久保田秀敏×多和田秀弥×東啓介「ピンパーネル団」が語る、待望の再演が開幕する『スカーレット・ピンパーネル』
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(左から)東啓介、久保田秀敏、多和田秀弥
1977年、世界のヒットメーカー、フランク・ワイルドホーン作曲にてブロードウェイで初演されたミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』。日本では、2008年に宝塚歌劇団星組で上演されて以降、再演を重ね、2016年、石丸幹二主演で上演。大反響を受け、2017年11月13日(月)より待望の再演が梅田芸術劇場 メインホールで開幕。
前作同様、主人公のパーシーを石丸が演じるほか、宝塚初演時に主演を務めた安蘭けいがヒロイン・マルグリット役を、石井一孝が敵役・ショーヴランを続投。恐怖政治が渦巻くパリの街を舞台に、権力に挑むイギリス貴族、パーシー・ブレイクニーの物語を熱演する。
今回の再演では、パーシーとともに、断頭台から人々を救うための戦いを続ける「ピンパーネル団」のキャストを一新。前作とはまた味わいの違う「ピンパーネル団」が誕生する。稽古真っ盛りの中、「ピンパーネル団」の新メンバーである、ベン役の久保田秀敏とエルトン役の多和田秀弥、ハル役の東啓介が本作への思いを語ってくれた。
憧れのグランドミュージカル初挑戦!「忘れられない作品」に
——『スカーレット・ピンパーネル』は、2016年の公演の
久保田 嬉しいの一言です!僕は、昔から歌に対しての苦手意識があったのですが、役者をやるにあたっては、歌やダンスはつきものなので、克服しなければいけないと思っていました。この作品に出られるということは、僕にとっては新たな挑戦で、これから役者を続けていくにあたって、幅を広げられるいいチャンスだと思います。本当に、飛んで喜びましたよ。
多和田 僕も、グランドミュージカルに出演するのは初めてなんです。ミュージカルは、二人(久保田と東)と共演したミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン以来なので、出演が決まったときは、めちゃくちゃ嬉しかったですが、同時に僕でいいのかなという不安もありました。ただ、これからはミュージカルにも挑戦していきたいと思っていたので、この作品で、役者としての幅を広げるための大きな一歩を踏みださせていただけるのはとても嬉しいです。ずっと忘れられない作品になると思います。
東 僕も、素直に嬉しかったです。グランドミュージカルに憧れがありましたし、1年経たずに再演をする作品に携われていることに、未だ実感が湧かないほどです。早く初日を迎え、新しいピンパーネル団を見てもらいたいと思っています。
——前作は映像でご覧になられたということですが、ご覧になって、本作の魅力はどのようなところにあると感じられましたか?
久保田 翻訳劇ということもあると思いますが、衣装がとにかくきらびやかで華やかだなってイメージがありましたね。今回、僕の役柄は貴族なので、立ち姿から気にしていかなければならないと思い、稽古でも常に背筋を張って意識して立っています。でも、映像で見るのと、実際にやるのは全く違いますね(苦笑)。公演までの1か月をかけて、しっかりと作り込んでいかなければいけないなと思っています。
久保田秀敏
多和田 僕は、ストーリーを知らずに前作を観たのですが、すごく観やすいと感じました。翻訳劇って、難しそうなイメージがあるじゃないですか。でも、この作品は、誰が観ても楽しめる作品。パーシーの勇敢さが際立っていて、コミカルな部分も悲劇的な部分もあって、ミュージカルを初めて観る人でも楽しめると思います。
東 この作品の魅力は、なんといっても歌だと思いますね。フランク・ワイルドホーンさんの楽曲って、聞いただけで口ずさんでしまうような、キャッチーで印象的な曲ばかりなんです。(石丸)幹二さんが稽古で歌っているのを観て、その歌を思わず歌ってしまうこともよくあります(笑)。そういう意味でも、この作品は素晴らしい作品だと思います。
最初から自然とまとまったピンパーネル団
——稽古場の様子はいかがでしたか。
東 「ピンパーネル団」のキャストは一新しているので、大変な部分もあります。「ピンパーネル団」は、要所要所で舞台に出るんですが、「ピンパーネル団」の流れがメインで描かれているわけではないんです。でも、その流れを自分たちで作らなくちゃいけないので、それは苦労しました。
久保田 限られたシーンで、必要なストーリーとメッセージをお客さんに与えつつ、「ピンパーネル団」のメンバー個々の個性も出さなくちゃいけない。それが難しくて、みんな頭を抱えながら、意見を出し合いながら稽古してきましたね(苦笑)。最近、やっと楽しんで演じられるようになったよね。
東 そうだね、やっと「ああ、こういう感じか」っていうのがつかめた気がする。
多和田 苦労した分、つかめたね。
(左から)久保田秀敏、多和田秀弥、東啓介
久保田 「ピンパーネル団」は、この作品の要で、軸になるメンバーだと思うんです。もちろん、この作品はパーシーの物語ではあるんですが、ピンパーネル団の成長記でもあるんです。戦うこともできなかった人間が、どんどん強くなって、相手に立ち向かう知恵と勇気を持っていく。そういう成長をお客さんにも一緒に感じてもらいたいんです。それを表現するために、僕たちは、立ち姿から英国紳士にならなければいけない。立ち姿から、英国紳士になる……そこにも苦労していますね。
多和田 動きがどうしても現代になっちゃうんだよね。僕らは現代の人間なんで仕方がないのかもしれませんが、自然に普段から貴族のようにしていないといけないですからね。でも、最近は慣れてきましたよ。稽古を始めた当初は、みんな(背筋を伸ばし続けているから)腰が痛いって言っていたもんね(笑)。
多和田秀弥
東 確かに、少し身についてきたかなって思うよね。
——久保田さん、多和田さん、東さんの3人はミュージカル『テニスの王子様』で、東さんとファーレイ役の藤田玲さんは『BOY BAND』で共演していますが、それ以外の方は本作が初めての共演ですよね。ピンパーネル団として結束を高めるために、どんなことをされていますか?
久保田 LINEのグループは作っていますね。でも、最近は全く稼働してないです(笑)。ピンパーネル団のメンバーと食事に行くってことも、一切ないですし(笑)。
多和田 最初は、ちょこちょこLINEを送りあっていたんだけどね(笑)。
久保田 でも、今回のメンバーが集まった時に、最初から自然とまとまりがあったんですよ。
多和田 最初からみんな同じ方向を向いているって感じましたよね。そういう意味でも、みんなでご飯を一緒にして仲良くなろうということも必要なかった。稽古場でギュッと集中して、パーンと帰るって感じだった。
東 そっちの方が息抜きもできるし、そういうやり方が、このメンバーに合ってるよね。
東啓介
久保田 そう。でも、めちゃめちゃ仲がいいんだよね、みんな。
——特別に何かをしなくても、同じ方向を見ることができるって素敵な関係ですね。公演が非常に楽しみです。では、最後に、読者の方へメッセージを。
久保田 再演といえど、全く同じことはしたくないと思っています。新しくなったピンパーネル団の僕たちが、新しい風を吹き込み、新しい『スカーレット・ピンパーネル』にしたいと思っています。前回、
多和田 僕たち新しいメンバーが、前作からのレールに乗って、どこまで世界観を広げられるかというのが再演の課題だと思い、キャスト全員が、去年よりいいものをという意識を持って、稽古に励んでいます。前作を観てくださった方も、今年初めて観る方にも満足して劇場を出てもらえるようにしたいですし、この作品を愛してもらえるように頑張りたいと思います。
東 先日は、ブロードウェイ版の演出を手がけたガブリエル・バリーさんにも来ていただいて、いろいろと指導をしていただきました。稽古を重ねていて、僕たちも、前作とはまた違った『スカーレット・ピンパーネル』を作り上げていると感じています。再演ではありますが、また新しい気持ちで劇場にきていただけたら嬉しいです。
(左から)東啓介、久保田秀敏、多和田秀弥
取材・文・撮影=嶋田真己
◆日程・会場
2017年11月13日(月)~15日(水)梅田芸術劇場 メインホール
2017年11月20日(月)~12月5日(火)TBS赤坂ACTシアター
◆脚本・作詞:ナン・ナイトン
◆作曲:フランク・ワイルドホーン
◆編曲:キム・シェーンベルグ
◆訳詞・翻訳・潤色:木内宏昌
◆潤色・演出:ガブリエル・バリー
◆演出:石丸さち子