【山人音楽祭クイックレポ】天才バンド　無二の即興性とグルーヴでフロアを揺らした天才たち

山人音楽祭2017 【榛名ステージ】 天才バンド

ゆっくりとステージに登場するとジャラ～ンとギターを鳴らし、奇妙礼太郎（Vo&Gt）が「よろしくどうぞ」と丁寧に挨拶して始まった天才バンド。即興のメンバー紹介ソングでひとりずつメンバーが呼び込まれると、ドラム、ピアノと静かに楽器の音が重なっていき、榛名ステージに独自の世界観を作り上げていく。

即興の演奏に合わせ、なぜかSundayカミデ（Cho＆Piano&Ba)と奇妙が“ファーストキス”の体験談を語り合う流れになったステージ。「ヒュ～～！」と冷やかしの声が上がるフロアには、音に誘われるようにどんどんとオーディエンスが集まってくる。演奏は自然と「天王寺ガール」へと流れこみ、音楽が出来ていく楽しさと喜びにフロアがだんだん熱を帯びてきた頃にSundayが楽器を持ち替え、鋭く歪んだギターで始まった「DANCE MUSIC FOR ME!!」では、ヘヴィなベースと力強く正確なテシマコージ（Dr）のビートがオーディエンスの体を揺らす。ベースの超絶テクに大きな歓声が上がった「SHIBUYA STRUT」はSundayが曲をリードし、オーディエンスが掛け声を合わせる。

息の合ったグルーヴィーな演奏と予定調和でない天才のステージにどんどん惹かれ、ライブが進むごとに挙がる手と歓声が増していくフロアだったが、ここまで演奏したところで「あと５分だって」と苦笑いするSunday。ラストは「firefly」で大いに盛り上がり、「We are 天才バンド！」と天才たちのステージが終演。密室感のある暗い会場には、バンドとオーディエンスの濃厚な共謀関係が生まれていた。

取材・文＝フジジュン　撮影＝半田安政（Showcase）