サプライズな選曲の連続で魅了した、約3時間に及んだ濃密なジャクソン・ブラウン大阪公演
ジャクソン・ブラウン 撮影=土居政則
ジャクソン・ブラウン 2017.10.23(mon) オリックス劇場
米国音楽を代表するシンガーソングライターとして数多くの名曲を世に送り出し、今年で1972年のデビューから45周年を迎えたジャクソン・ブラウン。10月4日には、2015年の日本公演の音源から選曲された日本国内限定リリースのライブ盤『ザ・ロード・イースト~ライブ・イン・ジャパン』を発表。その前回のツアーからペダル・スティール・ギターの名手として知られるグレッグ・リーズが加わり、ヴァル・マッカラムとの強力なツイン・ギターを擁してジャクソン自身が「歴代のバンドの中でも一番のお気に入り」と称する「ドリーム・バンド」を率いての2年半ぶりの来日公演は、公演ごとに演奏曲目をガラリと変えて何が飛び出すかわからないフレキシブルさも魅力。東京での3デイズ、名古屋を経て10月23日(月)の夜にオリックス劇場で行われた大阪公演も、巧みなバックバンドを得ての好演とサプライズな選曲の連続で新旧のファンを満足させる濃密なステージとなった。
メンバー登場時から立ち上がっての大きな歓声が上がり、現在のところ最新作となる『スタンディング・イン・ザ・ブリーチ』(14年)収録の「The Birds Of St. Marks」から幕を開けると、女性コーラスの2人を紹介した後にそのソウルフルな歌声も映える「Some Bridges」へ。続いては、早速客席から飛んできたリクエストに応えて名作『孤独なランナー』(77年)収録の「You Love The Thunder」を取り上げると、1曲を挟んでピアノに移ってからも同じく『孤独なランナー』から「Love Needs A Heart」を披露してイントロから歓声を誘った。曲間にオーディエンスから盛んにリクエストが飛び交い、それに耳を傾けながら曲を選んでライブを進めていく光景はジャクソン・ブラウンのライブではおなじみのものだが、新旧の曲を熟知したファン、それに即座に対応できる力量のバンドの存在があってこそのものであり、この日も独自のセットリストをその場で築いていった。
そして、グレッグとヴァルの両ギターによるソロのかけ合いも聴きものな「Looking East」でロックな高揚感を高めると、74年発表のアルバムの表題曲である「Late For The Sky」から『プリテンダー』(76年)収録の「Here Comes Those Tears Again(邦題:あふれでる涙)」へ。絶妙な流れで叙情的な名曲を連続で歌うと、続いても今回の来日ツアーでは初披露となった『ネイキッド・ライド・ホーム』(02年)収録の「Never Stop」を取り上げ、人気曲の「These Days(邦題:青春の日々)」へ。さらに、前半の第一部のラストには客席からのリクエストに応えてこちらもライブではレアな『レイト・フォー・ザ・スカイ』(74年)収録の「Before The Deluge」をピアノを弾きながら歌い、予想外のナンバーも柔軟に交えながら休憩タイムへと入っていった。
ジャクソン・ブラウン 撮影=土居政則
ブレイクを挟んでの第二部は、黒いボディのアコースティック・ギターを携えて登場し、2本のギターとコーラスのみをバックにしての72年発表のデビュー作収録の「Something Fine」からスタート。後半も新旧の楽曲を交えながら、リクエストに応えて『プリテンダー』に収録されたメキシコ音楽調のラテン・フレイバーが心地よくも異色な佳曲「Linda Paloma」までも取り上げるサプライズな選曲で、何が飛び出してくるかわからないムードを継承しながらも、徐々に後半らしく高揚感をアップさせていった。客席に「(次の曲も)選んでいいよ」と呼びかけ、同時に連呼される曲名に反応したり「(何と言ってるか)わからない」などとやりとりしながら、続いては82年に公開された映画『初体験/リッジモント・ハイ』に提供してポップ・ヒットした「Somebody’s Baby」を披露すると着席のオーディエンスも徐々に立ち上がって反応。盛り上がりモードを強めたところで、グルーヴィーなピアノのリフから最初期のヒット曲である「Doctor My Eyes」へと流れ込むと、巧みな曲間のギターソロも交えて一気に場内のテンションを高めていった。
ジャクソン・ブラウン 撮影=土居政則
続いてもロックなギター・リフからの「Boulevard」でコール&レスポンスも交えながら盛り上げると、ピアノに移って「ヴァレリー・カーターについて書いた曲」と、前置きした後にこちらも今回のツアーで初披露となった「That Girl Could Sing」を。1980年リリースのアルバム『ホールド・アウト』収録のレアな2曲で熱気をキープすると、続いても「さっき誰かが挙げていたよね。僕も好きな曲だ」とリクエストに応える形で『ライヴズ・イン・ザ・バランス』(86年)収録の「In The Shape Of The Heart」を力強いギター・リフからプレイした。ここでバックを務めるバンドのメンバー全員を改めて紹介し、ピアノを弾きつつ徐々に高揚感を強める曲展開で代表曲「Pretender」を演奏すると客席も総立ちとなって応え、本編のラストはおなじみのギター・リフから手拍子を伴って場内を熱いフィナーレへと導く名曲「Running On Empty(邦題:孤独なランナー)」へ。ドリーム・バンドの核をなす2本のギターとキーボードによるソロも、不朽の定番曲をさらに熱くさせた。
そんな充実の本編を経てのアンコールも、冒頭から「グレン・フライとの曲を。もし好きなら一緒に歌って」とのMCとともに大きな歓声が上がり、初期のイーグルスに提供して自身のセルフ・カバーでも知られる「Take It Easy」を取り上げると場内は大合唱状態に。続いて73年発表の『フォー・エヴリマン』収録のメロウな「Our Lady Of The Well」をプレイして徐々にクールダウンさせながら締めてステージを去っていくかと思うと、ジャクソン・ブラウンはひとりピアノの前に残り『孤独なランナー』のラストを飾る名メドレー「The Load-Out/Stay」を歌い始めた。
そして、一旦はステージ上から去ったバックのメンバーたちも徐々に加わってソウルフルな高揚感を強めながら、アルバムと同じ感動的なフィナーレをライブで再現。リクエストに応えてのレアなナンバーの数々にライブでの盛り上がりに欠かせない人気曲も網羅したトータル約3時間に及ぶフルコースなセットで、集まった大阪のファンを最後まで魅了した。
レポート・文=吉本秀純 撮影=土居正則
時間:18:00 open/19:00 start
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