SUPER BEAVER ソロインタビュー企画・第1弾 渋谷龍太「300人でも3000人を相手にしても、伝えるということに違いは無い」
SUPER BEAVER・渋谷龍太 撮影=高田梓
この1年間で目覚ましい躍進を遂げたSUPER BEAVER。その過熱ぶりは、新ミニアルバム『真ん中のこと』の好発進ぶりと、間もなくスタートするツアーがZepp Tokyoの2デイズも含み即完売している事実からも明らかだ。にもかかわらず、当の本人たちに浮ついたり過度に気負ったりする様子は無い。ファン一人ひとりと向き合いながら、しっかり足元を踏みしめながら、それでいて大きな野心を胸に抱きながら進むバンド、SUPER BEAVER。今回はメンバー全員にソロインタビューを敢行し、それぞれの胸の内を語ってもらうことにした。第1弾は、バンドの精神性を先頭に立って体現し、口にしてきたフロントマン・渋谷龍太に訊く。
――昨年のアルバム『27』以降、SUPER BEAVERがさらに加速度を増した1年だったと思うんですが。
やってきたことが着実に積み重なった結果が今なんだなっていうことが、如実にわかる結果だと思っていて。たくさん構っていただけたり呼んでくださることに対して、すごく大きな感謝はありつつ、そこで違和感なくいられるのは、自分たちのやってきたことに対する自信であり、プライドを貫き続けた結果なのかなと思ってます。
――違和感がないというと?
この状況が普通だとは全く思っていないし、とてもありがたい特別なことなんだと念頭に置きつつも、浮き足立った感じがないっていうか。
――確かに、ビーバーはずっとそうあろうとしてきたバンドですね。
はい。それに周りがそうさせてくれて。横のつながり、いろんなバンド、仲間ができたことと、応援してくれる方や観てくださる方の姿勢が、僕たちに自信を与えてくれてるんだと思ってます。
――音楽を届ける/届く範囲もどんどん大きくなっているわけですが、渋谷さんは全体に向けて何かを伝えるというより、一対一×人数分で向き合うタイプのシンガーですよね。規模が大きくなることでそこに難しさはないですか?
大きいキャパでやることとライブハウスでやることの相違はあまり感じないですね。一対一で向き合う数が増えていくことは当然意識しますけど、それに対して「届けきれない」とか「後ろが見えない」なんてことは全くないし、目に見える範囲で届けるということに対しては、会場が大きくなっていっても大変じゃない。結局は人の顔を見ようと思う限り、そこにしか視線は向かないんですよね。完璧にできてるとは思ってないんですけど、自分なりに全員に届けるための行動をしているし、何かこれまでと違ったことをしようとは思っていないです。
――だからか、eggmanで観てもZepp DiverCityで観ても、パフォーマンスやそれによって伝わってくる熱に違いが無い。
そうですね。もし違っていたらそれは妙なことになるというか、あくまでも観てくださる方ありきでやっている僕たちが、人の多さでライブが変わったら不自然なことだと思っているので。それが300人であっても3000人を相手にしても、伝えるということに関してはそんなに違いは無いのかなって思ってます。
――渋谷さんはソロでの弾き語りもやっていますけど、そこはまた意識が全く違いますか?
違いますね。歌に向き合うという意味では同じかもしれないですけど、メンバーがいないということがすごくデカいです。自分一人の地力が試される場所に立つことで、僕一人でできることと、4人じゃなきゃできないこと、一人じゃなきゃできないことを知っておくべきだと思っていて。それはいま僕たちが基本的に4人でいることへの慣れや慢心、驕りだとかを無くすためでもありますし、それによって表現の幅が広がると思うんです。あと、バンドでは柳沢が曲を書いて詞を書いて、バンドの意思として僕の気持ちもMCとかから汲み取ってくれているから、(ソロでは)自分が紡いだ言葉で人に届けてみた場合の届き方や、バンドじゃなきゃ伝わらないこと、一人だからこそ刺せる部分を見極めたくて。
――相乗効果を生みそうですね。
バンドに還元できなければやるつもりはないんです。僕はあくまでもSUPER BEAVERのフロントマンだという自負がすごく強いので、一人で何かがしたいというよりも、そのことでどうバンドに作用するか?っていうことを考えてますし、バンドをやっている以上は自分と向き合う時間も必要なのかなって。
――最近ではラジオのパーソナリティも務めてますよね。そのあたりはどう作用していますか。……もともとライブMCでも独特の渋谷節が魅力的なわけですけど。
ありがとうございます(笑)。
――より話すことに特化している時間と場所だし、力の抜けた話もしますよね、ラジオだと。
一番最初に違いを意識したのは、対象が見えないことで。見えない対象に向かってしゃべるのは、ライブにおいての一対一とはまた違っていて、どの範囲で一対一をやっているのか自分でわからないから、大多数を意識するということを身につけなければならないんです。
――目を見て話すどころか、どんな属性の人が何人いるかもわからない。
そうなんですよ! リアクションもわからないし、表情も読めなければ、醸し出す空気みたいなものも見えない。自分に対してウェルカムなのかも、求めていないのかすらも分からない中で、自分の空気感だけで進めていくのはラジオ独特のものですね。
――実際、リスナーからはどんなリアクションがありますか?
やらせていただいてるのが『オールナイトニッポン0(ZERO)』だからというのもあって、既存のリスナーさんがたくさんいらっしゃるので、(ビーバーの)音楽は知らなかったけどラジオから入ったっていう方もいらっしゃいますし、僕たちのことを知ってくださってる方からも、(ラジオを聴いて)音楽の聴き方が変わったという声もいただいて。バンドを背負って一人でやらせていただいている醍醐味はすごくありますし、こういう人間がフロントに立って歌を歌っているんだ、ということがわかることで音楽の聴こえ方も変わってくるのかなと。背景も人間性も関係ないところで楽しむのも音楽の聴き方だとは思いつつも、知ってもらった上での聴こえ方ということも、ラジオをやってから実感するようになりました。
SUPER BEAVER・渋谷龍太 撮影=高田梓
――それらこの1年強の色々な経験や、そこから得た要素が詰まっているのが最新作『真ん中のこと』ですよね。作り終えて感じることを聞かせていただけますか。
アルバムの成り立ちとして、まず僕がメンバーにいろんなことを言ったんです。これまでのように一年に一枚フルアルバムを出すのは、自分がリスナーであり消費者の身で考えたときには結構なカロリーを消費するし、その一枚のアルバムに自己を投影する期間も一年だと少し短いなって。僕たちはボールを投げる側なので自分のリズムで投げられるけど、受ける側は投げる側のペースに合わせるしかない。それにその一年で、他の音楽も当然聴くわけじゃないですか、みなさんは。
――そうですね。
それにツアーでも一箇所につきまだ一回しかやっていない曲もたくさんあって、自分たちが気持ちを込めて作った曲をその一回で終わらせてしまうというのも寂しいなと思ったから、今回は6曲というサイズ感がピッタリなんじゃないかと思って。今回は僕の意見を優先させてもらってミニアルバムという形になりました。
僕たちはメッセージ、歌、メロディに重きを置いてやってきたバンドですけど、いろんなフェスを観させてもらう中で、軟派と硬派の両方あるバンドが強いなっていうことをすごく感じていて。軟派なバンドが急に真面目なことをやったときのパンチ力や、逆に硬派なバンドが一瞬チョけるときの魅力を感じたときに、音楽も人間もバランスが大事だなと。伝えたいことの重心は変えずに、アプローチや耳馴染みの部分でちょっと腰高にした、今までのアルバムではエッセンスとしてやっていた部分をメインテーマに置いて作り始めたんです。ただバカをやっているワケではなくメッセージはある上で、たとえばジャンプすることに特化した曲があってもいいんじゃないか。何も考えずにワーッと声を出す曲があってもいいんじゃないかっていう。それがあることで、もっと響く曲はあるんじゃないかなって思ったし、楽しい曲はもっと楽しく感じるんじゃないかなって。
――確かにサウンド面ではヤンチャしているというか、面白いアプローチが多いです。
そうですよね。ただ、ガラッと変えたいと思ったわけではないし、大きく変えようと思ったところで所詮は僕たちがやることだから、僕たち以外の何物にもなれない。そこらへんのブレに対する恐怖感みたいなものはほとんど感じずにやらせてもらえました。一聴して「あれ、今回なんか面白いことやってるかも」と感じてもらうことが大事だったんです。
――リリース後にはツアーが控えてます。小規模なハコを対バンでまわったあと、大きい会場でワンマン、シメはZepp Tokyo2デイズという流れですね。
まず仲間たちの振り幅を見てもらいたくて。簡単な言い方をすると、僕は対バンって友達自慢の場だと思っているので、僕たちのことが好きで集まってくれる人たちに、こういう友達がいるんだよ、見てくださいって紹介したいんですよ。で、ワンマンに関しては、自分たちにできるであろう最大のキャパシティで回りたい、できるだけ多くの人に観てもらいたいと思って設定しました。
――「いよいよ」っていう感じですね。
いやぁ……本当ですね。Zepp2デイズなんて、できるとも、まして即完できるなんて思ってもいなかったので。考えれば考えるほど普通のことじゃないなって思うんですけど。
――この規模を即完となると、どうしてもその先を想像してしまいます。
そうですね! そこに行き着くために音楽をやっていたかといえばそうではないし、構えてはいないんですけど。でもZepp2デイズが即完というのはリアルだなと思えたので、さらに大きなところも攻めていけたら。みんなが喜んでくれるだろうし、目指していきたいです。
――期待してます! では最後の質問です。あなたにとってSUPER BEAVERとは?
か~~! 難しいなぁ……形容しがたいけど、すごく明るい存在……太陽とか、そういう存在に近いのかなと思いますね。僕にとって、あることが当然で無くてはならないものだし、無いことは想像できない。でも無かったら絶対に困ってしまうし、たくさんの恩恵があってそれによって気持ちも左右されるっていう点で、“太陽”だと思いますね。
取材・文=風間大洋 撮影=高田梓
SUPER BEAVER・渋谷龍太 撮影=高田梓
発売中
『真ん中のこと』
品番:NOID-0021(初回盤)22(通常盤)
発売元:[NOiD] / murffin discs
販売元:Japan Music System
【CD 収録内容】
1, ファンファーレ
2, 正攻法
3, ひなた( カンテレ・フジテレビ系 SP ドラマ「でも、結婚したいっ! BL 漫画家のこじらせ婚活記」主題歌 / 岩手銀行 CM「登場」篇テーマソング )
4, irony
5, 贈りもの
6, それくらいのこと
【初回限定生産盤DVD 収録内容】
2017年4月30日(日) @日比谷野外大音楽堂
「都会のラクダSP~ラクダビルディング~」
SUPER BEAVERワンマンライブのダイジェストを収録!
2, ひなた
3, 生活(Acoustic Ver.)
4, 青い春
5, 27
6, 東京流星群
9月15日(fri) 千葉LOOK【ワンマン】
9月16日(sat) F.A.D YOKOHAMA GUEST:SCANDAL
9月20日(wed) KYOTO MUSE GUEST:10-FEET
9月23日(sat) 高知X-Pt. GUEST:SiM
9月24日(sun) 松山Wstudio RED GUEST:SiM
9月26日(tue) 周南RISING HALL GUEST:夜の本気ダンス
9月27日(wed) 熊本B.9 V1 GUEST:夜の本気ダンス
9月29日(fri) 鹿児島CAPALVO HALL GUEST:HEY-SMITH
10月1日(sun) 岡山YEBISU YA PRO GUEST:HEY-SMITH
10月2日(mon) 神戸太陽と虎 GUEST:THE BACK HORN
10月6日(fri) 高崎club FLEEZ GUEST:coldrain
10月7日(sat) 長野CLUB JUNK BOX GUEST:BLUE ENCOUNT
10月9日(mon) 金沢EIGHT HALL GUEST:BLUE ENCOUNT
10月20日(fri) 水戸LIGHT HOUSE GUEST:ROTTENGRAFFTY
10月21日(sat) HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2 GUEST:ROTTENGRAFFTY
10月22日(sun) HEAVEN’S ROCK熊谷 VJ-1 GUEST:爆弾ジョニー
11月4日(sat) 広島CLUB QUATTRO【ワンマン】
11月5日(sun) 福岡DRUM LOGOS【ワンマン】
11月11日(sat) 新潟LOTS【ワンマン】
11月12日(sun) 仙台CLUB JUNK BOX【ワンマン】
11月14日(tue) 札幌cube garden【ワンマン】
11月18日(sat) 高松オリーブホール【ワンマン】
11月19日(sun) なんばHatch【ワンマン】
11月25日(sat) 名古屋DIAMOND HALL【ワンマン】
12月15日(fri) Zepp Tokyo【ワンマン】
12月16日(sat) Zepp Tokyo【ワンマン】