太鼓芸能集団 鼓童の新作は26歳の住吉佑太が演出を担当 主旋律にマリンバを取り入れた軽快な曲も
-
ポスト -
シェア - 送る
2018年11月から太鼓芸能集団鼓童の新作公演『巡-MEGURU-』日本全国ツアーがスタートする。
鼓童は太鼓を中心とした、伝統的な音楽芸能に無限の可能性を見いだし、現代への再創造を試みる集団。クラシック・ロック・ジャズなど、異なるジャンルの優れたアーティストとの競演をはじめ、世界の主要な国際芸術祭、映画音楽等に参加し、世界のアーティストや芸術関係者から注目を集めている。
新作公演 『巡-MEGURU-』 では、鼓童メンバーの住吉佑太が初めて演出を担当。住吉は2010年に鼓童研修所に入所した当初より、演出として参加していた坂東玉三郎の指導を受け、2013年から鼓童のメンバーとして「大太鼓」やソリストに抜擢された。演奏だけではなく、作曲やアレンジなどでも才能を発揮しており、“鼓童のサウンドメーカー”と称されている。
本作の楽曲も全て新作で、住吉が生まれ育った香川に伝わる獅子舞や徳島の阿波踊り、栃木や群馬に伝わる八木節や岩手に伝わる鬼剣舞など、多くの郷土芸能をさりげなく織り込むことにより、住吉特有の音楽世界が鼓童の太鼓音楽をさらに広げている。他にも、鼓童が長年演奏してきた「三宅」をさらに昇華させた楽曲や、西洋音楽的なアプローチで作り上げたリズムアンサンブル、即興曲などが全て本作の為に作曲され、今までにない試みが凝縮された公演になるだろう。
この度、全国ツアーに先駆けて4月22日(日)に『巡-MEGURU-』の特別公開リハーサルが鼓童の本拠地である新潟県佐渡市 両津文化会館にて行われた。演出・住吉佑太のコメント入りレポートと舞台写真を紹介する。
公開リハーサルレポート
鼓童の新時代が始まった。
2012年から昨年まで、新作公演を連続演出してきた坂東玉三郎に代わり、今回は玉三郎の下で才能を開花させた鼓童メンバーのひとりで、弱冠26歳の住吉佑太が演出を担当。自身の作曲によるテーマ曲「巡」を中心に、ポップな現代性に富む、全10曲を初披露した。
舞台写真 撮影=岡本隆史
舞台写真 撮影=岡本隆史
舞台写真 撮影=岡本隆史
主旋律にマリンバを使用する大胆さが印象的な「巡」は、「太鼓への固定概念を取り払い、若い人たちにもおもしろがってもらいたい」という住吉の願いを反映した、軽快で親しみやすいノリが基調。ⅠからⅣまでの多彩なヴァリエーションを展開させながら、間に鼓童の看板レパートリー「三宅」を進化させた「祭宴」(作曲は中心メンバーの中込健太)など、和太鼓乱打のグルーヴ感溢れる作品をはさみ、圧倒的な迫力で、客席の期待を凌駕してみせた。
舞台写真 撮影=岡本隆史
舞台写真 撮影=岡本隆史
舞台写真 撮影=岡本隆史
「いろいろ課題はありますが、まずはよかった。みなさんの意見を伺って、完成を目指します」と住吉。今年11月の本番に向けて、確かな手応えを感じた。
演出・住吉佑太
文=演劇ジャーナリスト 伊達なつめ
公演情報
演出:住吉佑太
公演日程:2018年11月より日本全国ツアー
東京公演:2018年12月19日~23日@文京シビックホール大ホール
公式サイト:http://www.kodo.or.jp/meguru/