「これが俺達、ジャパニーズ・ロックバンド、RIZEだ」 記念すべき日、武道館に打ち立てた旗
RIZE Photo by RIZE IS BACK OFFICIAL
RIZE TOUR 2017 "RIZE IS BACK" 2017.12.20 日本武道館
奴ら、暴れる気は満々。バンドも暴れさせる気、満々。この日を待っていたRIZER達でスタンディングのアリーナはぱんぱん。ブロック分けは簡単。アリーナをライブハウスに変える魂胆。そうなれば、きっと壮観――。
そんな期待どおり、ライブが始まったとたん、アリーナの前方ブロックではRIZER達が早速、モッシュ&クラウド・サーフィン。どどどどっとステージに押し寄せ、ステージ前に作られた柵からあふれでるRIZER達を、セキュリティ・スタッフが次から次へと左右にさばいていくという日本武道館では見たこともない光景がいきなり目の前に広がった。
1曲目は9月にリリースした7年ぶりの最新アルバム『THUNDERBOLT~帰ってきたサンダーボルト』から、RIZEの帰還を高らかに謳いあげたタイトル・ナンバー。これしかないという選曲に対するRIZER達の反応はすでに書いたとおり。スタンド席は1階、2階ともに早くも総立ちだ。そんな客席に「聞こえねえぞ!」とJESSE(Vo, G)が発破をかけると、「ハイ!ハイ!ハイ!」とRIZER達が応え、アリーナが揺れる。
「日本武道館、声出せよ!騒げー!」
JESSEが再び呼びかけると、今度は武道館に怒号が響きわたった――。
結成20周年を迎える今年、「RIZE is BACK」を掲げて日本各地はもちろんアジアもツアーしてきたRIZEが、その総決算に選んだのは、単独公演としてはRIZE史上初となる、ここ日本武道館だった。
「神聖な場所は百も承知。お邪魔すんぜ」(JESSE)
そんな意気込みで武道館に乗り込んできた3人とサポートギターのRioがこの夜、演奏したのは、『THUNDERBOLT~帰ってきたサンダーボルト』の収録曲も含む新旧の代表曲の数々。最近は、ふだんライブハウスでやっているそのままのやり方でアリーナを沸かせるバンドも多いが、RIZEは20年間、バンドを支持しつづけてきてくれたRIZER達や、ともに日本のミュージック・シーンで戦い、切磋琢磨してきた仲間達に対する感謝も含め、この夜を盛大に祝福するべく、3曲目の「Light Your Fire」からパイロ、スモーク、レーザービームといったアリーナならではの演出も交えながら、世の中の不正や矛盾に立ち向かう言葉を速射砲のように繰り出すJESSE、スラップをバキバキとキメるベース・モンスター、KenKen(B)、テクニックとパワーを合わせ持つ金子ノブアキ(Dr)、そしてフリーキーなプレイからフレーズを泣かせるソロまで、ギターを自在に操るRio(G)――4人のエネルギッシュな演奏にRIZER達を巻き込んでいった。そして、「ピンクスパイダー」まで突っ走ると、RIZER達の熱い反応に相当の手応えを感じたのか、「やばくねえか?!」とJESSEも思わずニヤリ。しかし、祝福という意味では、そこからの展開がさらにすごかった。
「こんな日が来るなんて思ってもいなかった。(武道館を)狙ってなかったと言ったらウソになるけど。生きててよかったぜ。この20年間、いい時も悪い時も経験しながらストリートで育って、ここに来られたわけだけど、ストリートで出会った仲間を紹介したい」というJESSEの言葉から始まった中盤では、市原隼人、Def Tech、ラッパ我リヤ、Zeebra、FIRE BALL、E.D.O.といったこれまでRIZEが共演してきた錚々たる顔ぶれの仲間達をステージに迎え、20周年記念の祝宴にふさわしい豪華共演が実現した。
「20周年というタイミングで最高の男達に会えて、感謝してるぜ」とJESSEも興奮を隠せない。それだけでもビックリだったにもかかわらず、「何が来るかわからないことに免疫ができてしまった君達に、さらに何が来るかわからないと思わせる!」とJESSEが言い、来年リリースする『ALL TIME BEST mixed by MIGHTY CROWN』の1曲目を飾るという新曲を、FIRE BALLとともに披露するサプライズも飛び出した。
「俺が感激。今日だけのセットリスト。この次、やろうと思っても、失礼な話、誰か死んでるかもしれない(笑)。今日しかできないんだから、うまく行くか行かないかではなく、心から歌えるか歌えないか。君達が心から感じられるか感じられないか。どうなるかわからないけど、楽しんでいってください」
改めて、この日のライブに対する想いを語ると、激しいミクスチャー・ロックだけがRIZEじゃないんだぜと言わんばかりに篝火を焚いて、「missing you」をアコースティック・アレンジでしっとりと聴かせ、JESSEは思い出したように再婚したことと男の子を授かったことをRIZER達に告げる。そして、「06年に書いた時には子供ができるなんて思ってなかった。地震が起きるとも、ロケットが飛ぶとも思ってなかったけど、書いてよかったと思わせてくれた。ありがとう。RIZER」とピースサインを掲げ、平和を求める気持ちとその理由を込めた「heiwa」を歌い、ピースフルな空気を作り上げると、「憲法9条。何が良くて何が良くないのかわからない。だけど、子供たちはもっとわからない。手助けしてやらなきゃ」と付け加えた。
そして、ライブは「Stand UP」で再びテンポアップ。「次がある保証がないから、毎回本気でやって、ここまで来られたと思います。その中でRIZEを強くしてくれたのはPay money To my Pain。あいつら背負って、一生、生きていくからな!」と志半ばで斃れたPay money To my Painのフロントマン・Kに対する想いを込め、「日本刀」から「Gun Shot」とたたみかけると、アリーナのモッシュ&クラウド・サーフィンがさらに激化。ステージに押し寄せるRIZER達の波が怒涛と化した。
「誰一人置いていかねえぞ」と、そこにとどめを刺すようにバンドが投下したのが、代表曲中の代表曲「カミナリ」。ファン…いや、RIZERならご存じのとおり、この曲はステージに上げた観客にラップのパートを歌わせるのが恒例だ。しかし、武道館では、それができないため、「今日は俺が歌わせてもらいます!」とJESSE自ら歌ったのだが、逆にそれもいつもは見られない見どころとなったはず。
気づけば、2時間半の長丁場となったライブを締めくくったのは「NAME」。ピースフルな曲調に、さっきまで大暴れしていたRIZER達が肩を組んで、ぐるぐると回る大きな輪っかがアリーナにいくつもできあがった。ただ、観客を大暴れさせるだけに止まらず、こういう景色も作れるところがRIZEの真骨頂。
「日本中のRIZER。1年間ありがとうございました。一生、この旗を降ろすつもりはない。ついてきてくれ!」
JESSEがそう叫び、「RIZED is BACK」を掲げながら走ってきた2017年の活動の総決算を、新たなスタートに変えた瞬間、無数の銀テープが放たれ、眩いライトの中、武道館中に舞った。
20年前、新宿LOFTの20周年イベントに招かれ、武道館のステージに立ったとき、子ども扱いされたことを悔しいと思ったJESSEと金子は、いつかここをいっぱいにしてやると誓ったそうだ。
「20年目に、その夢が叶いました。夢は絶対叶う。これが俺達、ジャパニーズ・ロックバンド、RIZEだ」
でっかい音を、ただ鳴らせばいいってもんじゃない。メッセージを、ただ訴えかければいいってもんじゃない。ステージを去る前にJESSEが言った一言に、ロック・バンドが担っているもう一つの大事な役割を改めて教えられたような気がした。刹那を生き、パッと散るのもいいかもしれない。しかし、何かを残して、それを次の世代に手渡すこと、つなげること。結成から20年を迎えたRIZEは、これからそんなことも大事にしながら、日本のミュージック・シーンで大暴れしていくに違いない。
取材・文=山口智男 撮影=RIZE IS BACK OFFICIAL
1. 帰ってきたサンダーボルト
2. MUSIC
3. Light Your Fire
4. Good Day
5. NOTORIOUS
6. ONE SHOT
7. ZERO
8. KAMI
9. ピンクスパイダー
10. LAUGH IT OUT(GUEST:市原隼人)
11. JAPONICAN
12. VIBRATION(GUEST:Def Tech)
13. Break your self(GUEST:ラッパ我リヤ)
14. I CAN'T LIVE WITHOUT MY RADIO(GUEST:Zeebra)
15. 新曲
16. SILVER
17. TKC
18. 火事と喧嘩は江戸の華(GUEST:E.D.O.)
19. missing you
20. In or Out
21. heiwa
22. STAND UP
23. PARTY HOUSE
24. 日本刀
25. Gun Shot
26. カミナリ
[ENCORE]
27. Get the Mic
28. Why I'm Me
29. NAME
http://rize20.com/ (RIZE 20周年特設サイト内)
【投票受付期間:2017年12月13日(水)18:00~12月23日(土・祝)23:59】
詳細後日発表