大阪・大正区から音楽シーンを作る、若手アーティスト発掘イベント『T-1 ライブグランプリ』決勝レポート
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T-1ライブグランプリ
『T-1ライブグランプリ2017 ファイナル』2017.12.17 大正区役所 4階 区民ホール
大阪・大正区が主催する音楽イベント『T-1ライブグランプリ2017 ファイナル』が、12月17日(日)に大正区役所の区民ホールで開催された。『T-1ライブグランプリ』は、大正区が“音楽で大正区を盛り上げたい”との思いから、才能ある若手アマチュアミュージシャンを発掘しようと2009年より開催を続けて来たコンテスト形式のイベント。グランプリに輝いたアーティストには、大正区の音楽振興大使として成人式やマラソン大会など区内外のイベントで活躍する機会が提供される他、テレビなどメディアで取り上げられる。この日は、6月と9月に行われた予選を勝ち抜いたファイナリストの6組が集結し、緊張と興奮が入り混じったアツいライブで、グランプリの称号をかけしのぎを削った。
オオツエ
トップバッターで登場したのは、淡路島出身のシンガーソングライターのオオツエ。少年時代のノスタルジックな風景が浮かぶ「夕焼け校舎」、そして祖父への想いを綴った「宝物は時刻表」を披露。予選では、淡路島の特産品である玉ねぎの歌をチャーミングに歌い観客を魅了した彼が、ファイナルのステージではよりパーソナルな心情を込めた楽曲をエモーショナルに歌い上げ、観客の共感を誘い存在感をアピールした。
FRANK
続いて登場したのは、京都で結成された現役大学生によるグルーブのFRANK。ファイナルのステージに立てた喜びを露わにしながら、今大会が開催されるに至った大正区民への日々の支えに感謝を込めて『Thanks』を披露。ラップを織り交ぜ、構成で予選とは違った一面をみせ、日本人と韓国人によるトリプルボーカルという編成を生かしたハーモニーを響き渡らせた。
今村光志
三番手は平成生まれ大正育ちの今村光志。13歳の時に今大会の第1回が開催され、「いつかグランプリを掴み取ろう」と始めたばかりのギターの練習に励んできたという今村。大会の歴史と共に音楽人生を歩んできただけに、並々ならぬ思いをかけてステージに立つ。「印象に残るよう精一杯歌っていく」の言葉通り、「時の花」など、60~70年代のフォークから影響を受けたメロディーに21歳の素直な心情をのせ、思いの丈を歌で届けた。
パレス
今度は2015年の『T-1ライブグランプリ』以来となる、バンド編成のダンス&ボーカルグループのパレスが登場。かつての悔しさをバネに、かなりの練習を積んできたのを肌で感じるほど、予選に比べ格段にキレが良く熱量の増したパフォーマンスを披露。ファンクでパッショナブルなステージングに拍手喝采が巻き起こる。フロアに降り立ってダンスするなど会場を巻き込む前のめりな姿勢に、ステージにかける想いがビシビシと伝わってきた。
大曽根クルール
続く、大曽根クルールは、「自分自身と語るきっかけになるような曲を歌います。しんどくなってしまった自分ですら愛せたら、楽になるんじゃないかな?」と投げかけ、「不安とキス」を届ける。さらに、ストレートなメッセージソング「がんばれ」を力強く歌い上げ、観客を魅了。役者やボイストレーニングの講師を務めるなどの経歴に恥じぬ、歌唱力をみせつけた。
優希
最後に登場したのは、ギターを抱えて47都道府県を巡りその土地で曲を作る挑戦の旅に出るほど、バイタリティに溢れた優希。クリスマスの高揚感とセンチメンタルが入り混じる、素直な気持ちを綴った「お願いサンタさん」、繊細で透き通るような声が冴えわたった「金のはりがね」と披露し、観客を聴き入らせていた。
ヒサ絵
andRE
全てのファイナリストのステージが終了し、いよいよ審査の時間に。雌雄を決するのは、吉田康人大正区長ほか、関西のライブハウス店長や芸能プロダクションの代表、音楽プロデューサーなど業界を支えてきた審査員と詰めかけた観客たちの投票。結果が発表されるまでの間、スペシャルライブが催された。先ずは、第7代大正区音楽振興大使のヒサ絵が登場。和やかなMCとは打って変わって、激情を爆発させるかのようなパワフルな歌唱をみせ、第8代大正区音楽振興大使のandREは、アコースティックデュオならではの温かみあるアレンジとハーモニーを心に沁みわたらせた。
TiA
さらに、ニューヨークを拠点に活動中で、アメリカの数々のコンテストで優勝してきた実績があるシンガーソングライターのTiAによるゲストライブも行われた。観客にとってあまり馴染みのない英語詞のゴスペルではあるが、世界クラスのソウルフルな歌声は万人に通じることを歌唱後のスタンディングオベーションが物語っていた。純粋に音楽が持つパワーとその楽しさを教えてくれるような貴重なライブを持って、全てのステージが終了。ついに、結果発表へ。
T-1ライブグランプリ
緊張感が張りつめる会場。グランプリの座を獲得し、第9代大正区音楽振興大使に選ばれたのは……パレス! そして準グランプリには、大曽根クルール、審査員特別賞には優希が選ばれた。最後に、吉田区長は「大正区から、日本を、世界を、そして音楽を良くしていきたい。良い歌を、良いミュージシャンを大正区から世に送り出すことを誇りに思えるような町にしていきましょう」とメッセージを送り、幕を閉じた。音楽を通して大正区を盛り上げ、若者の「やってみたい!」という気持ちを尊重し、繋げていくきっかけとして開催されてきた『T-1ライブグランプリ』。来年度の開催日程や出演者及びボランティアスタッフの募集詳細については、2月頃にホームページで公開されるとのことなので、我こそはという若者は、是非、参加してみて大正区から、日本を、世界を、そして音楽を盛り上げてほしい。
取材・文=大西健斗 撮影=森好弘
◆ファイナル決勝:2017年12月17日(日)
場所:大正区役所 4階 区民ホール