女性演出家 サラナ・ラパインの『4Stars 2017』に注ぐ情熱――その人物像に迫る
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サラナ・ラパイン Photo by Sofia Colvin
2017年、ニューヨークの劇場街ブロードウェイに新しい劇場が加わった。41番目となるこのブロードウェイの劇場のこけら落とし公演となったのが名作ミュージカルのリバイバルとなる『ジョージの恋人(サンディ・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ)』。 完成度が高いことから辛口メディアでさえ挙って大絶賛、
サラナ・ラパインの叔父は作詞・作曲家スティーブン・ソンドハイムの作品からディズニー・ミュージカルまで幅広く脚本や演出を手掛ける巨匠ジェームズ・ラパイン。そんなサラブレッドの彼女だが、大学では文学を専攻、決して演劇界での活躍を目指していたわけではない。
大学卒業後はボランティア活動の一環として犯罪に手を染めた少年少女たちの更生施設での育成プログラムの開発に携わった。それは、施設に収監されている7人に1人という数少ない少女たちのための教材で、芸術を取り入れた教育だったという。こうした経験を通して、知人から地元ワシントン州シアトルにある地方劇場の芸術監督を紹介され、瞬く間に意気投合したのが2003年のこと。その芸術監督こそが、後に渡辺謙主演の『王様と私』を筆頭にニューヨークで名を馳せる演出家バートレット・シャーだ。2005年、バートレット・シャーがブロードウェイで初めて演出を手掛けることとなり、演出助手として彼女に声がかかった。その後、ブロードウェイでは4作品で演出助手や演出補として立て続けに参加、並行してニューヨークのコロンビア大学院で映画を学び知識を深めていった。
今年、満を持してブロードウェイでの演出家デビューを飾った彼女だが、作品に取り組む姿勢は独特だ。演出を手掛けるにあたり、まずは戯曲や台本を文学作品として深く掘り下げて分析を繰り返し、舞台という3次元に再構築していく作業を欠かさない。文学に勤しんだことがそんな演出スタイルに多大な影響を与えたという。
日本での演出家デビュー作となる『4Stars 2017』でもこの手法から、曲の選考と同時にテーマ性を持たせることに重きを置いた。世界各国の楽曲を使用するという当初の案を活かすため、まずは根底となるコンセプトを“旅”とした。そして出演者たちが旅をするためには、理由が必要だと考え、ミュージカル作品では多く描かれる“愛”をさらなるテーマとして副えた。
因みに、この愛というテーマにたどり着いたのは、以前、愛情に恵まれない更生施設の少女たちと触れ合っていく中で出会った書籍に由来する。愛の意味について掘り下げたこの本にあった一節から閃いたのだとか。
コンサートでありながら楽曲を披露するだけではないという意欲作では、出演者各々の経験が生かされた愛の形と冒険さえも描かれていく、まさに新感覚の舞台だ。これから始まる稽古では、出演者と実際に接していく過程でその愛や冒険の物語、そして世界観がさらなる広がりをみせていくのだという。
これまでに日本を訪れた際の観劇経験では、日本の観客が舞台作品から常に何かを学ぼうとする姿勢に感銘を受けたのだという。音楽と愛には言葉の壁がないと力説、観客全員が出演者の誰かに感情移入をし、必ず接点を見つけることができるはずと熱く語る。
米演劇界に彗星のごとく登場し今最も注目を集める女性演出家サラナ・ラパイン。そんな彼女が日本演劇界での演出家デビューに向けて計り知れない情熱を傾けている。
文=Kageyama, Yusei(影山雄成)
公演公式サイトには、日本人として唯一参加するキャスト・城田優からのメッセージ動画も公開された。
サラナ・ラパインの演出、 そして極上の歌声、 さらにそこに彩りを添える至極のダンス。 全てが伴い織りなす「Journey(旅)」をお見逃しなく!!
演出:サラナ・ラパイン Sarna Lapine
<出演(アルファベット順 alphabetical)>
パティーナ・ミラー Patina Miller
ラミン・カリムルー Ramin Karimloo
シエラ・ボーゲス Sierra Boggess
城田優 Yu Shirota
●公演スケジュール
【大阪公演】2017年12月14日(木)~12月17日(日)梅田芸術劇場 メインホール
【東京公演】2017年12月20日(水)~12月28日(木)東京国際フォーラム ホールC
●一般発売(東京・大阪):好評発売中
●お問い合わせ(10:00~18:00)
梅田芸術劇場【東京】0570-077-039 【大阪】06-6377-3800
◆公式HP http://4stars2017.com
◆公式ツイッター @4Stars_2017
◆公式インスタグラム @4Stars_2017
【東京公演主催】キョードー東京・テレビ朝日・ワタナベエンターテインメント・梅田芸術劇場
【大阪公演主催】朝日放送・ワタナベエンターテインメント・梅田芸術劇場
【企画・制作】 梅田芸術劇場