「FM802 弾き語り部」新春発表会にTOSHI-LOW、片平里菜、菅原卓郎らが集結した夜をレポート

2018.1.18
レポート
音楽

『FM802 弾き語り部 新春発表会』 撮影=渡邉 一生

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FM802弾き語り部によるライブイベント『FM802 弾き語り部 新春発表会』が2018年1月11日(木)大阪・心斎橋JANUSにて開催された。

FM802弾き語り部とは、LAMP IN TERREN・松本大が、FM802へのゲスト出演の際に弾き語りでスタジオライブを披露することが多く、「弾き語り部を作って部長になりたい」と発言したことがきっかけで生まれたプロジェクト。「新春発表会」と銘打った今回が初の課外活動は、部長の松本大(LAMP IN TERREN)をはじめ、片平里菜森良太(Brian the Sun)、TOSHI-LOW(BRAHMAN/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)、さらに新入部員の菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)、林萌々子(Hump Back)を加えた豪華な6人で賑やかに行われた。

左:飯室大吾(FM802) 右:松本大

松本大(LAMP IN TERREN)

まずは弾き語り部・宣伝係のDJ飯室大吾と部長のLAMP IN TERREN・松本大が登場し、新春のあいさつ&プロジェクトの紹介を。そして、部長の松本が先陣を切ってライブがスタート。1曲目はLAMP IN TERRENの「流星群の夜」で、初っ端からエモーショナルな歌声を聴かせてくれた。途中、PCでコード譜&歌詞を検索しながらお客さんのリクエストに応える場面も。日食なつこの「廊下を走るな」がリクエストされ、時おりアカペラも交えつつ、見事に歌い上げた。さらに、「弾き語りライブは、バンドの500倍くらい緊張します!」といいながらも確かな演奏力でMr.Childrenの「終わりなき旅」も大熱唱。最後はLAMP IN TERRENの「multiverse」を。コーラス部分を全員で練習後、楽しい時間を精一杯共有するべく、歌で会場を一体に。素晴らしいセッションで締めくくった。

林萌々子(Hump Back)

続いては、過去に弾き語りのソロ音源もリリースしているという強力な女子部員、Hump Back・林萌々子。表現力豊かなヴォーカルワークと優しく爪弾くギターの音色に癒やされる。ゆるい雰囲気の中にも自身の葛藤や迷いが表現された「ナンニモナレナイ」で彼女の真骨頂を見せたあとは、リスペクトする野狐禅の「じゅうじか」をカバー。「竹原ピストルさんまで届いたらええなあと思って。大人の人よろしくお願いします(笑)」と茶目っ気たっぷりなMCで客席との距離を縮めた。最後は、地元の田舎町で一番キレイな場所の歌と紹介されたHump Backの「星丘公園」。切なく強く心に沁みる歌声を響かせた。「歌うのめっちゃ楽しいんですよ。そっち(客席)よりこっちの方が絶対おもしろい!」と思わず溢れた言葉が印象的で、歌に対する真っ直ぐな想い、音楽への愛をひしひしと感じたパフォーマンスだった。

森良太(Brian the Sun)

3番手は、Brian the Sun・森良太。ライブの前日に発売された2ndアルバム『the Sun』の告知をしながらも、アルバムに収録されていない新曲から披露! どっしりと厚みのあるアコギの音に伸びやかな歌声が映える。ここまでの3人だけでも、それぞれの個性が現れたアコースティック・ギターの音色の違いや奥深さを感じることができる。何をやるかは決めていないとのことで、お客さんからお題ワードを募集し、即興で曲を作り歌うことに! 《コイントス》《恋》《1月11日》《電車》という4つのキーワードが出たところで、「めっちゃむずい!」と言いながらも、あっという間に短い恋愛ソングが完成。そのスピード感とセンスに、拍手喝采! ラストソングの「ロックンロールポップギャング」では、力強いストロークでアコギをかき鳴らしながら、マイクなしで上手、下手に移動し、熱量高く生の歌声を届けた。

片平里菜

続いては2人目の女子部員、片平里菜。グレーのシックなワンピース姿にアコギを抱えた彼女はいつにも増して大人っぽい雰囲気。まずは自身が大好きだという大阪のシンガーソングライター・島崎智子の「dessin」のカヴァーから。芯のある歌声の説得力に圧倒される。パーカッシブなギターに合わせ、躍動感溢れるハイトーンヴォイスを響かせた「煙たい」、ラララの大合唱に包まれた「Love Takes Time」をせつない女心に浸って歌い上げた。最後は上京した時にひとりぼっちの部屋で作ったという曲「からっぽ」をセンチメンタルにしっとりと。その後、若干緊張しながらステージに呼び込んだのは、東北での音楽活動でも繋がりのある大先輩TOSHI-LOW。「紹介下手じゃね?(笑)」というダメ出しがありつつも、二人の出会いや活動の思い出を振り返るトークもたっぷり。そして、23年前の阪神淡路大震災から歌い継いできた名曲「満月の夕」のコラボを披露し、力強く背中を押すようなハーモニーを聴かせた。

左:片平里菜 右:TOSHI-LOW

TOSHI-LOW(BRAHMAN/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)

ステージにTOSHI-LOWのみとなったところで、「キュウソネコカミでお馴染みのTOSHI-LOWです!」と改めて自己紹介を(笑)。弾き語りを始めたきっかけは、東日本大震災の被災地で、避難所のおじさんに「音楽やってるなら歌ってよ」とギターを渡された時に応えられなかった悔しさからだという。暖かみのあるオーガニックなギターの音色と包容力のある歌声で、BRAHMANの「鼎の問」を演奏後、譜面をパラパラとめくりながら、気分で演奏曲を決めていくリラックスムードのTOSHI-LOW。そこで、大阪ということで、憂歌団の「胸が痛い」をブルージーに歌い上げると「大阪で歌えて嬉しい」と笑顔を見せ、最後は力強くも優しい歌声が胸に沁みるフォーキーな名曲、BRAHMANの「今夜」を披露。その美しいメロディに誰もが身を委ねた。

『FM802 弾き語り部 新春発表会』

そして「上手にビシっと紹介しちゃおっかな!えっと何mmだっけ?(笑)」とTOSHI-LOWがステージに呼び込んだのは、ようやく出番となった9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎。さらに森良太松本大の2人も加わり、なぜか“伝説の先輩”という設定に決定したTOSHI-LOW先輩と男子部員3人による終わりなき(!?)部室トークでさんざん盛り上がる展開に。爆笑トークが落ち着いたところで、先ほど急遽楽屋で決定したという「デイ・ドリーム・ビリーバー」を演奏することに。忌野清志郎氏が書いた歌詞の奥深さなども語られた後、4本のアコギで奏でる音に合わせ大合唱となり、ピースフルな空気が会場を包んだ。

菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)

そして、新春発表会トリを飾るのは、「今日は弾き語るぞ~!」とヤル気をみせる9mm Parabellum Bullet・菅原卓郎。フォーキーなギターサウンドに、ノスタルジックなメロディが印象的な「黒い森の旅人」で、一気に世界観に引き込んでゆく。1人1曲カヴァー曲を歌うという流れにのり、披露されたのは、思い入れのあるエピソードも語られた中島みゆきの「糸」。彼の声質にぴったりで、曲のパワーを改めて感じた。最後の曲に選んだのは、「Black Market Blues」。そこで、いつもはメンバーの滝(G)が演奏するAメロのギターリフを、お客さんにやってほしいとお願いする菅原。ギターリフをお客さんが声で再現するというミッションを見事な一体感で成功させ、情熱的なアコギver.が仕上がったのだった。

『FM802 弾き語り部 新春発表会』

最後は、全員で1曲演奏することになり、全出演者がステージに続々登場。すると「やばい、TOSHI-LOW先輩が(楽屋で)眠いって言ってる!」と森良太。しばらくして、ジャケットを羽織り、ギターケースを持ったまま帰る気マンマン(笑)のTOSHI-LOW先輩も無事ステージに姿を現し、全員で「日曜日よりの使者」の歌詞を《木曜日よりの使者》に変えてシンガロング。椅子席のお客さんも総立ちで盛り上がり、イベントは幕を閉じた。まるで部室に遊びにきたかのようなアットホームな距離感とまさに発表会といった雰囲気で、贅沢なコラボやトークでも盛り上げた3時間半。アコースティックギター1本で魂を込めた歌声を披露した部員たちに満員のオーディエンスから惜しみない拍手が送られた。

レポート・文=岡田あさみ 撮影=渡邉 一生

イベント情報
FM802弾き語り部“新春”発表会
出演: 菅原 卓郎(9mm Parabellum Bullet ) 、 林萌々子(Hump Back)、松本大(LAMP IN TERREN)、片平里菜、森良太(Brian the Sun)、TOSHI-LOW(BRAHMAN/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)
MC:飯室大吾
日時: 2018年1月11日(木)
場所: 心斎橋JANUS(ジャニス)
開場 18:30/開演 19:00

 

番組情報
RADIO∞INFINITY​
毎週木曜日24:00〜27:00
DJ飯室大吾
1月25日はFM802弾き語り部“新春”発表会の模様をオンエア!
  • イープラス
  • 片平里菜
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