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大阪・大正区から音楽シーンを作る、若手アーティスト発掘イベント『T-1 ライブグランプリ』第二回予選レポート

2017.10.19
レポート
音楽

T-1ライブグランプリ

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『T-1ライブグランプリ2017』2017.9.24 大正区民ホール

大阪・大正区が主催する音楽イベント『T-1ライブグランプリ2017』の第2回予選が、9月24日(日)に大正区役所の区民ホールで開催された。同イベントは、才能ある若手アマチュアミュージシャンを発掘するコンテスト形式のイベントで、“音楽で大正区を盛り上げたい”との思いから2009年より開催されてきた。行政が主催する音楽イベントといっても、大型音楽フェスさながらの本格的な映像演出と装飾が施されていて、日ごろ区民に親しまれているホールが華やかなライブステージへと変わっていた。そういった細部に渡る心意気から、イベントに懸ける想いと音楽への愛が、随所から感じられる。グランプリに輝いたアーティストには、大正区の音楽振興大使として成人式やマラソン大会など区のイベントで活躍する機会が提供される他、テレビなどメディアで取り上げられることも。スタートから9年目を迎える今年は、関西を中心に全国からチャンスをつかみ取ろうと駆け出し中のアーティストから多数の応募が集まった。第2回予選となったこの日は、選ばれし全8組のアーティストが出場。関西のライブハウスや芸能プロダクション、音楽プロデューサーなど業界を支えてきた審査員の厳正なる審査により、3組が決勝へと駒を進めることができる。

お笑いコンビ・世界システム

当日は入場無料ということもあり老若男女がつめかけ満席。決勝戦への出場権を獲得するのは、一体どのアーティストなのか!? 開演を待ちわびる観客の前に、MCを務めるお笑いコンビ・世界システムが登場。ボケ担当の大木はんすけは大正区在住で、あの大木こだま・ひびきの弟子。師匠のエピソードを交えながら、笑いで会場を盛り上げるオープニングに。

思い出づくり

早くも賑やかな雰囲気に包まれたステージに、トップバッターで登場したのは思い出づくり。しっとりとしたナンバー「子守唄」でライブをスタートさせると、巧みな演奏でパッションを練り上げていった「今こそ命を燃やせ」へ。疾走感溢れる楽曲を情熱的に歌い上げ、シンプルなバンド名や楽曲名とはギャップのある、アグレッシブなロックサウンドをぶつけた。

OTO-NECO

続いて登場したのは、男女ユニットのOTO-NECO。ボーカリストの尹来里が、Bossのギターサウンドに合わせて、おばあさんの語りを独白するように歌う「人魚伝説」を披露。赤毛のウィッグにビビッドカラーの衣装を身にまとい、劇を観ているようなステージングで惹きつける。ラストは、ウィッグを外しセクシーな衣装で「大阪シティライト」を歌い、ステージをおりて観客と触れ合うなど鮮烈な印象を残した。

FRANK

三番手には、京都で結成された現役大学生によるグルーブのFRANKが登場。日本人と韓国人によるトリプルボーカルというめずらしい編成。「my way」、セルフタイトル曲の「FRANK」とアコギのギターサウンドとコントラバスの重たいリズムに合わせ、突き抜けるようなハイトーンボイスで魅了。コール&レスポンスで一体感を生み、美しいハーモニーをしっかりと届けた。

26MADAGASCAR

同じ職場で働く仲間で結成された26MADAGASCARは、「社会人でもロックができるんだ!」とスリーピースならではのシンプルなサウンドで、ロックナンバー「お金がないから」をぶつける。「メンバーが出会った国道26号線のように、バンドもどこまでも続いていったらいいなと思って作った曲です」と「26」を披露。親しみやすい曲調で哀愁漂うライブで観客の心を掴んだ。

大曽根クルール

機材トラブルのため、登場するもライブができない不運に見舞われた大曽根クルール。それでも復旧まで丁寧に場を繋ぎ、凛と振る舞う姿から積み重ねてきたライブの経験値が感じられた。無事ライブが始められると「はだしのシンデレラ」をセンチメンタルに歌いあげ、シンプルな楽曲に想いを詰め込んだ「がんばれ」へ。感極まって目頭が熱くなる場面もありながら、最後まで真摯に熱くステージをやり抜いた。

パレス

終盤戦に差し掛かった頃、2015年の『T-1ライブグランプリ』以来となるパレスが登場。バンドサウンドに合わせて、ダンサーがステージを舞う新感覚のダンスバンドだ。ムーディーなアンサンブルが鳴り響き、音に沿ったストーリーの浮かぶダンスが繰り広げられる。「大切な人との一瞬、一瞬が大切な思い出になりますように」と披露されたのは「想い出に浸る時」。刻まれるビートとエモーショナルな歌に呼応して、ダンスも熱を帯びていった。

斉藤れいか

大所帯のスケール感あるライブから、今度は弱冠二十歳の斉藤れいかが、ひとり佇み独自の歌詞世界で勝負する。「rainy days」、「黒と白」とギターをかきならし、切なく、力強く、感情をむき出しにして歌う斉藤。「自分の曲を信じて、今、私が持っているすべてをこのステージにおいていきます。私の全力を受け取ってください」と、静と動が織りなすメロディーで感情の機微を届けた。

D'RoP-D

ラストに登場したのは、D'RoP-D。ハードなバンドサウンドにのせて手拍子が巻き起こり、まっすぐに歌い上げる。前回、応募したものの当日に体調不良で辞退したという苦い想い出があるだけに、今年はリベンジの意思もありライブにより熱が入っていた。「Drop-D」、「Run up!」とアグレッシブなステージングを見せ、前向きな歌詞とそれを引き立てる抜けの良い歌声で心を掴みに行った。

andRE

あっという間に全出演者のステージが終わり、審査員と観客による投票タイムへ。結果発表の前にスペシャルライブが行われ、昨年グランプリに輝いた第8代大正区音楽振興大使 andREが登場。この1年の活動を振り返り「人と人とが繋がる場所を作ってくれる場所」と『T-1ライブグランプリ』への想いを語った。フォークデュオならではの温かみあるサウンドとハーモニーで会場を包み込んでいった。さらに、第5代大正区音楽振興大使を務めた佐野仁美も登場。4年前に出場した当時は、現役高校生で制服姿で登場していた彼女。今回はグランプリの先輩として、堂々たるピアノ弾き語りを披露。音楽振興大使での活動を経て成長した姿をアピールした。

佐野仁美

いよいよ、開票の時間に。審査員、そしてこの4月から大正区長を務めた吉田康人氏の前に、全出演者が呼び込まれると、会場には緊張感が張りつめていた。司会の世界システムにより発表された3組は……、大曽根クルール、パレス、FRANKの3組。会場がワッと沸き上がり声援が飛び交う。この3組と第一回の予選通過の今村光志、優希、オオツエの3組が、12月17日(日)に開催される決勝戦でグランプリをかけて出場することになる。

T-1ライブグランプリ

最後に、吉田区長は「大正区でチャンスを得たミュージシャンが育っていくことが、大正区民の誇りになるような町にしたい。今日、涙をのんだアーティストの希望といいミュージシャンを育てるという大きな夢を実現していきたいなと思います」とメッセージを送った。音楽を通して大正区を盛り上げ、若者の“やってみたい!”という気持ちを尊重し、繋げていくきっかけとして開催されてきた『T-1ライブグランプリ』。この日、出演したアーティストたちも夢を持ってステージに立ち、全身全霊でライブを繰り広げた。いよいよファイナルは12月17日(日)に開催。ボランティアスタッフも随時募集中なので、大正区を盛り上げたい熱い想いを持った人は、是非、応募してみてほしい。

T-1ライブグランプリ

取材・文=大西健斗 撮影=森好弘

イベント情報
T-1ライブグランプリ決勝大会
◆ファイナル決勝:2017年12月17日(日)

応募の詳細は、大正区HPをご覧ください。
http://www.city.osaka.lg.jp/taisho/page/0000392942.html