「ミュージカル『刀剣乱舞』 ～結びの響、始まりの音～」開幕！　幕末を舞台に土方歳三への熱き思いが結ぶものは!?

2018年3月24日（土）に東京・日本青年館ホールにて、ミュージカル『刀剣乱舞』 ～結びの響、始まりの音～が開幕した。その初日当日に囲み会見と公開ゲネプロが行われ、鳥越裕貴、有澤樟太郎、田村心、阪本奨悟、伊万里有、丘山晴己、演出の茅野イサムが囲み会見に登壇した。

本作は、名だたる刀剣が戦士の姿となった“刀剣男士”を収集・育成する大人気ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案とし、2015年秋からの初演以降、大きな盛り上がりを見せているミュージカルシリーズの5作目だ。今作では、「幕末天狼傳」で共に戦った大和守安定、和泉守兼定、堀川国広、長曽祢虎徹の4振りに、陸奥守吉行と巴形薙刀が加わり、新たな戦場の物語が描かれる。

初日を迎えて、茅野は「『ここまで踏み込んじゃうの？』と驚いていただけると思います」と自信をのぞかせると「“結びの響、始まりの音”というタイトルからは、5作目の本作をもって一つの結びを迎え、そして、これから先のシリーズに繋がっていく始まりの作品になっていくということを感じています」と本作にかける思いを語った。

物語の舞台は時代の終わりが目前に迫った大政奉還後。審神者より刀剣男士たちに新たな出陣の命が下り、新撰組にまつわる刀剣を中心に部隊が編成される。敵の狙いは新撰組の生き残り隊士たちを率い、新政府軍と戦っていた土方歳三だった――。

土方の愛刀である和泉守兼定を演じる有澤。本作で描かれる土方と和泉守兼定との関係は、有澤の「男の色気や格好良さ、ちょっと不器用なところ、泥くささという男の魅力がたっぷり詰まった、男らしい作品になっています」という言葉が示すように、本作の大きな見どころとなっている。

土方の愛用の脇差である堀川国広を演じる阪本は「本当に夢のような舞台に参加できているんだと、まだまだ実感が湧いてきていませんが、しっかり気を引き締めて、素敵な作品になるように全力を尽くします」とシリーズ初出演としての意気込みを語った。脇差という立ち位置で和泉守兼定に寄り添う思いが、舞台上で阪本のまなざしと優しい歌声に表れている。

和泉守兼定と堀川国広に主を失った経験を伝え導くのは、鳥越が演じる大和守安定と伊万里が演じる長曽祢虎徹の二人。沖田総司に使用されていた刀らしく、可愛らしい風貌と鋭い剣捌きが今回も健在の鳥越は「今までいろんな歴史上の人物と刀剣男士たちによってミュージカル『刀剣乱舞』の世界観を掘り下げてきましたが、、今回はより深く掘り下げた作品になっています。本作を観ると、また『刀剣乱舞』の見方が変わるのではないかと思っています」と見どころを明かした。

近藤勇のように剛胆でありながら、繊細な気持ちも持ち合わせる長曽祢虎徹を熱く演じる伊万里は「前回は長曽祢虎徹や大和守安定が主の死を経験し、色々な思いを抱えてがんばってきました。ファンの方々は新しい刀剣男士との関係性や立ち位置が気になると思いますが、今回はミュージカル『刀剣乱舞』史上、類を見ない革命が起きていると思っています」とアピールした。

新たな刀剣男士として“刀ミュ”シリーズ初登場となるのは陸奥守吉行と巴形薙刀だ。陸奥守吉行を演じる田村は、主の坂本龍馬らしく自由奔放でコミカルな演技と、銃と刀を使った殺陣が魅力的。だが、失った主を思いはせるのか、時折見せる遠くを見つめる姿が印象に残る。その田村は「このシリーズは憧れの作品だったので、こうして刀剣男士として出演できることが夢のようでとても嬉しく思います。陸奥守吉行らしく、明るく元気にがんばっていきます」と意気込んだ。

そして、物語を持たぬ刀剣男士して登場する巴形薙刀役はアメリカでも俳優・ダンサーとして活躍する丘山が務める。丘山は「この作品にとても興味がありまして、この革命的な舞台に出演できることがベリーハッピーです！（笑）」と会場の笑いを誘うと、「このためにアメリカから帰ってきたんじゃないかというぐらい気合いも入れて、スタッフの皆さんを含めて全員の力が頂点に来ています」と力強く語った。物語持たぬ刀剣男士が仲間とともに戦うことで何を感じていくのか･･･。薙刀という大きな得物を華麗に舞いながら振るう丘山の姿と、透き通るような表情と歌声に注目して欲しい。

今作のキーマンである土方を演じるのは「幕末天狼傳」から続いての出演となる高木トモユキ。史実では“鬼の副長”と恐れられた土方を、鬼のごとき内面と殺陣だけでなく、仲間に慕われる魅力的な幕末の男として演じきっている。また、土方を北海道へと誘う榎本武揚を演じる藤田玲は、コミカルで異彩を放ち、本作にアクセントをもたらしている。

土方歳三を待ち受ける歴史に刀剣男士たちは何を思い、何を選択するのか？歴史の響きが結ばれるとき、舞台の上に新たな闘いの始まりの音が奏でられる。

取材・文・撮影＝櫻井宏充

(C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会