音楽好きには絶対観てほしい! しくじり系音楽映画『俺たちポップスター』の魅力を語る
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俺たちのポップスター (C)2016 UNIVERSAL STUDIOS
人気復活を目指して奮闘する、ミュージシャンたちの姿を描いたコメディー映画『俺たちポップスター』が、音楽関係者の間で話題を集めている! 本作は、仲間割れで解散したヒップホップグループのフロントマンが、ソロデビューをして一度は成功を収めるものの、すぐにトップの座から転落してしまう物語。ジャスティン・ビーバー、ケイティ・ペリーらのドキュメンタリーをモチーフにしたという本作は、リンゴ・スター、マライア・キャリー、ピンク、ファレル・ウィリアムス、ジャスティン・ティンバーレイクら豪華ミュージシャンが多数出演。イーグルス、U2などのエピソードをオマージュするなど、音楽ファンにはたまらない内容になっている。そんな“俺ポップ”にどハマりしたのが、FM OH!、ABCラジオでレギュラーを持つ関西のDJ・小早川秀樹さん。毎日、番組の中でたくさんの音楽と触れ合っている小早川さんが、この映画の見どころを熱く語ってくれた。
——小早川さんは、『俺たちポップスター』をマスコミ試写でご覧になられてかなり気に入ったそうですが、どのあたりが面白かったですか。
日本のバラエティ番組で『しくじり先生 俺みたいになるな!!』ってあるじゃないですか。あの番組は、他人のしくじった経験を聞いて、それをいじるのって実はとてもおもしろいということを気付かせてくれた。『俺たちポップスター』も、主人公の3人がそれぞれしくじっていて、映画の中では音楽のリスナーやマスコミが彼らをいじるけど、観ている僕たちもツッコミをいれたくなる感じなんですよね。
——ドキュメンタリー風で物語が進むから、余計にリアルですよね。試写で観ていた人の中には、「あれ、これってドキュメンタリー映画なの?」と勘違いしていた人もいました。
やっぱり、主演のアンディ・サムバーグ、アキヴァ・シェイファー、ヨーマ・タコンヌの3人に自力があるからでしょうね。しかも音楽担当はマシュー・コンプトン(エレクトリック・ゲスト)、さらに錚々たるミュージシャンが本人役でゲスト出演している。ライブシーンには、マルーン5のアダム・レビーンが出てくるし。つまり、嘘を本物で固めているんですよね。曲もそうだし、嘘を本物にする説得力があります。
——そうそう。大物ミュージシャンが多数登場するのが見どころの一つですよね。
特に、スヌープ・ドッグの扱いがおもしろかったです! 彼の存在感や背景すらいじっていますし。あと、リンゴ・スターまで出ていて。海外のスターは寛容なんだなって思いました。日本でもしこの映画をやるなら、誰に相当するのか考えるとたのしい。
——主人公であるミュージシャン、コナーって日本だとどんなアーティストに当てはまるんでしょうね。
方向性は、ゴールデンボンバーに近いような気がしました。遊び心があって、楽曲性があって、アーティストに好かれている。ゴールデンボンバーはリスナーの支持ももちろん高いので、そこはコナーとは違いますよね。だけど、家電を使って新曲をPRするなど、コナーのアイデアマンなところは、ゴールデンボンバーっぽい気もしました。例えるなら、そんなゴールデンボンバーのドキュメンタリー映画に、北島三郎さんなど超大物たちがジャンルを飛び越えて出演しているようなものです。
——まずは、音楽好きは絶対に観て欲しい映画ですよね。マニアックなネタも多いですし。
洋楽知識がなくても十分楽しめます。楽しむ気持ちが大きければ大きいほど、おもしろく観られるはず。ジャスティン・ビーバー以外に、この映画をオススメしたい。
——ジャスティン・ビーバーのドキュメンタリーのパロディーなんですよね、この映画は。
そうなんです。ただ、日本人にはネタがややアンダーグラウンドではあるけど、物語は海外ドラマのような王道性を感じました。すごく分かりやすいし、間口はそれほど狭くない。成功、転落、挫折、そこに友情が絡んできて、「本当にやりたいことは一人ではできない」というメッセージがあります。全然重くないし、漠然と楽しくて、娯楽性がたっぷり。僕は先日、某日本映画に深く考えさせられたのですが、その映画のスタッフがこの映画を観たら腹が立つと思う。「映画ってこんなにバカバカしくていいのかよ!」って(笑)。
文=田辺ユウキ