若者の街・原宿で、大人ならではの遊びはいかが? 新感覚のショーと食事を楽しむ『MONSTER PALACE』公演レポート
若者の街・原宿のシンボルである、ラフォーレ原宿の目前に店舗を構える「KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKU」。きゃりーぱみゅぱみゅの演出や美術を手がける増田セバスチャン氏のプロデュースとあって、店内はカラフルで、まさに“ジャパニーズPOPカルチャー”を見事に体現した、遊び心いっぱいの内装となっている。そんな“若い女子向け”のイメージが強いこのカフェだが、ちょっぴりダークな大人向けのイベントが開催されているのをご存知だろうか。2017年12月から2018年3月にかけて計12回開催される、新感覚のエンターテイメントショー『MONSTER PALACE』の模様をレポートしたい。
カフェに到着すると、入り口には暗幕が垂らされ、スーツに身を包んだ案内人の姿が。この時点で、“原宿”や“KAWAII”といったイメージとはどこか異なる、厳かな空気を感じられる。案内人に連れられて待合スペースに移動すると、シャンパン(もちろんおかわり自由)がサーブされる。店内の照明も落とされ、キャンドルがゆらめくラグジュアリーな空間に。周囲を見回しても、スーツ姿やドレスアップした大人の男女が目立つ印象だ。
待合スペースから案内された先は、専用バトラー付きのテーブル。テーブルセットも一つひとつにこだわりが感じられ、メニューはブラックライトで照らすと文字が浮かび上がる仕様になっていた。
ショーの内容は、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』を題材に、ダンスやパフォーマンスなど、斬新な視点でインスパイアされたもの。古代アテネの森で妖精と人間たちが繰り広げる喜劇の物語を、独創的な空間で展開していく。約1時間半のあいだにステージを使ったショーが4幕あり、その前後に食事が4回配膳されるという構成だ。
第1幕では、森に迷い込んだ貴族の娘が、妖精と出会うシーンが描かれる。ここでは、宙吊りのリングを使ったダイナミックな演舞(エアリアル・フープ)が見どころだ。登壇する演者たちにはほぼセリフがなく、身体パフォーマンスや表情のみでの演技となるため、外国人観光客でも十分に内容を理解して楽しめるようになっていた。
物語のプロローグにちなんで、最初にサーブされたフードのコンセプトは、「妖精の媚薬で恋に落ちる瞬間を“生まれたての(恋の)卵に見立てて」。フォアグラやトリュフ、雲丹などの豪華食材をふんだんに使った前菜3種で、中央に置かれた卵からは、ドライアイスの煙が出てくる演出も。料理の味はもちろん、視覚的にもとても華やかで、どのテーブルからもワッと歓声が聞こえてくる。
続くフードも、食用花と食べられる土(材料はツナなど)を使ったサラダや、鳥かごに入れられたロブスター、ラパン(うさぎ)の丸焼きなど、普段はなかなか目にしないような珍しいものばかり。盛り付けもかなり凝っていてインパクト十分なため、どれも思わず写真を撮りたくなってしまう。こうしたいわゆる“インスタ映え”するフォトジェニックなメニューは女性受けがいいイメージだが、男性客も大いに盛り上がっているようだった。
これらのフードは、すべてステージの内容と連動させたコンセプトになっている。ストーリーの大半は森の中が舞台であるため、そのイメージにちなんで“花と土”や“ラパン”などが食材になっているのだ。こうしたそれぞれのフードコンセプトや使用されている食材も、各テーブルの担当バトラーがサーブの際に事細かに解説してくれる。
第1幕はサーカス風の演舞だったが、その後はダンスがメインであったり、歌唱パートもあったりと、場面ごとに手法がガラリと変わるのも新鮮だった。そのため、ミュージカルともダンスショーとも形容できない、まさに「オリジナルエンターテイメントショー」という言葉がぴったりの、さまざまな要素が融合したステージとなっていた。
さらに、舞台の合間にも、演者たちはそれぞれのテーブルをまわって来場者にちょっかいを出したり、写真撮影に応じたりと、サービス精神も旺盛。一般的な舞台観劇にはなかなかない距離の近さもあって、どこかテーマパークに遊びにきたようにも感じられた。
そうしてステージと料理に交互に堪能しているうちに、あっという間にショーは終演。気づけば心だけでなく、おなかもかなり満たされていたのだった。
『MONSTER PALACE』は昼と夜の開催があるが、ディナーショーでは、ステージ終了後のバータイムで、彩り鮮やかなデザートビュッフェとドン・ペリニヨンも楽しめるので、こちらを特にオススメしたい。
店内に一歩足を踏み入れてから外に出るまで、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのような、幻想的な雰囲気に包まれていた『MONSTER PALACE』。KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKUという、個性的な場所柄はもちろんのこと、ショーの内容やフード、案内人やバトラーに至るまですべてにこだわりが感じられ、現実世界から抜け出したかのような不思議な感覚を抱いた。
普段原宿にあまり訪れないような層にこそ、ぜひこのカルチャーが交錯する街のド真ん中で、大人のための新感覚エンターテイメントを体感してほしい。
会場:KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKU
公式サイト:http://kawaiimonster.jp/night/monster-palace