早大劇研史上初の女性主宰による旗揚げ試演会～露と枕『白に色づく』

早稲田大学の公認サークル、早稲田大学演劇研究会(早大劇研)は、戦前から続いてきた、98年の歴史を誇る学生演劇団体だ。そこでは「アンサンブル（サークル内劇団）制度」が取り入れられ、これまでに第三舞台や山の手事情社、双数姉妹、東京オレンジをはじめとする数多くの有名劇団と、著名な劇作家、演出家、俳優たちを輩出してきた。そのアンサンブル成立には、企画公演で実績を上げたのち、旗揚げ試演会を実施して、劇研の総会の承認を得る、という条件がある。

これまで、女性主宰による企画公演が行われたことはあったが、いずれも旗揚げ試演会には至らず、98年にわたって、女性主宰のアンサンブルが誕生することはなかった。しかし、エンターテイメント性を売りとしていた劇研内アンサンブル「東京ジャンクZ」が2016年末に卒業したことをうけ、劇研内で起こった新アンサンブル旗揚げに向けた動きの中で、ついに女性主宰によるアンサンブル候補「露と枕」が誕生し、このほど、旗揚げ試演会を行うはこびとなった。

主宰・井上瑠菜の作風は、これまでの劇研に多かったいわゆる熱量芝居やカオスストーリーではなく、女性ならではの目線で「愛」や「依存」をテーマに繊細なタッチで描き出すことが特徴。過去の企画公演『路地裏で犬を殺した』『せみのさなぎ』では、多くの女性客から支持を集め、『せみのさなぎ』では537名の観客動員を記録した。

前述の通り、旗揚げ試演会を実施して、その成果が劇研の総会で認められれば、98年に及ぶ早大劇研史上初の女性主宰アンサンブルが正式に誕生することとなる。その動向には学生演劇ファンならずとも関心を寄せずにはいられない。