Awesome City Club、向井太一、DATSが初競演した雪をも溶かす京都の熱い夜をレポート

2018.3.10
レポート
音楽

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『Mint Blue Moment』 2018.2.17(SAT) KYOTO MUSE

Awesome City Club、向井太一、DATSによるイベント『Mint Blue Moment』が、2月16日に兵庫・神戸VARIT.にて、翌2月17日に京都・KYOTO MUSEにて開催された。今飛ぶ鳥を落とす勢いの3アーティストが集まるうえに、この3組の顔合わせは初めてというスペシャルな同イベントの2日目の様子をお届けする。雪が降る寒い日にもかかわらず、人気急上昇の3組を見ようと集まった関西の音楽ファンは数多く、はソールドアウト。フロアは最後部まで人で埋め尽くされる。また、開演前や転換中にはDJ:DAWA(FLAKE RECORDS)と 飯室大吾(FM802)によるDJや、cafe and bar Chamのフードもあり、どんな瞬間でも楽しめる仕掛けがうれしい限り。ライブへの期待も高まる一方だ。

Awesome City Club

定刻過ぎ、まずはトップバッターのAwesome City Clubが登場! メンバーが一列に並んでクラップを煽り、祝うようにイベントをスタートさせると、atagiが「踊ろうぜ、京都!」とひと吠え。「Don't Think, Feel」、「4月のマーチ」、「アウトサイダー」という人気の3曲を続けて一気に会場のテンションをアップさせる。キャッチーなメロディに合わせてatagiとPORINが踏むそろいのステップ、PORINのガーリーな歌声に「会いたかったゾ!」のささやき、男女ツインボーカルのハーモニーで彩るキラキラのポップetc.……。

Awesome City Club

開始10分足らずで気分は最高潮に到達する。すると、そこに追い打ちをかけるように「新曲を持って参りました!」(atagi)と、3月14日(水)にリリースされるニューEP「TORSO」から「燃える星」と「Magnet」を披露。「燃える星」では艶っぽい2人のボーカルとベースラインが大人の空気を生み出し、「Magnet」では心地いいグルーヴが観客を心身ともに解き放つ。見れば、誰もがリラックスムードで体を自由に揺らしている。

Awesome City Club

そんなグッドムードのままでラストは「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」でダンスタイム! ミラーボールがきらめくなかで全員がハンズアップ&ジャンプ。会場が一つになって楽しさ全開で全8曲を締めくくった。

向井太一

熱を帯びた会場をさらに熱くするように、1曲目はアッパーな「FREER」から。ポジティブな英語詞が耳を刺激し、会場のクラップは止むことがない。かと思えば次は、メロウな「SLOW DOWN」で雰囲気をチェンジ。「MONJOE(DATS・杉本)と作った曲です」と「Can't Wait Anymore」、そして「眠らない街」へとつなげる。

向井太一

ソウルフルでスモーキーなボーカルが空気を揺らせば、観客の手がステージに向かって伸び、曲と共にゆらゆら。ラップパートでは挑発的な横顔も見せ、それに合わせてハンズアップの波もうねる。すると「せっかくなんで1曲、生音でお届けしたいと思います。僕が18歳の時から歌っている曲です」と、「君にキスして」へ。湿度あるボーカルが絡みつくようだ。一人スポットライトを浴びる姿もさすがファッションアイコン、絵になる。

向井太一

その後「THINKING ABOUT YOU」などで再び熱を上昇させると、アップテンポな「YELLOW」からラストスパート。「GREAT YARD」の抑揚で観客を力強く音の世界へと引き込むと「Fu!」の歓声も。そしてイントロから「キャー」と沸く人気曲「FLY」、開放感たっぷりの「空」と続け、沸き立ったままでフィニッシュ! 「あと1時間ぐらいはできるよね(笑)」という本人の言葉どおり、あっと言う間に感じる色濃い約50分間だった。

DATS

トリを飾るのは、メジャー進出を6月に控えたDATS。まずは「Patagonia」で重なる音の重厚感や躍動感を生み出し、異世界へと誘う。そして続けざまに「Cool Wind」「Netflicks」、「Mobile」、「Candy girl」を連投。印象的なリフレイン、耳に残るメロディ、体が気持ち良さを覚えるリズム、実験的な音の連なりなど、聴きどころも見どころも多い地続きのアクトは頭を真っ白にし、圧倒的な求心力を発揮する。杉本の「温まって来たんじゃないの?」という言葉以上の速さでDATSの世界は膨張し、会場には大きなクラップが! 

DATS

そして「Storm」のビートで荒々しく高ぶり、ノイジーにつなげて「Run」へ。自由度200%で渾身のアクトを繰り広げると、さらに他では感じられない高揚感がもたらされる。またここからは2/10に発表したばかりの新作EPの2曲を。まずは突き抜ける「Heart」のメロディに乗せられメンバーにも観客にも笑顔が広がり、「みなさん、俺たちDATSの音を全身で感じてください」(杉本)と弾めば、次は「久しぶりに来た、京都。こんなにも楽しいステージになると思わなかった!」(杉本)と、「Message」。どこか90~00年代の香りも漂わせながら4人が同時にドラミングというハイブリットな猛攻撃で、達成感と充足感たっぷりでDATSのステージは終了した。

DATS

しかし、会場からは大きな拍手が起こってアンコールへ。再登場したメンバーは、かつてのKYOTO MUSEでのライブを思い出し、「(観客が)20人くらいだった(笑)」(杉本)、「盛った! 15人だろ(笑)」(大井)と、今だからできる笑い話も飛び出す。そして「感謝を込めて」(杉本)と最後に「JANE」を披露し、このロマンチックな1曲で滑らかに着陸するようにイベントの幕を下ろした。

今、確実に新しい音楽シーンを作り出している3組の競演はまさに圧巻。音と空間に身を委ねているだけでドキドキが止まらない貴重な音体験ができた。今日の素晴らしい光景は、きっと観客の記憶にいつまでも残ることになるだろう。

レポート・文=服田昌子 撮影=森好弘