シアタークリエ10周年記念公演『TENTH』ついに3週目!『RENT』『ZANNA』・・・第2部ガラコンサートゲネプロレポート

2018.1.24
レポート
舞台

『TENTH』ガラコンサート


2018年の始まりと共に開幕した日比谷シアタークリエ開場10周年の記念公演『TENTH(テンス)』。シアタークリエで日本初演されてきたオフ・ブロードウェイ発のミュージカルの中から『ネクスト・トゥ・ノーマル』『ニュー・ブレイン』『この森で、天使はバスを降りた』の3作を1幕に凝縮し、第1部として週替わりで3作上演するほか、これまでシアタークリエに登場した俳優たちが集うガラコンサート形式の第2部を行ってきた。

1月24日(水)から1月31日(水)まで行われる第3週目のガラコンサートには、日本版『RENT』のキャストなどが多数集結。本記事では、事前に行われた第2部ゲネプロの模様をレポートする。

(歌唱楽曲に触れていますので、ネタバレを気にされる方はご注意ください)

まずステージに姿を現したのは、村井良大ユナク光永泰一朗平間壮一ソニン宮本美季田中ロウマ上木彩矢Spiの9名。日本の“レントヘッド”(『RENT』の熱狂的ファン)なら、すぐにピンとくる顔ぶれだろう。2008年版から2017年版までに出演したメンバーが一同に会しまず歌い上げたのは、もちろん『RENT』より「Seasons of love」。歌い継がれる名曲に、シアタークリエの歴史と共に歩んできた方々には、懐かしい光景が脳裏に浮かぶのではないだろうか。

歌い終わると、2015年版・2017年版でマーク役を務めた村井良大をはじめ、各キャストが出演した年と共に挨拶が行われた。2010年版ではミミ役、2012年版・2015年版ではモーリーン役と同じ作品で2役を演じているソニンは「やることが多いの(笑)」と少々混乱気味。今回のガラコンサートでは、ミミ役とモーリーン役どちらもやる予定があるという(ゲネプロではミミ役としての登場)。また、村井と田中は初対面とのことで、本番では出演時期の被っていないキャスト同士の貴重なトークが聞けそうだ。

ここからは、登場人物ごとの歌唱部分を抜粋し、ロジャー役(2015年版・2017年版)のユナクによる「One Song Glory」、エンジェル役(2015年・2017年)の平間による「Today 4 U」と、次々と人気ナンバーが披露される。

ミミのソロ曲「Out Tonight」ではソニンが、歌声と共にセクシーで熱いパフォーマンスを見せる。実際に公演の中で見せてくれた「Out Tonight」よりも、迫力も艶も増した歌声は、ここ数年のソニン自身の変化や実りの多さを感じさせた。

さらに、記憶に新しい2017年版のエンジェル&コリンズ、平間と光永による「I’ll Cover You」、2015年版・2017年版のジョアンヌ&モーリーン、宮本と上木による「Take Me Or Leave Me」、2015年版・2017年版のマーク&ロジャー、村井とユナクによる「 What You Own」とデュエットソングが続く。全員で「noday but today」の歌詞で有名な「フィナーレ・B」を歌い上げ、ゲネプロにも関わらず大盛り上がりを見せた。

『RENT』メンバーに拍手を送りながら、代わって登場したのは、渡部豪太高垣彩陽東山光明岡田亮輔。そして、田中、上木、Spiはこちらにも参加。彼らは2013年に上演された『ZANNA ザナ ~a musical fairy tale~』のメンバーだ。『ZANNA』は、男性同士、女性同士の恋愛が普通で、異性との恋愛が少数派という世界を描いた一風変わったラブ・コメディ。作品紹介や思い出を語りつつ、キャストたちは久しぶりの再会を喜んだ。

楽曲についても、場面や関係性を説明しつつ、「君にわかる?」「いつか来るかもしれない日」をしっとりと歌い上げられた。この2曲はバラードナンバーだったが、本来の『ZANNA』は、ラブコメなので、ハッピー感に満ちた明るい楽曲が多く登場する。高垣は、それを『TENTH』1週目に登場していた新納慎也の言葉を借りながら「この『TENTH』はいろんな作品をダイジェストでお届けしていますが、その作品の2%!ぐらいしか伝わらないので、シアタークリエさんのここから先の10年のどこかで、ぜひ再演を!」と熱望していた。

『ZANNA』チームとしての最後の曲は、作品のオープニングナンバーである「Extra Love」を、『TENTH』スペシャルバージョンで大合唱。愛したい人を愛せる世界にしよう!という、大きな愛がほとばしるパフォーマンスを披露。この先また、この『ZANNA』が上演されることを、切に願う。

ゲネプロの最後を飾ったのは、全員で歌うジョナサン・ラーソン作曲の「Love Heals」。『RENT』と『ZANNA』という、愛の自由を描いた2作で構成されたこの回を締めくくるにふさわしいフィナーレとなった。

なお、3週目には『RENT』『ZANNA』キャストの登場回のほか、1月30日(火)、31日(水)には井上芳雄、坂本真綾、昆夏美、白羽ゆり、高橋愛が登場する(この2日間については、第2部、第1部の順番で上演)。すべての公演回ごとに、異なるナンバーがセレクトされるため、どのナンバーを誰が歌うのか、観劇される方は当日をお楽しみに。

どの公演も、上演当時を知る人には懐かしく、初めて観る方には新鮮に映る。出会いの積み重ねで紡がれる歴史。この場所に、これからの10年、20年という時間の中で、演劇への“愛”が降り積もっていく様を感じながら、シアタークリエという劇場空間にワクワクしながら劇場に通いたい。

取材・文・撮影=折原怜

公演情報
シアタークリエ10周年記念コンサート『TENTH』
 
■日程:2018年1月4日(木)~1月31日(水)
■会場:シアタークリエ
■総合演出:小林 香
■公式サイト:http://www.tohostage.com/tenth/
 
<第1部>
2018年1月4日~1月11日『ネクスト・トゥ・ノーマル』
■演出:上田一豪
■出演:
安蘭けい
海宝直人
岡田浩暉
村川絵梨
村井良大
新納慎也
 
2018年1月14日~1月21日『ニュー・ブレイン』
■演出:上島雪夫
■出演:
石丸幹二
マルシア
畠中 洋
樹里咲穂
初風 諄
赤坂泰彦
本間ひとし
伊礼彼方
中村百花
五大輝一
 
2018年1月24日~1月31日『この森で、天使はバスを降りた』
■演出:小林 香
■出演:
坂本真綾
剣 幸
土居裕子
坂元健児
Spi
田中利花
平方元基
 
<第2部>
10周年記念ガラコンサート
各日のキャストは公式HPを参照のこと:http://www.tohostage.com/tenth/castsche3.pdf
当日キャンセル席の抽選販売については公式HP参照:http://www.tohostage.com/tenth/toujitsu.html

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