玉木宏の“天性の色気”を堪能!? 鈴木京香、千葉雄大、高橋惠子らが挑む舞台『危険な関係』ゲネプロレポート

2017.10.9
レポート
舞台

(左から)千葉雄大、玉木宏、高橋惠子『危険な関係』


玉木宏主演の舞台『危険な関係』が、2017年10月8日(日)から東京・Bunkamuraシアターコクーンにて開幕。本作は、フランスの作家コデルロス・ド・ラクロによる小説をもとにした作品。1782年の発表以降、世界各国で何度も映像化や舞台化がされてきた名作が、イギリスの劇作家クリストファー・ハンプトンによる脚本と、ロンドン演劇界で高い評価を得ているリチャード・トワイマンの演出で、新たな舞台としてよみがえる。本作のゲネプロが10月7日(土)に同劇場にて公開された。

玉木宏

原作は、1782年の作品ながら、現代にも通ずる巧みな心理描写が秀逸。18世紀後半のフランス貴族社会を舞台に、複雑な恋愛模様が明らかになっていく。物語の中心となる人物は、玉木宏が演じるプレイボーイのヴァルモン子爵と、鈴木京香が演じる策略家で妖艶な貴婦人メルトゥイユ。メルトゥイユが、元愛人のジェルクール伯爵に裏切られた恨みから「ある復讐計画に協力してほしい」とヴァルモンへ助力を求めることで物語が始まる。

鈴木京香(左)

鈴木京香

ゲネプロ前に行われた会見で、高橋惠子が「玉木さんの肉体の美しさをぜひ皆さんに見ていただきたいです」と語った通り、玉木は鍛え抜かれた上半身を何度も披露。色気を纏った美しい姿で、ヴァルモンがプレイボーイと呼ばれていることをまず視覚的に納得させていた。日常の佇まいや言動には子爵としての気品を漂わせているヴァルモンだが、女性関係の面では少々卑劣に感じる振る舞いも。先述した会見で高橋が「色気は天性のもの」と感嘆していたように、玉木が演じるからこそ、ヴァルモンの本性を知ってなお魅力的に見えてしまう。

土井ケイト

高橋惠子、玉木宏

玉木宏

鈴木京香が演じるメルトゥイユは、この物語を影から動かす悪女的な立ち位置。元愛人への復讐のために、元愛人の婚約者であるセシル(青山美郷)の純潔を踏みにじってやろうと企む顔は、冷酷であり妖艶。身内に対する表の顔とヴァルモンに見せる裏の顔、両極端な二面性に惹き付けられる。

鈴木京香

一方、貞淑なトゥルヴェル法院長夫人を演じるのは野々すみ花。男性を支配するメルトゥイユとは対照的な存在だ。恋愛への概念はどこまでも固く、ヴァルモンはそんなトゥルヴェルに興味を抱いて誘惑するのだが、さすがのヴァルモンも簡単には落とせない。しかし真面目なトゥルヴェルが徐々に気持ちの変化を見せ、あるきっかけでたがが外れるように溺れていく姿が妙に生々しい。

野々すみか

野々すみか(右)

千葉雄大は、愛嬌ある好青年・騎士ダンスニーを熱演。緊迫したシーンが続く中でダンスニーが登場するたび、どこかほっこりとした空気が流れるのだが…。表情豊かでやわらかな雰囲気だけでない、演技の振り幅の大きさを見せつけた。 

千葉雄大(左)

千葉雄大、玉木宏

婚約者がいながらにしてダンスニーと恋に落ちる青山演じるセシル。純粋無垢な少女が、大人の世界を知ることで一気に開放されていく姿が実にリアルだ。また、高級娼婦のエミリーを演じる土井ケイトは圧倒的な存在感で、短い登場シーンの中で強烈なインパクトを残していく。

玉木宏、土井ケイト

佐藤永典はヴァルモンの従僕であるアゾランを好演。爽やかな佇まいながら、物怖じせずにヴァルモンと接する様子に芯の強さが伝わる。ロズモンド夫人役の新橋耐子は場が引き締まるような貫禄を見せ、セシルの母でありメルトゥイユの従姉という複雑な立場とであるヴォランジェ夫人役を高橋惠子が奮闘。家令・召使の冨岡弘、女中の黒田こらんも、物語が進行するうえで欠かせない存在だった。

高橋惠子、玉木宏

会見では、千葉雄大が「もしかしたら一回で理解していただくのは難しいかもしれないですが…。わりと笑えるところもあるので、そこでは心置きなく笑っていただけるようにがんばります」と意気込んだ。高橋惠子は「男性も女性も思い当たるところがあると思います。最後に明らかになる真実を楽しみにしていただきたいです」と見どころをアピール。主演の玉木も「今まで見たことのない『危険な関係』になっています。とてもスタイリッシュで、舞台セットも斬新で、僕たちが演じる貴族の恋愛ゲームを楽しんでいただけると思います」と自信を覗かせた。

複雑な人間関係が絡み合う中、どんでん返しな展開に考えさせられる舞台『危険な関係』。ラストに待ち受ける衝撃をぜひ劇場で体感してほしい。

鈴木京香、千葉雄大

玉木宏

取材・文・撮影=堀江有希

公演情報
シアターコクーン・オンレパートリー2017『危険な関係』
 
<東京公演>
■日程:2017年10月8日(日)~31日(火)
■会場:Bunkamura シアターコクーン

 
<大阪公演>
■日程:2017年11月9日(木)~14日(火)
■会場:森ノ宮ピロティホール
 
■作:クリストファー・ハンプトン
■翻訳:広田敦郎
■美術・衣裳:ジョン・ボウサー
■演出:リチャード・トワイマン
■出演:玉木宏、鈴木京香、野々すみ花、千葉雄大、青山美郷、佐藤永典、土井ケイト、冨岡弘、黒田こらん/新橋耐子、高橋惠子
■公演特設サイト:http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/17_dangerous/

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