wacci キャリア最大ツアーの挑戦と試練がもたらした、笑顔しかない幸福なライブ
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あっち、こっち、そっち、わっちツアー 2017 ~感情百景~
2017.12.10(SUN)パシフィコ横浜メインホール
スタートは5月28日の赤坂BLITZ。全国35カ所40公演、2017年の半分以上を費やしたwacci史上最大のツアーが今日、幕を閉じる。この経験はバンドにとって大きな挑戦であり、試練でもあり、とてつもない収穫となり、新たな決意をもたらしたようだった。「40本のツアーのラスト」。メンバーはこの言葉を何度も口にすることで自身を鼓舞し、押し寄せるいろいろな想いを振りきっていた。驚いたのは、満員のオーディエンスも同じ気持ちでライブに臨んでいたことだ。客電が落ちると、SEに合わせた全力の手拍子でメンバーを迎える。演奏が始まれば、5人の想いをまっすぐに受け取って、クラップやジャンプやダンスや歓声、そして最高の笑顔にして返す。その熱量はもう、橋口(Vo&Gt)が1曲目にして「ステキな景色をありがとう」って言ってしまうくらい。そしてその少しあとに満面の笑顔で叫んだ、「あとは任せてよ!」。
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オープニングナンバーは「僕らの日々」。<努力は簡単に人を裏切るけれど それでも積み上げた先に未来はある>。耳聴きで伝わる一つひとつの言葉は、綺麗事だけじゃない私たちの日常そのもので。5人のアンサンブルによって鮮明な景色に変わり、希望のカケラとなり、一緒に歌うことでカラダの中へ染み渡っていく。大袈裟じゃなく、1曲目から大合唱だった。さらに「恋の宛先」「リスタート」と前のめり気味の楽曲でパシフィコ横浜メインホールを丸ごとギュッと掴んだら、「あいの唄」でしっかり聴かせる。流麗なメロディを丁寧に紡いでいく。「ピアノ線」では因幡(Key)の渾身のフレーズが軽やかに舞う。
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ツアーの中盤に発表された2ndアルバム『感情百景』の収録曲を軸に、「会いにゆきましょう」「東京」「君に不採用」「大丈夫」と言ったライブに欠かせない歴代の代表曲を組み込んだ最新型にして全方位型のセットリスト。中でも、椅子がふっかふかだからと着席を促し、「人は生きた分だけ思い出が積み重なっていくもの。たまには思い返してみるのもいいんじゃないかなと思います。それがたとえ昔の恋だとしても」、そんなふうに語って歌い始めた「駅」からのセクションは優しくも力強くて。5人が響かせる「東京」の旋律と、ステージいっぱいに映し出された早送りの東京の夜景がピタリと重なり、とっても綺麗で、本当に綺麗すぎてちょっと切なくなったりしたけれども、それでもひとりじゃないと思えるのは、wacciの音楽が誰の心の隙間にも寄り添う覚悟に満ち溢れているからで。
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かと思えば、「シンデレラ」では突如、橋口が映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラボルタばりのポーズ(例えが古くてすみません。人差し指と親指で作ったL字を高々と掲げる、いかにもディスコチックなアレです)をキメて、レッツ・ダンス・タイム! 芸達者なメンバーが繰り出す多彩なサウンドに乗せられて、横山(Dr)と小野(Ba)による腰直撃のグルーヴに踊らされて、二の腕を中心にギュギュッと絞られまくります。村中(Gt)のアツいソロに痺れまくった「君に不採用」を経ての、本ツアーでwacciのライブの盛り上げ隊長に躍り出た「Ah!Oh!」ではもぉぉぉ、魔法の言葉<Ah!Oh!>を手に入れた全員がそれぞれの<Ah!Oh!>を駆使して全身全霊の大はしゃぎ。そのあとにスッと「宝物」を忍ばせるだなんてズルすぎます!
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途中、ツアーでの苦労を吐露する場面もあった。北海道以外は車で移動したため、とにかく車で過ごす時間が長かったこと。順番に運転が回ってくるのはやぶさかでないが、その場合、助手席に誰が座るかがキモで、「百戦錬磨の盛り上げ上手・(因幡)始ちゃんに対して、(村中)慧慈くんはくそつまんない。くそつまんないの!」。橋口が2回重ねて言えば、因幡が「僕が運転のときの(助手席・)慧慈はけっこう噛み合いますよ」と助け船。村中が「やっぱ人付き合いって鏡だと思うんだよ~」なんて畳み掛けて、きっちり落とす。さらに、どの会場も今日みたいに埋まっていたわけじゃないこと、そこではやはりいろんな気持ちになってしまったことを正直に話した上で、「だからこそ、その場所でずっと待っててくれた一人ひとりのチカラを改めて感じるツアーでした」、嚙みしめるようにそう言って笑った。
そして「ツアーの最後にこんなにたくさんの笑顔の前で演ることができてすごくシアワセです。僕らにとってここは居場所だなと思います。素敵な居場所を本当にありがとうございます。僕らもみんなにとっての居場所になりたい」なんて、客席を埋め尽くした一人ひとり……1000人と固い約束をした。ステージの5人は揃ってキラキラしていて、とんでもなく仲が良かった。
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最新アルバムのタイトル曲「感情」は、リリース前からセットリストに組み込まれ、共に旅することですっかりwacciの名刺代わりの存在感&説得力。ラストナンバーにして、みんなの心を芯から温める最高のクリスマスプレゼントとして、大切に大切に手渡された。
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アンコールはもう思い残すことなくただただ楽しめばよくって。一緒に「大丈夫」って両手で大きな丸を作って、一緒に「大丈夫」って歌って、一緒に「大丈夫」って許しあって。ちょっぴり変化球のクリスマスソング「サクタクロースを僕に」で二週間ほど早い聖なる夜を楽しんだなら、2018年のワンマンツアー決定を心から喜び、最後に“またね”って意味の「サヨナラ」で、来年もよろしくねって想いを込めて<グッバイサヨナラ>を今日イチの大きな声で歌って、笑顔で別れた。ほんとにいつどこをどう思い返しても、笑っちゃうくらい笑顔しかない幸福なライブだった。
取材・文=山本祥子
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2018/1/13(土)umeda TRAD【大阪】
2018/1/27(土)福岡ROOMS【福岡】
2018/2/12(月祝)名古屋E.L.L.【愛知】
wacci アコースティックライブ
2018/1/14(日)京都 SOLE CAFE【京都】 [Thank you, SOLD OUT!]
2018/1/28(日)P.Paradise【徳島】
2018/2/2(金)城下公会堂【岡山】
あっち、こっち、そっち、わっちツアー 2018
※全国19カ所:23公演
2018/4/14(土)EX THEATER ROPPONGI 【東京】
2018/4/28(土)CRAZYMAMA KINGDOM 【岡山】★アフターパーティー開催!
2018/4/29(日)X-pt. 【高知】
2018/5/3(木祝)KRAPS HALL 【北海道】
2018/5/4(金祝)MARUSEN函館 【北海道】 ※アコースティック特別編!!
2018/5/12(土)DRUM be-7 【長崎】
2018/5/13(日)イムズホール 【福岡】★アフターパーティー開催!
2018/5/19(土)金沢vanvanV4 【石川】★アフターパーティー開催!
2018/5/20(日)GOLDENPIGS RED STAGE 【新潟】
2018/5/26(土)LIVE HOUSE浜松窓枠【静岡】
2018/5/27(日)紫明会館【京都】 ※アコースティック特別編!!
2018/6/2(土)BLUE LIVE 【広島】
2018/6/3(日)club GRINDHOUSE 【徳島】★アフターパーティー開催!
2018/6/10(日)BIG CAT【大阪】★アフターパーティー開催!
2018/6/16(土)横浜ベイホール 【神奈川】★アフターパーティー開催!
2018/6/17(日)横浜ベイホール 【神奈川】
2018/6/24(日)名古屋ダイアモンドホール 【愛知】★アフターパーティー開催!
2018/7/7(土)仙台darwin 【宮城】
2018/7/8(日)仙台ルフラン【宮城】 ※アコースティック特別編!!
2018/7/16(月祝)昭和女子大 人見記念講堂 【東京】