変現を重ねるw-inds.が聴覚と視覚を刺激する、革新的なステージを魅せた

レポート
音楽
2017.10.4
w-inds.

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w-inds. LIVE TOUR 2017 『INVISIBLE』2017.08.05(SAT)
大阪国際会議場 グランキューブ大阪 メインホール

巨大な三角形の上で、3人が織りなす世界。この独創的なステージを、誰が想像できただろうか。

開演を控えた会場には、最新の洋楽が流れている。ステージを覆うスクリーンには、w-inds.の最新アルバムのタイトル= “INVISIBLE”と書かれた三角形が映し出されていた。

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BGMのボリュームが、迫り来るように大きくなる。暗転し、期待に胸をふくらませたオーディエンスが一斉に立ち上がった。聴こえたイントロは「Come Back to Bed」だ。淡く透けたスクリーンの向こうに、カジュアルな黒いジャケットを羽織ったw-inds.の3人が姿を表す。突然の登場に、場内はどよめきにも似た声で満たされた。

観衆と3人を隔てるスクリーンの上を、大小さまざまな三角形、四角形が飛び交う。「Oh Baby, けだるいような 朝に君抱きしめ sleepin' in もすこし待って I just wanna feel this way」 橘慶太の淀みない歌声によって、わたしたちは“INVISIBLE”の世界に引き込まれた。恋人同士の何気ない日常のワンシーンを詩的に、繊細に描いたミディアムナンバーを、決まった動きをするでもなく音に身をゆだねながら歌う。曲の中盤、千葉涼平と緒方龍一が歌唱するパートに差し掛かると、スクリーンにはそれぞれの横顔が映された。ドロップと呼ばれる“歌がない音サビ”ではより激しく体を揺らし、愛する人と過ごす時間の美しさと儚さを現す。慶太が切なげなボーカルでライブの1曲目を終えると、恍惚の入り混じった歓声が上がった。

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昨夏リリースされたシングル「Backstage」の軽やかなイントロが流れ、スクリーンが取り払われると、その空間の全貌が明らかとなった。3人は、奥へ行くほど高くなっている傾斜のついた巨大な三角形のステージに立っていたのだ。斬新なセットに驚く間も与えず、彼らは物憂げな面持ちから一転し笑顔で、前方の平らなスペースまで駆け下りてきた。エメラルドグリーンの照明が彩る中、白い衣装を纏った6人のダンサーが視界に舞い込む。総勢9人で華やかにフォーメーションを変え、会場を揺らした。

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「Backstage」のあと、同じくトロピカルハウスを取り入れた「Complicated」が続く。ライティングは少しトーンを落とし、ネイビーへと変化した。慶太、涼平、龍一が順に柔らかい歌声を聴かせ、ハウスのステップを随所に織り込んだ浮遊感のあるダンスで魅せる。2コーラスが終わるとダンサーを含む9人が中央に集結し、エッジーな電子音とボーカルが掛け合うブリッジに乗せて、一糸乱れぬ動きで観るものを圧倒した。「大阪のみなさん調子はどうですか!」 龍一がこの日初めての言葉を投げかけると、観客たちは手にしていた青く光るサインライトを高く掲げて応えた。

橘 慶太

橘 慶太

ファンキーなギターのカッティングが特徴の「No Matter Where You Are」では、現行のダンスミュージックで固めた最初のブロックと異なる、ディスコティックな雰囲気を演出。優美なハープの音色が心地いい「Taboo」では、オレンジ、ピンクといった暖色のライトが交差する。素早さとゆるやかさを絶妙に合わせた緩急自在なダンスを添えて、想い人との距離を縮められないもどかしさを歌った。

千葉 涼平

千葉 涼平

このライブのハイライトのひとつとして、筆者の記憶に刻まれたのは「CAMOUFLAGE」。音と音の隙間を活かした耳あたりの軽いトラックは、ライブで聴くと音のひとつひとつを手にとれそうなほど立体的に感じられる。傾いた三角形の上に、w-inds.のメンバーだけが残った。この楽曲にも振付はないのだが、それぞれがゆっくりと歩く歩幅に合わせ、彼らの足元に映し出された光の模様が動くという、幻想的な仕掛けが美しい。1曲を通して、慶太が澄んだハイトーンボイスを惜しみなく聴かせる。最後に3人が三角形の中心で向かい合う画には、ずっとこの光景を観ていたいと思わせる魅力があった。
「wind wind blow」では、奥の三角形ステージで歌うメンバーを背景に、フェミニンなワンピースを着た2人の女性ダンサーが純白のヴェールをはためかせ、しなやかに舞う。そして、慶太自身が’プロデュースを務め、初めてw-inds.のシングルとなった“We Don’t Need To Talk Anymore”へ。白と緑の照明のもと、入れ替わった男性ダンサー4人とともに、「自身史上最高難易度」といわれた圧巻のダンスを繰り出した。

ここで二度目のMCに移る。龍一が、ツアー開始から衣装として着ているMA-1を今公演から改良し、生地から綿を抜いて暑さを軽減させたと報告。「おぉー」という声と拍手が起こると、涼平がすかさず「綿なくなっただけでめっちゃ盛り上がるじゃん」とつぶやき、笑いを誘った。

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慶太と龍一が一旦ステージを後にし、衣装を変えて戻ってきたふたりと入れ代わるかたちで、涼平が去っていく。袖に黒いラインの入った白いシャツ姿の慶太と、ノースリーブの黒いパーカーをまとい赤いアコースティックギターを抱えた龍一は、それぞれに用意されていた椅子に腰掛けた。慶太が「僕たちがよくやる遊びです」と前置きし、龍一が奏でるギターに乗せて即興で歌い始めると、嬉しいサプライズに自然と観客からは手拍子が起こった。

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そのまま2人によって届けられたのは、『INVISIBLE』に収録された慶太のソロ楽曲「Separate Way」。恋人との修復できない関係に終止符を打ち、別々の道を踏み出す瞬間を、アコースティックなサウンドと落ち着いた歌声で表現する。

橘 慶太

橘 慶太

演奏を終えて2人が姿を消すと同時に涼平が現れ、ソロ楽曲「In Your Warmth」へ。男女2人のダンサーが愛を描き、その傍らを歩く涼平がロマンチックなラヴソングを紡ぐ。彼の赤みがかった茶髪は白いジャケットに映え、甘い歌声も手伝ってその姿は眩しかった。

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ダンサー2人に代わって、涼平の後方からさっと登場したのは龍一。このツアーで初披露となった涼平と龍一によるユニットの楽曲「A Trip In My Hard Days」は、乾いたビートが気持ち良いヒップホップチューンだ。ラップを聴かせるふたりの表情は柔らかい。「北から南 風に乗り 世界旅して」 彼らのルーツと未来を思わせるようなリリックが、明るい曲調の上に散りばめられていた。
龍一がひとり残り、ソロ楽曲「ORIGINAL LOVE」へ。自身が友情をテーマにしたためた言葉を、自由に動き回りながらラップで届ける。サビに入ると、夕焼けのようなオレンジ色の光に包まれた。「All right, All right, All right」と繰り返す部分では、客席にマイクを向け「Come on! Sing!」とうながす。

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ソロ楽曲のブロックが終わると暗転し、両脇からフェンス、山積みのスピーカー、ドラム缶などが次々に運び込まれ、スタイリッシュなステージがオールドスクールな空間へと変貌した。4人の男性ダンサーのうちひとりは、BMXに乗って颯爽と走り抜ける。シンプルなモノトーンの衣装から、ストリートテイストなジャケットに着替えたw-inds.の3人が戻ると、「Boom Word Up」のパンチの効いたイントロが始まった。赤や黄色のビビッドなライティングが、ニュージャックスウィング調のパーティーチューンをいっそう盛り上げる。これまでとは異なったラフで男らしい空気感に会場を巻き込み、ディスコミュージックを現代版にアップデートした 「Players」へ。龍一と涼平のラップパートでは、ダンサーたちと肩を組んでステージ前方を練り歩く。ドロップではあえて複雑な振付を排除し、古き良きポッピンを主体としたステップで、昨今のブルーノ・マーズを想起させるようなクラシックな時代感を再現した。

緒方 龍一

緒方 龍一

MCでは9月27日に発売されるシングルが慶太のトータルプロデュース作品であることに触れた上で、フューチャーベースを基調とした「Time Has Gone」を披露した。再びダンサー4人を加え、すでに公開されていたミュージックビデオと同じ、「静と動」を視覚化した細やかなダンスを見せる。この曲からスタートした最終ブロックは、w-inds.のパフォーマンスがほかの追随を許さない域に到達したことを、確実に証明した。

「グランキューブ大阪! ラストスパートいっしょに楽しんでいきましょう!」 ここから、『INVISIBLE』初回盤Aにも収録された、慶太が所属するプロデュースチームDMDによるw-inds.の楽曲のリミックスが4曲続く。“Let’s Get It On”では、クラブさながらの低音が鳴り響き、ジャケットを脱ぎ捨てた涼平がキレのあるブレイキンを披露した。「Super Star」では、シンセサイザーが怪しげにうねるドロップに合わせ、ダンサーを合わせた9人で怒涛のシンクロを見せつける。オリジナルバージョンよりもテンポを落とした「SAY YES」で、エモーショナルなボーカルドロップに差し掛かると、傾斜のついた三角形ステージに全員がのぼり、傾いたフロアでアクロバティックな足技を鮮やかに決めた。そして、2009年にリリースされた彼らの代表曲のひとつである「New World」のリミックスが始まると、これを待ちわびたといわんばかりに客席が沸き立った。「最後の曲です! Are you ready?」とメンバーが次々にオーディエンスを煽る。電子音が交錯する強烈なドロップでは、あのメジャーレイザーとも共演したGANMIに所属するダンサー= kooouyaが考案した、オリジナリティーに満ちたエネルギッシュなダンスが炸裂。最後にはw-inds.と6人のダンサー全員が横一列に並び、この日の集大成ともいえるダイナミックなステージングで、場内の熱気を最高潮に引き上げた。

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約2時間の経過を感じさせないほどフレッシュなパフォーマンスを貫き、本編が終了。すぐさまアンコールが起こると、「FANTASY」の陽気なイントロと同時に、思い思いのツアーグッズを身につけたw-inds.が駆け戻る。最前列のファンとコミュニケーションをとるなど、リラックスムードでオーディエンスを楽しませた。最後の楽曲となる「In Love With The Music」では6人のダンサーが加わる。3人1組に分かれて個性溢れるダンスでみせるシーンを挟みながら、クライマックスでは慶太が迫力のフェイクを響かせ、ステージに立つ全員が輝きを放つエンディングとなった。ダンサー6人を順に紹介し、メンバーらが「そして僕たちが?」と問いかけると、客席からは「「w-inds.!!!」」と高らかな声が投げ返された。見事なまでに完成されたショーを終え、親しみやすい笑顔で手を振る彼らを、観客もまた笑顔で、それでいて誇らしげに見送っていた。

近年の彼らは、移りゆく世界の音楽のトレンドを自らに投影し、日本にもたらす役割を担っている。ライブにおいても、観るものに初めてのエンターテイメントを提供するため、w-inds.は挑戦を続けるのであろう。好むジャンルに関わらず、すべての音楽ファンが体感すべきだ。なぜなら彼らを目の当たりにした瞬間、音楽のもつ無限の可能性に誰もが胸を躍らせるのだから。

取材・文 = 河嶋奈津実 [FM802 “Groove-U” (毎週金曜深夜3時〜5時) DJ]

リリース情報
Time Has Gone
9月27日発売
Time Has Gone

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初回盤A(CD+DVD)1389円+税 
初回盤B(CD+スペシャルブックレット)1389円+税 
通常盤(CD only)926円+税

 

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