ex.カメレオのKouichi(Ba)とギルドの宏一(Dr)、“Wコウイチ”が魅せた初夜、オフィシャルレポ
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2017年12月29日(金)、ex.カメレオのKouichi(Ba)とギルドの宏一(Dr)の“Wコウイチ”による“WKWK PROJECT”が、TSUTAYA O-WESTにて2部制イベント『WKWK STAGE Vol.1 絶望エクスチェンジ-WK-~Wコウイチと素敵なお芝居~』、『WKWK LIVE Vol.3 ~Wコウイチと素敵な仲間達~』を開催した。
昼公演は“演劇”、夜公演は“ライブ”という異例な公演ながらも、
第1部は、『WKWK STAGE Vol.1 絶望エクスチェンジ-WK-~Wコウイチと素敵なお芝居~』。これは、バンド出身で演技経験はもちろんゼロというKouichiと宏一が、演劇と音楽のコラボレーションに挑戦するというもの。この企画が立ち上がった経緯は、2017年2月に演劇ユニット『O-keyプロデュース』による「絶望エクスチェンジ-EX-」を観劇したKouichiが感銘を受け、舞台の作・演出を手掛けた主宰の坂田鉄平氏に熱烈オファー。この日のために再編された特別版として上演されることになった。(2人の対談はWKWK PROJECTのオフィシャルサイトにインタビューが公開されている)。
「絶望エクスチェンジ-WK-」は、もしも自分が望む容姿と入れ替わることができたら……というテーマを軸に、坂田が演じる“独田”が経営するビューティークリニック「エクスチェンジ」に訪れる人々の物語が、オムニバス形式で進行していくというもの。観客は、笑いあり、涙ありといった喜怒哀楽はもちろん、世の中の真理を深くえぐる掛け合いなど、様々な要素が詰まりに詰まった約100分間の群像劇を堪能した。
また、舞台にはWKWK PROJECTメンバーから5名が出演。登場人物が引き連れているチャラい後輩役としてTAKASHI(Gt.&Synth/ex.カメレオ)とkeiya(Vo./Purple Stone)が、クリニックに突如現れる“ミュージシャン”としてmitsu(Vo.)がバックダンサーと共に歌を披露する場面も。そして、Wコウイチは本人役で出演。Kouichiが宏一に、宏一はKouichiに入れ替わりたいと2人でクリニックを訪れるという設定だったのだが、舞台初経験でありながらもアドリブを激しく入れまくるWコウイチ。というのも、これは第2部で判明したことなのだが、宏一曰く、「台本を見たら、TAKASHIくん達のところにはちゃんとセリフが書いてあったのに、僕らのところには“アドリブ”としか書いてなかった」とのこと(笑)。
坂田氏としては、「2人はよくフリートークをしてるから」という理由からアドリブでもいけると判断したようで、結果大成功。客席からは大きな笑い声が起こっていた。カーテンコールでは「最初はどうなるのかわからなくて不安もあったのですが、みなさんが徐々に舞台に引き込まれている姿を見て、やってよかったなと思いました。WKWK PROJECTは音楽をベースにこれからも活動していきたいのですが、これからも舞台や様々なことに挑戦して、演者も、見ている皆さんもワクワクできることをしていきたいと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いします」と、プロジェクトを代表してKouichiがコメント。演者達に大きな拍手が送られていた。
第二部は『WKWK LIVE Vol.3 ~Wコウイチと素敵な仲間達~』。過去に2回行なわれたライブのなかで、“セ・リーグ”、“パ・リーグ”とそれぞれわかれていたメンバー15名が集結する、年の瀬にふさわしい大忘年会的なステージとなった。
まずは、前座として登場したWコウイチが、ダンサーを従えてタッキー&翼の「Venus」を披露。間奏では「セクシーなダンスを!」とKouichiに促された宏一が、謎の舞(おそらくフィギュアスケート的な何か)を見せつけていた。
MCでは、前座でありながら持ち時間をオーバーする勢いでしゃべり倒す2人。「あんまりしゃべりすぎるとmitsuくんに怒られるから!!」と切り上げると、「2017年、色々な方にお世話になってきた感謝の気持ちを込めて歌いたいと思います」と、WKWK PROJECTの「Thank you」を届けていた。
間髪開けずにステージに姿を現わしたのは、“WKP セ・パリーグ交流チーム A”。楽器隊はYOUSAY(Gt./GUTS AND DEATH)、鳴風(Gt./Fo’xTails)、TAKASHI、ハク(Ba./ユナイト)、宏一の5人と、ボーカリストとしてmitsuが登場すると、mitsuの「It’s So Easy」、続けてカメレオの「サンドウィッチLOVE」と、ダンサブルなナンバーでオーディエンスを盛り上げていく。MCでは、Bチームに対して「対抗意識が出てきている」と、mitsuがメンバーのボルテージが高まっていることを伝えると、それを物語るようにギルドの「ウソじゃない」や、ユナイトの「ice」など、ハードナンバーを連続投下。ハク、YOUSAY、TAKASHIも勢いよくステージ最前線へ飛び出し、オーディエンスを激しく煽り倒していた。
Aチームの中盤ボーカリストがTSUBASA(Vo./Thinking Dogs)に入れ替わり、再びMCタイムへ。TSUBASAは、普段活動しているフィールドが異なる出演者が集まっていることもあり、「最初は“ジャンルの壁なんてねえぜ!”って言おうと思ってたんだけど、嘘はついちゃいけないと思って。俺、やっぱりジャンルの壁はあると思うんですよ」と発言。
しかし、昔はL’Arc〜en〜Cielしか聴いていなかった時期もあったが、その次にハマったのがゴスペラーズだったという自身のエピソードを交え、「それぐらい、自分が思っているよりもジャンルの壁は低くて小さいと思うし、(壁は)あるけど破壊できるものだと思う」と話すと、客席からは大きな拍手が送られていた。
そこから6人は、カメレオの「デビルくん」を披露。TSUBASAは振り付けばっちりで歌いあげると、そのままギルドの「シンデレラ」へ。ハクと宏一によるリズム隊のソロバトルや、鳴風のギターソロなど見せ所を連発すると、そこへ再びmitsuが加わり、Aチームのラストナンバーの「Into DEEP」へ。楽器隊のパワフルなアンサンブルと、mitsuとTSUBASAのハーモニーをフロアへぶつけ、大興奮状態のままステージを終えた。
Aチームのライブを受け、ステージには“WKP セ・パリーグ交流チーム B”のLiN(Gt./ユナイト)、Akiji(Gt./KINGLY MASK 原宿本店)、Kouichi、Nosuke(Dr./HighsidE)、8810(Mani/Re:ply)、そしてkoyomi(Vo./Re:ply)の6人が登場。
挨拶代わりにRe:plyの「Fight till the end」を熱くぶちかますと、「そんなんじゃ足りねえぞ!」と、WKWK PROJECTの「嫌われ女子」へなだれ込んでいく。
Nosukeが叩き上げる性急なビートでオーディエンスを激しく盛り上げる中、
8810は持ち場を離れてステージ前に飛び出すだけでなく、
ステージからフロアに降りてオーディエンスを煽り倒していた。
続けてkoyomiがCHISA(Vo./アクメ)と入れ替わり、アクメの「SENKOU」をドロップ。
いかついエレクトリーモを轟かせると、立て続けに突入したPurple Stoneの「パニックパニック」では、keiyaと、血まみれの白衣を着たソンビダンサーズが登場。ヘッドセットマイクに切り替えたCHISA、ベースを置いたKouichiも華麗に踊り、パーティーチューンでフロアの熱を最大限まで高めていく。
その熱をさらに高めるべく、「卑怯だけど!」と、Aチームからハクと宏一を呼び込み、ユナイトの「WONDER f∞l PEOPLE」へ。フロアに大量のバルーンが投入されると、それまでがっちりとギターを弾いていたLiNとAkijiも、プレイそっちのけでバルーンを蹴り上げ、共に盛り上がる。さらにステージにkoyomiを呼び込み、カメレオの「ダメ男」をトリプルボーカル編成で繰り出すという流れは、この日最大の熱狂を生み出していた。
そして、Bチームのラストナンバーとして、WKWK PROJECTの新曲「My dear…」を初披露。この曲でボーカルを務めたkoyomiは、「出来上がった音源を聴いたときに泣いた」と話していたのだが、Kouichiはこの歌詞について、「(WKWK PROJECTメンバーは)自分のバンドメンバーではないけれど、みんな一生懸命、音楽というものを通じて、人生を生きている。そんな人達に感動した気持ちを込めました」と話していた。
2017年、自身が愛をもって続けていたカメレオが解散するという予期せぬ現実がありながらも、「今年の目標としては、どんなに心が沈んでいても、未来の輪郭がはっきりとしていなくても、とにかく歩みだけは止めないようにという思いで過ごしてきた」というKouichi。すべての過去に感謝を、そしてここから始まる未来に挑戦をと、自身の想いを溢れんばかりに注ぎ込んだエモーショナルなサウンドは、オーディエンスの心を強く打っていた。
曲を終え、改めてオーディエンスに感謝を告げた後、真面目な空気からポップなモードに切り替えたところで、ステージにはボーカリストとして、第1部の「絶望エクスチェンジ-WK-」に出演していた。坂田鉄平、仲井真徹、Popping Emoの4名が登場。楽器隊はLiN、鳴風、TAKASHI、Kouichi、宏一、8810の編成で、舞台チームのために書き下ろしたコラボ曲「希望にエクスチェンジ」を披露した。
ドゥーワップコーラスを組み込んだビッグバンドジャズ風のアレンジは、なんとも多幸感があり、また、〈もしもなりたい自分になれるとしたら〉と、舞台のテーマを織り交ぜるだけでなく、「音楽と舞台はツールが違うだけで、人の心を感動させることができる」という企画主旨も盛り込まれていて、まさに今回のコラボにふさわしい1曲となっていた。
そして、Kouichiより「みなさん、来年もワクワクしましょう!」と、最後に披露されたのは、WKWK PROJECTの「Face to Face」。曲中では、第2部の出演アーティストが総登場。プレゼントの飴玉をフロアへ投げ込むなど、かなり賑やかな状態になっていたのだが、そんな中、Kouichiが宏一のドラムセットの前に立ち、2人が向き合いながらプレイするシーンがあった。
先日、この日の公演をもってWKWK PROJECTでの活動を終了することを発表した宏一。曲のタイトル通り、2人が顔を向き合わせて演奏するその光景は、短いながらも共に過ごしてきた時間を確かめ合い、
これから歩んでいくそれぞれの未来へ激励を飛ばしあっているようにも見えた。フロアからも曲にあわせて大きなオイコールがあがり、大団円の中、ライブは幕を下ろしたのだった。
一大イベントを大盛況で締めくくったWKWK PROJECTは、次なる展開として4月27日(金)、28日(土)、新宿BLAZEにて「WKWK LIVE Vol.4&5~WKWK PROJECTと素敵なアーティスト達~」と題した、プロジェクト初の主催公演を行なうことを発表した。WKWK PROJECTメンバーとしては、TSUTAYA O-WEST公演にも出演していたmitsu、8810(Re:ply)、koyomi(Re:ply)に加え、初参加組として、shinpei(ex.SuG)、RENO、MiA(MEJIBRAY)が出演することになっている。
また、イベントの第一弾出演アーティストとして告知されたのは「スペシャルコラボバンド」。気になるメンバーは、WKWK PROJECTのKouichi、Aqua Timezのmayuko、そして、人気お笑いコンビよゐこの濱口 優の3人! 絶対に誰も予想することができなかった、かつ、何をするのかまったく想像できない布陣に、フロアからは大きな驚きの声があがっていた。終演後、このコラボバンドについて終演後Kouichiに聞いてみたところ、「とりあえずは親睦会から始めないと……」とのこと。おそらく、というか間違いなく、本人すらまだ1ミリも絵が見えていないようだ。この人、マジで大丈夫なのかな……と思ってしまったのだが、この「どうなるのかまったくわからない状況だからこそワクワクする」というものが、WKWK PROJECTのコンセプトであり、醍醐味でもあるだろう。第二弾出演アーティストも後日発表されるので、彼らのオフィシャルサイト等をチェックしていただきたい。2018年もさらなる広がりを見せるWKWK PROJECTの輪に、あなたも是非ご参加を! WKWK!
取材・文=山口哲生 撮影=木場ヨシヒト