『ドギマズン2017』が初の東名阪開催! ジャンルを超越した音のお祭り騒ぎ、その主催者に迫る
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JYU(UZMK)撮影=日吉"JP"純平
UZMKが主催するサーキット型イベント「DOGIMAZUN HALLOWEEN PARTY」が今年も開催! なんと今回は初の東名阪での展開となり、ジャンルを超えた多彩な出演者に多方面から注目が集まっている。今回、イベント首謀者であるUZMK·JYU氏にイベントスタートのキッカケ、アイドルのイベント出演についてなどをインタビュー。ただひたすらに“楽しいことがしたい”と語る彼、その思いをぜひとも感じてほしい。
――毎年、ハロウィンの時期にUZMKが主催となり、大阪·アメリカ村を中心としたいくつかのライブハウスでサーキット型イベント『DOGIMAZUN』が開催されています。今年は初の東名阪での開催ということもあり、例年以上に注目が集まっています。そもそも、このイベントは名前が変わりながらも、長く開催されてきたイベントなんですよね。
『ガンギマナイト』というイベントを2004年に開催したんです。最初はバンドのレコ発ライブをイベント形式でやろうというのがそもそものキッカケで。今でこそ“パリピ”なんて言葉があるじゃないですか? その当時はそういう言葉もなくって。でも、僕らはそういう遊びに一生懸命に、夢中になる感覚がすごく好きで。当時はアメリカにライブツアーに行くこともあったんですけど、アメリカのライブはライブ単体だけでなく、そこに遊びがプラスされる感覚があったんですよね。お酒を飲んで騒いだりとか。そういう楽しみ方を日本に持ち込んだらどうなるんだろうって思って始めたのが『ガンギマナイト』だったんですよ。
――ライブだけでなくその前後、みんなで飲んで騒いでっていう遊びがしたかったと。
そう。もうライブハウスはとにかくカオスな感じなんですけどね(笑)。ライブはもちろん、DJが大音量で音楽を流したり、みんなで飲んで騒いで。今でこそ日本でも“テキーラガール”っていうお酒を振る舞うイベントスタッフがいたりしますけど、当時はそんな人もいるわけがなく。アメリカでそういうカルチャーに触れたときに、「これを日本でやったらおもろいんちゃうか?」って始めた、実験的なイベントだったんです。
――それが年月を重ねるうち、今の形態のイベントへと変わっていったんですね。
イベントの楽しさが癖になっちゃって……。最終的にはイベントもアメリカで開催したり。あのイベントは体験した人にしかわからないものがたくさん詰まってるんですよ。
――アメリカで知ったカルチャーを日本で広めて、それを逆輸入しちゃった感じですよね。そして、イベントは規模が大きくなり『ドギマズン』と名前も変わっていきますよね。
ライブハウスひとつでやっていたものが、
――ひとつの箱で完結するのが理想ですか?
そう。たとえ何があろうと小さいライブハウスでグチャグチャになって楽しんでいるほうが大好きで。デカいライブハウスでライブを見るとDVDを観ているような感覚になっちゃうんです。細かい部分まで見えないのが嫌なんですよね。
――自分たちの手が届く範囲でイベントがやりたかったというのが本音ですか?
そう。でも、やっぱり主役はお客さんなんでね。みんなの要望を聞くうちにもう少し大きいところでやろうかって始めたのが『ドンギマナイト』で。
――2011年に大阪·BIGCATで開催されたものですね。さらにそこからまた会場の規模が大きくなり、イベントは開催日時もハロウィンとタイミングを合わせるようになりますが、その理由は?
もう、当の本人は細かいことまで覚えてないんですよね(苦笑)。確か、SiMが『VampireCircuit』っていうイベントを主催してて、それを当時一緒に発起人になって考えてたんですよ。「ハロウィン的なイベントをSiMがやれば楽しいんじゃない?」って話から始まって。でもそれが2年くらいで終わってしまって、あんな面白いイベント終わったらアカンやんってなって引き継いだのが『ドギマズン謝肉祭』の始まりなんですよ。
――そういう経緯があったんですね。ここ近年はハロウィンもすごく身近なイベントとして認識されて、10/31が近づくと街全体がすごく大騒ぎになりますよね。
アメ村一帯はハロウィンになるとすごく盛り上がるんですよね。その中の一環としてこのイベントも盛り上がってくれたらいいかなっていう感じです。お客さんにもハロウィンに仮装したいっていう人が多かったんですよね。それなら、ライブをやるアーティストも仮装したら面白いやんって思ったんです。でも、イベントにはこうしないとダメっていうルールはないんですよ。カルチャーって当の本人の知らないところで勝手に生まれるじゃないですか? 『ドギマズン』もお客さんが勝手にルールを作って、それがカルチャーになったら面白いやんって思ってるんで。
――最初のキッカケだけを渡して、あとは楽しんでよと。
そう! 基本はお客さんが主体。こっちから「こんなふうに楽しんで」とかはないんです。ルールは僕の知らないところで勝手に生まれていってるんですよ(笑)。『ガンギマナイト』での名物“テキーラタイム”が始まったのもお客さん同士で生まれたものを定番化しようってなったのがキッカケやし。
――カルチャーは意図して作るものではないということですよね。いろんな歴史が積み重なり、今年『ドギマズン』は初の東名阪での開催となります。大阪を飛び出て、東京名古屋で開催しようとなったのはどうしてでしょう?
名古屋は去年初めて開催したんですよ。仲の良いクルーが名古屋にいるんですけど、彼自身もイベンターとして動いていて。でも、最近面白いイベントやってないのが悲しくなって。“もう一回面白いことやってみーひん?”って、軽い感じで誘ったのがスタートのキッカケ。東京も同じ感じ、面白いことやろうっていう自然な流れで生まれた話なんですよ。
――昨年の名古屋での初開催はいかがでしたか?
イベントそのものが根付いていないところで開催すると、最初はお客さんも感覚がわかりにくいみたいで。
――関西だとサーキット型のイベントは大きいものだとFM802が主催する『MINAMIWHEEL』があったりと定着している感覚はありますよね。東京でもサーキット型の大きなイベントが増えてきていますし。ただ、『ドギマズン』の興味深いのが出演アーティストのジャンルだと思うんです。ロックやハードコア、ミクスチャーの中にアイドルも数多く出演していますよね。
それが『ドギマズン』の面白いところなんですよ。アイドルの人たちの客層とロックのお客さんの客層やカルチャーを絡ませたいんです。名古屋も大須エリアで開催したのもそれが理由のひとつ。いわゆるオタクカルチャーの聖地でもある場所で、そういうカルチャーを根付かせたいという思いもあって始めたんです。“田植え”みたいな感覚っていうのかな? とにかくやってみようかなって。
――種を植えて、あとはどんな風に育つかはお客さん次第だと。
そうそう。最初はうまくいかなくても、徐々に根が大きくなって成長すれば、カルチャーは大きく育っていくんで。
――2回目となる名古屋は去年、種植えしたものが今年どう成長しているのか、それを確かめるのも面白そうですよね。
名古屋と大阪、同じイベントタイトルですけどやっぱり土地の色ってそれぞれ違うし、切り離して考えている部分もあるんですよ。東京もそう。出演者をよく見ると、少しずつ違いがあるのがわかると思います。とは言っても、そんなに強いこだわりを持っているわけではないんですよね(苦笑)。お客さんが楽しそうにしているかそうでないか、それだけが大事。もし冷え切っているようなら来年はやらなくていい、それくらいの気持ちなんです。
――とにかく楽しんでほしい、その気持ちひとつが大きいんですね。イベントというよりも“遊び場所”を提供している感じですね。
極端に言えばそうかもしれないですね。
JYU(UZMK)撮影=日吉"JP"純平
――その遊び場所で一緒に盛り上げてくれる出演アーティスト。東名阪でかなりの数の人たちが出演を予定しています。出演依頼をするうえでのポリシーはありますか?
“活きがいい”っていうのは前提ですね。『ドンギマナイト』時代から出演アーティストすごいメンツばっかりで。ONE OK ROCKやSiM、CROSSFAITHとか。
――ライブの存在感は重要なんですね。
UZMKの畑もそっち側なんで、そこはやっぱり大事ですね。
――そんな畑に、アイドルという違う畑からきたアーティストも昨年以上に数多く出演が予定されています。
最近のアイドルは音楽がラウド化してるんですよね。楽曲を提供している音楽家が僕らと同じシーンにいる人も多いという理由もあるですけど、すごく面白い楽曲を持っている人たちが多い。偏見は一切ないんです。
――JYUさん自身がアイドル好きという一面もありますもんね。
そうですね。最初にBABYMETALのライブをイベントの対バンで観たときにすごい衝撃で。タトゥも入ってなければハードコアのお兄ちゃんでもない。ちっこい可愛い女の子があんな暴力的な歌を歌うんやって、驚いたんです。そういうこともあって、アイドルの出演には偏見がないんです。もちろん、最初は周囲にいろんなことを言われましたよ? 「なんであんなんと一緒にやるねん」って。それはもう見事にボロクソに言われましたね(苦笑)。でも、これまでにそういうジャンルの違うひとたちとイベントをやることもなかったし、やってみたらいいやんって思って。
――UZMKのメンバーの反応はどうでしたか?
いままでは怖いお兄さんと一緒にやってきたのになんで? って、最初は謎な顔してましたよ(笑)。
――ライオンの檻にウサギを放つようなものですよね。
そう! でも実際はライオンがウサギに気を使ってて(笑)。楽屋も全部譲って、「お菓子も食べていいよ~」って言ったり(笑)。
――その楽屋、みなさんの意外な一面が見られそうですね(笑)。お客さんの反応も同じ感じですか?
PassCodeっていうアイドルがいるんですけど、彼女たちに初めて出演してもらった当時はまだそんなに認知度も大きくなくって。でも、曲調はFear,and Loathing in Las Vegasと匂いが似てて。彼女たちの事務所からベガスの前の出番でライブをさせてほしいって直談判されて。普段は出演順は主催者側で決めることが多いんですけど、あえてそのお願いを聞いて。そうしたら、当日のライブはベガスファンも巻き込んでライブが大盛り上がりで。それを見たとき、このイベントは正解やなって思えましたね。
――カルチャーの違いがまた新しいカルチャーを生む、そんな瞬間ですよね。
アイドルファンも本気でぶつかっていくんですよ。その姿を会場の裏手から見ているのが面白くって。このイベントをやり始めた当初から、バンドばかりにこだわってはやりたくないって言ってて。バンド系のフェスってほぼほぼライブバンドしか出ない、僕はそれが好きではないんですよね。別に文化祭の延長みたいなイベント、流行りも入れつつとにかく面白いものをそろえる。そういうイベントってみんなが楽しめるんですよ。
――アイドルに限らず、多彩なジャンルのバンドが出演するのもそういう意図があってのことなんですね。
なんならYoutuberとかにも来てほしいですね。面白ければ何でもいい! 若い人がエネルギーを発散できる場所があればいいんです。
――タイムテーブルも気になるところです。どうやって目当てのライブを見るか、考えるのもサーキット型イベントの楽しみのひとつでもありますよね。
ですね。でも、お客さんが僕に「なんで●●と××の出演時間を被せたんですか」って怒られることもあるんですよ(苦笑)。見方次第で好きなバンドを全部観られるかもしれないんで、頑張ってタイムテーブルを見て考えてくれたら嬉しいですね。
――サーキット型イベントの醍醐味でもある、知らないアーティストとの出会いも楽しんでほしいですよね。
どのアーティストにも言えることですけど、本当はアイドルを見たいのに斜に構えて「アイドルなんて~」って言う人にこそ見てほしい。周囲に騒がれている、その理由を体感してほしい。僕もライブを直接見て好きになったパターンが多いんで。
――主宰者であるJYUさん自身が体感したからこそ、今のイベントの形になっているということですしね。
言い方が悪いかもしれないけど、アンダーグランドな世界のせいか、みんな本気なんですよ。アイドルの子たちもバンドには負けへん、「やってやろう!」っていう顔をしてるんですよね。
――最近はインパクトのあるライブを展開するアイドルも増えてきましたよね。
そうなんですよ。想像の斜め前を行っている人がすごく多い。
――楽器を持っていないだけでポテンシャルはバンドと大差ないと。
バンドもアイドルもお互いに刺激になると思いますよ。ま、イベントはお祭りのような感覚なんで、一度楽しんでもらえたらいいかなって。
――初めて参加されるお客さんに何かアドバイスをお願いします。
イベント当初からの流れでもある、お客さん発信でのカルチャーを作ってほしいですね。日ごろから気になっているアーティストを観るのもいいし、友達同士で遊んでばっかりいるのもあり。まずは好きなように楽しんでほしいです。
――UZMKはイベントの主催でありながら、ステージのトリを務めないのもスタンスなんですよね。
あんまりトリに意味がないなと思っていて。理由は色々とあるんですけど、一番の理由は“トリがメイン”っていう考えが好きではない。アメリカだとオープニングアクトのほかにクロージングアクトもいたりして、イベント中盤が一番盛り上がったりする。それを体感したときに、トリにこだわらなくてもいいのかなって思えたんです。最近はイベントの頭にライブをして、あとはお酒を配りにいったり、ホールで接客業みたいなことをしてますね(笑)。お客さんも楽しみにしてくれているけど、一番楽しみにしているのは僕らなんで(笑)。
――今後のUZMKの活動も気になるところですが。
今はレコーディングをしています。やるやるって言いつつ長いこと放置してましたが、今は本気でやってますよ(笑)。ヤバイのを録ってるんで、イベントの時に何か1曲でも出せたらなって。バンドとしてはメンバーが変わったのもあるんで、今のメンバーで納得できるような作品が出来たらいいですね。
――ファンの人たちはイベントはもちろん、新曲にも注目と。
是非! この情報社会においてUZMKって謎のバンドみたいになってますからね(笑)。ここまで謎すぎると、逆にそれが面白いかなってムキになって情報を教えないようになってて。調べても出てこないからライブに遊びに行くっていう、ひと昔前のバンドの探し方になってるんで、気になる人がいればぜひライブを体感してほしいですね。
JYU(UZMK)撮影=日吉"JP"純平
取材・文=黒田奈保子 撮影=日吉"JP"純平
日時
2017年10月21日(土) 東京 渋谷
2017年10月28日(土) 大阪 心斎橋
2017年10月31日(火) 名古屋 大須
会場
東京 渋谷
THE GAME / CHELSEA HOTEL / MilkyWay / GARRET / CYCLONE / STAR LOUNGE
大阪 心斎橋
BIGCAT / DROP / SUN HALL / FANJ twice / Pangea
名古屋 大須
Electric Lady Land / ell.FITSALL / ell.SIZE / LIVE BOX UNLIMITS
出演者
東京 渋谷
EACH OF THE DAYS、iMagic.、UZMK、The 3 minutes、THE Hitch Lowke、THE Zutazutaz、Sola Sound、名古屋CLEAR'S、NEVE SLIDE DOWN、PassCode、Pulse Factory、BACK LIFT、ヒステリックパニック、mistress、LAST GASP、ROOKiEZ is PUNK’D、我儘ラキア
東京:前売/3,500円(税込・1DRINK代別)
大阪:前売/4,700(税込・1DRINK代別)
名古屋:前売/3,800(税込・1DRINK代別)
主催
東京:UZMK
大阪:キョードーグループ
名古屋:UZMK
企画/制作
東京:UZMK
大阪:UZMK / KYODO GROUP INC.
名古屋:DxAxM / GoneR
協力
東京:(株)attract / PUNKLOID / AILA ENTERTAINMENT
大阪:AILA ENTERTAINMENT
名古屋:サンデーフォーク / AILA ENTERTAINMENT