さかいゆう×アルバン・ドゥ・ラ・シモーヌ 日仏の才能がライブ共演前に対談
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さかいゆう×アルバン・ドゥ・ラ・シモーヌ 撮影=北岡一浩
10月30日(月)、東京・ヤマハホールにて『東京ウォーカー海外交流コンサート“TAMDEM” vol. 8』が開催される。『TANDEM』は、フランス語圏と日本の音楽を通じての交流を目的として2016年10月からシリーズ開催されている音楽プロジェクト。今回の公演では、日本からは様々なジャンルのアーティストからの楽曲提供オファーやタイアップソングで引く手数多、抜群の歌唱力を誇るシンガー・ソングライターとして注目を集める、さかいゆう。フランスからは、ヴァネッサ・パラディからイギー・ポップまで、数多くのアーティストと共演、先日、日本盤アルバム『僕たちの中のひとり』をリリースしたばかりのアルバン・ドゥ・ラ・シモーヌが参加。この2人が、今回のツーマンコンサートで初TANDEMを行なう前に、SPICEではスペシャル対談を実施した。
アルバン:わたしのなまえはアルバン・ドゥ・ラ・シモーヌです。日本語はちょっとしかわかりません(ここまで日本語)。(以下は英語とフランス語を交えながら)日本語は、あとは「おはようございます」とか、子供レベルのことしか話せません(笑)。
さかい:日本に来るのは今回で何度目になるんですか?
アルバン:Fifth time!
さかい:全部コンサートで?
アルバン:はい。1回目はキーボードプレイヤーとして、サリフ・ケイタと1週間、ブルーノートで公演をしました。そのあと、クレモンティーヌのオープニングアクトや、去年はサラヴァの公演で来たり。
さかい:じゃあmany timesだね。
アルバン:日本はとても好きですよ。
――どんなところが好きですか?
アルバン:たくさんあります。地形も面白いし、建物がすごい面白いですよね? 食べ物もおいしいし。日本の音楽、映画も興味深いですし。パリにいるといつも緊張して気を張ってないとって思ってしまうんですが、日本に来るたびに、それがスッと抜けるというのかな。パリはもちろん好きなんですよ。でも、東京に来るとリラックスする。そんな心地よさを感じますね。
さかい:僕がパリに行ってリラックスするのと同じだな。
――さかいさん、フランスに行かれたことがあるんですか?
さかい:はい。プライベートで。僕もパリに行ったときは、建物が全部自分よりもいい意味で年寄りだから(笑)、シュッとするんですよ。僕、古い建物が好きなんですよ。(出身地の)高知ってね、あまり古い建物がないんです。古くなったらどんどん壊して、すぐ建て替えちゃうんで。保守的じゃないから、県民性が。だから、古い建物がある松山とか金沢とか、京都みたいな街に憧れがあるんです。パリもそれを感じました。
さかいゆう×アルバン・ドゥ・ラ・シモーヌ 撮影=北岡一浩
僕らは全然異なる2人だけれども、音楽を通してコミュニケートできてるんです。(さかいゆう)
――今回そんなお2人が『TANDEM』で共演ライブを行なうというのも、なんか運命的なつながりを感じますね。それぞれの存在は以前からご存知だったんですか?
さかい:最初はお互い知らなかったんですよ。それで、今回このコンサートをやるにあたってアルバンの音楽を聴いて、この人となら面白いライブができるかなって。
アルバン:僕は来日しているときに、ゆうさんの弾き語りのコンサートを観に行ったんですよね。そうしたら、ゆうさんはすごいピアニスト、すごいシンガーで。僕はとても驚いたんです。アーティストとしてとてもキラキラした存在だったので、僕は一緒になにかできたらいいなと思ってました。
――しかも、そうして出会ったお2人は、偶然にもお互いピアノを弾きながら歌うシンガーだった訳ですが。ピアノを弾くようになったきっかけを教えてもらっていいですか?
さかい:ピアノはね、僕が弾きだしたのは22~23歳ぐらいなんですよ。最初は歌だけだったんですけど、友達がいなくて(笑)。一人でアカペラで歌うのでは寂しいからピアノを弾くようになったんです。これ、わりと本当の話です(笑)。だからピアノは独学だし。完全に。譜面もまったく読めないですから。アルバンの曲は耳コピしやすかったよ?
アルバン:おぉー(笑)。僕もピアノは耳コピから始めたんですよ。ただ、自分の場合は父がミュージシャンなので、家にピアノがあったから、8~9歳ぐらいから弾いてました。ゆうさんと僕が一番違うところは、僕はピアノが先で、後から歌いだしたというところじゃないかな。僕が一番最初に歌いだしたのは、30歳になってからですから(笑)。そこは大きく違いますよね。
――さかいさんは、アルバンさんのどんなところに魅力を感じましたか?
さかい:ピアノのセンスですね。僕もピアニストですけど、僕とはまったく違うセンスで。柔らかくて、冬の日の暖かい朝みたいな。そういうピアノを弾くんですよ。Sorrowなんだけど、Not only dark & cryで。しかも、視覚的。目を閉じるといろんな景色が見えてくるの。アメリカンでもブリティッシュでもなくて、それがミックスされている。だから、日本人はすごく好きだと思うんだよね。
アルバン:ありがとうございます。
――では、アルバンさんはさかいさんのどんなところに魅力を感じましたか?
アルバン:(日本語で)わたしのこえは“(一定の音で)ルルルルルル~”ですけど、ゆうさんのうたごえは“(幅広い音域を使って)“ウァオ~~~”ですから、とてもむずかしい(苦笑)。ピアノも上手なんですけど、とにかく歌が素敵ですね。歌詞がわからなくても“いい音楽だな”というのが伝わってきます。あと、コンサートを観たときにオーディエンスとのコミュニケーションを上手にやられてて。それも素敵だなと思いました。ゆうさんはステージでの存在感がすごくて、圧倒されました。
さかい:嬉しいですね。唯一知ってるフランス語で言うね。トレヴィアン!
一同:(笑)。
――音楽的に似ているなと感じる部分はありますか?
アルバン:最近のアルバムからは聴こえないかもしれないけど、元々僕はジャズのミュージシャンなんですよ。ルーツにはジャズがある。そして、ゆうさんの音楽にもジャズの要素がたくさんあるじゃないですか? そこは2人とも重なる部分ですよね?
さかい:そうそう。だから、僕らは全然異なる2人だけれども、音楽を通してコミュニケートできてるんです。
アルバン:お互い重なる要素もあれば、各々持ってない部分もあるので、そこを補い合いながら互いを高め合っていくと面白いことができるんじゃないかなと思っています。
――普段のコミュニケーションは、どんな感じでやりとりされているんですか?
さかい:Lineのような、WhatsApp(ワッツアップ)というアプリがありまして。いつもはそれを使って英語でやりとりしてますね。
アルバン:音楽のことから日本のレストランの情報まで教えてもらったりしてます(笑)。(日本語で)パリにきたら、レストラン(教えるよ)!
さかいゆう×アルバン・ドゥ・ラ・シモーヌ 撮影=北岡一浩
歌っている言語はみなさんとは違うかもしれないですけど、みなさんが嬉しい気持ちになってもらえたら、僕はとても幸せです。(アルバン)
――それでは、『TANDEM』はどんなコンサートにしたいと思っていますか?
さかい:僕はアコースティック編成で、歌をダイレクトにお客さんに届けたいなと思っています。ヤマハホール自体がそんなに大きくない会場なので、一番後ろの人まで生音で全部が届くようなコンサートにしたいですね。
アルバン:ヤマハホールはクラシック対応のホールなので、当日はヴァイオリンとチェロの方に入ってもらって。僕も極めてアコースティックなスタイルでやろうと思っています。
――ライブではこの『TANDEM』でしか見られないパフォーマンスもあるということですが?
さかい:はい。最初から2人でコラボしたいなと思っていたので。当日は、この日だけのコラボステージを披露したいと思ってます。こちらも楽しみにしていて欲しいですね。
――それでは最後に、コンサートにいらっしゃる方々にメッセージをお願いします。
さかい:普段の僕のライブとは違って、本当に細かいところまで聴こえるコンサートをお届けします。お客さんには、部屋に招かれて、リラックスしてアールグレイでも飲みながら談笑している、そんな気分で観て欲しいです。
アルバン:今回すごく特別な気持ちで日本にやってきました。それぐらいゆうさんと一緒にコンサートができることを本当に嬉しく思っています。その嬉しい気持ちを、歌っている言語はみなさんとは違うかもしれないですけど、僕の音楽を通じて、僕がすごく喜んでいる状態であるということを感じてもらって。来ていただいたみなさんが嬉しい気持ちになってもらえたら、僕はとても幸せです。
――そして、このコンサートが終わった後、2018年にはさかいさんがパリを訪れて、向こうで一緒にコンサートをやられる予定だそうですね。
さかい:ええ。まだ全然イメージが湧かないですけどね(笑)。
アルバン:ライブをやるなら会場は、パリでは一番のジャズクラブがいいですね。
さかい:おー、いいですね。I love jazz club!
アルバン:パリでは僕が素敵なレンストランを紹介します(笑)。
取材・文=東條祥恵 撮影=北岡一浩
さかいゆう×アルバン・ドゥ・ラ・シモーヌ 撮影=北岡一浩
さかいゆう×Albin de la Simone(アルバン・ドゥ・ラ・シモーヌ)
日程 : 2017年10月30日(月)
時間 : 開場18:00 開演19:00
会場 : ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
http://www.yamahaginza.com/hall/