさ、「いつか辞めるよ」って飲みながら言ってても、思ってはいなかったじゃん。心の底からは。
でもいまは、言葉に出さなくても「こうやってやれる時間があとどのくらいあるんだろう?」って思ってるんだよね、すごく真剣に。だから、ステージに立つこともそうだけど、こうやって会ったときにも純粋に楽しめるようになった。もう二度とないかもしれないから、いま楽しまなかったらいつやるんだよ?って。群馬まで来て2人でこんにゃくを作ることもそう。
茂木:バンドもイベントもフェスももちろん、毎年あるものじゃなくて、ある意味偶然、奇跡に近いからね。たとえば自分じゃなくメンバーの誰かや、その周りに何かあっただけでも止まる。だからその奇跡を観てもらいたいっていう気持ちはありますね、奇跡であるうちに。
HATANO:20年とかバンドをやってきて、色んなことをやってきたけど、同じ日って1日もないもんね。同じメンバーで対バンしても同じ空気になることは絶対ないし、同じステージになることもない。だから続いたんだろうとも思うし、その奇跡みたいなものを昔だったら錯覚だと思ってたけど、いまはちゃんと奇跡だって思えてるんだよね。
茂木:だから俺、色んなところで感動しまくっちゃうもん。こんにゃくだって、これ10年前の俺らがやってたら、こんな風に思わなかったと思うよ。
G-FREAK FACTORY・茂木洋晃 / HAWAIIAN6・HATANO 撮影=風間大洋
――下手すると、僕が「こんにゃく作りませんか」っていった時点で「嫌だよ」ってなりますよね。
茂木:そうだよね(笑)。というか、風間っちのそのアプローチ自体が無かったかもしれない。
――「こんにゃく作り……は、さすがにやってくれないだろうな……」って(笑)。
HATANO:こんにゃくブン投げてた可能性だってあるからな(一同笑)。
茂木:まず、この話があってもはっちゃんに声かけなかったと思うわ。でも今は、いの一番に「はっちゃんに聞いてみよう」だからね(笑)。
HATANO:それを言ったら、G-FREAKが映画の曲(『お前はまだグンマを知らない』主題歌「風林花山」)をやるなんて、考えたことも無かったわけよ。お互いそうだけど、メディアに出ることも「バンドってそうじゃねぇじゃん」みたいな、変な意地とかもさ。
茂木:あったね。
HATANO:そういう風にいろんなものを拒絶してやってたけど、いまは「色々ちょうだい!」っていう風になってるじゃん。感じたことのない刺激をくださいって。だから面白いんだよな。
――地続きでやってきているのに、いつの間にかスタンスが変わっていた。
茂木:それはスタンスの変化なのか……俺は、すごく食わず嫌いのものが多かった気がする。『山人』を通して、地元のことをいかに知らないのかにも気づいてしまって、「ああ、何てことしてたんだろう、これじゃ好きになれるわけねえや」って感じたし。
HATANO:それも必要だったんだろうと思うよ。子供がさ、いきなりピーマン好きだって言ったら嘘くせえじゃん。でも大人になったら美味くてさ、椎茸でもナスでも何でも食える。そのありがたみが分かるのが年をとったっていうことで、それと一緒なんだと思う。きっと。
まぁ、なんだ、俺たちも昔は意地とか気合いだけで何でもできて、それが全部自分たちの集大成になるんだっていう、変な思い込みみたいなものがあったじゃん。
茂木:しかも、本当にそれを信じてたからね。世界を変えられるくらいに思ってたもん、高校の時なんか。
HATANO:それが今じゃ健康診断でビビってるくらいだから(一同笑)。
茂木:体に良いって言われるものを食べてみよう、とか(笑)。
HATANO:昔なんて「ふざけんじゃねえよ」って酒ばっか飲んでた奴らがさ。楽屋で「血圧いくつ?」とか「血糖値は?」とか、それで1日話せるくらい(笑)。
――そういう面も含めて、年月を重ねることで起きてきた変化があって。でも逆に今の2人だから出せる色が出た、それぞれの主催イベントへ向けて、展望などをいただけますか。
HATANO:観に来てくれる人へももちろんだけど、『ECHOES』に関しては出てくれるバンドに驚いてほしい。出てくれるバンドにも初めましてがちゃんとあって、出演者がワクワクできるイベントにしたくて、それをすれば観る人も自ずとワクワクできるんだろうと思ってる。『ECHOES』に出てるバンドって6~7割が去年と重なってて、残りの3割が入れ替わってるんだけど、その3割のバンドの人が組み合わせとしてありえないものになっていたりっていう部分を、俺たちはすごく気にしてて。それがさっきの、食べたことのないものを初めて味わえるっていう風になってくれたらいいと思う。
――次回の見どころでいうと?
HATANO:もう、激辛料理だよね(笑)。スパイスが効きすぎてる。俺は自分で「この人たち呼びたい」って決めたけど……呼ばれた側としてはあのメンツどう?
茂木:いや、もうビビってるよ?(笑) だけど……ネギがあったとしてさ、『ECHOES』に行った時のネギと『山人』のときのネギは味が違うんだよ。俺はそういう、生で切ったようなスパイスの効いたネギに、その日はなれるんだろうなって勝手に確信してる。なっていい日なんだろうなって。
HATANO:嬉しいのはさ、『山人』のときのG-FREAKと『ECOHES』のときのG-FREAKって、同じことをやってるんだけどキッチリ色が違うんだよね。
茂木:そうだね。
HATANO:それが一番嬉しい。その日しかやれないことをやってくれてるっていう。
茂木:俺もハワイアンにそれを感じるよ。
HATANO:(『ECHOES』は)必死だからね(笑)。年をとると叱ってくれる人っていなくなっていくんだけど、あれだけ叱ってくれる先輩たちに囲まれて、ちゃんと挑戦者でいられる自分たちっていかに幸せかって思うよ。先輩からしたら「お前甘えてんな」って思うかもしれないけど、あの日くらい甘えさせてくださいよって思うわけ。挑戦したい、憧れてきたものに対して。……でも『山人』とかはスケールが大きすぎてちょっとパニクるというか、仲間がやってるイベントだと思うとちょっと信じられないもん。
茂木:(笑)。
HATANO:昔、200人とか300人のライブハウスで、束になったってソールドアウトしなかった仲間がさ、1万人のイベントやるってどういうことだよ?って(笑)。1万2000人、今日ソールドしたんでしょ? こんにゃく作ってる間に(笑)。
――そうみたいです。
HATANO:素晴らしい話だよなぁ。
――そんな『山人』本番の見どころとしては。
茂木:見どころは、もう全部ですね。どこから切ってもすごいと思うんで。本当に音楽というくくりの中で今年も最高なメンツになったと思います。でも、メンツも一つの楽しみ方なんだろうけども、『山人音楽祭』としてちょっとだけ去年より頑張っているところとか、群馬のいいところや悪いところも、全部を観てほしいですね。それと……あんまり言いたくないけど、マナーを守って臨んでほしいなって思う。そこは信じてほしい。
――ルールはないけどマナーは守ろうっていうことですよね。
茂木:そう。ルールじゃない。そこは永遠のテーマなんだろうけど、きっと信じて
取材・文・撮影=風間大洋 動画撮影=大野要介
お2人を虜にしたこんにゃく作り体験も上記までお気軽にどうぞ!!
G-FREAK FACTORY・茂木洋晃 / HAWAIIAN6・HATANO 撮影=風間大洋
開場10:00/ 開演11:00
会場:ヤマダグリーンドーム前橋 (群馬県前橋市岩神町1丁目2-1)
出演:
アルカラ/打首獄門同好会/岡崎体育/小谷美紗子/Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)/G-FREAK FACTORY/四星球/天才バンド/10-FEET/NAMBA69/HAWAIIAN6/04 Limited Sazabys/BRAHMAN/THA BLUE HERB/マキシマム ザ ホルモン/ヤバイTシャツ屋さん/夜の本気ダンス/Rickie-G/ROGUE2/4/locofrank/ROTTENGRAFFTY(※五十音順)
<山人MCバトル出演者>
NAIKA MC/崇勲/TK da黒ぶち/GOLBY/MAKA/SAM/PONY/NONKEY/小池 潔宗/Dragon One/
我次郎MIC/N∀OKI(ROTTENGRAFFTY)<司会> K.I.G <DJ> R da Masta
<OPENING ACT>高崎頼政太鼓 <CLOSING ACT>DJダイノジ(大谷ノブ彦)
THANK YOU SOLD OUT!!!
2017年10月14日(土)15日(日)
新木場STUDIO COAST
10月14日(土)
BRAHMAN / COKEHEAD HIPSTERS / THE CHERRY COKE$ / The Coastguards / MEANING / NAMBA69 / THE NO EAR / Northern19 / NOT A NAME SOLDIERS / NUBO / HELLBENT / HUSKING BEE / OVER ARM THROW / PULLING TEETH / RADIOTS / RAZORS EDGE / SABANNAMAN / SHANK / SLANG / TROPICAL GORILLA / しけもくロッカーズ / 壬生狼 and more
AGGROKNUCKLE / bacho / BLINDSIDE / COUNTRY YARD / dustbox / ENDZWECK / ENTH / GARLICBOYS / G-FREAK FACTORY / GIVE LIFE / GOOD4NOTHING / kamomekamome / KiM / THE KNOCKERS / locofrank / milkcow / MONOEYES / MOROHA / PALM SLANG / SHADOWS / REALITY CRISIS / ROCKY & The SWEDE / SO WHAT / spike shoes / STOMPIN' BIRD / SUPER BEAVER / 地獄車 / 鐵槌 / 雷矢 and more
※HAWAIIAN6(両日出演)
2日間通し券:SOLD OUT
1 日券:¥3,900(スタンディング/D別)※2日目はSOLD OUT
■一般発売中
10月4日(水)同時リリース