鈴木愛が逃げ切るのか はたまた韓国”三銃士”が奇跡の逆転を果たすのか 賞金女王を決する「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」
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今年を賑わした30人の女子プロが集うLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ。最後に花を咲かせるのはどの選手なのか
3月の『ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』から始まったJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のトーナメントも、いよいよこの『LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ』で締めくくり。今季の38試合目を誰が制し、2017年の賞金女王は誰になるのか、注目のラストゲームが幕を開ける。
初戦のダイキンオーキッドを制したのは、実力者のアン・ソンジュ(韓)だった。以来、韓国勢が制した試合は計12試合におよぶ。昨年、一昨年と2年連続で賞金女王となったイ・ボミ。今年大ブレークし2勝をマークして、現在約1億1,200万円で賞金ランキング3位につけているイ・ミニョン。そして、先週の『大王製紙エリエールレディスオープン』を制し、今季2勝目を挙げた申ジエなど、韓国勢は実力者ぞろい。もちろん今年、前半戦を飛ばして3勝を挙げ、初の賞金女王を目指すキム・ハヌルもその一人だ。
その他の外国勢は計12人。先の『TOTOジャパンクラシック』で2連覇を達成したフォン・シャンシャン(中)。今季3勝でこの5年間でも賞金ランキングでトップ5を外していないテレサ・ルー(台)。『ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント』で昨年シード落ちしていたため、ウェイティングでの出場権を得ての史上初優勝を成し遂げたO・サタヤ(タイ)となる。
ここ7年間は2013年の森田理香子以外は日本人が賞金女王になっていない。打倒外国勢を意識して臨む日本の女子プロも多くなったが、今季は今までに計15人の日本人プロが優勝を飾っている。今シーズンの特徴は“初優勝”と“復活優勝”が多かったことだ。初優勝組としては6月の『ヨネックスレディスゴルフトーナメント』の青木瀬令奈を皮切りに、森田遥、川岸史果、永井花奈、福田真未と5人も誕生。昨年の『日本女子オープンゴルフ選手権競技』で初のアマチュア優勝を遂げた畑中奈紗の“プロ初優勝”を入れれば6人となる。
“復活組”はなんと言っても比嘉真美子だろう。2012年にプロデビューし、2013年に『ヤマハレディースオープン葛城』、『リゾートトラスト レディス』で2勝を挙げ、大器として期待された逸材だ。しかし、翌2014年にドライバーイップスにかかり、序盤のトーナメントから怖くてドライバーを振れなくなり、シード落ちを味わった。ゴルフを辞めようと何度も思った比嘉は、“自分に優しく”することで克服。『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』で3年ぶりに涙の復活優勝を遂げた。
上田桃子も、そんな復活組の一人だろう。地元熊本で開催された『KKT杯バンテリンレディスオープン』をほぼ手中に収めていたのが、最終ホールの池ポチャでスルリと逃げ、復興に汗を流す被災者に優勝というプレゼントを捧げることができなかった。思わぬギフトはその約1か月後の5月にやってきた。前の組で回るテレサ・ルーの猛追を受け、終盤までもつれた試合だったが、16番、18番でバーディーを奪い2打差で振り切り、やはり3年ぶりの優勝をもぎ取った。彼女も引退が頭によぎっての優勝だっただけに、その復活劇に涙したファンも多かったに違いない。
そのほかの復活組としては、今季いきなり不調に見舞われた実力者、イ・ボミの涙の優勝。ホールインワンなどで勢いに乗り、5年ぶりの美酒を味わった若林舞衣子。そして2年ぶりだが笑顔での優勝をした成田美寿々が挙げられる。もちろん、菊地絵理香や西山ゆかり、吉田弓美子、鈴木愛、穴井詩ら2勝目以上を挙げた選手も5人いる。こうしてみると、若手台頭が顕著となった今年だが、25歳~30歳代の中堅・ベテラン選手がツアーを面白くしている。
現在、賞金総額でトップなのは、大王エリエールで2位に入り、賞金女王の栄冠を手繰り寄せた鈴木愛。しっかりとダウンブローに打てるアイアンショットも然ることながら、とにかくパットの上手さは他者を寄せ付けない。結果パーでも1パット目で同伴競技者を幾度もヒヤッとさせた。その結果を生み出しているのは、暗くなるまで残ってのパッティング練習の賜物だ。
その鈴木を追うのはともに1億円を突破しているキム・ハヌル、イ・ミニョン、申ジエの韓国三銃士だ。リコーカップは予選落ちがない試合。鈴木が崩れることはまず考えられない今、いずれもその背中は遠いながら、もちろん3人とも日本の賞金女王を諦めてはいない。この3人の中でもっとも賞金女王の称号を得たいと思っているのは、申ジエを置いていないかもしれない。韓国No.1、アメリカNo.1の称号はすでに持っている。あと欲しいのはジャパンNo.1。2014年から参戦している申ジエは、大好きな日本だからこそ、この称号を2人より先に手にしたいと思っているだろう。
TOP of TOPSを決める同大会。初優勝組が2勝目を挙げるのか。はたまた中堅・ベテラン組がその若手の挑戦を跳ねのけるのか。日本勢と外国勢のどちらの意地が上回るのか。トップ4による熾烈な戦いはどうなるのか。いずれにしても、今年最後に笑うクイーンはただ一人。南国、宮崎をさらに熱くさせる大会はもうすぐだ。