MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』第三回ゲストはGEN(04 Limited Sazabys)お互いの覚悟
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MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』の第三回のゲストは、04 Limited SazabysのGENが登場。年齢も1歳違い、バンドのキャリアもお互いに10年目という同世代の二人。「GENちゃんとは、前に連絡先を交換していたけど、照れくさくてずっと連絡できなかった。だからこそ、この企画で親睦を深めたかった」とアフロ。が、しかし! 対談の前日にアフロとGENはプライベートで飲み行き、なんと朝まで過ごしたという……。
●お互いの曲作りについて語る●
アフロ:お疲れさまでーす! 12時間ぶりだね。
GEN:そうですね。
アフロ:俺ら対談の前に語り尽くしたから、何も話すことがないんだよね。
GEN:そうなんですよ、今日はただ無言で料理をつつきます。
アフロ:昨日は1杯くらいにしとこうって感じだったんだけど、最終的には朝4時までいくっていう。
GEN:4時間くらい飲んでましたよね。
アフロ:まさか、シメに卵かけご飯を食べると思わなかったね。この企画はありがたいよ。会社の金で美味しいものが食べられるんだから。
GEN:やっぱり人の金で食べるのが一番美味しいですよね。
アフロ:そうそう。自分で出す時は値段を見て「とんかつ定食950円で、チキンライス650円かぁ」みたいな。最近は勇気出してとんかつ行っちゃう時あるけど。
GEN:今は好きなものを食べられるようになりました。
アフロ:俺は未だに「大盛り無料」って書いてあると、お腹いっぱいでも大盛りにしちゃうのよ。そういう貧乏くささは抜けなかったりする。
GEN:僕は残せるようになりましたね(笑)。
アフロ:体重管理してるんだ。
GEN:昔と同じ量を食べると太っちゃう。
アフロ:だけど、ビールを飲まないでしょ? それなら大丈夫そうだけど。
GEN:日本酒が好きで飲むんですけど、あれは太るんですよね。蕎麦屋へ行くと日本酒を飲みたくなる。
アフロ:ああ、通だね。
GEN:その蕎麦屋に大学生の可愛い店員さんがいて。「髪切ったね」とか色々話しかけてます。
アフロ:その感じは中学生みたいだね。
GEN:そうなんです。ちょっとピュアな気持ちで接してます。
アフロ:GENちゃんの正体は知ってるのかな?
GEN:この間「何歳なんですか?」って聞いたら「二十歳です」って。今度は相手から年齢を聞かれたので、僕が「何歳だと思います?」と言ったら「同じくらいですかねぇ……」って言われました。だから全然知らないと思います。
アフロ:大学生でしょ。じゃあ、彼氏が軽音部に入っててさ。
GEN:そういう流れで知ってくれたら嬉しいですね。「あっ、いつも私のことをイヤらしい目で見てくる人だ」って(笑)。
アフロ:それで彼氏が嫉妬するのよ。
GEN:僕は知らない人に嫉妬されがちですからね。「結婚したいです」って言ってくる女の子の彼氏から100%嫌われてると思います。
アフロ:「結婚したい」って言うファンの人がいるんだ!
GEN:います、います。
アフロ:腹たつわ〜! ブスでしょ?
GEN:みんなブス……って嘘ですよ(笑)。これってテーマとかないんですか? 昨日は何の話をしましたっけ? たしかビックリするくらい良い話をしたと思うんですけど。バンドに対する話とか。
アフロ:じゃあ、話に乗っかるけど。メンバーのモチベーションとか、チームのモチベーションはGENちゃんが舵をきっているの?
GEN:そうですね。今、バンドが10年経って、今まで以上に考える時間も多くなりました。
アフロ:それで毎日酒を飲んでるわけだ。
GEN:それもありますね(笑)。幸せになることと、良い曲を作るのは逆じゃないかな、って最近考えてたんです。
アフロ:なんで、そう思ったの?
GEN: ある先輩と飲んでいるときに、「曲を作る人は一生、苦しまなければいけない。」という話をお聞きしたんです。
アフロ:GENちゃん、それは幻想だって。
GEN:でも、安定は危険だと思うんですよ。例えば、夫婦が好奇心とか刺激を求めすぎたら崩壊するじゃないですか。だけど僕らは、そこに興味を持って音楽を生み続けなきゃいけない。
アフロ:俺は彼女と暮らして一年になるんだけど。多分、幸せに近づいているんだ。だからこそ、些細なことから一生懸命、悲しみとか悔しさを絞りだそうとしてる。
GEN:敏感になって。
アフロ:そうそう。そこを絶対に逃さないようにしよう、みたいな。日々の生活の中から悲しみを拾っていくしかない。
GEN:日々の生活?
アフロ:彼女が昔から使っているマグカップがあってさ、俺と一緒に住む前からあるのね。2人でお茶を飲んでる時に、ふとマグカップを見て……。
GEN:「俺じゃない誰かも使ってたのかな」って。
アフロ:そう! つまり、今、時を越えて俺は前の彼氏と間接キスをしてるんだと思ったりするの。そしたら幸せが一気に崩れるでしょ? その瞬間の揺らぎを歌詞に書くんだよね。だから、幸せにしたい人ができれば、自然と不安な気持ちは増えてくる。ある種、結婚をすること=安定というわけじゃないのかなって。
●アフロとGENの対照的な恋愛観●
GEN:なるほど。昨日は恋愛の話も結構しましたね。
アフロ:したね。GENちゃんは告白する方?
GEN:ん〜〜告白って、大人になってからするもんですかね?
アフロ:俺はしたよ。
GEN:状況を教えてください。
アフロ:ある日、2人でカラオケへ行って、彼女が歌ってる最中に告白した。
GEN:歌の邪魔じゃないですか。
アフロ:アハハハハハハ!
GEN:間奏で告白したんですか?
アフロ:ううん、歌ってる最中に「あの……」って。
GEN:それ、グッときます?
アフロ:わかんない。朝まで一緒にいよう、ってカラオケへ行って。「退出まで5分前です」と電話がかかってきて、今日中に告白しようと決めてたから、相手が「じゃあ、そろそろ出ますか?」って言った時に「最後に1曲を歌ってよ」ってお願いして。そこで告白した。
アフロ:並んで歩いてる時に、告白するイメージが湧かなかったんだよね。
GEN:僕は昔、並んで歩いてる時に、付き合うことになったことがありましたよ。
アフロ:告白したの?
GEN:その時は告白っていうか「私たち、これからどうなっていくの?」みたいな空気になったんです。「じゃあ、今日からはっきりさせよう」っていう。
アフロ:告白してるじゃん。
GEN:向こうからの「今の私たちは何なんだ!」的な空気を察したんです。
アフロ:なんで別れたの?
GEN: 良いところもいっぱい知ってるし、素敵な人だったんですけど僕がダメになっちゃいましたね。
アフロ:そうなんだ。
GEN:ふと、恋愛のピークが見えちゃって。あの日のあの幸せを超えることはないんじゃないか、と。一緒にいると家族のような関係になるじゃないですか。僕はアーティストとしてドキドキがほしいし、好奇心もいっぱいほしいので。
アフロ:あの時がピークだったんじゃないか、っていつ思うの?
GEN:誰でもそうだと思いますけどイチャイチャしていられる時。お互いに好きのパワーが合致してる瞬間は永遠を感じてました。
アフロ:ロマンチックだね。別れたら凹むの? 歌にするとか。
GEN:心の傷はあるんですけど、その傷は知ってる痛みなので。そのことを歌おうとしても、前にもそういう曲は歌ってるな、って。
アフロ:そっかぁ。
GEN:傷はついてるけど、傷つくことにはなれた。「二回目なので、意外と大丈夫です」って感じですね。
アフロ:立ち直り方も知ってるからね。
GEN:昔ほどのめり込めてない自分も「なんだかな」って気がして。
アフロ:それはあえてのめり込まないの?
GEN:そうかもしれないです。前は自分でもコントロールできないくらい、のめり込んでいたのでダメージが大きくて。今はある程度、予防線をはるようになりました。大人になっちゃいましたね。
アフロ:そっかぁ。俺はのめり込むのが大得意だからさ(笑)。
GEN:それはすごく素敵です。
アフロ:そういう時は、俺が世界で一番かわいそうだと思って。そう思って歌詞を書く。でもGENちゃんは「それもう曲にしたからな」って言ったよね。相手が変わっても、その傷ついた心情を曲に落とし込むのを良しとしない。
GEN:そうです。
アフロ:好奇心の問題だね。
GEN:今は好きな子がいないんですけど、店員さんへ勝手にキュンキュンして疑似恋愛してます。
アフロ:その自由さを羨ましくなったりするんだよね。今、彼女がいないってことは、石原さとみと結婚する可能性もあるわけじゃん。
GEN:フフフ、あります(笑)。
アフロ:良いよなぁ、そういう夢があるんだもんな。
GEN:ただ、僕はまだまだ結婚はできないでしょうね。子供は欲しいですけど。
アフロ:子煩悩っぽいね。
GEN:旦那になるよりも、お父さんの方が自分でもイメージできます。世話をするのは好きなんですよ。
アフロ:そっかぁ。
●嫌われる勇気について●
GEN:その自信がないし、信じたい気持ちに自信がないというか。昨日、アフロさんと話してて印象的だったのが「嫌われ者でいる覚悟ができた。それで吹っ切れた」と言ってたじゃないですか。あれはどういうことでしたっけ?
アフロ:自分たちだけで頑張ろうと思った。一緒に上がっていこうとか、誰かと一緒に頑張ろうって気持ちは捨てようと。
GEN:自分たちで風を起こそう、ってことですか?
アフロ:うん。俺は愛されたいと思うたちだから、それはお客さんに対してもそうだし、バンドに対してもそういう感情があったんだよね。特に自分が好きな音楽をやっている人たちには、自分らの音楽を良いって、言ってもらいたいなと思ったんだけど……最近、同業者からはあんまり求めなくなった。やっぱりお客さんよりも距離が近い分、傷つくんだよね。
GEN:自分が好きだったり、尊敬している人に嫌われるとキツイですよね。
アフロ:そうなんだよね。昔、すごく憧れていた人から雑に扱われているなと思う瞬間があって。その時は変な恨み方をする前に逃げよう、と思った。
GEN:その雑に扱われたっていうのは相手にされなかったってことですか?
アフロ:うん。忙しかったんだろうな、って思うけど、それは自分が信用している人には絶対しないことだな、と思った。なんとなくさ、仲良いことを良しとするシーンがあるじゃない? それも素敵だなと思うけど、自分の根本はそこじゃなかったんだよ。
GEN:なるほど。
アフロ:だから自分で頑張ろうっていうか、そこは他人に期待せず「イベントは自分たちで打つんだ」とか「自分でやるんだ」って思うと、「こんなイベントをやるからMOROHAに出てほしい」と言われた時に、ありがたいなって感謝できるようになった。
GEN:嫌われる勇気は、僕も昔からあるんですよ。(僕は)小学生の頃からクラスでお調子者キャラだったんです。そしたら担任の先生が「俺はずっと日陰で暮らしてきたから、お前みたいな人気者は本当に嫌いだ」って。その時に安心したんです。人気者を嫌う人がいるってことは、みんなに好かれるのは無理なんだ、と。
アフロ:なるほどね。
GEN:嫌われることに対しても「なんで嫌いなの」って反発しなくなりました。
アフロ:それはすごい体験だったね。俺は追いかけちゃうんだよ。
GEN:アフロさんの気持ちも分かります。いつか分からせようって気持ちはありますね。今のままじゃダメなんだって。パワーアップしてやろう、って。
●「MOROHAを好き」と言える環境を作りたい●
アフロ:ちなみに音楽でいうとさ、パワーアップってすると思う?
GEN:スキル的には当然しますし、パワーアップもすると思います。
アフロ:「今回の音源は今までよりもパワーアップしたと思います」みたいなことをアーティストがインタビューで話すって、おこがましい気がするんだよね。他の人は良いんだけど、俺自身がそれを口にした時に「いやいや、ずっと良かったよな」って思う。その時はその時で葛藤があったし、そう考えると俺らはずっとカッコイイはずだ、って。だからこそ、メジャーの人はなんで1stアルバムの時に俺らの良さに気づかなかったんだろう、と思うんだよ。
GEN:そういう意味でMOROHAは聴けば好きになるのに、届いていない層がめちゃくちゃいると思うんですよ。例えば(竹原)ピストルさんが初めてCOUNTDOWN JAPANに出た時に、すっごく良いライヴなのに観客が少なかったんです。「この人の曲なら、絶対、オリコンTO10に入るのに」って思った。それが今や、紅白も出て、CMソングにもなって、いろんな人に届いてるじゃないですか。「やっぱり、みんな分かるんじゃん!」って。
アフロ:好きと言って良いんだ、というタイミングを作れるかどうかだよね。そもそもピストルさんは、ずっとカッコイイよ。カッコ良くなったから売れたわけじゃない。ずっとカッコイイんだよ。売れたのは、みんなが「竹原ピストルを好きって言って良いんだ」と思うきっかけが生まれたから。共有の言語として成立する日が来たんだよね。
GEN:そうですね。今回、MOROHAはメジャーへ行くわけじゃないですか。孤高のイメージがあるMOROHAが、これからどう世間に届くのか興味ありますよ。
アフロ:今までは「MOROHAが好き」って言いづらい状況があった気がするのね。そんな世間の目に対して「俺は好きなんだ」って言える優越感がアンダーグラウンドの中にあったのかもしれない。そういう世界って夢がないよねって思うんだ。
GEN:アンダーグラウンドもそうだし、そういう活動をしてる人も好きなんですけど、本人たちはそこまでアンダーグラウンドだと思ってないと思うんです。
アフロ:アンダーグラウンドってさ、今や正解が限られてる感じがするんだよね。
GEN:たしかに。こういうものだ!って、すでに答えが出来てる気がします。
アフロ:逆に今のオーバーグラウンドって多種多様だと思う。
GEN:自由ですよね。
アフロ:あとアンダーグラウンドって神秘的じゃん。俺は自分の中に神秘的な部分はないと思ってるから。だから孤高って言われたのは、すごく気持ち良いんだけど、残念ながらその看板は早く降ろしたい。早く降ろさないと俗物だから不自由になる。GENちゃん以外にも、俺らを孤高って見方してる人がいるとしたら、まだ俺がステージでカッコつけてるんだろうね。もっと、もっと、だらしないけど頑張ってる、みたいなところまで出せたら良いなと、アフロは思います。
文=真貝聡 撮影=高田梓
取材撮影協力=炭火焼 尋 (東京都目黒区上目黒3-14-5 ティグリス中目黒Ⅱ 3F)
イベント情報
イベント情報
5月5日(土) 日本ガイシホール
OPEN 16:00 / START 17:00
前売り アリーナスタンディング ¥5,500 / 指定席 ¥5,500
5月11日(金) 大阪城ホール
PEN 17:30 / START 18:30
前売り アリーナスタンディング ¥5,500 / 指定席 ¥5,500