天海祐希「極楽太夫を掘り下げていけたら…」～劇団☆新感線『修羅天魔～髑髏城の七人』製作発表レポート

劇団☆新感線の代表作の一つ『髑髏城の七人』が、2017年3月30日（木）から「花」「鳥」「風」「月」と出演者や演出を変えてIHIステージアラウンド東京で上演され、大きな話題を呼んでいる。このロングラン公演のラストを飾る『修羅天魔～髑髏城の七人』Season極 の製作発表が2018年1月18日（木）に行われ、天海祐希、福士誠治、竜星涼、清水くるみ、三宅弘城、山本亨、梶原善、古田新太、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのりが出席した。

本作は、これまでとはまったく違う視点から物語世界が構築されていく『髑髏城の七人』の新作。重要なポジションにあった捨之介と蘭兵衛は登場せず、“織田信長に愛されたスナイパー”で、現在は渡り遊女として諸国を旅してきた極楽太夫を主人公に、関東髑髏党の党首・天魔王との愛憎劇を描く。

演出のいのうえは「企んでいることはいくつかありますが……今は言えない（笑）。だんだんと（劇場を）回すことを覚えてきたので、リアルなセットの広い絵を見せ、映像はその外側にあるイメージです。この作品は、同じフォーマットでありながら、まったく別の『髑髏城の七人』になります」と演出プランを語った。

脚本を担当する中島は「完全新作ですが、“悪いことをしていた天魔王がやっつけられる話”です。（これまでの『髑髏城の七人』とは）細かく悪いことをしていた意味や人間関係が変わります」と明かし「天海さんは凄腕の狙撃手で、天魔王と因縁があるという物語です。天海さんを中心とした新しい関係が見えてくると思います。（天海と古田）二人にがっつりやってもらおうと思って作った話です」と本作への思いを語った。

『阿修羅城の瞳 BLOOD GETS IN YOUR EYES』や『蒼の乱』など、これまでにも劇団☆新感線の作品に出演してきたものの『髑髏城の七人』には初参加にして主演を務める天海は「花鳥風月、全部拝見させていただいていますが、どの極楽太夫もかわいらしくて、美しくて素敵でした。あの愛らしさは私にはないですが、また違うものを醸し出していきたい」と挨拶。「古田さんとご一緒に新作を作ることができるので楽しみです。極楽太夫という役柄を掘り下げていけたら、と思います」と意気込んだ。

一方、“Season花”に続いて出演し、天魔王を演じる古田は、天海の熱望によって出演が決定した。古田は「愛している人（天海）の頼みは断れないので」と今回の出演を決めた経緯を明かして天海を喜ばせると「1年間、たくさんの人がエキセントリックだったり、かっこよかったり、様々な天魔王をやってきましたけれど、僕はなるべく動かない天魔王をやろうと思っています。演出はすごく広いけれど、私は動かない。あとは、兵隊たちに“行けー！やれー！”って（指示だけします）」と、古田らしい表現で気合いを入れていた。

兵庫役で新感線初参加となる福士は「僕にしかできない兵庫ができればいいなと思います。長い公演なので、健康に気をつけて、最後まで舞台に立つことを目標にしたい」とコメント。

新キャラクターである夢三郎を演じ、新感線への参加はもちろんのこと、舞台で本格的な時代劇に挑戦するのも初めてという竜星は「新しいキャラクターなので、自分も楽しんでいきたい」と挨拶したものの「初めてづくしなので、嬉しいけれど、武者震いしながら緊張でいっぱいです。皆さんの背中を見て吸収していきたいです」と本音も漏らしていた。

沙霧役の清水は「従来、沙霧は『頭脳派』なので、そういった面も出していきたい」と語る。そして、天海の大ファンであることを明かすと「初めてお会いした時には、興奮して鼻血が出ちゃって。毎日稽古があるので、鼻血を出さないように気をつけます！」と笑顔を見せ、会場を笑わせた。

これまでの『髑髏城の七人』を観てきた方も、『修羅天魔』から『髑髏城の七人』に触れる方も、ぜひ3月からの公演に注目いただきたい。

取材・文・撮影＝嶋田真己