金井成大＆松本ひなたが語るハサミ使いの難しさ　舞台『クレスト☆シザーズ』インタビュー

2018年5月10日から東京・サンシャイン劇場、5月17日からは大阪・サンケイホールブリーゼで舞台『クレスト☆シザーズ』が上演される。本公演はコミックスマート「GANMA!」で連載中のコミック『クレスト☆シザーズ』（作：hekiyu）を、人気若手俳優・赤澤遼太郎を主演に迎えた2.5次元の舞台だ。赤澤のほか、松田岳、小南光司、金井成大、松本ひなた（Candy Boy）、櫻井圭登、川村玲央、佐藤信長、大原優乃、出口亜梨沙、吉岡佑、井深克彦、そして舞台オリジナルキャラクターに青乃夕妃という豪華キャストが名を連ねている。

本公演は予約が取れない超人気美容室に集うカリスマ美容師たちの物語。東京公演を前に絶賛稽古中のなか、美堂律役の金井成大と咲野翠役の松本ひなたに美堂と咲野の関係や、我々に身近な存在でもある美容師という職業について伺った。

完璧主義者の美堂とサポーターの咲野。金井「自分と正反対の性格」

ーーご自身の役どころを教えてください。

金井：美堂律は、神経質で完璧主義者です。

松本：咲野翠は美堂さんのサポート役ですが、原作と舞台ではポジションが少し違うなと思っています。舞台ではアシスタントというか本当に「サポーター」という立ち位置で、原作よりもみんなと和気藹々しているなという感じがします。

ーー自分とキャラクターの似ているところはありますか？

金井：ないですね。自分とは全く正反対の性格なので、全部が面白いなって感じです。ストイックで神経質で、美を追求している。本当に全部が違うので、こいつ面白いなって思いながら演じています。

松本：こう見えて咲野は芯が強いので、逆に憧れています。似ているところは……ビジュアルの可愛さですね（笑）。

ーー咲野は本当に可愛らしいですよね。これも美堂さんが？

松本：そうです！　美堂さんが見つけてくれたスタイルです！

金井：そうですね。

松本：全部美堂さんが！

金井：そうです、俺です（自慢げ）！

ーー原作を読んで、印象的だったシーンはありますか？

松本：僕は美堂さんと咲野のシーンですね。咲野が未来に進んでいくために、とある決意をして、美堂さんに返事をするシーンがあるんですが、その「はい」っていう返事の切なさに胸を打たれました。肯定の2文字の中にいろんな想いが詰まっているなって思って。そこは大好きです。

金井：咲野との関係性や過去に驚きがありました。それは後半になって出てくるお話なので、そういう彼らの背景は舞台でも出せるといいなと思っています。

ーーお二人の共演は……。

金井・松本：初です！

ーー仲良くなるためにしていることや話題はありますか？

金井：痩せる薬を飲んでるらしいです（笑）。

松本：最近太ったから痩せようかってマネージャーさんに言われて、それでサプリメントを……。

金井：痩せなくていいのになぁっていう話をしたばかりだね～。あとこの現場は役名で呼び合っているんです。だから「松本くん」というよりも「咲野」です。

松本：僕はあまり美堂さんと仲良くならないようにしています。憧れてて親しい感じはありつつも、それを隠している分どことなく壁がなければならないなと。

金井：壁を作られてた!?

松本：近くなりすぎない、親しくなりすぎないようにした方が役の時にやりやすいのかなって思っていて……。

金井：じゃあ明日からたくさん話しかけるね。

松本：逆にですか!?　美堂さんめっちゃ話しかけてくる（笑）

金井：妨害してやろう（笑）。

ーー仲の良い、またはこの人と仲良くなりたいなという共演者はいますか？

松本：僕は（真季エミリアン役の）井深克彦さんとは、お仕事で一緒になるのが今回で4回目です。「ひなひな～」って呼んで可愛がってくれている、良きお兄さんでありお姉さんであるという存在です。あとは赤澤くんのことを「赤ちゃん」って呼んで、新しいあだ名だなって本人から言われました。彼は「たろちゃん」とか「たろうちゃん」って呼ばれているんですが、僕はそれを知らなくて。

金井：僕は初めましての方がほとんどでした。松田岳くん（戸川那智役）は、二人のシーンがよくあるので話しかけてくれます。演技もこういう方がいいですかとか、互いに気を使いながらライバルとしていい関係が作れているのかな。

シザー使いって難しい！　美容師のテクニック

ーー稽古は順調ですか？

金井：順調ですね～！

松本：順調でハイスピードです。和気藹々とした雰囲気の中進んでいます。

ーーTwiterの舞台公式アカウントでマネキンを使って勉強しているお写真を拝見しましたが、やはり難しいですか？

松本：もうめっちゃ難しいです！

金井：そこが一番難題かもしれませんね。お芝居も大事ですが、そっちが間に合うかなって……。

松本：サポーターでよかったって、少し思っちゃいました（笑）。僕は美堂さんをいつも見守っている役目です。

ーーとくに何に苦戦していますか？

松本：切ることですね。

金井：ハサミがね。こう……こう持って動かすんですが（ハサミを動かす動作）。うーん、早くまた指導してもらいたい！

ーー『クレスト☆シザーズ』の稽古をしてから、お客さんだとわからなかった美容師さんの技術などはありますか？

松本：やっぱりシザー（ハサミ）使いってすごいんだなって思います。今まで気になってなかった手さばきとかを見ると、本当に歯の動かない方は動いてなくて。

金井：親指しか動かしちゃいけないんだよね。

松本：それを美容師さんに言ったら「メジャーリーガーにヒット打てるんですねって言ってるようなもんだよ」って笑われてしまいました。でも本当にすごい……！

金井：美容師さんに「見せ方がみんな違う」って言われたことがおもしろいなって思いました。お客様と関わるお仕事なので、わざと音を立てるとかパフォーマンス部分でも人によって見せ方が色々あるらしくて。舞台でもキャラクターによって切り方が違ったりしたらおもしろいし、そういうところも反映出来たらいいなと。

ーー人生の中で印象に残っている美容師さんがいたら教えてください。

金井：昔、床屋さんに行った時に、耳を切られたことがあります。

松本：えええええー!?

金井：子供だったので母と一緒に行っていたんですが、その母がめちゃくちゃ焦ってました。でも痛くなかったんですよね。

ーーえっ、どのくらいの流血だったんですか……？

金井：首元までたら～って垂れるくらいです。血が流れていたので僕も驚いていたら、美容師の方にすごく謝られました。それをずっと覚えてる（笑）。

松本：僕は、いつも担当してもらっている仲が良い美容師さん。お願いしたカラーとは全く違う色になっていて……。なんで、って聞いたら「気分で緑入れちゃった」って。気分ってなに!?

金井：それ困るやつ（笑）！

松本：仲が良いので全然大丈夫なんですが、美容師さんってアーティスティックな面もあるんだなぁと。

ーー美堂、咲野ともに憧れを抱いているキャラクターがいますが、お二人には憧れや尊敬している人はいますか？　どんな職業の人でも結構です。

松本：いろんなアーティストさんを見て参考にしていますが、手越祐也さん（NEWS）に憧れています。彼をテレビでよく見ていますが、歌もダンスも役者もバラエティもポテンシャルが本当に高い。そういう面で、自分がなりたい理想像だなと思っています。

金井：小説家の村上龍さんですね。小説が好きでよく読むんですが、彼の著書の中でエッセイ「すべての男は消耗品である」とかも読んでいます。イケメンブームが来るとか、その時はなかった思想やおかしいなと思われることが、今の時代では普通になっている……。そんなこともたくさん書いてありました。鋭いことも仰っていて、そういうところがクールで男らしくてかっこいいなと。本音もズバッと書いてあって、周りに流されず自分の意見を貫く、そういう生き方がしたいなと思います。

ーー舞台の見どころとファンの皆様へのメッセージをお願いします。

松本： 実際にハサミを使って髪を切ったりアレンジをしたり、もしかするとお客様も巻き込んだり……今までにない新しい舞台になるんじゃないかなと思っています。あとそれぞれのキャラクターの物語に注目して見ていただけたらなと思います。この舞台を観て心も見た目も綺麗になってもらえるように、俺たち全力で頑張っていきますので、全部通ってくださいね。

金井：普通の舞台にはないお客様参加型のようなライブ的な場面もあるので、そこを楽しんでほしいです。映像とは違う、生で僕たちと関わることができる舞台となっています。メッセージは……「綺麗になるまで帰しませんよ」。

取材・文＝松本裕美　撮影＝中田智章

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