ラピュタ、トトロ、千と千尋の“あの建物たち”を一挙公開! 『ジブリの立体建造物展』をレポート
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ジブリの立体建造物展 油屋 模型(千と千尋の神隠し)(C)2001 Studio Ghibli・NDDTM
12月2日、大阪・あべのハルカス美術館にて『ジブリの立体建造物展』がスタートした。同展覧会では、スタジオジブリのアニメーション作品に登場する数多くの建造物の背景画や美術ボード、美術設定といった制作資料、約450点を一挙大公開。特に今後公開されることがないと予想される、貴重な宮崎駿監督の手書きのイメージボードなどは必見だ。また代表的な建造物は立体として再現され、コアなジブリファンに限らず、誰もが楽しめる内容となっている。そこで今回、SPICE取材班が実際にこの人気展覧会を訪れ、たくさんある見どころのうち、いくつかをフォトレポートする。
屋台 模型(千と千尋の神隠し) (C)2001 Studio Ghibli・NDDTM
まず、足を踏み入れると迎えてくれるのは『千と千尋の神隠し』の世界。千尋の両親が食事をしていた屋台が立体で再現され、一気に映画の世界へ身を置いている感覚になる。
風立ちぬ (C)2013 Studio Ghibli・NDHDMTK
大正から昭和初期を舞台にした作品『風立ちぬ』の展示。物語に登場するノスタルジックな日本家屋や緑の多い風景を描いた宮崎監督手書きのイメージボードが並ぶ。
草壁家 模型(となりのトトロ) (C)1988 Studio Ghibli
サツキとメイの家としておなじみ、『となりのトトロ』の草壁家のジオラマ。よく観察するとまっくろくろすけがいるので探してみよう。またその隣には、実寸大で表現した草壁家の階段の展示もある。
スラッグ渓谷鉱山 模型(天空の城ラピュタ) (C)1986 Studio Ghibli
『天空の城ラピュタ』で、パズーとシータが出会うシーンの舞台もジオラマに。滑車が動き明りも灯っているので臨場感も抜群。横だけでなく、縦の空間の広がりを大切にしているという宮崎作品の世界を感じられる展示だ。
油屋 模型(千と千尋の神隠し) (C)2001 Studio Ghibli・NDDTM
『千と千尋の神隠し』の「油屋」が高さ3mのビッグサイズで再現。内部の照明も灯り、効果音も響く様子は、まるで映画そのまま。360度、全方向からぐるりと見学でき、正面の豪華な建築、裏側の庶民的な建築、どちらもじっくりと観察可能。また壁には同じく大きな背景画が展示されているので、見比べるのも楽しい。
グーチョキパン店 模型(魔女の宅急便) (C)1989 角野栄子 Studio Ghibli・N
魔女の宅急便 (C)1989 角野栄子 Studio Ghibli・N
『魔女の宅急便』の展示スペース。物語の舞台・コリコの街にあり、主人公・キキが住み込みで働くグーチョキパン店が描かれたスケッチには、その全体像から店の看板や作業場、キキの部屋まで細かに描写されている。
ジブリの立体建造物展
ジブリの立体建造物展
ジブリの立体建造物展
ジブリの立体建造物展
展示エリアを出ると、オリジナルグッズの販売コーナーに。定番のぬいぐるみ、文房具、アクセサリーはもちろん、陶器の小トトロのおみくじやタイル、豆皿まで種類豊富にそろう。注目の大阪会場限定オリジナルグッズは、「ハウルの動く城」の注染手ぬぐい(1404円)や、「千と千尋の神隠し」・「ハウルの動く城」のスープマグ(1512円)など。
●スタジオジブリの橋本真氏が登場
ジブリの立体建造物展
今回の取材前にはスタジオジブリの橋本真氏が登場し、記者説明会が行われた。そのなかで、今展覧会の見どころを次のように3つ挙げた。
①手書き水彩画=色があせるため、今後は外に出すことがなくなる貴重なものである。
②美術ボード=美術監督・男鹿和雄氏が実際にスタッフに説明するために描いたもので、本来は外に出るようなものではない。
③建築物としてのおもしろさ=日本の戦後の歩みを描いて来たジブリ映画だからこそ、日本の家屋の変遷がわかる。
国内・海外取材を行い、時間も労力もかけて丁寧に制作されるジブリ作品の制作過程を垣間見られる今展覧会は、映画を思い出しつつ水彩画や立体造形物を見ても、時代背景などを踏まえ建築を考察するという視点で見ても楽しめるという見応えのあるもの。また、本展監修者で建築家・建築史家の藤森照信氏と『千と千尋の神隠し』で主人公の萩野千尋役の声を務めた女優の柊瑠美氏による音声ガイド(1台520円、ペア800円)もあるので、利用するといっそうジブリ映画の秘密に迫ることができるだろう。
『ジブリの立体建造物展』の開催期間は2018年2月5日(月)まで。冬休みなどを利用してぜひ訪れてみては?
取材・文=服田昌子 撮影=森好弘