The Cheserasera、“ファンの尽力を感じた1年”の締めくくり 『dry blues tour』追加公演をレポート
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The Cheserasera
『dry blues tour』追加公演
2017.12.22日 下北沢CLUB Que
2017年、各地を駆け巡るように開催されたThe Cheseraseraのワンマンツアー「dry blues tour」。彼らにとって年内最後となる主催公演が同ツアーの追加公演という形で下北沢 CLUB Queにて開催された。10月に開催されたファイナル公演と同じく、
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宍戸 翼(Vo/Gt)、美代 一貴(Dr)、そしてクリスマスらしくサンタ姿で現れた西田 裕作(Ba)が和やかな笑顔を引き出し、「月と太陽の日々」を皮切りにアッパーチューンを立て続けにドロップ。「最初からどんどん行きましょう!楽しんでいこうね」と呼びかけたメンバーに応えるように拳がつきあがれば、のっけから心地いい熱気が立ち込める。
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自分たちも頑張ったけど、それ以上にファンの尽力を感じた1年だったのだという宍戸。追加公演は『dry blues tour』で演らなかった曲も多数披露することは事前に告知されていたが、この日用意されていたのは、新旧織り交ぜつつも彼らの魅力をぎゅっと濃縮したようなセットリスト。ステージとフロアの心理的な距離をぐっと縮めた「賛美歌」、オーディエンスの内側でたぎる気持ちと共振するようにじんわりと熱気を高めていった「まっすぐに」と、まるでバンドの足取りを辿るかのような展開と出し惜しみのない自由さには驚かされた。
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華のある軽快さで「LOVELESS」を届け、“ありがとう”という言葉しか出てこない、とはにかみながら口にした宍戸。彼らが信念や自己の感情以上に聴き手へと心を向けていることも、様々な時期の楽曲が活き活きと鳴り響いていることの一因だったのではないだろうか。「うたかたの日々」では、優しい表情でプレイを重ねる3人の姿が印象的だった。
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新雪が降り積もる情景が浮かぶ静寂の中で「白雪」が奏でられると、空間と楽曲の中にある世界をどこまでもシンクロさせていくような演奏にグッと心を惹きつけられてしまう。The Cheseraseraの楽曲を通して見えている風景は、聴き手によって全く異なるものだろう。ただ、どんな感情を抱いてステージを見詰めたとしても、その全てを受け止めるだけの土壌が現在の彼らには出来上がっている。「AIR PLANE」でみせた音と心を合わせていくような演奏には等身大の感情を通して、そんなことを考えさせるほどの包容力が宿っているように思えた。
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都内で開催したワンマンは全てソールドアウトさせるなど、今年は自分たちの名前を呼んでくれる声をよく耳にした1年だった、と宍戸は言う。どれだけ良い音を鳴らしても、聴いてくれる人がいなければ成り立たないのがバンドだ。3人に“好き”を叫ばせるだけの力があったからこその結果だとは思うが、オーディエンスからのエールがバンドにとっての大きな力になったことも疑いようのない真実なのだろう。
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『dry blues』の表題曲でもある「Blues Driver」を経て、LIVEはラストスパートへ。怒涛の展開というよりかは目の前のフロアに誠実に向かい合うようにして歌った「FLOWER」、振り切ったような笑顔が清々しい「BLUE」と音のエネルギーで未来を切り開いていくように音譜を繋ぎ、ラストを飾ったのは「でくの坊」。The Cheserasera がどうして信用に足るバンドとしてオーディエンスから愛されてきたのか、その理由の一端に触れるような、非常に誠実なステージだった。
The Cheserasera
鳴り止まない拍手に応えて登場したアンコールでは『The Cheserasera 春の喧騒 2018スリーマン Tour』の開催も発表。ツーマンツアーの充実っぷりも記憶に新しい彼らだから、発表を受けたオーディエンスからは当然のように大歓声が。高揚したテンションはそのままに「I Hate Love Song」へとなだれ込めば、定番となった《笑わせんなよ!》コールが賑やかにライブハウスを満たす。高ぶったフロアがそこまでで満足するはずもなく、すぐにダブルアンコールへと突入。「After Party Lululu」で笑顔に溢れた1日は大団円を迎えた。
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「みんな、だいたい大きな悩みを持ってて、すごく強く生きてきたんだなと思う。それが僕がみんなを好きな理由の1つです。応援してるし、応援して欲しいし。優しくて強くて、そういう人たちばっかりだなって。良い場所に良い人が集まるって風に、良いものを沢山作っていきたい」本編の途中、宍戸は「Blues Driver」を歌う前、そんな風に話していた。真っ直ぐにオーディエンスと向き合い、真っ直ぐな想いを寄せられる。今の彼らなら、次の1年は今年よりも更に輝かしい年に出来るに違いない。2018年が終わるとき、3人を取り巻く環境はどう変化しているのだろうか。今よりもワクワクする未来へ。The Cheseraseraの快進撃は、まだ始まったばかりだ。
文=渡辺真綾 撮影=釘野 孝宏
2017.12.22日 下北沢CLUB Que
1.月と太陽の日々
2.Butterfly ( in my stomach )
3.さよなら光
4.東京タワー
5.賛美歌
6.まっすぐに
7.LOVERS
8.LOVELESS
9.うたかたの日々
10.白雪
11.Yellow
12.You Say No
13.AIR PLANE
14.涙溢れてた
15.ラストワルツ
16.Blues Driver
17.FLOWER
18.思い出して
19.BLUE
20.ラストシーン
21.でくの坊
[ENCORE]
22.愛しておくれ
23.I Hate Love Song
24.After Party Lululu