カフカあらためKFK、初のワンマンライブレポ 活動10年にして自らを生まれ変わらせた4人の原動力は
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KFK 撮影=Kazuki Sano
KFK in da House!! 2018.1.27 渋谷VUENOS
カフカが2018年をもって「カフカ」を終わらせて、「KFK(ケーエフケー)」に改名すると発表されたのは昨年11月だった。本来ならば、2018年はバンド結成10周年のアニバーサリーイヤーに突入するという矢先のこと。それは予想もしない発表だった。
突然のことにネット上に戸惑いの声も上がるなか、12月15日に渋谷クラブクアトロで開催されたカフカ名義のラストライブ(『NIGHT CIRCUS vol.4』)では、オープニングアクトとしてKFKが初お披露目された。さらに先日1月24日にKFKとして初の作品『ラブソングフォーディストピアシティトーキョー』をリリース。ヒップホップ、R&B、アンビエントからヴェイパーウェイブまでを呑み込んだジャンルレスな作風で、それは確かにこれまでのカフカとは全く違うバンドであることを強く印象づける1枚になっていた。
KFK 撮影=Kazuki Sano
思えば、その予兆は、実質カフカとしてのラストアルバムになった昨年9月リリースのアルバム『あいなきせかい』にも表れていたと思う。変幻自在に表情を変えるグルーヴと煌びやかなシンセのフレーズで彩られたその作品の頃から、カフカは強く自由を求めていた。当時のインタビューでカネココウタ(Vo/Gt)は「(カフカのイメージとして)ギリギリアウトな曲もあるけど、好きなものは抑えようがなかった」と話していた。カフカからKFKへ。その変身の裏にバンドとして大きな葛藤があったことは想像に難くない。
と、前置きが長くなってしまったが、そうやって新たな道を進むことを選んだKFK初のワンマンライブが1月27日に渋谷VUENOSで開催した『KFK in da House!!』だ。そこで彼らはKFKとして生まれ変わった理由を、言葉でなく身をもって表現してくれた
KFK 撮影=Kazuki Sano
SEはアメリカのヒップホップアーティスト・NASの名曲「NY State of Mind」。鮮やかな照明に包まれてメンバーが手拍子で迎え入れられると、カネコはオートチューンをかけた声で「We are KFK!」と第一声をあげた。一連の登場の流れからして、これまでのカフカとは全く違う。1曲目は最新ミニアルバム『ラブソングフォーディストピアシティトーキョー』でも1曲目に収録された「私はもう気にしない」だった。ダブ的なアプローチからサビにかけて疾走するナンバーで会場を沸かせると、「ミニアルバム1枚出しただけの若手バンドがいきなりワンマンなので(笑)、曲をいっぱい作ってきました」と、カネコ。その言葉のとおり、続く「Another World Another Day」は未発表曲だった。スタイリッシュなサウンドにのせて、スクリーンには大都会の夜景のような映像が映し出された。楽器隊の編成としては、ドラムのフジイダイシ、ギターのミウラウチュウは固定だったが、ベースのヨシミナオヤは、主にシンセを弾く場面のほうが多かった。カネコはギターは一曲のみ、あとはハンドマイクまたはシンセを弾きながら歌うというスタンスだ。
KFK 撮影=Kazuki Sano
KFK 撮影=Kazuki Sano
最初のMCでは「やりたいことを自由にやって生きていたいなと思って、KFKを(作った)……第二の人生じゃないけど。難しいことは考えずに自由に楽しんでいきたいなって。音楽だからね」と、カネコらしい、決して饒舌ではないが、正直に自分の心に向き合った言葉を伝えた。そして、いくえにも重なるサウンドがじわじわと昂揚感を掻き立てた未発表曲「Milk Shake」へ。そのリリックには<ルールはとっくにない やりたいことをやるだけだろ>というフレーズも刻まれていた。いまのKFKはとにかく“やりたいこと”にまっしぐらだ。京王線の駅名の羅列がスクリーンに映し出された「Neo Tokyo // 気象情報」、メロウにリアレンジしたカフカのカバー「彼女は海で」、サンプリングした女性の声がひたすら“GAME OVER”と繰り返す不穏な未発表曲「byz dnt kry」。その先鋭的な世界観にお客さんが完全に圧倒されるなか、「いいね、自由で」と、カネコは嬉しそうな笑顔を見せた。「みんなKFKっていうものに何も望んでない感じがいい(笑)。“KFKは自由にやってくださいよ”っていう感じ」と言うと、「いいお客さんばっかりだね」とヨシミも同意して、KFKに初めて触れるお客さんの反応を楽しんでいるようだった。
KFK 撮影=Kazuki Sano
KFK 撮影=Kazuki Sano
「渋谷ここからあがっていけますか!?」というカネコの煽りを皮切りにファンキーなダンスナンバー「いたって普通」で、ライブはクライマックスへ向かった。ここで、カネコが「やってみたかったことがある!」と言い出して、「セイ!ホ~!」のコール&レスポンスへ。「セイ!U・C・U」「セイ!N・A・O!」「セイ!ダイシ!」とメンバーの名前でも遊びつつ、「ここにいるみんながKFKだから!」と言って、ヨシミとカネコの掛け合いで盛り上げた「Are you KFK??」、煌びやかなダンスナンバー「せたがや・とわいらいと」まで、一気に駆け抜けてライブはフィニッシュ。鳴らす音はもちろんフロントマンの立ち振る舞い、ライブの運び方まで、全てが新鮮なライブだった。
KFK 撮影=Kazuki Sano
KFK 撮影=Kazuki Sano
ライブのあとは、そのままメンバーが交代でお気に入りの曲で踊らせるDJ SETが1時間にわたり繰り広げられた。この日のKFKは心の底から音楽を楽しんでいた。それは、もしかしたら初めて楽器を持ってバーンと音を鳴らした頃の4人の姿に近いのかもしれない。ここまで積み上げてきた10年をぶち壊して、全く別の道を歩いていくことは容易くはないが、10年目にして訪れた二度目の初期衝動がいまのKFKを突き動かす原動力だ。
取材・文=秦理絵 撮影=Kazuki Sano
KFK 撮影=Kazuki Sano
open / start 18:00 / 18:30
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■ 出演:KFK
■ オフィシャル最終先行受付
2018年1月27日(土)18:00~2月5日(月) 23:00まで <先着順にて>
■ プレイガイド
一般発売:2018年2月17日(土)~